●大きく、豪華になった2代目カローラ

初代カローラの排気量が1200ccにアップした翌年の1970年5月、カローラは初めてのフルモデルチェンジ 行って20系となった。従来の2ドア/4ドアのセダンとバンのラインナップに新たにクーペボディが新設される事になった。 一方、スプリンターはクーペのみのラインナップだったが、 1971年に4ドア車を追加して完全にカローラと同機種化を図り兄弟車となっている。

搭載されたエンジンは初代の最終型に積まれていた3K型1本だったが、既に1970年10月に1400ccのT型 (これはTE20という)が追加される事が決まっており、エンジンルームには余裕があった。 ボディーは初代よりも、全長で100ミリ、全幅で20ミリ大きくなったが、逆に全高は5ミリ低くなった。 ホイールベースは初代より50ミリ長くなり、トレッドも前後ともに25ミリ広くなった。 これは高速走行時の安定性を考慮した結果であろう。

スタイルは初代カローラと比べると、当時の主流であるロングノーズ・ショートデッキスタイルを より強く意識したように感じられる。初代よりもトランクルームが短く見えて、その分スポーティに見える。 また三角窓を廃止して死角を減らし、すっきりとしたデザインになった。三角窓を廃止するに当たって 換気性能を向上させるべく、カウルパネルの形状を立体的にした。これもスポーティなイメージづくりに寄与している。 車体側面は上でも触れたがロングノーズショートデッキを推し進め、従来どおりセミファーストバックも踏襲した。 2代目では新しくアメリカ車で流行していたコークボトルラインを採り入れた。 これは、車体中央部をくびれた形状にしたのがコカコーラの瓶を連想させることからそう呼ばれるようになったのだが 車体寸法が限られているのでさりげないものとなっているがそれでも何とか豊かさを与えようとした努力の跡が垣間見られる。

2代目カローラのデザイン作業において、幾千ものイメージスケッチが描かれその中からカローラ用と スプリンター用のデザインを決定していった。しかしデザイナーが良いと思うデザインとメーカー重役が 良いと思うデザインが違うことがある。2代目カローラでは、このようなことがあった。 デザイナー達はカローラ用にボンネットの中心部にプレスラインを入れ、 そこに繋がるように鼻筋を通してラジエーターグリルを二分割風に見せることで、 初代後期モデルのスポーティな面影を残したデザインを採用した。 スプリンターの方はボンネットをフラットにし、豪華なイメージを与えるメッシュ風のラジエータグリルを採用した。 このデザイン案に自信を持って役員審査会にカローラとスプリンターのクレイモデルを 出したところ、ある役員が「こちら(スプリンター案)の方がカローラに相応しいから、 カローラのデザインをスプリンターとひっくり返しなさい」と発言した。その一言でカローラと スプリンターのデザインは変更されることになったという知られざるエピソードがある。 初代モデルのときも本格的なファストバックであったのが、役員からの一言でよりファミリーカーらしい セミファストバックに変えられた事もある。結果としてはそれが販売増につながったので良かったのだが、 このようなことは新型車開発の現場では割とよくある事なのだという。

初代に引き続き、カローラの主査を務められた長谷川氏によれば、 初代カローラは、いわば「若々しい10代の肌の白いお嬢さん」をイメージしたそうだが、今度の2代目カローラでは 「20代の結婚適齢期を迎えた女性」をイメージして造り上げたと、とあるインタビューに答えている。 確かに2代目カローラは初代カローラよりも丸みを帯び、全体的にグラマラスなボディラインを持っていると思う。

2代目カローラの特徴のうちの1つが、金属にクロームメッキを施した装飾が多かった初代に比べて 樹脂成形部品を多用したことである。 この時代に多様化されたのはデザインが複雑化していく中で、 樹脂は自由な造形ができる上、容易に成形できるのに加えてコスト面でも魅力的だったからである。 特にヘッドランプまわりやボンネットの空気取入孔等には、 メッキ風のシルバー色を採用してアクセントとしていたが、アメリカに 輸出したところ。現地の声として『この色はメキシカンシルバーといってアメリカでは安物の色なんだ』 と言う声があったという。

室内に目を移すと、インパネは従来型の金属がむき出しになっていたものとは違い、 樹脂(セイフティーパッド)に覆われたインパネとなった。 特に一部グレードではローズウッド調パネルを採用し、高級感を出していた。 また、三角窓を廃した代わりにアッパーベンチレーターが採用され近代的な内装に一歩近づいたが クーラーは従来どおり助手席のレッグルームに取り付ける方式が踏襲された。 また、ポケッテリアという面でも2代目カローラでは新しい工夫を採り入れた。 2ドアセダンとクーペには取り外し可能な深い小物入れを設け、これをコーラボックスと呼んだ。 コーラボックスはもちろん飲み物の瓶を二本入れることができるほか、取り外せることでゴミ箱としても 使用できた。現代の小物入れが充実した車ほどではないが当時から利便性を高める試みは続けられていたのである。 また、夜間のドライブを便利に演出するイルミネーションが付けられたのも2代目が初めてである。 ヒーターや灰皿を青緑の光が照らすというもので、プラスチックの色付きカバーを外すとマップランプとしても 使用できる辺りに心憎い配慮が見られる。 フロントシートは、ヘッドレスト一体のハイバック型を採用して安全性を高め、 ドライバーズシートのスライド量は40ミリ増えて160ミリと拡大し、 ドライビングポジションの設定の幅を広げるなどのリファインが施された。 ハイバックシートは後席の乗員から「心理的圧迫感がある」とクレームをつけられることもあり、 事実、社内でも反対論がでまわった。しかし肩の部分を極力削り落とすなど、ネガつぶしを徹底し 後席乗員の目に触れる部分には花冠をデザイン化した模様をつけ、かえって豪華に見えるように配慮している。 このハイバックシートと、ローズウッド模様を施したインパネを「欧州家具調のインテリア」と称した。 シフトレバーは初代のフロアからレバーがむき出しになっていたものから、 レバーの根本を150ミリ手前に移動させそれをコンソールボックスを装着して以前より 操作性と見た目を同時に向上させた。(初代にはSLグレードにのみコンソールボックスが付いた) スポーティモデルのSL用メーターパネルは4代目コロナに似て大径丸型の スピードメーターとタコメーターの間に小径丸型のコンビネーションメーターを配置した スポーティな3連メーターであった。 また、ドア内側のハンドルやレギュレータハンドルなどは上級車種のマーク||のものを使うなど 限られたコストで豪華に見せる最大限の努力を惜しまなかった結果、豪華な内装が実現した。

ちなみにこの頃カローラの取扱店がパブリカ店からカローラ店に改称した。

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