マクロビオティックって?

最近海外のセレブたちに注目されている『マクロビオティック』。
その発祥が実は日本の伝統食をベースにしたものだってご存知ですか?

日本では「正食」と呼ばれる「マクロビオティック」。この言葉は、MACRO(大きな)・BIO(生命の)・TIQUE(技術)の3つの部分からなりたおり、つなげると「生命を大きな観点から捕らえた健康法」という意味になります。

第二世界大戦前後に食文化研究家の桜沢如一が考案したこの運動は、玄米を主食、野菜や漬物や乾物などを副食とすることを基本とし、独自の陰陽論を元に食材や調理法のバランスを考える食事法です。

マクロビオティックの食事の特徴

  • 玄米や雑穀、全粒粉の小麦製品などを主食とする。
  • 野菜、穀物、豆類などの農産物、海草類を食べる。有機農産物や自然農法による食品が望ましい。
  • なるべく近隣の地域で収穫された、季節ごとの食べものを食べるのが望ましい。
  • 砂糖を使用しない。甘味は米飴・甘酒・甜菜糖・メープルシロップなどで代用する。
  • 鰹節や煮干しなど魚の出汁、うま味調味料は使用しない。出汁としては、主に昆布や椎茸を用いる。
  • なるべく天然由来の食品添加物を用いる。塩はにがりを含んだ自然塩を用いる。
  • 肉類や卵、乳製品は用いない。ただし、卵は病気回復に使用する場合もある。
  • 厳格性を追求しない場合には、白身の魚や、人の手で捕れる程度の小魚は、少量は食べてよいとする場合もある。
  • 皮や根も捨てずに用いて、一つの食品は丸ごと摂取することが望ましい。
  • 食品のアクも取り除かない。

起源

思想的な基盤は、食育で著名な明治時代の薬剤監であり医者であった石塚左玄の食物に関する陰陽論である。桜沢は左玄の結成した食養会で活躍することを通して食事療法(食養)を学び、独自に研究した。左玄の著書に『化学的食養長寿論』というものがあり「化学的」と冠しているが、左玄は当時の科学に敬意を持ち当時の栄養学では重要視されなかった栄養素のナトリウムとカリウムを陰陽のバランスと見て重要視し独自の理論を提唱した。もとが中医学ではないため、この分類は中医学の陰陽論に基づく分類とはかなり異なる。左玄は「白い米は粕である」として玄米には栄養が豊富に含まれていると主張してきた。このことは20世紀初頭の栄養学でも確固として認められてきた点であるが、当時の栄養学には食物繊維の概念がなかったため消化されない栄養素があるとして少し精白した米をすすめた。当初、桜沢は左玄の考え方に従い、鳥・魚・卵を少しなら食べてもよいとしていたが、晩年にそれらも食べない菜食が正しいという見解に到っている。

石塚左玄の食養

  1. 食本主義 「食は本なり、体は末なり、心はまたその末なり」と、心身の病気の原因は食にあるとした。
  2. 人類穀食動物論 人間の歯は、穀物を噛む臼歯20本、菜類を噛みきる門歯8本、肉を噛む犬歯4本なので、人類は穀食動物である。
  3. 身土不二 居住地の自然環境に適合している主産物を主食に、副産物を副食にすることで心身もまた環境に調和する。
  4. 陰陽調和 当時の西洋栄養学では軽視されていたミネラルのナトリウム(塩分)とカリウムに注目し、さらにそのバランスが崩れすぎれば病気になるとした。
  5. 一物全体 一つの食品を丸ごと食べることで陰陽のバランスが保たれる。「白い米は粕である」と玄米を主食としてすすめた。

身土不二

1907年(明治40年)、陸軍薬剤監の石塚左玄を会長として発足した食養会は、食事で健康を養うための独自の理論を展開した。その中に、その土地、その季節の食物がいいという考えがあった。

1912年(明治45年)、食養会理事で陸軍騎兵大佐の西端学が、この考え方を表すために提唱した。石塚の考えを一般化するために「地元の食品を食べると身体に良く、他の地域の食品を食べると身体に悪い。」と解説したところ、京都の僧侶が「仏典に身土不二という言葉がある。」と教えた。仏典とは意味が違うが、西端は以降この説を「身土不二(じ)」と呼び、食養会独自の大原則として広めた。

昭和に入ると、「地元の食品が身体に良いという考えは、仏教に基づく日本の伝統。」との説が、有機農業・自然食販売業・生協運動・一部農業団体・代替医療などの分野で広まった。例えば、食養思想を元にマクロビオティックを創始したことで知られる桜沢如一が、身土不二は法華経に基づくと記している。

1989年に韓国農協中央会会長ハン・ソホン氏が、日本の有機農業の本を読んで「身土不二」の語を知り、国産品愛好運動スローガンに使用して、一大ブームになった。当時の国情から、日本の食運動であることを明かせないため「中国仏典の教え。中国の古くからの伝統。」と説明していた。このブームが1990年代半ばに日本に紹介され、身土不二が一般にも知られるようになったが、同時に、「中国の伝統」「韓国の伝統」など様々な語源説が広まる契機となった。

一物全体

仏教用語 生物が生きているというのは、丸ごと全体で様々なバランスが取れているということであり、そのバランスのまま人体に摂取することが人体内のバランスを取るのにも望ましいという考え方から、人間が食物を摂取する際、穀物を精白したり、野菜の皮をむいたり、動物の肉や魚を部分的に食用にするのではなく、できるだけ丸ごと食べるのが健康に良いとする考え方。 栄養学の観点からも、植物の皮や葉、小魚の骨は栄養が豊富である。