90年代日本政治改革への視角(立正大学法制研究所研究年報)
                                    早川誠(立正大学専任講師)

・・・・・・(前略)・・・・・・
 ここで述べられていることが、ある種「政治」のとらえ方の問題であることに注意されたい。スキャンダルの根絶は確かに政治の重要な課題であるが、しかしそれは政治の課題の全てではない。それどころか、政治の常態は、スキャンダルのない状態を前提としての内外政治課題に対する意思決定であり、「スキャンダル防止のための政治」は、そもそも「政治」であるかどうかさえ怪しいという側面がある。つまり、「政治改革」は、実は「政治」を行うための「政治以前の改革」であったのであり、それ自体は「政治」の問題を何ら解決するものではなかったということ、逆に言えば、「政治以前の改革」を行わなければ「政治」が何も動かないほど、日本の「政治」が疲弊しきっていた、ということも言いうるのである。
 もしこのような問題意識があるとしたならば、実は小選挙区か比例代表かという問題は二次的な重要性を持つに過ぎない。まず「政治外」のレベルから「政治」のレベルへと中選挙区の廃止によって移行することが先決であり、その上ではじめて小選挙区か比例代表かという「政治」問題に取り組むことができるのである 。とするならば、例えば、「政治改革」が政権交代可能な二大政党制というイギリス・モデルを意図しながらそれを産み出すことに失敗した、というタイプの批判は的外れと言わざるを得ない。
・・・・・・(後略)・・・・・・