講義シラバス


平成15年度立正大学政治学原論T・U講義シラバス

*旧カリキュラムで「政治学原論」を受講する学生もこのシラバスに準じます。
ただし、成績評価に違いがあり、
*旧カリキュラムで受講する学生は前後期2回試験を受けてまとめて4単位(通年科目)
*新カリキュラムで受講する学生は前後期2回試験を受けて別々に2*2単位(半期科目2つ)
*となります。
詳しくは4月のガイダンス時に配布される冊子で確認して下さい。


政治学原論T

・この講義の狙い・諸注意
この講義では、現代政治学の中心的思想である
自由民主主義の思想と制度について検討します。
自由民主主義の主要概念、成立過程、制度設計について、
比較政治的観点を導入しながら解説していく予定です。
歴史学・哲学・文学なども素材として扱うことがありますので、
広範な興味関心を持った学生の皆さんの聴講を期待します。

・教科書
講義は特に特定の教科書に沿って進めるということはしません。
とりあえず何か教科書を、という方には、
加茂利男他著『現代政治学』有斐閣アルマをお勧めしますが、
その他に自分の好みの教科書を使ってもかまいません。

・参考書
佐々木毅『政治学講義』東京大学出版会。
福田有広・谷口将紀編『デモクラシーの政治学』東京大学出版会
他、ホームページを参照してください。
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3666

・指定図書
早川誠『政治の隘路』創文社
押村高他『アクセス政治哲学』日本経済評論社(近刊)
川崎修他『現代政治理論』有斐閣アルマ(近刊)

・成績評価
期末試験

・前期科目

・授業計画

1.開講 政治学入門
六法全書がある法学と違い、政治学が扱う「政治」の内容ははっきりしません。
政治学のルーツであるギリシア、現代政治学の中心であるアメリカ合衆国の議論を参照しつつ、
基本的な考え方を学びます。
キーワード:自由、権力、公共性

2.政治権力をどう見るか
政治を定義する際に、権力を中心に置くことが現代では一般的です。
しかし、権力にも様々な形があり、
むき出しの権力は逆に強い反発を受けるという結果を招くこともあります。
キーワード:ミランダ、クレデンダ、正統性

3.現代の国家1――国家の必要性
現代政治の一つの特徴は、巨大化した国家です。
しかし、国家を必要としない政治の可能性も、否定されたわけではありません。
国家がなぜ必要か、大規模国家が持つ意味は何か、を考えていきます。
キーワード:主権、夜警国家、福祉国家

4.現代の国家2――国家の役割と国家の将来
現代国家の役割は増大していますが、
それゆえに暴走を抑止することも重要になっています。
また、国家が将来どのような形を取っていくのかも検討します。
キーワード:ナショナリズム、公共財、グローバリゼーション

5.民主主義
民主主義は現代政治の、そして現代日本政治の基本となる考え方です。
しかし、民主主義が定着するまでには、長い苦闘の歴史がありました。
その歴史と、現代民主主義の特徴を考察します。
キーワード:平等、社会契約、大衆民主主義

6.自由主義
民主主義と並んで、現代政治を支えるもう一つの柱が自由主義です。
自由主義は、個人の自由で自発的な活動を尊重します。
その歴史的成立過程、現代政治における意義を考察していきます。
キーワード:少数派の尊重、法の支配、立憲主義

7.代表1――代表の意味
全員参加の直接民主制と異なり、現代国家は選挙による間接民主制です。
しかし、「代表」による政治をどうして「民主主義」と呼ぶことができるのでしょうか。
キーワード:委任代表、国民代表、リーダーシップ

8.代表2――代表の決め方
間接民主制でも選挙の方法は様々です。
そして、選挙制度の良し悪しは、
どのような政治を求めるのかという構想と密接に関連しています。
キーワード:小選挙区制、死票、比例代表制

9.投票行動
選挙制度を作ればそれで間接民主制が完成するというわけではありません。
制度を使うのは人間であり、投票に行く人々の行動様式によって、
選挙制度の働きも大きく変わってきます。
キーワード:政治的無関心、無党派層、争点投票

10.立法府と行政府
議会は国民の代表者によって立法権が行使される場であり、政治の主舞台です。
しかし、大規模化した国家の中で行政権の役割も増大しています。
この点で、現代の立法府と行政府の関係は複雑なものとなっています。
キーワード:権力分立、議院内閣制、大統領制


政治学原論U

・この講義の狙い・諸注意
この講義では、政治学原論Tで検討した自由民主主義の思想的・制度的特徴を前提に、
現代日本政治・国際政治についての考察を行います。
現代日本政治については、特に政党・政党システムの観点から、日本政治の特質を議論します。
国際政治については、主権国家の変容の中で、今後の国際関係がどのように編成されていくのか、
いくつかの見通しを紹介します。
最終回には、政治学原論T・政治学原論Uを通じて、政治の全体像を考察する予定です。

・教科書
政治学原論Tに準じます。

・参考書
政治学原論Tに準じます。

・指定図書
川人貞史他著『現代の政党と選挙』有斐閣
村松岐夫他『日本の政治〔第2版〕』有斐閣
S.ハンチントン『文明の衝突』集英社

・成績評価
期末試験

・後期科目

授業計画

1.政党と利益集団
現代政治では集団の役割が大きくなっています。
議会内では、政党が中心的な集団です。
そして議会外では、政党以外の集団、大企業や利益団体も大きな政治力を持っています。
キーワード:多元主義、多極共存型民主主義、コーポラティズム

2.政党システムと現代政党
政党を見る視角として、一つ一つの政党ではなく、
複数の政党がどのような関係を持つかという視点から分析するというものがあります。
この視点からは、現代政党政治が特殊な形態をとっていることが明らかになります。
キーワード:政党システム論、一党優位制、穏健多党制

3.現代日本の政党システム
現代の日本政治は、政党システムから分析すると、非常に特徴的な存在であることがわかります。
戦後日本の政党システムを中心に、その特徴と評価を検討します。
キーワード:55年体制、族議員、派閥

4.日本政治の改革過程
1990年代は、日本政治が大きく変化した時代でした。
この時期に問題となった事例を素材にして、改革が何を目指したのか、
そして何が達成できたのかを検討します。
キーワード:政治とカネ、選挙制度改革、連立政権

5.マス・コミの威力
マス・コミは「第四の権力」と呼ばれるほど強力です。
報道で政治生命を失う政治家さえいます。
ここには、民主主義の成熟と、逆に民主主義の悪影響の双方を見ることが出来ます。
キーワード:世論、ステレオタイプ、アナウンスメント効果

6.政治と文化
人間には、政治とは関係ないプライベートな世界があるように見えます。
しかし、家族や恋愛も決して政治と無関係ではないのです。
キーワード:フェミニズム、多文化主義、ポスト・モダニズム

7.国際政治の考え方
国際政治は生の権力のぶつかり合いといわれてきましたが、
現実に砲弾が飛び交う戦争がある一方、情報や技術を通じた国際関係も重要です。
キーワード:リアリズム、理想主義、ソフト・パワー

8.戦争と平和
国際政治のもっとも華々しく、そしてもっとも痛ましい現実が、戦争です。
戦争の歴史とプロセスを見ながら、将来の予測と、戦争回避への道を検討します。
キーワード:世界システム、覇権循環論、集団安全保障

9.国際関係の将来
20世紀に入ってからの世界では、民主主義国家が大勢を占めるようになってきました。
しかし、それは必ずしも安定した国際関係を意味していません。
それがなぜなのか、近年の論争を参照しながら検討します。
キーワード:歴史の終焉、文明の衝突、コスモポリタン・デモクラシー

10.「政治」をどう見るのか
政治は、私達がつくるものです。
しかし同時に、私たちは政治によってつくられてもいます。
まったく逆の意味を持つ「政治」を現代にどう把握したらいいのか。
それまでに学んだ材料を使って考えています。
キーワード:政治工学、政治参加、世代間責任