20世紀政治学の惑い(創文社『創文』2001年11月))
 ――往復書簡・早川誠著『政治の隘路』をめぐって――
                               早川誠(立正大学法学部専任講師)

・・・・・・(前略)・・・・・・)
内山さんは、本書の基底となっている問題意識が、「多元主義論の『政治における統合の役割を忘却させる』傾向に対する批判」にあるとまとめられています。しかし実はもう1つの軸があって、それは、こうした忘却がある意味で多元主義論の導く論理的必然なのではないか、という疑念でした。あるいは、多元主義論と自由民主主義には密接な結びつきがあるという本書の前提をふまえるならば、忘却は自由民主主義の必然の帰結、ということでもあるのかもしれません。序章にも書いたとおり、本書を時間軸に沿って構成したのは、多元主義論の論理展開が、少なくとも1つの道筋において、統合の破壊に結びつくことを指摘したかったからです。その意味では、本書の内容と本書の構成とは、まったく正反対の主張として成立するように執筆されています。序において「悲劇」という言葉を使ったのはこのためです。ある議論に対して批判をしながら、それが論理的必然であると言っているわけですから。そして、もしこうした私の見通しが正しいとするならば、今必要とされているのは何か唯一の正しい政治学の探究と言ったことではなく、分野横断的な、総合的な政治学への取り組みであるということになるのではないでしょうか。
・・・・・・(後略)・・・・・・