3.民主主義は万能なのか?

A.アクセルとしての民主主義

 自由にも色々な自由があって、権力にも様々な側面がある。となると、一体私たちはどんな自由、どんな権力を、政治の中で作り上げていくべきなのでしょうか。そう言われても、あまりに漠然としていて、もうここで政治なんて放り出してしまいたい!と思う人もいるかもしれません。でも、現代では大まかに言って2つの基本的な考え方を頭に入れておけば、大体の方向性を決めることができます。1つは「自由主義」、そしてもう1つが「民主主義」という考え方です。

 このうち、私たちに馴染み深いのは民主主義の方でしょう。小学校以来ずっと、私たちは日本が「民主主義」の国だ、と習ってきました。では、その「民主主義」とは一体何なのでしょうか。できるだけ簡単にまとめるならば、それは「集団に加わっている人たちが、できるだけみんなで協力して集団を動かしていくこと」と言っていいと思います。つまり、集団の中の誰か特別に偉い人が物事を決めていくのではなく、みんなでやっていこう、という考え方が民主主義ということなのです。これが現代政治のアクセル部分。

 そうすると、いくつか重要なアイデアがここから生まれてくるのがわかりますか?例えば「平等」。偉い人はいないのだからみんな同じ、というわけです。民主主義の世の中では、平等を破る差別は許されないわけですね。それから「参加」。みんなでやるからには、サボってはダメです。投票に行きましょう!という呼びかけがあるのは、民主主義だからなんですね。

 でも、「あれ?」と思った人います?「みんなで、って言うけれど、実際には国会議員とか役人とかが政治をやっていて、私たちの言うことなんか聞いてもらえないよ」って考える人もいるかもしれません。実は、民主主義はさらに2つに分けて考えることができます。人数が少ない集団ならみんな集まって物事を決めることができるので、これを「直接民主主義」と言います。ところが、国みたいに大きな集団だといくら何でも全員集まるのって無理ですよね。だから、選ばれた人たちで政治をやってもらって、それ以外の人は政治家を選ぶのに専念する。これを、「間接民主主義」とか「代議制民主主義」って言います。

 もっとも、こうして書くと、集団の人数さえ少なければ間接民主主義より直接民主主義の方がいいというように感じられるかもしれませんが、そうでもありません。代議制民主主義での政治家はいわば「プロ」。現代の政治は難しい問題が多いですから、プロに任せる方が良いという場合も考えられるのです。

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