2.いろいろな自由といろいろな権力

B.権力はそんなに悪いもの?

 「自由」という問題の裏側には、いつも「権力」の問題があります。偉い権力者によって自分の好きなことを禁止されてしまう(親に「ゲームばっかりしていないで勉強しなさい!」と怒られ、ゲーム機を隠されてしまったりとか)、つまり自由が奪われるということもありますよね。それから、もし権力者がとても善い人で、みんなの願いをかなえてくれるならば、権力によって自由が実現されるというようなこともあるのかもしれません。

 一般的に言えば、私たちは普通、「権力」という言葉には嫌なイメージを持っています。押さえつけられ、禁止され、苦しめられるというイメージ。「禁止の権力」ですね。権力というのは、誰かある人(Aさんにしましょう)が他の人(Bさんでいいですね)に対してふるうもの。そして、言うことを聞かされるBさんは「自由」を奪われAさんに従うしかない。これでは、悪いイメージも当然です。

 さらに言えば、ここには少なくともAさんとBさんという複数の人間がいるわけですから、「政治」が成り立ちそうですね。ということは、「権力」=「悪いイメージ」に続けて、「権力」=「政治」という等式も成立しますから、3段論法で「権力」=「政治」=「悪いイメージ」ということになって、私たちは「政治」というものに基本的に悪いイメージを抱いているということになってしまいます。

 この「政治=悪」という考え方は一面では真実です。だって、高い税金をかけられて民衆が苦しめられる、やりたくもない戦争に借り出される、といった、悪い政治の実例は、歴史の中にはたくさんありますから。でも、一番最初の段落で書いたように、権力者が善い政治を行えば、あるいは、うまく制度・仕組みを作ることによって権力者が権力を善い政治のためだけにしか使えないようにすれば、権力も決して悪いものとばかりは言えません。「ルールを作る自由」のところでも見たように、政治によって私たちの生活が良くなっていく場合があることも事実なのですから。つまり、「改善の権力」とでも呼べるような権力もあり得ると考えられるのです。

 政治には、確かに権力の嫌な面もつきまとっています。でも、だからといって権力はいらないといってしまっては、集団の運営はできなくなってしまいます。私たちが考えなければならないのは、悪いところもある権力をどのようにコントロールして、良い面を発揮させるようにすればいいのか、ということなのです。

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