2007年度北大政治学夏期集中講義 論点メモ(同一内容のテキスト・ファイルはから)

 

注意点

1) このメモは、授業の構成や意図、強調点を明確にするために作られたものであり、ここから試験問題が出される、あるいはヒントが隠されている、という趣旨ではありません。

2) 前半(7月の集中講義)では、政治的な思考のスタイルに慣れていただくことに重点を置きました。この論点メモも、これを基にして皆さんに考えていただくこと、またその考えを自分なりに文章にまとめてもらうこと、を第一義に考えて作成されています。

3) 試験期間等との重複により出席できなかった皆さんの便宜を図る意味がありますが、他方で出席者の努力に報いるために、やや抑制的な論点の出し方をしてあります。自分なりに補充してノートやメモを作って下さい。

                            担当 早川誠

                            平成1984日 土曜日

第1章 政治

1) 「政治」は多義的でありうる。

 国家と社会という区別の他に、「ものの見方としての政治とは」で説明されている、私たち自身が「「政治的」としてみるかどうか」という「政治性の顕在化と隠蔽」の問題もある。

2) 「権力」にも肯定的側面がある。

 権力と「社会の可変性・作為性」という論点をおさえておく。

3) 政治と「真理」「正義」の関係は複雑である。

 「コラム 政治と真理」を読んで、「「正しい」政治」の問題点も理解しておく。

第2章  権力

1) 権力の分類論を理解する

 教科書に記述があるものに加えて、「権力の実体的概念と関係的概念」ということもおさえておきたい。わからない人は、政治学事典等で見ておくこと。

2) 「正統性」と「正義」を区別する。

 「正統性」と、内容を持った「正義」とが区別されうることに注意。第1章3)のポイントとも連動している。なお、正統性論については、メリアムの「ミランダとクレデンダ」の議論も、政治学事典等で調べておくとよい。

3) 「構造としての権力」のイメージを把握する。

 教科書の中で説明されているが、非主意主義的な権力観について、具体的なイメージを持てるように色々考えてみたい。授業では、照明の明るさや部屋の温度でも人間の行動が変化するという例を、イメージ形成の鍵として紹介した。

4) 「権力」と「自由」を複合的に理解する。

 「権力を持つことが自由につながる」ということを、自分なりに文章で説明できるようにしておくとよい。

第3章 リベラリズム

1) リベラリズムを「歴史的構築物」として理解する。

 リベラリズムは歴史上さまざまな思想となりえたため、理論的な定義が困難であることをまず前提として頭に入れておきたい。さもないと、執筆者が工夫していることが理解されないままになってしまう

2) リベラリズムの歴史的変遷を理解する。

 授業では、リベラリズムが「360度変化した」と語った。第3章を読んで、この意味を自分なりに説明できるようにしておきたい。

3) 現在の日本との関連性を意識しておく。

 第3章を参照しつつ、「自由放任」「市場重視」といってもさまざまなレベルがあり、また「福祉国家」・介入型のものにもさまざまなレベルがあることを確認しておこう。現在の日本では、時に議論が単純化されるきらいがある。

第4章 自由

1) 政治的な対立という文脈

 第3章が歴史を軸にリベラリズムを説明していたとすれば、第4章は「自由の諸概念を政治的理念の対立の文脈の中で描き出す」試みであることに注意しよう。共和主義と自由というテーマなどは、こうした執筆者の工夫が、もっともわかりやすくあらわれている部分であると思われる。

2) バーリンの議論の理解

 バーリンの二つの自由論の内容、特に積極的自由がどのように展開していったかをしっかり理解してほしい。本章理解の軸となる。

3) 全体主義の解釈

 第1章3)や第2章2)も参照しながら、一元論・多元論と全体主義の入り組んだ関係を説明できるようにしておくとよい。

4) 再び「自由」と「権力」の問題

 権力と自由は裏返しの概念であるという一面もあるので、両方の方向から理解をしておきたい。

第5章 平等

1) アメリカとヨーロッパの対比

 第3章と第4章の年表型の図を参照しながら、言葉の意味や背景の違いをおさえておく。そうすると、「自然主義的リベラリズム」ということの理解が容易になる。

2) ロールズの議論の理解

 ここが現代政治理論のもっとも中心的な論点となる。以下の用語などは、基礎知識としてきちんと説明できるようにしておくことが必要である。功利主義(批判)/原初状態/無知のヴェール/マキシミン・ルール/格差原理/

3) ロールズへの批判

 アファーマティブ・アクションへの具体的な対応なども想像しながら、リバタリアニズム、『正義論』、コミュニタリアニズムの違いを説明できるようにしておきたい。

なお、時間があれば、第6章のデモクラシーも読んでおくと、より広い視野が獲得できる。

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