後期試験答案を読んでの感想


試験全般について

・持ち込みを許可しているのですから、漢字は正しく書きましょう。
・読みやすい字で書くように心がけてください。
・成績評価については、平均的な配分になるように調整しています。
 つまり、優・良・可・不可の割合は厳しい先生と甘い先生の中間、平均的な割合になっています。
 (ちなみに、純粋に私自身の基準で採点すると、不可が5割を超えると思います)

政治学概論

前期に比較して、総体的にかなり答案の出来は良くなっていました。問題自体は難しかったかもしれませんが、その分手がかりがいろいろあるので、書くことには困らなかったかもしれません。
いろいろな書き方があると思いますが、一つ難しいだろうと思われるのは、日本政治の評価がかなり低い現時点で、そもそも生徒にアドバイスを与えることなど可能なのだろうか、という点です。これについては、少し広い視点から眺めて見る必要があるでしょう。講義でも度々述べましたが、政治という営みには「うまくいかないなぁ」ということが多々あります。むしろうまくいくことの方が少ないかもしれません。そうすると、その困難の中でどのように政治に働きかけていくのかという問題意識は、生徒と向き合う時でなくても常に心のどこかに抱えている必要があります。今回の試験では、この問題意識を、生徒へのアドバイスと言う具体的なケースでどのように表現するのか、ということを聞きたかったわけです。
解答としては、「がんばりなさい」という解答も、「やめておきなさい」という解答もありえます。ただいずれにしても、皆さんの中にこの問題意識を常に持っていていただきたい、という思いを、私は強く持っています。

政治学原論

一番わかりやすいところから話をはじめると、皆さんが現代日本政治に下した評価は、可が半分、不可が半分、優と良はごく少数という感じでした。ただ、この一見二分されているように見える結果は、見かけほど分かれているわけではありません。というのは、可の人と不可の人とは、ほぼ同じ理由づけをおこなっているケースが多かったからです。
双方共に、日本政治の腐敗、政治家への不信感を中心にして解答を組み立てていました。つまり、「現在の総理大臣に代表される、利己的で国民のことを考えない政治家のもとでは、良い成績をつけることは出来ない」というわけです。ではどこで違いが出てきたかというと、可をつけた人が、「それでも、今私達は何とか普通に、幸せに暮らしているのだから、不可というほどのこともない」、というように議論を進めたからです。
ここには、一つ大きな問題があります。例えば、政治家が悪いと書いているわけですから、「では、もっと成績を良くするためにどうしたらいいか」という点について、両者共に「政治家が良くなればよい」という解答が出てきます。具体的には、「石原東京都知事に総理大臣をやらせたい」という意見が多数見られました。しかし、石原都知事自体の資質は仮に置くとして、本当に政治家が良くなれば政治が良くなるのでしょうか?可の人がプラス点として挙げた現在の「そこそこなんとかなっている」日本の経済状態は、むしろ今では「腐敗」と考えられるような80年代以前の政治家の行動によって作り上げられてきたものです。つまり、「政治家が悪かったからこそ、我々はそこそこの生活を今でも出来る」という議論があり得ます。とするならば、そこから導かれる論理的帰結は、「政治家が良くなれば、私たちの生活は苦しくなる」ということになります。このどちらにいっても悪くなってしまうという難しい状況について、もう少し踏み込んで考えていただけると良かったな、と感じています。