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■CW略歴■
コリン・ウィルソン(Colin Wilson)は1931年6月26日にイギリスのレスターに生まれた。16歳で学校生活を離れる。『アウトサイダー』(1956)がゴランツ社から出版されると多くの好意的批評が与えられることになり、彼は一躍有名になった。彼は当時の若手作家たちと共に怒れる若者たち(angry young men) と呼ばれることになる。アウトサイダーとは社会的な孤立の中で自己形成を果たす人々のことである。その状況は、多くの天才的人物を苦しめることになるが、それと共に、飛躍的な人格的成長を果たしてきた。このテーマに関して、彼は文学、心理学、哲学などから分析を与えたのである。『アウトサイダー』と同時に、彼は小説『暗黒のまつり』(1960)を執筆しており、彼の思想を別の形式で表現している。アウトサイダーに関連した一連の著作(アウトサイダー・サークル)を出版してからは、楽観主義を建設することに勤めるようになった。それと平行して、彼は研究の範囲を殺人や神秘主義や超常現象にまで拡大して、『殺人百科』(1961)や『オカルト』(1971)などの著作を発表。その後も研究を深めている。さらに、バーナード・ショー、グルジェフ、カール・ユング、アレイスター・クロウリーなどの伝記も執筆。彼は幅広い観点から自身の哲学を追求している。現在はコーンウォール在住。また、彼は数回来日しており、また、日本で数多くの著作が翻訳されている。『性のアウトサイダー』(1988)では、三島由紀夫なども論じている。主要著作には、『殺人百科』(1961)、『オカルト』(1971)、『至高体験』(1972)、『小説のために』(1975)、『右脳の冒険』 (1983)などがある。
★このホームページは、コリン・ウィルソン愛好者やその予備軍の人々のために生まれました。CWに関する私の知識から始まり、そこから、さまざまな情報を収集し、漸進的に修正を加えながら作られていきます。CWの著作が更に邦訳され、解説書が増えていくにつれて、内容もより濃いものへと進化していくことでしょう。皆さんの書き込みもお待ちしています。(返事が遅れる場合がありますが、お許しください。)
彼はイギリスの思想家で、実存主義、心理学、文芸批評だけではなく、連続殺人、オカルトなど広範な問題を取り扱っています。日本の渋澤龍彦や荒俣宏のように、さまざまな謎を真摯に追求していることに、好感が持てます。『右脳の冒険』がお勧めです。
まだ彼の著作を読んだことがない人には
★アウトサイダー列伝★
ウィルソンの処女作『アウトサイダー』には、さまざまな文学者・思想家・芸術家が取り上げられています。その中から、今回はヘルマン・ヘッセに関する論評を最初に扱ってみます。ウィルソンのヘッセ評価は影響力を持っており、ウィルソンの紹介を通じてヘッセを知るようになった読者も多いようです。(今回はヘッセ項目の前半部分。)
第二に掲載するのは、バーナード・ショー。ウィルソンは彼の思想を高く評価し、詳しい評伝まで書いている。代表作の一つは『人と超人』。
第三に、アンリ・バルビュス。『アウトサイダー』といえばバルビュスといった連想をしてしまうほど、冒頭での引用はアウトサイダー問題を的確に表現しています。しかし、彼の本は現在のところあまり手に入りません。岩波文庫の『地獄』は今再版されているのだろうか……?チョット心配です。
ちなみに『アウトサイダー』と題する作品は本当に沢山あります。アルベール・カミュの『異邦人』の英訳は『アウトサイダー』だし、H・P・ラブクラフトの短編にも『アウトサイダー』という作品があります。有名なところでは、コッポラの映画の『アウトサイダー』(原作はヒントン)。他にも、講談社学術文庫にはハンス・マイアーの『アウトサイダー』(だが、この本の中にはウィルソンの名前は出てこない。むしろヨーロッパ文明論である)。歴史書には『中世のアウトサイダー』という翻訳書がありますが、これは訳者のつけた日本独自のタイトルのようです。それに、河上徹太郎の『日本のアウトサイダー』も見落としてはならないでしょう。漫画でも『アウトサイダー東宗介』というのがあるようです。
ちなみに、ウィルソンが「アウトサイダー」という言葉を見つけたのは、バーナード・ショーの著作の中だったらしい。ショーの重要性はあまり認められていない状況にあるようですが、ウィルソンの思想にとっても極めて強い影響を与えています。
★ウィルソンのオカルト思想の概要★ →Occult
『エイリアンの夜明け』では、さらに神秘主義への接近を示しているウィルソン。彼のオカルト思想の見解の変遷を『アウトサイダー』から『超オカルト』まで辿ってみました。彼は初期の懐疑的な態度を次第に緩和させていき、段階的にオカルト現象への理解を深めています。
ウィルソンのオカルト本の魅力は、なんと言っても日本でまだ紹介されていないさまざまな神秘主義者についてかなり網羅的に言及があることです。たとえば、『ポルターガイスト』以降は、神霊研究者ガイ・プレイフェアの見解に傾倒しているようなのですが、この人についての紹介は他では見た事が有りません(もし誰か紹介していたら、教えてください)。この他にも、レスブリッジ、アラン・カルデックなど未知の研究者がいろいろと出てきます。
ちなみに、『アトランティスの遺産』には、グラハム・ハンコックの『神々の指紋』の原稿が出版前にウィルソンのもとに送られてきた、と書かれてあります。一応、と思って、確認してみたところ、『神々の指紋』の邦訳の「謝辞」の部分には、「コリン・ウィルソン」という名前が出てくる。だが、チョット疑問なのは「米国のコリン・ウィルソン」となっていることだ。これはハンコックの誤解か、翻訳上の問題なのか?洋書を持っている人がいたら、(細かいことですが)確認してみてください(ついでに、教えてください)。
『アウトサイダー』以来、縦横無尽にさまざまな文献を駆使して、膨大な量の執筆の結果として築かれてきたCWの著作群。年に三冊程度は余裕で執筆しているのだから、本当に驚きでしかない。中には、『オカルト』や『ミステリーズ』、『殺人百科』シリーズなど、かなり分厚い本も含まれています。
ウィルソンの文献目録として、英語版と邦訳書の二種類を揃えました(多少の不備アリ)。 河出文庫に「コリン・ウィルソンコレクション」が出来たので、絶版の本がいくつか手入れ安くなりました。それでも、昔の邦訳書は神田の古書街や全国の古書店で探すしかありません。結構の部数が出た本も多いので、安く手に入るし、探しがいがあります。あるいは、最近は検索も便利になってきたので、市民図書館で探してみるのも一つの方法です。古い本でも蔵書になっている可能性があります。その図書館になくても、提携している図書館から取り寄せられることもあります。
一度は『バーナード・ショー』が8000円で売られていたのを見たことがあります。……これは高すぎたので、買いませんでした。
(2001. 12. 1.) さらに、ウィルソンの英文の研究書の一部を追加します。日本ではウィルソンの読者は多いが、まだ、日本人の研究書が存在していません。ハワード・ドッサーの研究書の邦訳だけが唯一の日本語のCW研究書ということになります。
■Wilson's Movie■ Space Vampire / Life Force
コリン・ウィルソンは映画に関心を持っており、映画の脚本に途中まで参加したりしたことはあるようですが、私の知る限り彼が直接映画に参加したことはないようです(もし違っていたら、情報を下さい)。(映画監督のケン・ラッセルに関する本なんかも書いています。まさにウィルソン好みという感じの監督ですね。)ウィルソンの映画といえば、唯一彼の小説が原作となって映画化された『スペース・バンパイア』があります。この映画はいろいろと問題を孕んでいたようで、ウィルソン自身がこの映画の試写会に行ったときのエピソードをどこかで語っていました。しかしいろいろと掲示板などを見ていると、映画『スペース・バンパイア』には結構ファンがいるようで、ホラー好きの人はぜひ見てみるべきでしょう。ウィルソンは原作で真面目に思想的SFを目指しているけど、B級ホラーとして映画化されれば、もちろん思想は剥ぎ取られます。
でも、いざウィルソンの小説を映画化しようと思っても、『賢者の石』や『暗黒のまつり』はあまり映画化には適さないような気がします。でも、連続殺人を扱ったのはもう少し現代的に焼直したら、映画化可能かも。『ガラスの檻』はトマス・ハリスの『レッド・ドラゴン』の先駆的作品で、ウィリアム・ブレイクの専門家が連続殺人事件を解決していく、というものなので、なかなかいいかもしれません。ウィルソンの殺人物はハリスの分析の元になっているロバート・K・レスラーの考えとはずれがあるので、違った方向性を示すことになるでしょう。ちなみに、『羊たちの沈黙』に関するCWのコメントは『連続殺人の心理』の中にあります。
ところで、スピルバーグの映画のクレジットをよく見ていると、その中に「Colin Wilson」という名前が出てくるのに数年前に気づいたのですが、これはどうやら、小説家コリン・ウィルソンとは別人のようで、クリスティーナ・リッチ主演の『キャスパー』の監督です。作風からしても全く違いますね。
哲学者としてのウィルソンをどのように評価するのか?これはかなり困難な問題です。「アウトサイダー・サークル」では、ウィルソンはサルトルの実存主義を批判し、フッサールの現象学やホワイトヘッドの思想からウィルソンは独自の可能性を切り開こうと苦闘しています。彼の関心が基本的に哲学的なものであることは認めざるを得ないでしょう。しかし、その後、マスローを発見してから、彼はむしろ心理学的なアプローチで問題を追求していきました。彼は実存的な問題を心理学的に追求してきた、というのが妥当な評価というところでしょう。
彼の立場を哲学的に構築するには、かなりの努力が必要です。「X機能」、「セント・ネオット・マージン」、「ロボット」など、彼独自の概念を作り出していますが、これを認識論や現象学にどのように移植されるのか、われわれは考えなくてはならないでしょう。また、文学作品や心理学的な事例、あるいは犯罪の記録などを手掛かりに、彼は自分の思想を表現しているため、フッサール現象学やサルトルの哲学と比較するまでには、大きな間隙を埋めなくてはなりません。
しかし、彼の問題意識の重要性は哲学的にも無視できない、という強い印象があるのも事実です。どーすればいいのか、これはウィルソンがわれわれに与えてくれる課題の一つです。
★ジェラード・ソーム三部作を紹介 三部作概要ジェラード・ソーム三部作はコリン・ウィルソンの代表的な小説で、『暗黒のまつり』、『形而上学者の性の日記』、『迷宮の神』の三作品から構成されています。この作品群では、主人公ジェラード・ソームの思索と日常生活の絡まりあった日々が描かれてきました。ソームはウィルソンの分身で、彼自身の性的体験や思想がふんだんに盛り込まれた小説になっています。ウィルソンの思想を実現する手掛かりが、ここには隠されているのかもしれません。
■『暗黒のまつり』速読 Ritual in the Darkジェラード・ソーム三部作の第一作『暗黒のまつり』は過去に新潮社から出版されてました。新潮社版『暗黒のまつり』は二段組で400頁という長編小説。現在では古書店でも入手困難になっているため、『暗黒のまつり』の未読者はこの「内容紹介」を簡略版『暗黒のまつり』として読むことができます。また、すでに読み終えた人にとっても、『暗黒のまつり』の内容を思い出すための手段になることでしょう。この小説は、二部構成で、第一部は全8章、第二部は全10章からなっています。
第二回目の掲載で、第一部の第三章を追加しました。ソームは自転車でロンドンの街を走り、オースティンの紹介したカザラス神父に出会いに行っています。この神父の表情の描写にウィルソンは凝っていて、高貴な人物だが、極めて奇怪な顔を描いています。ホワイトチャペル連続殺人事件の情報をソームは集め始めて、真相に向かって動き出しました。
★ウィルソンの分身ソームの世界での新聞記事、著作CWの『形而上学者の性の日記』はあたかも現実の出来事であるかのように、カニンガム・スキャンダルに関する新聞記事が書かれたことを触れていたり、ソームが『自己欺瞞の方法と技術』という著作を執筆していることが言及されていたりしています。こうしたウィルソンのアイデアをもう少し具体的に作り出してみたらどうなるのだろう……、ということから、『性の日記』に関する報道やソーム自身の著作などを虚構してみました。CWがソーム三部作で作り出した仮想的な世界について、より詳細な情報を与えようとしています。そのため、CWの情報を元にしてはいるものの、このHPの筆者ibidの創作として作り出されたものであることを注記しておきます。また、ソーム三部作をこれから読もうという人は読んだあとで見た方がいいかもしれません。
ソームの世界へようこそ
(ヒーローの不在を嘆いた)『敗北の時代』(1959)の読者からウィルソン宛てに一通の手紙が送られてきた。その送り主はアメリカの著名な心理学者エイブラハム・マスローからのものだった。これをきっかけにウィルソンはマスローの著書を読むようになり、二人の間で書簡が交わされるようになった。
この出来事は「アウトサイダー・サークル」以降のウィルソンの方向性を決定づける重要な意味を持つことになった。彼はアウトサイダーが陥る精神的危機から脱出するための試案を練っていたが、十分に満足の行く解決策を与えることができないでいたのである。マスローはそれまでの病理学的な心理学から脱却して、「健康人の心理学」の建設を目指していた。
ウィルソンの中期の代表的思想書『至高体験』は、このマスローとの出会いの驚きから生まれた。この著作では、マスローだけではなく、フロイト、アドラー、ユング、フランクル、ビンスワンガーなどさまざまな心理学者の立場にまで扱っている。これをきっかけに、その後も、彼はライヒやユングの評伝を執筆している。
ちなみに、CWのユングに対する評価はかなり厳しい。能動的想像力など、人間精神の積極的な働きをユングは論じており、これに対してもっと高く評価してもいいのではないかと思っている。だが、CWはどうやらユング流の文学的で宗教的な神秘主義というものに共感できないようなのだ。CWのオカルティズムに対するアプローチはもっと超心理学のような科学的なものを求める傾向があり、ユングの『ヨブへの答え』や『アイオーン』のようなスタイルにどうも馴染めないらしい。
中村保男を筆頭にさまざまな人々によってウィルソンの著作は翻訳されてきました。荒地派の詩人の田村隆一、『女ざかり』で有名な小説家の丸谷才一、評論家の四方田犬彦、それに『帝都物語』の荒俣宏などもいます。「ウィルソン」か「ウィルスン」なのか、に始まり、peak experienceをどう訳するのか、などなど、それぞれの翻訳のスタイルや訳語の違いもあるし、ひどい訳も中には存在するので、意欲のある人は比較してみてもいいでしょう。
現在、11人の翻訳者を取り上げています。
ウィルソンの著作の翻訳者たち
CWの新刊は『アトランティス・ブループリント』。『アトランティスの遺産』の続編で、共著者のランド・フレマスの「ブループリント理論」を紹介した作品です。プラトンが『ティマイオス』と『クリティアス』で語った謎の国家アトランティス。そこにはどんな謎が隠されているのか?地球の地殻が大陸を載せたままで、卵の殻のようにずれる仮説を提唱したチャールズ・ハプグッド。世界各地の聖地が地殻変動以前に同じ緯度に位置しているというフレマスの「プループリント理論」。
更にこの関連から、レンヌ・ル・シャトーの教会の謎についても新たな展開が行われることになります。『世界不思議百科』からCWに興味を持った読者には、特にお勧めの一冊です。
◆それにしても、どうしてCWはグラハム・ハンコックなどのかなり「いかがわしい」研究に参加したのだろうか?と強い反発を抱く人たちもいます。初期の「アウトサイダー」サークルの哲学的探求を知っている人にとっては大きな失望でしょう。でも、『精神寄生体』や『賢者の石』で、主人公達が格闘していた古代の謎のことを思い出してみれば、CWが過去の小説内での試みを実践に移したに過ぎないことなのです。
■今後の掲載予定■
★『スクールガール殺人事件』と警察小説:
ウィルソンが取り組んだ本格警察小説。10代と思われる少女の遺体が発見された。主人公の主任警視ソールトフリートは事件を追及していくうちに、背後にオカルト愛好者たちの動きを知るようになる。本書のまえがきで、彼はJ・J・マリックの「ギデオン警視シリーズ」の影響を示唆しており、オカルト色よりも警察捜査をスピーディに描こうとしている。内容紹介と主要登場人物表を準備中
★音楽家クリストファー・バトラー連作集:
『ガラスの檻』では主人公リードが17歳の少女と結婚するために、ブレイク愛好者の連続殺人鬼を探し出しにロンドンへ乗り込む。この話では脇役だった現代音楽家バトラーは、スパイ小説『黒い部屋』では主人公になり、東欧でのスパイ活動に巻き込まれる。ブレイクやホフマンなどの文学的関心を盛り込んだこの二作品を紹介する。
★『迷宮の神』を読む:
18世紀から19世紀にかけて、性の問題から人間の心理の可能性を追求したエズマンド・ダンリイ。ジェラード・ソームは出版社からダンリイの伝記を親筆するように依頼を受けた。時代に埋もれてしまったダンリイだが、彼の日記・書簡・著作を読み進めるうちに、ソームはダンリイの意識にのめり込むようになっていった。ダンリイの時代の出来事、ルソーやボズウェルといった実在の人物から『迷宮の神』のエロティックな精神を解き明かす。
★『スパイダー・ワールド』昆虫図鑑:
恐るべき人類の未来。死蜘蛛の支配するデルタの地から、蜘蛛の王は人間を撲滅するために気球蜘蛛に調査をさせていた。少年ナイアルは蜘蛛の秘密と人類の置かれた状況を次第に理解するようになり、そして冒険の世界に乗り出していった。物語に登場するおびただしい昆虫たちの群れ。その生態を分類していく予定です。
『スパイダー・ワールド』はCWのファンタジー巨編。2001年3月に新書版で第一巻が初の邦訳。訳者は小森健太朗氏です。
★「アウトサイダー」診断:
CWファンはやはりアウトサイダーなのか?集団に馴染めないのが宿命なのか?それとも、単なる変わり物好きに過ぎないのか?これはコリン・ウィルソンの愛読者の誰もが一度は悩まざるを得ない問題。あなたは自分で解決の路を見つけただろうか?−−この問題を解消するために注目されているのが、CWの思想を駆使して生まれたアウトサイダー診断法。質問形式であなたのアウトサイダー度数を厳密に測定。(あくまで計画)
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