デモクラシー
 1  デモクラシーと民主主義の違い
 デモクラシー(democracy)という言葉は、ギリシア語の「ディモクラティ(demokrati)」から出ている。ディモス(demos)はピープル、クラティア(Kratia)はガバメント、政治制度をいう。日本ではこのデモクラシーを民主主義と訳しているが、「主義」は本来「イズム(ism)」でなければならない。もしデモクライズムあるいはデモクラティズムならば民主主義となるが、デモクラシーは民主政治、あるいは民主制、民主政治制度とすべきである。この「制度」とすべきものを「主義」と誤訳してしまったところに戦後の日本のデモクラシーの大きな落とし穴があるように思うのである。(「国会は無駄づかい」P101より)

Democracy → demos kratia
demos = people
kratia = sway,institution(governing)
民主制(政)、政治制度   ※民主主義は誤訳

例)
Socialism<ism>  社会主義   ⇔   Autocracy<cracy> 独裁政治・専制
Liberalism<ism>  自由主義       Aristocracy<cracy> 貴族政治

 「デモクラシーは、統治形態の概念である。政策決定作成のためのテクニックである。決して政策決定の内容の概念でもないし、社会構造に影響を及ぼす方法の概念でもない。デモクラシーは、異なった政治的信念に共通しているという意味において、一種の超イデオロギーとして記述できよう」(ハーバート・ティングステン『デモクラシーの諸問題』人間の科学社)。


 スウェーデンの著名な社会学者であり、新聞編集者でもあるハーバート・ティングステン教授の、このデモクラシーの概念に私は賛成である。わが国では、言葉の上で、「デモクラティズム」ではない「デモクラシー」が、時によって、民主主義という「イズム」にとられている過ちを第一に指摘したい。現実に、北欧諸国、中欧諸国、南欧諸国、そしてイギリスおよびアメリカ合衆国では、日本でいわれているような民主主義というイズムとか、価値体系としてのデモクラシーといったものは、少なくとも現在は存在していないという事実を、明確に頭にたたき込んでおく必要がある。つまり、日本人が、戦後の日本人が、民主主義!民主主義!とお題目のごとくに唱えているモノの中味は、日本だけに通用する一種の"風土理念"であって、いわゆるデモクラシーの先進諸国で使われているものの中味とはまったく異なっているという事実である。(「政治風土論」P31より)

                                                   
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