育苗・繁殖館


クレマチスは成木の開花鉢を購入して楽しむのもよいのですが、鉢物は出回っている品種も少ないなど、選択範囲が限られます。しかし苗木の場合は、かなりの品種を手に入れることがでるので、自分が気に入ったものを色々な仕立て方で育て、開花を楽しむことができます。
また、手持ちの株を増やす場合や他の方が育てられている品種を分けて頂く場合、意外と簡単な繁殖方法として、挿し木やつる伏せが多く用いられます。他には実生による方法で、親とは異なる花色や形状を作り出せることもあり楽しみも増えますが、発芽に1年以上かかるため開花をみるまで何年か必要です。




苗木の手に入れ方(購入・選び方)

2月下旬になると寒さもやわらぎだし、園芸店を覗いてみると、クレマチスの苗木が小さなポットにカラフルな写真のラベルがつけられ、販売され始めます。この苗木は5月位まで販売されて、種類も多くあります。苗から育てたい方はこれを買い求めて育てるか、園芸雑誌等に広告されている通信販売を利用すると良いでしょう。販売される苗木には、1年生苗と2年生苗があります。初めての場合は、2年生苗を購入するようにした方が無難です。購入時の苗木の選び方のポイントとして、旧枝があり、新芽が付いているもの、新梢が伸びている場合は、節間が狭く枝が太いもの、根がポットの底からはみ出して伸びているものなどを目安として選ぶようにします。細い枝や折れている枝、根が黒く張りがなかったり瘤ができているものは購入しないようにします。中には蕾を持っている苗木もありますが、1年目に花を咲かせてしまうと木が弱り成育に影響しますので避けるようにします。



苗木の植えかえ(ポット苗)

苗木の植えかえには、4〜5号長鉢に清潔な用土を用います。苗木に旧枝が2〜3節ある場合は1節位深植えにします。また根鉢は崩さずにそのまま植えかえた方が安全です。植えかえ後、数節伸びた時に株元1〜2節残して強剪定を行い、側枝となる新芽を出させます。この新芽が6〜7節伸びたら、その枝元2節位残して剪定をします。これを繰り返すことにより枝数が増え、株作りができてきます。尚、蕾がついた場合は、できるだけ早いうちに取り除くようにしないと苗木の負荷が大きくなり、丈夫な成木に早く仕立てることができなくなります。
庭植えで楽しみたい場合、苗木を直接地植えにすると枯れる危険性が高いので、2年位は鉢植えにして育成した後、地下ろしにします。







植えかえ前のポット苗 4号鉢へ植えかえた苗木




挿し木による繁殖

クレマチスは挿し木で容易にふやすことができます。花を楽しんだあとの剪定で切り取ったつるや、長く伸びた無駄なつるを利用すると多くの挿し穂を作ることができます。


挿し木の方法

挿し木の適期は、5〜8月です。挿し木に用いる部分は、今年伸びた新しい枝でしっかりしたものを2節単位で切り取り挿し穂とします。つる先や変形した部分、旧枝等は発根率が悪いので避けます。挿し穂は1節目の葉を落とし、1時間位水あげさせた後、バーミュキュライトやパーライトなど(軽すぎるときは、赤玉土を混ぜてもよい)の用土に挿し、水を十分に与えます。(挿し穂の切り口に発根促進剤をつけて挿すと効果があります)

挿し木後は、水を切らさぬようにし、1週間位は明るい日陰に置き様子をみます。もし、挿し木が倒れたり浮き上がることがある場合は、少量の赤玉土を上に加え、手で軽く押しておきます。その後は、風通しのよい日向で管理します。1ヵ月後からは、1000培液の液肥を水やり代わりに10日に1度の割合で施します。通常1ヵ月弱位で発根し、2〜3ヵ月後には鉢上げの時期となります。









最近では、土を使用せずに挿し木や種まきが手軽にできる「繁殖用成形培地」という便利なものが園芸店やホームセンタなどで販売されていますので、これらを利用するのもよいでしょう。


挿し木苗の鉢上げ方法

挿し木をして3ヵ月もすると十分に発根しているはずですので、3〜4号ポットに苗木としての鉢上げをします。挿し木苗を育苗箱から丁寧に取り出し、1苗ずつほぐし根の絡まりをとります。ポットに新しい用土を用いて、1節土中になるように植えつけます。植えつけ後は、十分に水を与え管理します。翌年の3月ころになったら、苗木の植えかえを行います。
8月以前に鉢上げした苗は、新しい枝が伸びてきますので10月位に2節残すように剪定すると、根が成長し株そのものが充実します。

8月初旬に挿し木をした苗の
10月鉢上げ時の発根状態。
太くしっかりとした根が十分に
伸びているので鉢上げ可能。
3号ポットに用土を入れ、培地
を付けたまま植付けた苗。













下記、割合などの混合土使用。
・赤玉土(中粒と小粒の混合):4
・バーミキュライト :2
・ピートモス:2
・乾燥牛糞:2

液体肥料の1000倍液を10日に
1度位の割合で施す。






つる伏せによる繁殖

つる伏せは、長く伸びたつるの途中を土中に埋めて発根させ、適期に親株から切り離し苗木を作ることができます。少数の苗木を簡単で、手間をかけずに作るのに向いています。


つる伏せの方法

5〜8月に、鉢植えや庭植えの地際より今年長く伸びたつるの途中を、とり木用に用意した鉢の土中に、5cmの深さで1〜2節埋めます。約3ヵ月後に発根しますが、そのまま1年ほど培養してから親株から切り離し苗木とします。

とり木用の鉢の用土
・赤玉土(中粒と小粒の混合):5
・バーミキュライト:3
・ピートモス:2

管理
・親株(鉢)と同じに水やりを行う。
・鉢は病害虫予防のため、直接地面に置かない。
・苗木となるつるは、とり木用の鉢に支柱をたて支える。






実生による繁殖

挿し木やつる伏せによる繁殖は、親株の特徴(性質)をそのままもった株をふやすことができましたが、実生(種から育てる)によると、親とは異なる特徴をもった花がでることがあります。これは、過去何代にもわたり異なる品種を交配して作り出された園芸種のためです。実生による繁殖は、他に無い品種を作り出す楽しみがあります。

交配種類には、

があります。
交配方法は、開花後4日位にめしべの柱頭が伸びながら外側へ開いてきたときが適期ですので、おしべの花粉をめしべの柱頭にやさしくこすりつけます。交配後、3〜4ヵ月位で果実が完熟し、茶褐色の種子がとれます。
種まきは、赤玉土(小粒):4、バーミキュライト:3、ピートモス:3の混合土を育苗鉢に入れ、種子が重ならないように間をおいてまくようにします。覆土として、バーミキュライト:5、ピートモス:5の混合土を2cmほどかぶせます。発芽まで1年以上かかりますのでそれまでは、風通しの良い日当たりで雨が防げる場所に置き管理します。(冬場は凍結しない場所)
発芽後、5cm以上に育ったら、3号ポットに新しい用土(種まき時の用土と同じ配合)で鉢上げします。
肥料は、10日に1度の割合で液肥の1000倍液を施します。


完熟した果実と種子 種子の拡大 育苗鉢に種子をまく 鉢上げした苗