栽培作業館



成育サイクル

クレマチスは、冬の間は休眠していますが、春の訪れと共に芽吹いて成育しだします。クレマチスはつる性植物ですが、朝顔のように、つる自身を周囲に巻付けて成長するのではなく、葉柄を絡ませて、株を支えながら成長します。開花は、早いものでは3月から4月にかけて蕾を膨らませ、4月下旬より始まります。四季咲き性の品種は、10月位まで何回か開花を楽しめます。一番花の開花時期によりグループ分けをした場合、4月中旬から5月上旬までを早咲き系品種(早生種)、5月下旬以降を遅咲き系品種(晩生種)、その中間で5月中旬から6月上旬位が中生系品種(中生種)となります。一般に早咲き系は、大輪のものが多く、あまり枝を伸ばさずに開花しますので、鉢植えにも向きます。遅咲き系は、今年の枝をかなり伸ばしてから開花し、中輪の花を多く咲かせるものが多いようです。クレマチスの大半の品種は落葉性のため、秋から葉が枯れ始め、冬になると枝だけになり、枯死したように見えますが株は生きています。冬の間は休眠しているだけなので春が近づくに従って節々にある芽が徐々にふくらみ、初春には芽吹いて成育しだします。また、休眠中の剪定は来春の開花にとり重要な 作業となりますので適切な方法で行なう必要があります。

2月〜3月 3月〜4月 4月〜5月 5月〜10月 11〜12月 1月〜2月


管理と作業の暦



クレマチスの特性





春から初夏にかけて一回だけ開花する一季咲きの性質を持つ品種と、晩秋まで何回か開花する四季咲きの品種があります。四季咲きの場合、花後の剪定しだいで次番花の開花が違ってきます。また、二番花以降は花数が少なく、サイズも小さくなります。

開花時期で系統分けした場合の品種



昨年伸びた枝の節々についた芽が少し伸び花が咲きます。大輪の花をつけるものが多く、一季咲きの品種もこの系統。[旧枝咲き]
代表的な品種:ミス・ベイツマン、ドクター・ラッペル、ラザースタン、ドーン、月宮殿、柿生



昨年伸びたつるは地ぎわ付近まで枯れこむ傾向があり、新芽が新に長く伸び(1〜2m)て枝の節々に中輪の花を多くつける。[新梢咲き]
代表的な品種:ルージュ・カージナル、レディ・ベティ・バルファー、ハグレイ・ハイブリット




早咲き系、遅咲き系の両方の性質を持っており、両者の間位まで新しくつるが伸びて咲く。[新・旧枝咲き]
代表的な品種:ザ・プレジデント、ラモナ、マリー・ボワスロ、ウイリアム・ケネット、夢殿、大和





鉢植え
日光を大変好む植物のため、1日の日照時間は数時間以上は必要ですが、真夏の直射日光や西日は避けます。また、多湿とならないよう、適度な風通しの良い場所で管理します。(成育適温は、摂氏15から25度位。日本の気候では、春から初夏にかけてと、秋が成育の盛んな季節で、高温多湿の梅雨時期や真夏は苦手です。)クレマチスは、気温の下がる冬期に休眠します。この休眠は、次期の成育にとり大切なものですので、冬の間は屋外の軒下等に置き、室内へは入れないようにします。また、病害虫(特にネマトーダ)の被害から守るため、鉢は直接地面に置かず鉢台や板の上などに置くようにします。

庭植え
一般に日当たりが良く、風通しの良い、水分の多い場所が適します。夏は、株の根元に直射日光が当たらないようにする工夫が必要です。鉢で楽しんだ後は、庭植えにすると水やりの手間が省け管理が容易になります。フェンスや垣根、ポール等に絡ませるとクレマチスの満開時、辺りを覆いつくす様な鮮やかさを楽しむことができます。


水の好きな植物ですので、一般に表面の土が乾いたら、たっぷりと与えますが排水が悪いと根腐れを起こしやすいので注意が必要です。冬の間は休眠していますが、一週に一度は、暖かい日の午前中に忘れずに与えるようにします。


冬期の植え替え時に、緩効性の固形肥料等を施します。成育期間中の4月から7月は、液肥(ハイポネックスの1000倍液)を週1回、真夏は2週に1回位の割合で、水やり代わり施すようにします。どちらかというと多肥を好みますが与えすぎると花色や形状が乱れますので適度に留めます。10月位から、来年の花芽が形成され始めますので、緩効性の固形肥料等を施します。




クレマチスの根は、3ミリ位の太く長い根を数多く伸ばします。鉢植えの場合、植え替えを行なわないと根が鉢の中でいっぱいになり成育障害をおこしますので、最低でも2年に一度は一回り大きい鉢に新しい用土で、つるが1〜2節土中に埋まるよう深植えにします。深植えにすると、土中の節から新芽が伸び、枝数が増え、株立ちがよくなります。また、根の整理は軽く解す程度にし、カットをしたり、傷つけたりしないよう植替え時には十分注意します。




腐植質に富み、保水力があり、水はけの良い土質を好みます。赤玉土や鹿沼土をベースとし、ピートモス、バーミキュライト、パーライト、腐葉土(完熟もの)、乾燥牛糞などを混ぜた混合土を使用します。土壌の酸度は、弱酸性が望ましい酸度のため、一般の草花よりやや多めに石灰を混ぜて使用します。

用土例 〔石灰:5号鉢で茶さじ1杯、緩効性の固形肥料:5号鉢で5グラム〕

例@ 赤玉土:5、ピートモス:2.5、バーミキュライト:2、乾燥牛糞:0.5
例A 赤玉土:6、ピートモス:4
例B 鹿沼土:4、バーミキュライト:3、ピートモス:3
例C 赤玉土:5、腐葉土:3、パーライト:2
例D 田土:3、バーミキュライト:3、乾燥牛糞:2、川砂:2


クレマチスの栽培で、良い花をたくさん咲かせようとする場合、大切な作業 として、「剪定」があります。この剪定方法は、品種によって異なります。誤った剪定を行なうと、花が咲かない場合もありえます。剪定の種類には、強・弱・任意の剪定があり、強剪定は、株全体の1/3だけを残して切り取ります。弱剪定は、枝の先端の部分1/3位を切り取る剪定です。任意剪定は、強・弱どちらの剪定方法でも間違いにはならない剪定方法です。
基本剪定... 品種により強、弱、任意の剪定を行います。
  • 早咲き系の品種は、昨年の枝に花芽を持った新枝が少し伸び開花しますので、弱剪定を行います。
  • 遅咲き系の品種は、新枝を長く伸ばして多くの花を咲かせるものが多いことと、冬の間に地際まで枯れ込む傾向があるので、強剪定を行います。
  • 中生系の品種は、強剪定と弱剪定の中間の剪定を行いますが、花数は少なくても大きな花を咲かせたい場合、強剪定をすると良いでしょう。このような意味では、任意剪定といえます。
開花調整の為の剪定... 品種による基本剪定ではなく、開花後の次番花を楽しむ為の剪定で、剪定の方法を変えることにより、次の花の開花時期を調整する目的で行います。通常、開花毎に、できるだけ早く花がらを1〜2節下で切り取るようにすると、約50日前後で次の花を見ることができます。これを秋まで繰返すことで、幾度か開花を楽しめます。また、枝毎に強弱をつけて剪定をおこなうと、其々、時期がずれて開花させることも可能です。真夏には株が弱るため、できるだけ花を咲かせないようにしましょう。


殖やし方には様々な方法がありまが、一般には、挿し木とつる伏せが多く用いられます。
  • 挿し木...今年伸びた新枝で充実した部分を2節単位で切り分け、バーミキュライトやパーライトなどの清潔な用土にさします。1ヶ月以内には発根しますので約2ヶ月後に鉢上げをします。
  • つる伏せ...今年地際から長く伸びた枝の途中を、用土を入れた別の鉢に2節位埋めます。1年位したら親株から切り離し独立した株にします。





発生しやすい病害虫は、立ち枯れ病、うどんこ病、赤さび病、ハダニ、ネマトーダ、ヨトウムシ、ナメクジなどです。成育中は、うどんこ病やさび病にはベンレート、ダイセンなどを、害虫にはスミチオン、マラソン剤などを予防と防除のため、20日に1回散布します。休眠中の冬期には、枝や地際に胞子や卵なで越冬していることがありますので、石灰硫黄合剤を月に1回の割合で散布するようにします。




マルチングは、冬期では12月末位いに、夏期は7月の梅雨明け後に行います。方法としては、庭植え、鉢植え共、株の根元に、ピートモス、バーミキュライト、わら、腐葉土などを厚さ2〜3cm位敷きつめます。マルチングは次の効果があります。
  • 冬期に実施すると、凍結を防ぎ防寒の役目をする。
  • 土中の温度上昇や乾燥を抑止する。
  • 1節土中に埋まることにより、土中からの発芽を誘因し、株立ちをよくする。
  • 雑草の発生を抑止する。
  • 根の露出を防ぎ、根を保護する。