2008 shelf 4


著者名 タイトル 出版社
80 堀江敏幸・編 記憶に残っていること 新潮クレストブックス
79 コニー・ウィリス 犬は勘定に入れません 早川書房
78 森見登美彦 美女と竹林 光文社
77 豊崎由美 正直書評。 学習研究社
76 舞城王太郎 煙か土か食い物 講談社文庫
75 古川日出男 聖家族 生まれちゃったんだよ、俺たち。 集英社
74 田中啓文 ハナシがはずむ! 笑酔亭梅寿謎解噺3 集英社
73 橋本治 集英社
72 マイクル・コーニイ ハローサマー、グッドバイ 河出文庫
71 アゴタ・クリストフ 文盲 白水社
70 ジョン・ヴァーリイ ブルー・シャンペン ハヤカワ文庫SF
69 柴田よしき 謎の転倒犬 石狩君と(株)魔泉洞 東京創元社
68 コーマック・マッカーシー ザ・ロード 早川書房
67 スティーブ・エリクソン 黒い時計の旅 白水uブックス
66 長嶋有 ぼくは落ち着きがない 光文社
65 乾くるみ クラリネット症候群 徳間文庫
64 魚住直子 リ・セット 講談社
63 魚住直子 超・ハーモニー 講談社
62 魚住直子 非・バランス 講談社
61 イタロ・カルヴィーノ 魔法の庭 ちくま文庫



























    魔法の庭(2008.10.5)
イタロ・カルヴィーノ/和田忠彦・訳   ちくま文庫


 タイトルから『まっぷたつの子爵』みたいな寓話系なお話なのかなーと単純に思っていたら、どちらかというと『くもの巣の小道』のような雰囲気の短編集だった。リアルな日常を鋭利な刃物で切り取って一葉の写真にしたような(陳腐な表現だなあ)。

 眩しい太陽、青い空、輝く海、そこかしこに落ちる戦争の影。

 少年達が素っ裸になって飛び込む海に漂うのは沈められた軍艦。
 美しい、夢のような庭園は心からくつろぐことが叶わない他人の庭。
 負傷したパルチザンがやっと辿り着いたのは不実の村。
 夜を徹してかけ続ける伝令を追いかけるのは悪夢さながらの妄想。

 「動物たちの森」とか「菓子泥棒」とか、ユーモラスな短篇もあるけれど。

 美しいけれどなぜか舌に苦味が残る砂糖菓子のような短編集。

(収録作:「蟹だらけの舟」、 「魔法の庭」、「不実の村」、「小道の恐怖」、「動物たちの森」、「だれも知らなかった」、
      「大きな魚、小さな魚」、「うまくやれよ」、「猫と警官」、「菓子泥棒」、「楽しみは続かない」)



    非・バランス(2008.10.7)
魚住直子   講談社


 小学校時代にイジメに遭っていた女子中学生の話。小学卒業と同時に引越をして心機一転中学校生活をスタートさせた彼女は、クールに生きる、友だちはつくらない、の二つを心に決める。けれどいじめの記憶は彼女を離してくれない。そんなときに出逢ったオトナの女性、サラさんは、彼女が心を開けるただ一人の人になる。

 なかなかステキな話だった、と思う。
 中学生にはけっこうリアルなんじゃなかろうか。
 「キレイゴト」と言ってしまえばそうなんだけれど、でも児童書はわたしは基本的に救いのあるものであってほしい、と思ってしまう。ちゃんと挫折して、ちゃんと立ち直ってほしいと思う。
 サラさんのようなオトナに出逢いたい、と思い、
 彼女に助けられながら頑張っていこう、と思い、
 そして、サラさん自身もただ立派なオトナじゃなくて、悩みを持ったひとりの人間なんだ、と気づく。

 まっとうだー!!

 読み終わって清々しい気持ちになりました。
 でもなんで段落を変えるときに一マス空けないのか。
 それがちょっとだけ引っかかったわ。


超・ハーモニー(2008.10.7)
魚住直子   講談社


 難関中高一貫校に入学した響は母親の自慢のタネ。父親は響にとっては判で押したように同じ時間に家を出、同じ時間に帰宅する、まじめな人間、という存在。入学した響は、自分が苦労して越えてきたハードルを易々と越える人間が大勢存在し、自分は彼らについていくのもやっとだという事実に衝撃を受ける。そんなとき、7年前に家を出たきりだった兄が帰ってきた。女性の恰好をして。

 こ、これは…。
 たしかに、非・バランスのとき、キレイゴトも悪くないみたいなことは思った。思ったけれど。
 ちょっとキレイゴトすぎないか(苦笑)。

 キーパーソンは二人いて、トランスジェンダーの兄と、周囲から浮いていてつきまとわれるのを響きが不快に感じているクラスメート、太。これはアレですか、「人を見た目で判断してはイケマセン」という教訓話ですか?
 さらーっと物語が流されすぎていて、兄の奏でるハーモニーのような未来をわたしは、なかなか思い浮かべることが出来なかった。

 響にも、兄にも、両親にも、もう少し葛藤がほしかったなあ。


    リ・セット(2008.10.7)
魚住直子   講談社


 母親と二人で海辺のマンションに暮らしている中学生の三帆。学校では仲良し4人組のひとりとして認識されているけれど、彼女たちは本当の仲間じゃない、と三帆は思っている。クラスには周囲からいじめられてこそいないけれど、微妙に浮いたあかりがいる。ある日砂浜で、三帆は季節はずれの一人用テントを見かける。中にいたのは、彼女が1歳の時離婚した彼女の父親だった…。

 こ、これは。
 人間簡単に生まれ変わることはできないよ、という話?
 それとも、人間、気持ち次第で生まれ変われるんだよ、という話?

 三帆はかなり辛辣にあかりにやりこめられるんだけれど、でも彼女は全然応えたように見えない。鈍いというか、なんというか…。新生法で反省したってことかしら?
 夜中の海の一大事件はものすごくもやもや〜〜っとした微妙な効果。
 三帆の変化もすごく微妙。
 さらに、三帆のマンションの上階に住む中学生の存在はあまりに中途半端すぎる。

 うーん。
 これは『非・バランス』でやめておくべきだったかも、と言ったら、言い過ぎ…?


    クラリネット症候群(2008.10.6)
乾くるみ   徳間文庫


 ある日突然自分の体を乗っ取られ、マリオネットのように自分の体が誰かの意志で動くのをただ感じるだけの存在となってしまった女子高生を描く「マリオネット症候群」と、お世話になっている義理の父親の大切なクラリネットを壊してしまったことで、ドとレとミとファとソとラとシの音が聞き取れなくなってしまった男子高生を描く「クラリネット症候群」の2作を収録。

 うーん。
 乾くるみはオンナノコ不信である、ということがよくわかったわ。『イニシエーション・ラブ』といい『リピート』といいこの本といい。出てくる女性がみんなちょっと…。世の女性はこんなんばかりじゃありませんよ!w

 「マリオネット症候群」は、まんま新井素子のデビュー作『あたしの中の…』じゃん、と思った。これはオマージュなの? や、作品名を明記しないオマージュなんてないんじゃないか、と最近思うんだけれど。なぜ自分の体が思い通りに行かなくなるのか、その設定はおもしろいっちゃおもしろいとは思ったけれど。でもラストにかけてのドタバタ具合は、新井素子がいる以上、もういらないじゃん、みたいな。

 「クラリネット症候群」はそれに比べるとまだ楽しい。クラリネットを壊したからドレミファソラシドが聞き取れなくなった、というあまりにもバカバカしい設定はキライじゃないわ。おかげで非常に読みにくいけど。でもなー、暗号解読は凝ってるけれど、その先にあるものがちょっとあまりに陳腐というかなんというか。

 まあ、でもいろいろ言っても、きっとわたしはこの底に流れる「女性不信」に非常に反感を感じるので、なんか作品に難癖をつけたくなっちゃうんだろうな、という気もするわ。

 つまり、乾くるみはわたしには合いません。w

(収録作:「マリオネット症候群」、「クラリネット症候群」)


    ぼくは落ち着きがない(2008.10.13)
長嶋有   光文社


 高校3年生の望美は図書部に所属。図書室の片隅をベニヤ板で仕切った部室に集まる部の面々はクラスにうまく馴染めない者が多いが、いつでも部活動は和気藹々。なだらかに、時にさざ波を立てながら、流れていく望美の高校生活。

 今の高校生ってこーいう感じなのかな、とぼんやりと感じた。
 わたしの高校生活も大して変わらなかったような気がする。
 けれどケータイが普及してすっかり変わってしまったような気もする。
 でも、今わたしが高校生だったら、まあきっとこんな生活なのかも。

 大した事件が起こらないっちゃ起こらないんだけれど、当人たちにとっては毎日がいろんな事件の連続だ。それは小さな事件かも知れないけれど、心はざわめくし、感情は上昇して、下降する。
 心がざわめくとき、望美は思う。
 本は役に立つ!
 この辺りは個人的にはちょっと教訓じみていてヤだな(苦笑)。

 謎の転校生が最後まで謎だったのは不思議な余韻。
 でも、考えてみれば、すべての事件がきっちりとした決着は見ていない。それがリアルと言えばリアル。

 本当に平凡な生活を平凡なままに描く。
 でもそれは確かに力量がいることなんだろうと思う。
 まるで北島マヤの一人芝居「通り雨」のような話だと思った。w


    黒い時計の旅(2008.10.16)
スティーブ・エリクソン/柴田元幸・訳   白水uブックス


 アメリカの片隅、小さな島ダウンホールのホテルに住む母子。ある日母の部屋で一人の男が死んでいるのを見た息子は家を飛び出し、以来島と本土の橋渡しとなる船の往復をして暮らす。息子が母の部屋に戻ってきたとき、一人の男が語り出す声が聞こえてくる。”おれの名前はバニング・ジェーンライト…”。彼こそが、二つに引き裂かれた二十世紀を生きた男だった。

 パラレルワールドものってチラッと誰かに聞いたんだけれど、例のごとく何一つ前知識のない状態で読み始めた。ああ、プリーストの『双生児』を読んでこれを思い浮かべるってわかるよ!すごいよくわかる!! そして『双生児』が好きな人なら絶対これも好きなハズ。どこまで続いているのか、自分が今どこにいるのか、わからなくなる迷宮の世界にクラクラ。あー、わたし本当にこういう作品が好きだ。

 よくいろんな作品を語るときに『百年の孤独』が引き合いに出されるけれど、わたしはほとんどの場合「引き合いに出すに値する…?」とついつい否定的になってしまう。w この作品も例によって引き合いに出されているんだけれど、いやいや、これは全然オッケー。どんどん引き合いに出して出して!みたいな。w マコンドの数奇な歴史に匹敵するほど数奇な一人の男の運命。数奇な20世紀の歴史。

 一瞬垣間見た一人の女に縛られるジェーンライト。
 男たちの妄想の対象として生きる道を強いられるデーニア。
 二人の葛藤がせめぎ合い、産み落とされる命。

 二つの二十世紀は完全なパラレルワールドではなく、絡み合い、捩れ合い、影響し合う。ドイツが負けず、戦争の終わらない二十世紀。ドイツが負ける二十世紀。
 飛ばされる花嫁のヴェール。
 宛名だけが書かれた白紙の葉書。
 運命的に小さな島へたどり着く男たち。

 黒い時計がさまざまな人の手に渡り数奇な旅をする話だと思っていたわたしがバカだった。w

 今も余韻に酔いしれっぱなし。
 百年の孤独と並ぶくらい、好き。w


    ザ・ロード(2008.10.17)
コーマック・マッカーシー/黒原敏行・訳   早川書房


”すっごくおいしいね。
 あとは全部飲んでいいよ。しばらくここに坐っていよう。
 それってもうぼくが二度と飲めないからでしょ?
 先は長い。いつかまた飲めるさ。 ”


”ぼくたちは今でも善い者なの?
 ああ。今でも善い者だ。
 これからもずっとそうだよね。
 そう。これからもずっとそうだ。
 わかった。”



 父と子は南へと旅を続ける。もうここでは寒すぎて冬を越すことはできないから。色を失った空と太陽、一面を覆い、舞い上がる灰。
 いざとなったら息子を殺さなくてはいけない。父はそう決意している。息子をそれ以上に酷い目に遭わせないために。

 マッカーシーを読むのは『すべての美しい馬』に続いて2作目。あー、国境三部作をちゃんと読んでいないなんて…。orz

 直前に読んだ『黒い時計の旅』が隅々まで凝りに凝った精巧な作品だとすれば、これは素朴で、素材そのままの、骨太な物語。
 灰と一緒に、雪と一緒に、絶望が静かに降り積もる世界。
 残酷で、音のない世界。
 けれど父親の傍らで、希望が小さく息づいている。
 希望のない世界に生まれながら、完璧なまでに無垢な少年。

 彼らは「火を運ぶ者」だ。
 けれどもしかしたら運ばれているのは火という名前の少年の無垢さなんじゃないのか。

 息子を守るため、父親は人を殺し、弱い者を見捨て、旅を続ける。
 息子は時にそんな父親を見て無口になり、父親はそんな息子を見て苦悩する。
 息子にとっては父親が全世界だから。
 父親にとっては息子が全世界だから。

 彼らの道のりが辛く苦しいように、わたしにとっても読み進めるのが苦しかった物語。シェルターが見つかったとき、父親はそんなものは見つからなかった方がよかったのかもしれないと思う。わたしも、早く楽にさせてやった方がいいんじゃないかと思う。
 でも、彼らは進み続ける。
 わたしは読み続ける。
 どこかに辿り着くそのときまで。
 物語が辿り着いたその先まで。


    謎の転倒犬 石狩君と(株)魔泉洞(2008.10.18)
柴田よしき   東京創元社


 大学4年の石狩君は、就職活動に励むものの希望職種は全滅。さらにリクルート活動のためにと購入したパソコンやスーツのローンのため、手持ち不如意で深夜のアルバイト、このままだと将来は暗い…。バイト明けの早朝、そんな石狩君はいきなり声をかけられた。そこに立っていたのは、毒々しい厚化粧のこの世の人とは思えないような異様なオバチャンだった…。

 柴田よしきはめっちゃ久しぶり。この作品を先に読まれていたマイミクさんがが挙げられていた各短篇のタイトルに惹かれて読んでみた。w そのタイトルとは、

 時をかける熟女
 まぼろしのパンフレンド
 謎の転倒犬
 狙われた学割
 七セットふたたび

これ、ピンと来るのはトシなのかなあ。w

 読み始めると、コメディタッチの軽いミステリであっという間に読めた。こじつけのタイトルなのに内容がちゃんとタイトルに合ったものになっていることに妙に感心。w 就職難で不思議な因縁からカリスマ占い師・摩耶優麗の会社で働くことになった石狩君。優麗の占いはすごく当たるんだけれど、石狩君は優麗の力を疑っている。優麗の破天荒なキャラクターと石狩君のとぼけた味わいがぴったり噛み合ってなんというか、最初から最後まで安心して愉しめるミステリ、という感じだったわ。

(収録作:「時をかける熟女」、「まぼろしのパンフレンド」、「謎の転倒犬」、「狙われた学割」、「七セットふたたび」)


    ブルー・シャンペン(2008.10.21)
ジョン・ヴァーリイ/浅倉久志・訳   ハヤカワ文庫SF


 発想の素晴らしいSF短編集。タイトル作の美しさは異常。

 宇宙船乗りの男が公園で少女を物色する「プッシャー」。のどかな公園でベンチに坐って女の子をじっと見つめている主人公は怖い。不気味すぎる。彼の計画が明らかになると…。素直に巧いなあ、と思うわ。女の子の年齢に異常にこだわる理由もナルホド、と思う。

 最新鋭にして世界で唯一の美しいボディーガイドを装着したTVタレント、メガンと高級娯楽施設の救助員、クーパーとの切ない恋を描く「ブルー・シャンペン」。とにかくこの、シャンペングラス状の形の施設に浮かぶ巨大な水の球の描写が美しすぎる。誰もいない「バブル」でたわむれる二人。そこへ他の人がやってくることを報せるためにイルカがやってくるんですよ!!
 恋に落ちる二人、それを心配するクーパーの友だち、アンナ=ルイーゼ。メガンが選んだ恋の結末は、彼女の気持ちが非常によくわかるだけに、泣きたくなるほど切ない。

 遺棄された人工衛星にたったひとり生存者の少女が発見され大騒ぎになる「タンゴ・チャーリーとフォクストロット・ロミオ」。この少女、チャーリーの破天荒な性格の魅力的なこと。ちなみにこの短篇はアンナ=ルイーゼが主役。メガンも友情(?)出演。ちょっと新井素子『チグリスとユーフラテス』を思わせた。孤独に思考ポエムを編み続ける無人小型探査機と、それが美を理解するがゆえに発見される宇宙を漂う子犬とバラの花。美しくてかわいらしくて、そして苦い短篇。

 性別を意志で自由に変更できる技術が発達した過渡期のある夫婦を描く「選択の自由」。男ってのはホントに現実適応能力が低いなあ、と思う。w や、性別を自由に変えることにふんぎりをつけられた人間にとっては「男って」「女って」なんて話は無意味かもしれないな。w
 しかしクレオはそれで幸せなんだろうか。

 少女が突然ブラック・ホールから語りかけられる「ブラックホールとロリポップ」。生まれたときから母親と二人きりで広大な宇宙をブラックホール探索のために漂ってきた少女の心に仕掛けられる爆弾。SFだしミステリだし心理サスペンスのようだ。

 ある日付き合いのなかった隣人が死亡し、その謎の死を巡る物語「PRESS ENTER■」。これはちょっと他の作品とはカラーが違う作品。少し前のアメリカを舞台にSFっぽい仕掛けは皆無で物語は進む。これはホラーだよなあ。いまいち真相は意味がよくわからなかったかも…。orz  サンドラ・ブロックの映画「ザ・インターネット」を田舎町を舞台にしたような話、と言ったらちょっと違うか…。w

 とにかく意表をつく設定を巧みにさばいた、なおかつ美しく装飾した、非常にステキな短編集でした。

(収録作:「プッシャー」、「ブルー・シャンペン」、「タンゴ・チャーリーとフォクストロット・ロミオ」、「選択の自由」、
      「ブラックホールとロリポップ」、「PRESS ENTER■」)



    文盲(2008.10.21)
アゴタ・クリストフ/堀茂樹・訳   白水社


 薄く、活字が少なく、あっという間に読めるボリューム。
 けれど書かれている中身は、非常に重い。
 けれど、アゴタ・クリストフについて何も知らない人が読んだら、この重さはきっと伝わらないんじゃないかと思う。
 わたしにだって、その重さのうちどこまで伝わったか心許ない。

 彼女は本当にエッセンスしか書かない。
 いくらでもドラマティックに脚色できることを、そうしない。
 背景を詳しく説明しない。
 これだけの経験をして、これだけの文章力があって、けれど自分の不幸に酔わない、それはなんというすさまじい自制力なんだろうと思う。

 いくらでも酔おうと思えば酔えるほどの不幸なのに。
 そして同情する人は山ほどいるだろうに。
 その美意識がすばらしい、と思う。
 や、ちょっとズレた感想だってことはわかってます。。。orz


ハローサマー、グッドバイ(2008.10.24)
マイクル・コーニイ/山岸真・訳   河出文庫


 地球とよく似たある惑星。少年ドローヴは政府高官である父と彼に付き従う母と共に、夏の休暇を過ごすため港町パラークシを訪れた。毎年恒例であるその行事で、グローブは去年であった宿屋の少女・ブラウンアイズと再会できることを考え胸をときめかせた。
 現在国は戦争中で物資は不足し、パラークシも配給制、さらに夜間外出禁止令の発令と、戦争の影が濃くなっていたが、ドローヴ、ブラウンアイズ、彼女の友だちのリボンと役人の息子・ウルフたちは反発したり惹かれ合ったりしながら夏休みを過ごす。
 しかしある日リボンの弟が行方不明になり、役人と村人たちの対立は激しくなり、衝撃の事実がやがて明らかになる…。

 少年の成長物語であり、恋愛物語であり、そして壮大なSF。これは確かにびっくりだわ。
 しかしドローヴはあまりに鼻持ちならないというか、好きになれないタイプだ…。w ブラウンアイズも人のこと言えるほど品があるとは思えないし。リボンかわいそうだよリボン!!!!

 結末はかなり残酷というか、皮肉だ、と思う。ドローヴは全然そうは考えてないような気がしますが。てゆかハッピーエンドすら臭わせているわけで。でも、だいたいフェンスの内側にフツーに留まっているあたりでもう、「はー」という感じですよ。普通の物語ならその時点で話がジ・エンドですよ。

 ラストに向けてさりげない伏線はもう、これでもか、これでもか、というくらい貼ってある。それは最後まで読んで初めて気がつく類の素晴らしい伏線。

 ああ、主人公が好きになれないばっかりに、素晴らしい物語をずいぶん損な読み方しちゃったなあ、という気分。orz


    (2008.10.27)
橋本治   集英社


 「ある日男がいなくなった。」みたいな話を集めた短編集。タイトルが「暮色」、「灯ともし頃」、「夜霧」、「蝋燭」、「暁闇」と並んでその並びだけでうっとりするくらい美しい。

 橋本治って、普通言葉にできないようなところまできっちりと全部言葉にするのが感動的だし、時々くどい。w 本人の自覚できていないような感情まできっちりと言葉にして、どこまで本人がわかっているか、どこまで本人がわからずに感じているか、ぼんやりとなんとなく感じ取っていることを腑分けするようにして明らかにしていく。

 正直最初の3篇はあんまり誰にも同情できなくて、「なんか楽しくない人生をおくっている人たちだな…」みたいな感想だった(苦笑)。帯には”男の「性」と「愛」を描いた橋本文学の新境地。”とあるけれど、描かれているのは残された女たちだし。

 インテリアコーディネーターとして成功していき、愛する男を手に入れたと思っていた女がそうではなかったことに気づく「蝋燭」で「おおっ」と思い、ラストの「暁闇」は「うあー!」と思った。w ちなみに「暁闇」はゲイの男とノーマルの男、そしてゲイの男を愛してしまった女、の3人の複雑な感情を描いていて素晴らしい。目の前に現れた理想の王子様がゲイだと知って「完璧」だと思う女の感性はすんごくよくわかる気がするわ。かれを愛する余り傷つけたいと欲する憎しみも。

 人間は昼の顔と夜の顔を誰しも持っていて、そして人間が惹きつけられるのは間違いなく夜の顔なのだ。自分の内側を向く顔、表面上の仮面を捨てた顔。卑屈だったり醜かったり無頓着だったり憎しみで歪んだりしている顔。貼り付けた笑顔をぬぐい去って涙を流す顔。

 恋愛って楽しくてキレイなものってだけじゃないことを思い出す。
 切なくて醜くてみじめで、でも愛しかったりするんだ。

(収録作:「暮色」、「灯ともし頃」、「夜霧」、「蝋燭」、「暁闇」)


ハナシがはずむ! 笑酔亭梅寿謎解噺3(2008.10.27)
田中啓文   集英社


 笑酔亭梅寿謎解噺3巻。
す でに謎解きはメインじゃない。w

 良くも悪くもすっかり安定したシリーズになってしまって、安心できるけれど、もの足りない。
 だんだん、
 「梅駆は実は落語の才能ありまくり」
 「梅寿は酒飲みの困ったオッサンだけれど素晴らしい師匠」
の2点が決定的な事実となってきてしまっているので、あとは彼らの毎度のドタバタを微笑ましく見守る、という以外に読者の選択肢が見あたらない。
 これを足がかりに落語に親しむ、というのが正しい読み方なのかな。

 わたしは読書に、慣れ親しんだ世界を遊ぶ、という行為を求めていないからもの足りないのかなあ。それとも「今のわたし」とこの作品とがタイミングよく出逢えなかった、ということなのかなあ。

(収録作:「動物園」、「日和ちがい」、「あくびの稽古」、「蛸芝居」、「浮かれの屑選り」、
      「佐々木裁き」、「はてなの茶碗」、「くやみ」)



    聖家族 生まれちゃったんだよ、俺たち。(2008.11.2)
古川日出男   集英社


 とにかく分厚い、熱い、東北を地理も時間も縦横無尽に駆けめぐる、著者本人が言うところの「メガノベル」。

 青森のヤシャガシマから始まる狗塚家の歴史。鳥の名を持つ祖母たち。動物の名を持つ兄弟たち。
 地獄の図書館。
 整理し続けるらいてうの息子。
 福島のハチランジャマの冠木家の歴史。
 時間を超えて繋がる、さんきょうだい。

 とにかく読者は時間を、東北を、ただただ物語に引きずり回されて、周りの風景は飛ぶように行き過ぎて、咀嚼するまもなく次々とエピソードを投げ込まれて、浮かび上がるのはまさにサグラダ・ファミリア、未だに完成しない巨大な聖建築物。

 読み始めたときは興奮した。
 古川日出男が帰ってきたと思った。
 でも物語は暴走を始めた。
 というか、わたしの小さなキャパをまるっきり越えた。
 わたしにはこの物語は全然把握しきれない。
 絶賛すべきか唾棄すべきかがわからない。

 ただはっきり言えるのは、巻末の著者の言葉は、いらないってことかなあ。


    煙か土か食い物(2008.11.3)
舞城王太郎   講談社文庫


 暴力的で残酷描写が多いという噂でずっと敬遠していた舞城。一度縁あって『みんな元気。』を読んだんだけれどなんだかキライじゃないと思いながらもピンと来ず、そのまま敬遠続行していたのだけれど、やっぱり読んでおくべき?と考えたところマイミクのおおきさんから「とりあえずこれとこれ」とピックアップしてもらったのが『煙か土か食い物』&『阿修羅ガール』だったので、まずはデビュー作、ということで読んでみた。と早くもダラダラ文体になっているのはすでに舞城効果?w

 結論から言うと、

 これ、めちゃめちゃ好きだ!!!!!!!!!!!!


 ごめん、『聖家族』よりこっちの方がわたしには断然刺激的だし、スピード感溢れるし、心に響く。ほとんど最後まで中断することなく一気読みしちゃったわ。

 主人公の奈津川四郎はサンディエゴに暮らす救命外科医。ある日日本にいる母親が倒れたと報せを受け、取るものもとりあえず実家のある福井へ。そこで四郎は、母親が連続暴行事件の5人目の被害者と知る…。

 名前でわかるように四郎は奈津川家の四男で、兄弟は上に兄が三人。父親の丸雄は大臣も務めたことのある政治家で奈津川家に君臨する暴君であり、とくに次男の二郎とは壮絶なまでに対立していた。

 物語は連続事件の犯人探しのミステリ仕立てなのだけれど、さすがメフィスト賞受賞作なだけあって事件自体はまるっきり非現実的。残された暗号も「舐めてんのか!」というような中身。w でも、わたしが惹かれたのは事件の真相じゃなくて、奈津川家の葛藤だ。
 成績抜群、優等生で父親の後を継いで政治家を目指す長男の一郎。
 天才であるにもかかわらず父親に対する愛憎が彼のすべてを支配しているような二郎。
 いつも二郎の巻き起こす騒動に巻き込まれ、ピアノの才能も潰され、いろんなものを受け流す術を身につけたような三郎。
 二郎に強烈にシンパシーを感じ、父親を憎み、家を飛び出した四郎。
 暴力でつねに家族に君臨しようとする丸雄。
 丸雄を止める力のない妻の陽子。
 敷地内の小屋で自殺した丸雄の父と、夫の自殺から立ち直るのに二十年を要した丸雄の母、龍子。

 奈津川家の描写が出てくるたびにわたしは物語にのめり込んだ。
 悲惨なまでに暴力的で荒んだ奈津川家。
 家族であるというだけで逃れられないその絆。
 タイトルの意味がわかるその瞬間。

 こんなにも暴力的でかつ愛情溢れる物語は、なかなかない。


    正直書評。(2008.11.9)
豊崎由美   学習研究社


 豊崎氏がTVbrossに連載していた書評コラムを1冊にまとめた大変お得な本。金の斧、銀の斧、鉄の斧の3つに分かれていて、素晴らしい作品には金の斧、僧でない作品には銀の斧、ちゃぶ台ひっくり返したくなるような作品には鉄の斧、が振るわれている。巻末には超豪華&超問題作っぽい鉄書評が…!! 社長、ホントに勇気がおありですな…。

 これから読む本を選ぶ参考としてものすごく役立つのはもちろん、鉄の斧なんかはエンタメとしてめちゃめちゃ優れていると思う。興味のない本の書評ってスルーしがちなのに、社長が書くとどんな本の書評でもガシガシ読めてしまうわ。正直社長とわたしとは好みが違う本もたくさんあるので、金の斧だったらすべてわたしも素晴らしい!と思えるかというとそうではないけれど、わたしと社長は違う人間だし、万人が素晴らしいと絶賛する本なんてありえないし。

 ただ気をつけないといかんなあ、と思ったのは、鉄の斧書評。あまりに気持ちよくバサバサと社長が切り捨ててくれるので、うっかり自分が未読の本も「社長がこう言ってるし、読んでないし読むつもりもないけれど、わたしもこきおろしていいよね!!」と思いそうで怖い。ダメだダメだ、読んでない本をバカにしてはダメよ、ちょろいも。と自戒しつつ爆笑しつつ読んだわ。

 以下読みたいなあと思った本。

ケルベロス第五の首
奇跡も語る者がいなければ
黄金旅風
偏愛文学館(これずっと読みたいんだよね!)
ほとんど記憶のない女
マヂック・オペラミステリ・オペラも読まないと…)
アイの物語
憑かれた鏡
存在の耐えられない軽さ
快適生活研究
聖母の贈り物
ナンバー9ドリーム
めぐらし屋
神野悪五郎只今退散仕る
錏娥哢〓(あがるた)(あがるた、漢字が出ない〜!)
・狼たちの月
八日目の蝉
終わりの街の終わり
孕むことば
長い終わりが始まる


    美女と竹林(2008.11.11)
森見登美彦   光文社


 森見登美彦の妄想炸裂な初のエッセイ集。
 というかエッセイの皮を被ったフィクションというか。

 おもしろくない、とは言わない。
 時々つい「ぷっ」と吹き出してしまう箇所もある。
 でも、なんだかなあ。
 いまいち、乗れなかった…。
 妄想についていけないとか、そもそも妄想自体がダメとか、そんなことを言ってるワケじゃないのよ。妄想基本的に大好きだし。w

 何が合わなかったんだろう…。


    犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎(2008.11.17)
コニー・ウィリス/大森望・訳   早川書房


 『ドゥームズデイ・ブック』と同じ設定でこうも違う話を書くとは…。ドタバタコメディなんだけど、2段組500ページ越えはちょっと長すぎる気がしたわ。お友達がが前に言っていたのだけれど、まさに「ウィリスは出だしが冗長」(苦笑)。後半はがががーっと読めたけど、前半はちょと苦戦しました。「主教の鳥株」がイメージできなかったのが敗因かなあ。

 コメディはキャラ造詣が命だと思うんだけれど、これはホントに素晴らしいキャラが揃ってると思った。とにかく関わるすべての人間を引きずり回すレディ・シュラプネルはもちろんのこと(直接的にはほとんど登場していないのにこの強烈な印象はどうよ?w)、ミステリおたくの現代女性ヴェリティ、ロマンチシストのテレンス、フリフリドレスのわがまま娘トシー、降霊会にハマっているミセス・ミアリング、読書好きな執事ベイン、名執事ジーヴスに憧れるフィンチ、どんどん気が変わるクセに一度決めたらてこでも動かないペディック教授、衣装係なのになぜか時間跳躍をすべて任されてキれそうなウォーダーなど、主人公ネッドを取り巻く人間たちの魅力的なことといったら。

 自分たちのせいで歴史に齟齬が生まれたことを恐れ必死に歴史を元の流れに戻そうとするネッドとヴェリティの空回りっぷりが素晴らしい。ジェローム・K・ジェローム『ボートの三人男』はやっぱりぜひ読まなくちゃ。あと『月長石』も!!

 ただこういうのも楽しいけれど、やっぱりわたしは『ドゥームズデイ・ブック』とか『最後のウィネベーゴ』(の、表題作)の方が好きかなー。まあこれは個人の嗜好の問題。『航路』はシリアス路線なのかしら?


    記憶に残っていること 新潮クレストブックス 短篇小説ベスト・コレクション(2008.11.17)
堀江敏幸・編   新潮クレストブックス


 堀江敏幸が選ぶクレストブックス短篇セレクション。収録10作品のうち4作は既読だったんだけれど、こうして改めて並べて改めて読むとまた違った味わいがあったわ。

 どれも大事件が勃発するような物語ではなくて、人生の悲哀を押さえた筆致で語っていたり、陳腐になりそうな設定の一場面を鮮やかに切り取ったり。そういう意味では「記憶に残っていること」が一番ドラマティックだったかも。けれど、どの作品もじんわり染みる。

 「マッサージ療法士ロマン・バーマン」
 カナダに移民してきたロシア系ユダヤ人の一家。マークの父はチョコレート工場で働く傍ら、まるで「敵」のような英語と格闘してマッサージ士の試験に合格するが、描いていた理想と現実はほど遠かった。そんなときに舞い込んだ裕福な家族からの夕食の招待…。
 彼らの誇りとそれを蝕みそうな生活。
 母が一生懸命焼いたリンゴのケーキ。

 「もつれた糸」
 眠っている妻を起こさないように家を抜け出し、いつものように釣りに出かけるマリガン。定年退職した彼は釣りを口実にほかの女性とも関係を続けているが、孤独に楽しむこの趣味を手放すつもりはない。水に入れた足がかじかむ晩秋の森、眼前を弱々しく横切る季節はずれの揚羽蝶。愛人から受け取った手紙。

 「エルクの言葉」
 事故で昏睡状態に陥っている妹の息子と暮らすようになって1年のジーン。彼女は夫と共に、周囲には一軒の家もない森の中でひっそりと暮らしていた。しかしハロウィンの夜、近所に越してきたという親子が突然闖入してくる。吹くべきではなかったエルク笛。

 「献身的な愛」
 ロンドンの郊外にひっそりと暮らすオーウェンとヒラリー姉弟。珍しい来客の予定に姉は控えめながらも心が浮き立っているのが見てとれ、ゲイである弟はそれを苦々しく感じている。なぜなら今日やってくるはずのベンに関して、弟はずっと秘密を抱えてきたからだ。
 静かに愛し合い、静かに傷つけあいながら長い年月を共に暮らしてきた姉弟。

 「ピルザダさんが食事に来たころ」
 ピルザダさんが頻繁にわたしの家に食事に来ていたのは、パキスタンで内乱のあった頃だった。そこに妻子を残してアメリカで研究をしていたピルザダさんは、テレビで内乱の様子を知るために足繁く来訪を繰り返していたのだ。
 彼はわたしが移民系アメリカ人であることについて深く考え始めるきっかけとなり、彼の故郷に思いを馳せるときに、彼の持ってきてくれたおかしはかけがえのないおまじないの道具となった。

 「あまりもの」
 不遇の人生をおくってきた林ばあさんは、住み込みで働くようになった全寮制の私立学校で初めての恋をする。相手は裕福な親に”あまりもの”と見なされ学校に送り込まれた6歳の少年。林ばあさんの歪な恋。いつも抱えている大切な弁当箱。かわいそうなだけでなく、したたかさも併せ持つ林ばあさん。

 「島」
 小さな島の灯台守の一家に生まれた彼女。島はやがてさびれ、家族は減っていき、恋人は帰らぬ人となり、いつか彼女はたったひとりで島に取り残される。狂女と呼ばれながら。短篇に凝縮されたひとりの女性の人生の物語は深くて、人一人分の重みを持って、読者に迫る。最後に彼女にもたらされるものの輝き。

 「記憶に残っていること」
 メニエルはあまり好きではなかった夫の友人の葬儀に、夫と共に出席する。彼女はそこから夫と別れて、彼女の名前の由来となったミュリエルおばちゃまの暮らす施設を訪れる予定だ。葬儀に出席していたある医師が、帰るついでに彼女を送っていくことを申し出る。二人で訪れた施設。思いがけないミュリエルおばちゃまの独白。その後何年も続いた強烈な波をくぐり抜けて彼女が抑圧できるようになった記憶。

 「息子」
 平和監視団として内乱国に派遣された12名に名を連ねた、ドイツ人の国際法の教授。離婚して5歳の時に離れ、疎遠になった彼の成人した息子。監視団として旅立つ前に諍いがあったのに、彼の荷物にネクタイを入れておく恋人。障壁を前にして足を踏み出すことを躊躇った彼と、やすやすとそれを越えて見せた彼女。人生はいつまでも続くわけではない。

 「死者とともに」
 夫が死んだ夜、エミリーは突然、見ず知らずのゲラティー姉妹の訪問を受ける。彼女たちには、死にゆく人の最期に付き添う姉妹だという噂があった。3人でお茶を飲みながら訥々とエミリーがし始める、哀悼とはまるで趣の違う告白。けれどそこには確かに愛は存在していたのだ。理解されてもされなくても。


 堀江敏幸のチョイスに唸り、クレストブックスのチョイスに唸る。
 地味だけれど価値のある作品たち。
 読み方によってさまざまな面を見せてくれそうな、その奥行き。

 どれも素敵だけれど、やっぱりわたしはマクラウド(島)が一番かなあ。そだそだ、まだマクラウド1冊しか読んでないんだったわ!

(収録作:「マッサージ療法士ロマン・バーマン」デイヴィッド・ベズモーズギス、
      「もつれた糸」アンソニー・ドーア、「エルクの言葉」エリザベス・ギルバート、
      「献身的な愛」アダム・ヘイズリット、「ピルザダさんが食事に来たころ」ジュンパ・ラヒリ、
      「あまりもの」イーユン・リー、「島」アリステア・マクラウド、
      「記憶に残っていること」アリス・マンロー、「息子」ベルンハルト・シュリンク、
      「死者とともに」ウィリアム・トレヴァー)