歌集 木立        2002年(平成14年)5月5日発行

  作者 滝澤主税

 A5112

非売品

今まで書き溜めていた歌を集めたもの。


一部を紹介する。

   木 立(こだち)

    かざごし  はる

    風越の峠遥けし青木道に

          こだち こと        う     すがた

        木立言問う君亡せし貌を

   白 月(びゃくげつ)            

    白月の夜ごとに恐ろしさ増しゆけど

          やまかげ         しず   もく

        山影の黒き 沈み黙しおり   

   連 翹(れんぎょう)

           きい   えのぐ

    鮮烈に黄の絵具で隠たり

         五月の土を連翹が咲く

   白骨紀行(しらほねきこう)

          のりくらやま

     雪残る乗鞍山の谷底に

           しらほねおんせん  かばりんりつ

         白骨温泉 樺林立す

   半 蔀(はじとみ)

      はじとみ  おも     か             ま

     半蔀に想いを懸けてひとを待つ

             しの           つき

          忍ぶさだめに月わずらはし

解 説

  半 蔀(はじとみ)

京都の紫野にすむ僧が花供養をしていると、若い女がやってきて夕顔の花を捧げ、消え失せる。僧は女が残した言葉に従って五条の辺りへ行ってみると半蔀戸を下した小さな家があり、中から夕顔の霊が現れる。霊は光源氏との思い出を語り、舞舞い、明け方が近づくと再び、半蔀戸の中へ消えていく。

  ほむら

      うつせみ

   空蝉のいのちの水を堰きあへず

           おぼ             あい

         溺るるばかりきみを愛せし  

   弱法師(よろぽし)

            つえ

    よろぼしの杖ををしみてだづねゆけば

             みず

         行く水きえてかぎろひのたつ

解 説

 弱法師(よろぼし)

能 盲目の少年の淋しげな顔。   

河内国高安の、左衛門尉通俊の子の俊徳丸は、家を追放された悲しみから盲目となる。

天王寺辺を放浪し、弱法師と言われていた。

通俊は、天王寺の由来を語る弱法師が、追い出したわが子と知りました。

通俊は父親と名乗り、驚く弱法師を、我が家へつれて帰ります。

さいごに

 

君 看 双 眼 色

 不 語 似 無 愁

君ヨ見ヨ双眼ノ色

語ラズバ愁ナキニ似タリ

 

芥川龍之介が引用したこの言葉は、妻死せしときに記したものである。

歌など習わぬことなれども徒に百八の帖に納めた。百八煩悩の謂か。

大智度論に「眼に色を見、思惟分別して心に憂を生じ、乃至意識も亦た

是くの如し。是の十八の受の中に浄有り垢有りて三十六と為る。三世に

各三十六有りて百八と為る」とある。  信州和田村 滝澤主税

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