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部活後の水のみ場で いい加減オレはウンザリしてた。



  
「なぁ、話ってナニ?」
 
「・・・・。///」

「ねぇなら帰っていい?早くシャワー浴びたいんだけど。」

「あ、あの・・・好きなんです。」

「それ先週、聞いた。そんで『彼女いるから』って言わなかったっけ?」

「・・・2番目でもいいんです。」

「好きでもねぇヤツの相手するヒマなんてねぇんだけど。」



ちょっとキツかったかも?なんて後悔する間もなく



「そしたら、友達になって下さい。それならいいですか?」

「そーゆーの、めんどくせぇし。」

「じゃあ、キスしてくれたら諦めます。」




あ、キレそう。


って俺、 下級生の女相手にマジギレっつーのもシャレになんねぇよ。

 あーでも、もうめんどくせぇ。

俺はその子の腕を引き寄せて キスをした。

何の感情もない 唇と唇が触れただけの行為  


 
「これで、満足?」



まさかホントにキスされると思ってなかったのか放心しているその子に




「んじゃあ、そういう事で シクヨロ。
  あ、差し入れとかも もう、いんねぇから。」




俺は やっと解放されて部室へ戻った。



「あれって俺のクラスの女なんスよ?さすが丸井先輩モテるっスね〜。」


  
コイツ、見てやがったな。



「余計な事 言うんじゃねぇゾ。赤也。」




*****************************


 
ブン太はよくモテる。


それはよく分かってるし、彼女としては喜ぶべきなんだろうけど・・・

そんな余裕 私にあるワケない。

今だってワザとなのか そうじゃナイのか下級生の女の子達が大声でブン太の事を話してる。



 
「・・・・でね、ブン太先輩 キスしてくれたの〜。/// 」




その言葉に思いっきり反応してしまった私に その子は不敵に笑った。


確か・・・いつもブン太に手作りのお菓子を差し入れに来てる子。
ブン太にわけてもらった事があるんだけど すごく美味しいの。

それに とりまきの中でも特に可愛くて目立ってたっけ。

 
不安でたまんない。


まさかだよね?ブン太。


朝練の後 さりげなく聞いてみようかな。



疑ってるんじゃなくて、信じていないんじゃなくて、

ただ、安心したかっただけなのに。




「ブン太、もしかして好きな人出来た?」

「何、言ってんだ?いきなり?」



ブン太らしくない。いつもなら ちゃんと答えてくれるのに。

不安がだんだん大きくなって来て


呼吸が苦しい


 
「あの子とキスしたんだってね?」

「あー、そんなんじゃねぇし。」




目、逸らしたままだよ、ブン太?

否定しないって事はしたんだ。


 

「じゃあ、どんななの?意味わかんない。」


「信じらんねぇなら、もーいい。」




ブン太は口数は少ない方で 言葉づかいも乱暴で
でも、短い言葉の中に優しさが詰まってて、私はそんなブン太がダイスキだったのに。


今はブン太の気持ちなんかわかんない。




「バカぶんた!!こっちの方が『もーいい』だよ!!サヨウナラ!!」



そんな捨て台詞をしたまま ブン太と1週間逢ってない。




私も今更「会いたい」なんて言えるワケないし。

学校では『私とブン太が別れた』って言うウワサでもちきり。
ブン太は放課後の呼び出しに忙しそうにしてる。
 
そっか。ブン太はもう とっくに私とは別れたつもりなんだ。

その証拠にブン太からは電話もメールも来ないし。

 
なんて考えてたら泣けてきた。



私が今いるのは旧校舎へ行くための2階の渡りローカ。

旧校舎は今は使われていないから誰も来ないしココからの裏庭の景色が好きだから
泣きたい時はココって決めてる。



さぁ、思いっきり泣こうかなって思った時、裏庭に歩いてくるブン太と女の子が見えた。


ブン太ってばラケット持ったままだよ。
練習中に呼び出されたのかな?

あーあ、神様のイジワル。

思いっきり泣かせてもくれないなんて。

私は2人に見えないように渡りローカの手すりに隠れる様にしゃがみこんだ。



 
「好きです。付き合って下さい。」

「わりぃ、付き合ってるヤツいるから。」

「え? 先輩とは別れたんじゃないんですか?」

「あー、何かそんなウワサ出てるらしいけど、俺は と別れる気ねぇから。」




女の子の走り去る足音が消えて



!そこにいるんだろぃ?顔出せよ。」



1週間ぶりのブン太の声に私は立ち上がって下を見下ろした。

ブン太はラケットを構えると軽くボールを打ち上げた。


ボールは目の前の手すりに当たって、その上をころがって



私の手の中へ。



手の中の黄色いボールには


 “ゴメン ”


マジックで書かれた見慣れたブン太の文字



 
「どう?天才的?」



そう言って笑うブン太


わたしは非常階段を駆け下りて ブン太に思いっきり抱きついた。
言葉なんて出てこない。

ただ ただ ブン太が好きだった。
 
ブン太は私を抱きしめ返して


「わりぃ。もう、しねぇから。・・・お前だけぜぃ・・・・好きだ。」


「・・・・許す・・・。」



そう言って もっと強く抱きついて

こんな言葉 聞けるんならケンカも悪くないね なんて思った。





***********************  
 
 
「どうした赤也?泣きそうな顔して。」

「なんでもないっス。って言うか また丸井先輩 美味しいトコだけ持って行くんスね。」

「すまない。」

「何でジャッカル先輩が謝るんスか?(笑)」

「いや、なんとなく。」



                END



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