予告編 甲子園の夕日 作・マリン
予告編・Minstrel

〜第3部 予告編〜

それは2年半前のある丘の上から始まった。

「俺、名門校のいろいろなしがらみの中で野球やりたくないんだ。
 新天地で自分の理想の野球をやって、甲子園に行きたいんだ。
 大悟、お前は何処行くんだ?」

「どうやら、マジみたいだな・・・
 しゃーねー
 俺も束縛されるの嫌いだから、お前の夢にのった」

「バカ、俺は夢じゃ終わらせないぜ」

中学時代に全国を制した黄金バッテリー、東(あずま)・新村が、新設校・東条高校へ進み甲子園へ目指すことを誓いあった。

何の偶然か、もう一人、この東条高校に進もうとする者がいた。

「チェ、上等だよ。こんなクソ学校、こっちから願い下げだ」

シニア・オールジャパンの主砲でありながら、問題行動の数々を理由に有名私立校を落とされること、軽く10回。
その丘野が最終的に選んだのが東条高校であった。

また同じ頃、遠く大阪では高校野球界のカリスマ監督・富岡が強豪・羽柴学園を去った。

「理事長。高校野球は教育の一環です。
 貴方の宣伝某体のためにあるのではありません」

理事長との確執が原因と言われているが・・・?
富岡は、高校野球とは関わらない条件で東条高校へ。

全国屈指の好投手とスラッガー、そして高校野球界きっての名監督がこの新設高校に集まった。

1年生だけでスタートした東条高校野球部は新村主将の下、数々の試練、事件、ライバルとの闘いを経て、次第に実力をつけていく。

初めての甲子園へのチャレンジとなる夏の千葉大会。
初戦を控え投手・西野の好投で勝利した東条は、2回戦でAシード・拓大紅陵と対戦。
延長に突入した激闘となるが、結果は非情なものだった。
甲子園は甘くない。いや、千葉は甘くない・・・。

夏合宿、秋季大会、招待試合、正月のバイト、東北遠征を経て、大きくスケールアップし、新しい春を迎えた。春、出会いの季節。
東条高校に新入生が加わり、野球部にも新しい面々が・・・。
シニア・オールジャパン・山中、技巧派投手・木原、スプリンター・中野、そしてバスケ上がりの野々木・・・。

春季大会。
東条高校の前に脅威のライバルが登場する。

「お前、知らないか・・・。
 中学時代、あいつが率いる銚子第一中と県大会、関東大会で死闘を繰り返した、
 いわばライバルだ。
 あいつも東同様凄い投手だ」

「黒岩晃か・・・?
 左からめちゃくちゃ速い奴がいたって聞いてるな」

ドスン!

ミットがもの凄い音を立てた。

「凄い!速くて、しかも重い球だ」

黒岩率いる銚子商との直接対決は夏の千葉大会。
2度目の夏、順調に勝ち進んだ東条高校は、準決勝で黒岩と激突。
東、新村、丘野が全身全霊でぶつかった試合だったが・・・。

「よし、黒岩、行くぞ!」

東、声を上げながら最後の力を振り絞り、右手からボールを放った。
黒岩、スイングに入り・・・、バットに当てた。

カキーン!

「な、なんて球威だ」

打球はフラフラと上がる。上空には強い海風が吹いている。
打球は風に流され、セカンド後方からライト線へ。
セカンド・中野、ライト・山中が打球を追う。
両者、ダイビング!

ポトッ

今年もまた、白球の女神は彼らに非情な結末をつきつけた。

しかし、この激闘を目のあたりにし、動く男が一人。

「先日の銚子商戦で私の心が非常に熱くなった。また甲子園に行きたくなった」

富岡である。
2年間の沈黙を破り、ついに高校野球界のカリスマが動き出す。

目指すは春のセンバツ。秋季大会開幕はすぐである。
東たちに残された甲子園のチャンスはあと2回。春と夏の1回ずつである。
黒岩は甲子園でも勝ち進んでいる。
黒岩の豪球を砕くことが出来る者などいるのだろうか。
いや、砕かなければ、東条高校に甲子園はない。
なぜ、同じ県内にこれほどのライバルがいるのだろうか・・・。

ここで気になるセリフを思い出す。
あれは富岡が羽柴学園を去った2年半前・・・。

「あー、羽柴学園の木下です。例の件ですか。
 前任者の整理もつきました。
 今後の我が校の野球部は、ひとつ貴方様によろしくお願い致します。
 待遇面は、ご希望に添う形を取りたいと考えておりますので」

理事長・木下は電話を切って呟く。

「もう、富岡の時代は終わった、また常勝羽柴時代が来るぞ」

あれから羽柴学園はどうなったのだろうか・・・。

東の重くキレのある快速球、長距離砲・丘野の打棒。
そして新村主将、成長著しい1年生たち。
富岡の手腕はいかに・・・
いよいよ最後の春、そして最後の夏へ向け、東条高校の再チャレンジが始まる!

<第3部 Coming Soon>