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 ◆酸化・還元の定義

 酸・塩基と同様、まずは定義をはっきりさせましょう。"酸化"とはどういうことでしょう?"還元"とは?
 実は、酸化・還元の定義はいろいろあり、1つではありません。表でまとめてみるとこうなります。

酸 素
水 素
電 子
酸化数
酸 化
得 る
失 う
失 う
増加
還 元
失 う
得 る
得 る
減少

 中学校で習う酸化とは、「Oを得ること」であり、還元とは「Oを失うこと」でした。たとえば酸化銅(U)を水素と反応させたとき、

CuO+H2 → Cu+H2O

 CuOはOを失ったので、還元されており、H2はOを得たので酸化されたわけです。

 これらは中学校での定義でした。習い始めの人は「酸化・還元」と聞くとこちらの定義をすぐに思い出すでしょう。もちろんこれらもれっきとした酸化・還元ですが、これだけでは非常に定義が狭いんです。ですから高校ではこれでは通用しない。酸化・還元の定義がぐっと広がるんです。

 「酸化とは、電子を失うこと」であり、「還元とは、電子を得ること」です。これからはこの定義に切り替えてください。

 ところで「酸・塩基」と「酸化・還元」の共通点と相違点は何か、と聞かれてすぐに答えられますか?
 共通点はどちらも授受反応であるということです。あげる、もらうという関係が成立しているということです。
 相違点は、「何を」あげる、もらうのかという点です。「酸・塩基」ではそれが水素イオン"H+"であったのに対し、「酸化・還元」では電子"e-"をやりとりするのです。

 

酸化還元反応=電子(e-)の授受反応

 「電子を与える物質がある」ということは必ず、「電子を受け取る物質がある」ということです。つまり、酸化が生じたらどこかで必ず還元が生じているということです。当たり前なことですがこの考え方は大事にしてください。

 ◆酸化数

 酸化と還元が電子のやり取りであることはわかりました。しかし、実際に電子の受け渡しを反応式からすぐに判断するのは難しい。いちいち電子式書いてみるのは大変ですよね。そこで「酸化数」という考え方が大活躍します。この酸化数の変化を見るだけですぐに酸化なのか還元なのかが一発で分かるのでとても便利です。表に書いてあるように、もし酸化数が増えていたらそれは酸化、減っていたら還元だとわかる。ですから、この分野では酸化数がちゃんと数えられるようになることが不可欠です。

 では酸化数を決定の仕方を説明していきましょう。

 (1) 単体中の原子の酸化数は0とする。
(2) 単原子イオンの単体の酸化数は、イオンの電荷数に等しい。
 (3) 化合物中の水素の酸化数は通常+1(例外−1)、酸素は−2(例外−1)である。
 (4) 電気的に中性な化合物の酸化数の総和は0である。
 (5) 多原子イオンでは酸化数の総和はイオンの電荷数に等しい。
(6) アルカリ金属イオンは常に+1、アルカリ土類金属は常に+2である。

 [例 題] 次の物質の下線部の原子の酸化数を求めよ。

  1) O2  2) MgCl2  3) H2O  4) CH4  5) SO2  6) H2O2  7) NaH  8) (NH4)2SO4

 1) 単体なので (1) よりOの酸化数は0。
 2) イオン結合であり、Mg2+とCl-からできているので (2) より+2。ちなみに+2+(−1)×2=0であり、確かに (4) が成り立っている。
 3) 通常、化合物中のOの酸化数は−2でよい。
 4) 通常、化合物中のHの酸化数は+1。Cの酸化数をXとおくと、CよりX+(+1)×4=0だからX=−4。
 5) Sの酸化数をXとおくと、X+(−2)×2=0より、X=+4。
 6) H2O2はOの酸化数が−2となる例外の物質の代表例。
 7) アルカリの水素化物はHの酸化数が−1となる例外の物質の代表例。
 8) (5) より多原子イオンは1つで考えるとよい。NH4+としては酸化数は+1なので、Nの酸化数は−3。SO42-としては酸化数は−2なのでSの酸化数は+6。

 酸化数で値が正のとき、よく「+」を抜かす人がいますが、これは誤りです。ちゃんと符号を書きましょう。

 ◆酸化剤・還元剤

 酸化・還元で克服しなくてはいけないことは、その用語の紛らわしさです。酸化剤と聞いて、なんとなく酸化する物質のことかな、と思っていたなら、それは大間違いです。酸化剤とは、「相手を」酸化させる物質のことです。ということは自分は還元されるということです。相手から電子を奪って相手を酸化させ、その電子を受け取って自身は還元される。"酸化"剤という言葉に引きずらないように注意してください。
 逆に、還元剤とは「相手を」還元させる物質のことで、相手に電子を与えて還元させて、自身は電子を失って酸化されることになる。
 何度も言いますがこの「相手を」ってところを絶対に忘れないようにしてください。

酸化剤=相手を酸化させる物質(自身は還元)
還元剤=相手を還元させる物質(自身は酸化)

 同じように「酸化力」や「酸化作用」についても、自身ではなく「相手を」酸化させる能力であり、反応であるということです。これについても「酸化剤」と同様に考えてください。

 さらにこの話を電子のやり取りでもすぐに分かるようになくてはいけない。「酸化剤とは電子をどうする物質のことですか?」と聞かれてすぐに、酸化剤→相手を酸化させる物質→相手から電子を奪う物質だと連鎖的に分からないといけない。もちろん還元剤はこの逆であり、酸化剤と還元剤はこういうこともできます。

酸化剤=相手から電子を奪う物質
還元剤=相手に電子を与える物質

 このような感覚をすぐに身につけるのは大変だと思います。しかしこれがスムーズにできないとこの分野をモノにすることはできません。これから何度もこの話が出てくるのでその度に1つ1つ確認して下さい。

 ◆代表的な酸化剤・還元剤

 酸・塩基のときと同様、ここでもいろいろな酸化剤・還元剤が出てきます。当然すべての酸化剤と還元剤を覚えるのは大変ですし、さらにその反応式も覚えなくてはいけません。教科書や参考書にいろいろな酸化剤と還元剤の反応式が載っているはずです。これを見たら誰だって覚えるの嫌になりますよね。当然ここではそれを丸暗記させるつもりはありません。

 なるべく無駄を省くために、まずは代表的な酸化剤と還元剤を覚えればいいのです。入試で出てくるものはだいたいレギュラー化しています。ですからまずはこれらについて完璧にしましょう。

酸 化 剤
過マンガン酸カリウム(酸性下)  MnO4-+8H++5e-Mn2++4H2O
二クロム酸カリウム(酸性下) Cr2O72-+14H++6e-2Cr3++7H2O
過酸化水素水 H2O2+2H++2e-2H2O
二酸化硫黄 SO2+4H++4e-S+2H2O
塩素 Cl2+2e-2Cl-
還 元 剤
シュウ酸 C2H2O42CO2+2H++2e-
硫化水素水 H2SS+2H++2e-
過酸化水素水 H2O2O2+2H++2e-
二酸化硫黄 SO2+2H2O→SO42-+4H++2e-
ヨウ化カリウム 2I-I2+2e-
硫化鉄(II) Fe2+Fe3++e-

 過マンガン酸カリウムと二クロム酸カリウムは、酸性下という条件がつきます。そうでないと表の反応は起こりません。だから問題文にはいつも「硫酸酸性下の〜」とか「硫酸で酸性にしてから」という言葉があるはずす。別に硫酸でなくても酸化力のない酸だったら何でもいいんですが、硫酸がよく用いられます。
 よく、この硫酸を酸化剤とカン違いして半反応式を立ててしまう人がいますが、ここでの硫酸は希硫酸ですし、硫酸が酸化力をもつには濃硫酸でさらに加熱して熱濃硫酸にしないといけない。だから硫酸はあくまで液性を酸性にするだけの役割なんだと思って流してください。

 過マンガン酸カリウムは非常によく出てくる酸化剤です。問題でも必ずといっていいほど出てきます。これは、過マンガン酸カリウムが強い酸化剤だという理由のほかに、「色」があります。過マンガン酸イオンKMnO4-濃い赤紫色をしています。それに対し、Mn2+淡桃色、といってもほとんど無色です。酸化還元反応では、酸塩基反応と違い指示薬というものがありません。ですから、このイオンの色の変化が指示薬のような役割をしてくれるので滴定が楽にできるんです。詳しくは以降の酸化還元滴定を見てください。

 過マンガン酸カリウムについてもう1つ。それは「では中性・塩基性下ならどうなるのか」という話です。酸性下でなくても酸化剤として働くのですが、この場合ではMn2+でなく、変わりにMnO2が生成します。

MnO4-+4H++3e-MnO2+2H2O

 式だけ見ていると、何がどう影響したのよくわかりませんよね。そこで、Mnについて酸化数の変化を見てみます。

 MnO4-のMnの酸化数は、+7です。酸性下ではこれがMn2+になり、酸化数は+2となります。酸化数が+7→+2に変化し、酸化数は一気に5減っています。それだけ還元が進んだということであり、これは逆に考えればそれだけ相手を酸化しようとする力が強いということです。
 それに対し、MnO2のMnの酸化数は、+4です。酸性下でないと酸化数は+7→+4に変化し、酸化数は3しか減りません。つまりMn2+の代わりにMnO2が生成するということは、酸化力が弱まっているということなのです。

 この酸性下でない過マンガン酸カリウムは、センターレベルくらいでは出ませんが、二次レベルになると時々見かけます。もちろん何かしらヒントが書いてあるとは思いますが、余裕のある人は一緒に覚えてしまいましょう。

 

 次に、知っておいてほしいことは、表をよく見ればわかることですが、過酸化水素水と二酸化硫黄は、酸化剤にも還元剤にもなれるということです。そして、酸化剤として働くか、還元剤として働くかで生成する物質が異なります。これについても酸化数に注目すればその理由がわかります。

 まず、過酸化水素水について見てみましょう。

酸化剤として反応すると水が、還元剤として反応すると酸素が発生します。ここでOの酸化数について考えると、過酸化水素のOの酸化数が−1に対し、水では−2、酸素では0です。つまり、水が生成するということは、酸化数が−1→−2となって減少する、つまり還元されたということです。そして自身が還元されたということは、それは酸化剤として働いたということ。だから酸化剤としての式では右辺に"H2O"が、還元剤では"O2"があるわけです。

 次に、二酸化硫黄についてですが、同じSをもつ還元剤としてH2Sも一緒に考えましょう。

 二酸化硫黄が硫酸イオンになるということは、Sの酸化数が+4から+6に変化し、増加しているので、酸化されたということ。それはすなわち還元剤として働いたということと等しい。
 硫黄になるときは、Sの酸化数が+4→0に変化し、減少しているので、還元されたということ。つまり酸化剤として働いたということと等しい。
 だから、酸化剤の式では右辺に"SO42-"が、還元剤では"S"があるわけです。
 また、硫化水素ではSの酸化数が−2から0に増加しているので、酸化されている、すなわち還元剤として働くということです。確かに、表では還元剤となってますよね。逆にこれ以上小さい酸化数は取れないので、硫化水素が酸化剤として働くことはあり得ないということになります。

 結局、頭の中に入れておいてほしいことは、

過酸化水素水→水(酸化剤)or酸素(還元剤)
二酸化硫黄→硫黄(酸化剤)or硫酸イオン(還元剤)

 

 ◆半反応式のつくり方

 上表を見ればわかるようにこの複雑な式が書けるようにならないといけない。この式をとくに「半反応式」といいます。でもこれを丸暗記するのは面倒だし、それに間違えそうだよね。
 実は、この式すべてを覚える必要はありません。表の黄色の太字の部分だけ覚えておけば自力で作れるんですね。この自力で半反応式がつくれるというのはすごく大事です。なぜなら、もしこの表に載っていない酸化剤、還元剤が出てきたとしてもつくり方を知っておけば対応できるからです。
 そこで、例として酸性下の過マンガン酸カリウムの半反応式をつくってみましょう。

 基本的に3ステップあります。まずは上表の太字の化学式からスタートです。

 MnO4- → Mn2+

? 両辺の"O"の数が合うように、どちらかの辺に"H2O"を加える
 
ここでは左辺にOが4つ、右辺にOがないので、右辺に"4H2O"を加えてどちらにもOが4つになるようにします。

 MnO4- → Mn2+ + 4H2O

U 両辺の"H"の数が合うように、どちらかの辺に"H+"を加える
 ここでは左辺にHがなく、右辺にHが8つあるので、左辺に"8H+"を加えてどちらにもHが8つになるようにします。

  MnO4-+8H+→Mn2++4H2O

? 両辺の電荷の和が合うように、どちらかの辺に電子"e-"を加える
 ここでは左辺が(-1)+8×(+1)=+7、右辺が+2なので、左辺に"5e-"を加えてどちらも電荷が+2になるようにします。

MnO4-+8H++5e-→Mn2++4H2O

 これで完成しました。このように太字の部分と式のつくり方を覚えておけばいつでも半反応式が完成できるわけです。ですから、まずは表中の太字の化学式だけを覚えてください。これを覚えないとさすがに式は作れません。

 ◆酸化還元反応

 はじめに言ったように、酸化還元反応は電子の授受反応です。ですから必ず還元剤が電子を放出し、酸化剤がそれを受け取るという関係が存在します。

 例として、硫酸酸性下の過マンガンカリウムと過酸化水素水の反応について考えてみましょう。過酸化水素水は酸化剤としても還元剤としても働きますが、ここではより酸化力の強い過マンガン酸カリウムとの反応なので、過酸化水素水は、ここでは還元剤として考えます。
 ではどうすればより強い酸化剤または還元剤なのかわかるのか、ということですが、基本的に片方の性質しか持たない方を優先すればよい。たとえば、硫化水素との反応では、硫化水素は還元剤としてのみ働くので、過酸化水素や二硫化硫黄は酸化剤として働くことになる。つまり、過酸化水素と二硫化硫黄は相手によってころころと態度を変えるわけです。

 MnO4-+8H++5e-→Mn2++4H2O …[1]

H2O2→O2+2H++2e- …[2]

 還元剤の過酸化水素が電子を放出し、酸化剤の過マンガン酸カリウムが電子を受け入れる。半反応式のままでは未完成なので、この[1]と[2]をくっつけます。ここで、[1]の電子の係数が5で、[2]の係数が2です。ちょうど電子が同じ量だけ放出し、受け入れるようにするには[1]を2倍し、[2]を5倍しないといけない。

  [1]×2+[2]×5より、    2MnO4-+16H++10e-→2Mn2++8H2O
               +)     5H2O2      →         5O2+10H++10e- 
                2MnO4-+16H++5H2O2+10e-→2Mn2++8H2O+5O2+10H++10e- 

 両辺に10e-があり、確かに同じ量の電子が移動したことがわかります。もちろんこれは消去し、さらにこではH+が両辺にあるので、左辺に移動してすっきりさせます。

 2MnO4-+6H++5H2O2→2Mn2++8H2O+5O2

 これが、イオン反応式です。問題ではよくここまでの式を求めてきます。まず半反応式を書き、電子の係数が一致するようにそれぞれを何倍かしたのち、両辺を足し算してイオン反応式が完成。

 ただ、ときどき「化学反応式を書け」と要求してきます。化学反応式には絶対にイオンが入っていてはいけないので、このままではマズい。ではどうすればいいか?

 硫酸酸性下ということは、溶液中にはSO42-が存在します。また、MnO4-はもともとKMnO4から電離したものなので、K+も存在する。この2つのイオンを用いてすべてのイオン式を化学式にします。

 まず、"2MnO4-"には2つの"K+"を加えて"2KMnO4"にしてもともとの式にします。"6H+"には3つの"SO42-"を加えて"3H2SO4"にする。H+は硫酸から電離するはずからね。これで左辺をすべて化学式にしました。

2KMnO4+3H2SO4+5H2O2→2Mn2++8H2O+5O2

次は、右辺です。当然、左辺と同じイオンを加えないと式を崩すことになるので、左辺で用いた2つの"K+"と3つの"SO42-"をきっかりと余すことなく使わないといけない。
 そこで"2Mn2+"には3つのうちの2つの"SO42-"を使って"2MnSO4"とします。これですべて右辺は化学式になりました。

2KMnO4+3H2SO4+5H2O2→2MnSO4+8H2O+5O2

 しかしこれで終わりではありません。まだ左辺で使った2つの"K+"と1つの”SO42-”が余ってます。ではどうするかというと、これらをくっつけてしまえばいいんです。つまり、右辺に"K2SO4"を加える。こうすれば文句なく化学反応式が完成します。

2KMnO4+3H2SO4+5H2O2→2MnSO4+8H2O+5O2+K2SO4

 このように、聞き方としては「イオン反応式で書け」と「化学反応式で書け」の2通りがあるので、しっかりと問題文を読むことが大事です。

 ◆酸化還元反応

 酸塩基のときと同様、、酸化還元にも滴定が存在します。酸塩基ではちょうど酸からのH+モル数と、それを受け入れる物質(つまりOH-)のモル数が一致したときが中和であり、終点でした。酸化還元でも考え方はほとんど同じで、還元剤から放出される電子のモル数と、酸化剤が受け取れる電子のモル数が一致したときが終点です。

(還元剤から放出される電子のモル数)=(酸化剤が受け取れる電子のモル数)

 この式は、酸化還元反応の定義に忠実な式であり、基本の考え方はここに集約されています。ではこれを用いて滴定による計算方法を見ていきましょう。

 [例 題] 
 0.050mol/lのシュウ酸水溶液を(  X  )を用いて20mlとり、(  Y  )に移した。一方、濃度未知の過マンガン酸カリウムの硫酸酸性水溶液を(  Z  )に入れ、滴定を開始した。このとき(  Z  )の目盛は1.00mlであった。しばらくして(  Z  )の目盛が10.02mlのとき、(  Y  )の溶液は(  a  )色から(  b  )色を呈した。

 問1 X〜Zに適当な器具名を書け。
 問2 この反応のイオン反応式を書け。
 問3 過マンガン酸カリウム水溶液の濃度を求めよ。
 問4 a、bに適切な色を記入し、さらにその理由を述べよ。

 [解 説] 
 問1 基本的に操作は酸塩基滴定のときとほとんど変わりません。唯一の違いは指示薬がないということです。これについては問4で詳しく述べます。ですから、当然器具も全く同じものを用います。ちゃんと酸塩基滴定の流れを知っている人ならば解答できるはずです。よく知らない人は【中和滴定】で復習してください。

 問2 イオン反応式を書くにはまず、半反応式が書けなくてはいけません。過マンガン酸カリウムではMnO4-→Mn2+、シュウ酸ではC2H2O4→2CO2からつくることになります。過マンガン酸カリウムはすでにつくり方を例としてあげたのでここではシュウ酸のみについて書いていきます。

 C2H2O4→2CO2

Tは"O"の数をあわせるのでした。しかしこの場合ではすでにあっているので、Tはパスします。Uは"H"の数を合わせる。左辺に2つあるのに対し、右辺には1つもないので、右辺に"2H+"を加えます。

 C2H2O4→2CO2+2H+

 Vでは電荷をあわせるのでした。左辺にはイオンがないので電荷は0。それに対し右辺は2+なので、"2e-"を右辺に加えます。

 C2H2O4→2CO2+2H+2e-

 これで半反応式が完成しました。それぞれの半反応式は、

 MnO4-+8H++5e-→Mn2++4H2O …@
C2H2O4→2CO2+2H++2e-   …A 

 電子数を合わせるために、@×2+A×5をして整理すると、

2MnO4-+6H++5C2H2O4→2Mn2++8H2O+10CO2

 これでイオン反応式の完成です。

 問3 さて、問1・2は今までの復習でした。ここからが今回のメインです。求めたい過マンガン酸カリウム水溶液の濃度をCmol/lとおきます。
 まず、還元剤であるシュウ酸のモル数は0.050×20/1000(mol)です。ここで反応式を見てもらうと、シュウ酸1molから電子が2mol放出されることがわかります。つまり、シュウ酸の2倍分のモル数の電子を放出するわけです。

(還元剤から放出される電子のモル数)=0.050×20/1000×2

 次に、酸化剤である過マンガン酸カリウムのモル数はC×(10.02−1.0)/1000(mol)です。反応式からは、過マンガン酸カリウム1molで電子を5mol受け入れることがわかります。つまり、過マンガン酸カリウムの5倍分のモル数を受け入れることができる。

(酸化剤がから受け入れる電子のモル数)=C×(10.02-1.0)/1000×5

 公式から、0.050×20/1000×2=C×(10.02-1.0)/1000×5という式が完成し、あとはこれを解けばよい。

 この解き方は酸化還元反応の定義に乗っ取った考え方ですが、実はもう1つの解き方があります。それはイオン反応式の係数比から求めるというものです。
 イオン反応式から、過マンガン酸カリウムとシュウ酸が2:5の比で反応することがわかります。よって、

 C×(10.02-1.0)/1000 : 0.050×20/1000 = 2 : 5

 あとはこれを解けばよいのですが、結局上の式も下の式も全く同じであることに気付くはずです。自分の好きな方でやって構いませんが、上の式は半反応式のみでよいのに対し、下の式はイオン反応式を出してからでないいけないので、その分上の方法をオススメします。

 問4 先ほど、酸化還元滴定と酸塩基滴定の違いは指示薬の有無だということを言いました。もちろん一部には指示薬を用いる特別な場合(ヨウ素滴定のデンプン溶液など)、基本的に指示薬は入れません。ではどうするかというと、酸化剤自身の色の変化を利用するのです。中でも過マンガン酸カリウムは、その色の変化がはっきりしているために非常によく用いられます。過マンガン酸カリウムでは、MnO4-が濃赤紫色に対し、Mn2+は淡桃色(ほとんど無色)なため、フェノールフタレインのように終点を決定しやすいのです。
 ここでは、赤紫色の過マンガン酸カリウムが滴下されても、すぐにシュウ酸と反応して消費されてMn2+となるため、まるで色が消えたように見えます。しかしこれをどんどん続けていくと、終点でとうとうシュウ酸がなくなるためにMnO4-は消費されずに溶液中に残ってしまいます。これが溶液全体に広がるために淡い赤色となるわけです。淡くなるのは一滴の濃赤紫色が溶液全体に広がるために色が薄くなるからで、薄いからMn2+だとカン違いしないでください。あくまでもMnO4-によるものです。よって答えは、無色→淡赤色です。

 [解 答]
問1 X ホールピペット  Y コニカルビーカー(三角フラスコも可)  Z ビュレット
問2 2MnO4-+6H++5C2H2O4→2Mn2++8H2O+10CO2
問3 
問4 a 無  b 淡赤

 

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