観光で地域活性化は可能か
観光は地域総合産業――だから基幹産業になる
「日本の観光」(前頁)でも書いたけれど、観光の特色はなにより地域の総合産業である。観光客という第2の市民がやってきて消費活動を行なう。それに刺激されて域内経済が動き出す。
地域観光にはマーケティング戦略が必要
いままでの観光といえば、単純に集客することだけが課題だった。集客すればそれでいい。だから、イベントだ、祭りだ、大会だ、花火だと、集客にカネをつぎ込む。ちょっと待った。「戦略」とはそんな単純なものではない。
①その地域へ、1年間に、観光客が何人来て、何円消費してもらいたいのか。それを地域の資源・施設との兼ね合いを計算しながら計画する。人口5万人の地域が年間100万人・100億円の観光客数と消費額を当て込むとしても(これは一流の観光地だ)、それだけ集客できる資源があって、それだけ消費を得るビジネスモデルがあるのか、ということ。
②そのような計画を煮詰めることで、その地域に適切な観光客の数は何人なのか、そこではどの規模の消費が確保できるのかを、つかみとっていく。
③それを実現し、その規模を着実に少しずつでも拡大していくには、どのようなやり方があるか、を研究して実行する。
これを「観光マーケティング」という。
いつも思うことだけど、日本の都市に「観光マーケティング」が、なぜか、ない。それを誤解してか、ポスターをつくったり、ホームページを設けたり、東京駅へキャンペーン隊を送ったり、それが観光マーケティングだと思っている。それは広報作業であって、とても戦略と呼べるようなものではない。
地域マーケテイング戦略の中心はコンセプトメーキング
地域マーケティングの中心になる作業は、地域のコンセプト・メーキングだ。簡単にいうと「○○のまち」を形成して、それを1年ごとに磨きをかけていく作業だ。
例をあげると、「日本の首都東京」「商人のまち大阪」「日本の古都京都」であり「歌劇のまち宝塚」である。これならあちこちにありそうだけれど、問題は
それに磨きがかけられているかということ。「日本の古都京都」だけではすでにピンボケで、本当は「和心のまち」でも「日本料理は京料理」でもコンセプトを常にリフレッシュしなければならないのだけれど、それはやってない。京都の場合、「日本の古都」は強烈なコンセプトだからこのままでもあと100年持つけれど、大阪は「商人のまち」では、すでに持たない。だからといって次のコンセプトが打ち出されているわけではない。数年ごとにコンセプトを修正し、1年ごとに微妙に変化させていって、都市のイメージは行き続ける。
もっと小さな都市ならなおさらで、長崎では「グラバー園の長崎」「平和公園の長崎」なんてとっくに通用しなくなったから「まち歩きのまち長崎」を打ち出した。「長崎さるく博」は、実は、新しい都市コンセプトを打ち出すキャンペーンだったのだ。「長崎さるく博」についてはここから
あなたのまちも「魚のまち」「グルメのまち」ではダメであって、もっと深く掘り下げて、1年ごとの変化を加えて、打ち出さなければならない。
コンセプトの打ち出しには智恵を使う
コンセプトをリニューアルして打ち出すだけで、その地域の集客力は大幅に改善される。問題は、打ち出し方である。
①マス広告はあきらめよ。何億円という高額のキャンペーン費用なんてナンセンスだ。
②パブリシティをやるなら「地域コンセプト」に集中せよ。
③そのために小さな(経費のかからない)イベントをたくさん上手に組合せよ。
④それには、住民の(当事者の)意思と協力が不可欠である。
⑤住民の手作りの広報を考える。
コンセプトのリニューアルから上記の一連の作業を統括的にやると、非常に効果的なキャンペーンになる。
ついでに言っておくが、観光地の改良というとすぐに建物や道路の整備、景観の改良を唱える人たち(観光プランナーやいわゆる業界人)がいるが、それだけで集客は不可能だ。それ以前に、リコンセプトという作業をやるべし。これには大した費用はかからない。
「長崎さるく博」は、これらを実に見事にやり遂げて、720万人のまち歩き、1000万人の集客、「まち歩きのまち長崎」を実現した好例だけど、もうひとつ、私が感心した実例を能登の七尾で見つけたので紹介しておきたい。




