−日記帳(N0.224)2002年 6月 4日−
日本、Wカップ初得点!

今日のこの日が来るのが怖かった。
でも近づいてくると恋人とのデートを待つような
ゾクゾクするようなあの耽美な思いが胸を締め付ける

埼玉のスタジアムに「君が世」が鳴り響いた時
目頭が熱くなるのを覚え思わず口ずさんだ
画面に映る選手の口も動いていた

キックオフ、中田の足がボールに触れた
待ちに待ったこの瞬間が来た
こうしてここにいることの幸せをかみしめた


こんな下手な散文詩を思わず書きたくなる衝動に駆られた感動の90分間でした。 これまでオリンピックなど、数々の国際的なスポーツ競技で日本が活躍するシーンをテレビ画面で観てきましたが、これほどまでに緊張感、臨場感、一体感をもって喜怒哀楽を惜しみもなく発散して感動を覚えたことは有りません。

6月4日午後6時、埼玉スタジアムでH組の初戦として日本は欧州の名門ベルギーと対戦しました。 前半はややベルギー優勢に終始し無得点のまま終了しました。後半12分、相手のFKの際にオフサイドトラップをかけようとしてDFを上げた時、FKのボールをクリアしたものオフサイドにならないままノーマークで2列目にいたウイルモッツがクリアされたボールを後ろ向き様にオーバーヘッドでシュートすると、ボールは無情にもゴールネットを揺らしてしまいました。

この瞬間、目の前が真っ暗になった感じで、思わず頭を抱え負けを覚悟しました。前半からのベルギーの堅い守りからしてとてもゴール出来るような雰囲気ではなかった上、5月のレアルマドリードとノルウエー戦でも同じようなパターンで失点していましたのでこのディフェンスの弱点が修正されていないのではとの不安も有ったからです。

ところが、その2分後の14分、左サイドでボールを持った小野と目が合った鈴木は小野からのロングボールを受けると相手DFの背後に走り、相手DFは当然自軍のGKのボールと判断して足を止めた瞬間、鈴木は諦めずに猛然とボールを追い、相手GKと1対1になりGKがキープしようとした寸前に前向きにのぞけるるように倒れ込みながらツマ先でつつくようにしてゴールに押し込みました。

地響きのようなサポーターの歓呼の声の中、鈴木は真っ先にベンチのゴン・中山に抱きついていきました。 スピードに弱いベルギーの急所をついた見事な速攻でした。まさに、わずか2分の間に見た天国と地獄、これがサッカーなんだと手の痛さを忘れてテレビ画面に向けて妻の制止を振り切って拍手を送り続けました。

そして、22分、カットした柳沢からのパスを受けた稲本は巧みなステップで相手ペナルティーエリアまで切り込みフリーになった状態で左足できれいに振り抜いてゴールした時はもう大変でした。アナウンサーの絶叫、サポーターの大歓声に負けじと私も大声を張り上げてしまいました。 残りが23分も有るのにもう勝ったような気分でした。

しかし、その喜びはそれから8分後の30分に脆くも消え去りました。森岡が左アキレス腱を打撲して宮本と交代したわずか2分後の後半30分。右からのFKのクリアと同時に最終ラインを上げてオフサイドトラップをかけようとした瞬間、2列目からファンデルハイデンに飛び出され、ボレーシュートされたボールは無情にも楢崎の頭を越えてゴールに飛び込んでいきました。 残念!。
−日記帳(N0.224)2002年06月 4日−
日本、Wカップ初得点!




初の失点と同じく2列目から入ってくる選手に対処出来ないオフサイドトラップミス、レアルマドリードとノルウエー戦以来同じミスによる失点が続いているだけにこの弱点を狙ってくるロシアが気掛かりです。 このミスは日本独特のディフェンス戦略のフラット3の崩壊によるもので、今更別の戦略に変えることも出来ませんのでベテランDF秋田の起用あたりを考えてみたらどうでしょう。

2―2の後半42分、右サイドに流れた中田のパスを受けた稲本が、森島とのワンツーと2人のベルギーDFの間をすり抜け、1度はボールを奪われたが再びボールを奪い返してもう1人のDFを鋭い切り返しでかわし左足でシュート。ゴールネットを揺らしたが、DFと競り合った際にスパイクの裏を見せたために危険なプレーの反則(間接FK)をとられてゴールは認められず、幻のゴールに終わりました。

このファウルは審判の誤審で本当は日本が3:2で勝ったのだとの意見も有りますが私はそうは思いません。素人の私には判りませんが、ジーコや武田の解説では明らかに稲本選手は足をボールではなく相手DFの足の方に向けてブロックしようとしていたのでファウルを取られてもしかたないし、審判のファウルの笛を聞いた相手選手がディフェンス行為を止めていたので後の稲本はゴール出来たと思うのです。逆に言えば、ファウルでなかったら稲本は2人の相手DFに挟まれて強烈に抵抗されてゴール出来なかったと思います。

むしろ、終了直前に日本のペナルティーエリア内で楢崎、松田両選手が相手選手を倒したのは明らかにファウルで、あれこそ審判の誤審ではないかとの見方は解説者にも共通していたようです。ファウルならまず間違いなくPKで日本は失点して負けていた可能性大と思われます。その前の誤審を帳消しにするために敢えてフォウルにしなかったのかも知れません。そんな意味でもこの試合は引き分けが妥当でそれでよかったのだと私は思います。

日本としてはWカップ初の得点、そして後半からのサントス投入をきっかけにスピードを生かした得点のしかたに自信をつけたことが大きく、引き分けでも充分得るところが有ったと思います。あとは、フラット3の強みをいかしつつ、オフサイドトラップで2列目から入ってくる選手に如何に対処するかを充分研究しておけば、残り2戦を1勝1分以上して決勝トーナメントに進出することも夢ではないと思います。

サッカーの面白さ、難しさ、スリル感、そしてWカップの素晴らしさ、凄さ、豪華さが漸くこの日本でも認知されたことは嬉しい限りです。この日記でご紹介しましたように、高校時代に母校が全国優勝を何回しても新聞の片隅に載るだけで、勿論テレビの放映もなく、殆どの人たちに見向きもされなかったサッカーのこの人気がWカップ開催時の一時的なブームに終わらないことを祈らずにはおられません。
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