●「静定と不静定」、「安定と不安定」

 「静定」とは、力のつりあいだけで(すなわち剛性に関係なく)、各部の断面力が定まってしまうような構造のことです。2次元の場合には、xとy方向の力のつりあいおよび曲げモーメントのつりあいに関する3個の式から、反力や各部の断面力が決定できるような構造が静定になります。静定構造の場合には、部材断面の形(断面積、曲げ剛性など)や材質(ヤング率など)に関係なく、反力と断面力が決まるので、設計が簡単になります。すなわち、断面力が最初からわかっているので、これに見合った(応力が許容値に入る)断面を決めればいいのです。

 一方、力のつりあいだけから反力または断面力を決められない構造を「不静定」と呼びます。この場合には、構造の剛性によって反力または断面力の値は違ってきます。設計のときには、静定構造と違って断面力が一義的に決まらないので、断面形状を仮定して断面力を求め、断面力が大き過ぎたり、逆に小さ過ぎて不経済な場合には、断面形状を修正して再び断面力を求めなおすという繰返し計算が必要になります。

 「不静定次数」という言葉がありますが、図のような場合にはこの次数は1になります。つまり、力のつりあい式(今の場合は、x、y方向の力のつりあいとモーメントのつりあいの計3個)よりも、反力の数(4個の未知数)が1個多いという訳です。「あの構造は不静定次数が高い」などと言いますが、これは部材の数が多くて複雑な構造であるとか、支点の数が多いような構造のことを指しています。したがって、不静定次数の高い構造は、少々部材が折れても、支点がつぶれても、全体としては不安定になりにくいので、一般には安全性が高いと言えます。

 最後に「不安定」とは、読んで字のごとしで、外力がかかると力のつりあいがとれなくて構造が崩壊してしまうような場合を指します。難しく言えば、不静定次数がマイナスになることです。「安定」とは「不安定」でないこと(ナンノコッチャ)。

 設計者にとっては、静定構造が最も簡単で設計し易いので、世の中全部これにしてほしいのですが、安全性、意匠性、経済性など種々の理由からほとんどが不静定構造です。ただし不安定構造は、ブランコなど以外にはめったにありません。

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