「剛性」は「堅さ」のことですが、構造力学では「力=剛性×変形」という形で力と変形とを結びつけています。つまり、ある一定の変形を構造物に与えた場合、剛性が高いほど発生する力は大きくなります。逆に、一定の力を与えた場合には、剛性が高いほど変形は小さくなる訳です。力→応力、変形→ひずみ、と言い換えても同じことが言えます。
さて、構造物の設計とは、与えられた設計条件に対して変形と力(ひずみと応力)を許容値内に収めるようにする作業ですから、つまるところ「剛性を最適に調整する作業」と言い換えることができます。したがって、剛性を上げる(または下げる)手段を知っておくことは大変重要なことです。以下では剛性を上げる方法について書いてみます。もちろん、剛性を下げたい場合には、逆に考えればいいだけです。
・材料のヤング率を上げる。
アルミニウムを鋼に、プラスチックを金属に、ゴムを石にといった具合です。
・斜め部材を入れる。
つっかい棒を入れると剛性は上がります。また、梁として使う場合には、ハーモニカ組みよりも斜材を入れた方がせん断変形が小さくなるので剛性が上がります。あるいは、構造全体のねじり剛性を上げる場合、長手方向に斜材を入れるのは大変有効です(断面内に斜材を入れてもほとんど効かないのでご注意を!)。
・部材の断面剛性を上げる。
軸力を受ける部材の場合は単純で、断面積を増やせばいいだけです。また、曲げを受ける部材の場合には、断面2次モーメントを上げればいい。ねじりを受ける場合には、ねじり定数を上げればいい。 ?????。あっさりし過ぎていますか?。では例を挙げておきます。I型断面の曲げ剛性を上げるには、ウェブを高くすることが最も効果的です。フランジの幅を拡げるのはその次の策、ウェブの厚みを増すのはほとんど効果なし。つぎに、断面のねじり剛性を上げるには、閉断面にすることが効果的です。

・部材を引張ると剛性が上がる。
これは、ちょっと面白い方法です。部材に張力を入れておくと、荷重を与えたときの変形が小さくなるのです(原理図を見てください)。この剛性は、これまでに説明した構造物が本来持っている剛性とは違うので、「みかけの剛性」とか「幾何剛性」などと呼んでいます。例えば、吊橋はこの性質を利用して風に耐えています。つまり、自重によってケーブルとハンガーに張力が発生し、横方向の剛性が出ているのです。また、タイヤが重い車体を支えていられるのも、この原理によっています。タイヤのゴムの剛性だけで車体を支えられるはずがないですね。そうです、空気の圧力によってゴムに張力が発生するので、みかけの剛性が出てくるのです。