茶臼山高原山麓のカエルの種類

ネバタゴガエル(アカガエル科)
 全国に生息する普通のタゴガエルは、染色体数が26本で、「グウ・グウ」と鳴くのに対して、本種は、染色体数が2本多い28本で、「グウ・キャン・キャン」と鳴くのが特徴。愛知・長野両県にまたがる茶臼山高原の周辺、およそ半径40qに生息しており、北里大学医学部の龍崎正士先生の染色体分析や交配実験の結果、2005年に新種と確認された。翌2006年には、長野県根羽村の天然記念物に指定された。

 


モリアオガエル(アオガエル科)
 木の上に泡巣を作り、その中におよそ500個の卵を産むことで知られている。卵はおよそ1〜2週間でオタマジャクシになって、下の水たまりに落ちていくが、生まれたばかりのオタマジャクシは、イモリなどの大好物でもあり、多くがそれらのエサとして消えていく。3年以上生存して、親ガエルになれるのは、この中のほんの数匹でしょう。
 モリアオガエルが水辺で生活をするのは、繁殖期の1ヶ月ほどで、あとは周辺の森林の木の上で、ガなどの虫を捕まえて生息している。8月に、茶臼山山頂付近のブナの巨木の枝でじっとしているモリアオガエルが目撃されているが、山頂は、水辺から700m以上も離れている。
 茶臼山高原は、南信州で最大規模のモリアオガエルの繁殖地でもあり、天然記念物指定の審議が行われている。


ツチガエル(アカガエル科)
 「古池や蛙飛び込む水の音」という松尾芭蕉の俳句に登場するカエルこそ、このツチガエルであろうと言われている。本種は、常に池などの水辺にいて、人の気配などで、すぐに水の中に「ポチャン」と飛び込むことで知られている。
 ツチガエルのオタマジャクシの期間は長く、冬を越して1年間もオタマジャクシのままである。時々、秋や冬に「オタマジャクシが見つかった」と話題になることがあるが、その8割は本種と思われる。あとの2割は、発育の遅れたアマガエルやウシガエルなどであろうと思われる。




ヤマアカガエル(アカガエル科)
 かつて食糧難の時代に、人々の貴重なタンパク源でもあった本種は、「カエルの中では一番おいしい」と言われている。食用のウシガエルよりも味はよいとのことだ。
 繁殖期が早く南信州では2月から卵が見られるが、標高の高い茶臼山高原では、早くても3月の下旬である。まだこの頃は、最低気温が氷点下になることも多く、氷の中に卵が見られることもある。
 本種のオタマジャクシはオタマジャクシの期間が割合長く、およそ2ヶ月である。エサもなさそうな水たまりに産卵されていることもよくあるが、オタマジャクシは、落ち葉でもなんでも食べられるものなら食べるし、究極の選択は「共食い」である。




アズマヒキガエル(ヒキガエル科)
 「ガマ合戦」で知られるヒキガエルの繁殖期も比較的早く、茶臼山高原では4月である。
卵の数は、3000個くらい、標高の高い地方のヒキガエルは、やや小型であるから、その分少ないように感じている。
 1ヶ月ほどで子ガエルに変態するが、その子ガエルの小ささには誰もがびっくりする。5円玉の穴を通ることのできるサイズである。時々、この子ガエルを見た人が、「新種ガエルか?」などと興奮することがあるが、ヒキガエルの子ガエルである。
 長野県の北の方に、「岩松院」という有名なカエル寺がありますが、ここの池には、かつては1500匹ものアズマヒキガエルが繁殖にやってきたそうです。最近では150匹くらいに減ってしまったそうですが、カエルが生息するには、産卵場所となる池などがあり、その上で、周辺にエサとなる虫が十分に得られる森林(広葉樹林)がどれだけあるかが重要になってきますので、カエルの保護は、森林の保護からですね。




カジカガエル(アオガエル科)
 まるでセミか小鳥が鳴いているような、カエルとは思えないきれいな鳴き声の主はカジカガエルです。茶臼山高原を少し下流に下りていきますと、根羽村でも売木村でも豊根村でも、この美声を5〜8月の比較的長い期間、耳にすることができる。
 モリアオガエルと同じアオガエル科のカエルであるが、緑色になることはなく、地味な灰色のままである。アオガエル科のカエルらしく指先の吸盤が発達しているので、岩の上り下りは簡単にできる。
 かつて下呂温泉を流れる川には沢山のカジカガエルが生息していたそうですが、河川工事や水質の悪化、森林の減少などが原因なのか、ほとんどいなくなってしまったそうです。
下呂は「ゲロ・ゲロ」とカエルのふるさとのように感じていたのですが。




シュレーゲルアオガエル(アオガエル科)
 モリアオガエルと間違えられやすいが、本種の方が小型で、目のまわりが金色に輝いている。モリアオガエルと同じように泡巣を作るが、モリアオガエルはソフトボールくらいあるのに対し、本種のはピンポン玉くらいであり、木の上には作らない。
 鳴き声も、モリアオガエル(ココココ・・・)よりも高く、「リリリリ・・・」と聞こえる。モリアオガエルよりも早く繁殖期に入るが、6月は両者の繁殖期が重なる時期で、同じ池で競って鳴く姿が観察できる。




アマガエル(アマガエル科)
 緑色のアマガエルはよく見かけるかと思いますが、アマガエルは、気温や周囲の環境によって体色の変化が巧みで、黒っぽくなったり、灰色になったり、まだら模様を出したりもします。ただ、水色や黄色のアマガエルの場合は、色彩の突然変異による異常であって、カエルの意思とは無関係です。
 アマガエルは、湿度の変化に微妙に反応して、雨が近いとよく鳴きますし、水槽の中でも上の方に行きます。アメダスならぬアマダス天気予報です。
 アマガエルは乾燥にも強く、都会のビルの中でも生きられます。日本のカエルの中では、環境の変化に最も耐えられる強いカエルと言えるように思います。




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