
ジャージーデビル・プロジェクト

「ブレアウィッチプロジェクト」よりも早く「擬似ドキュメンタリーホラー」という方法論を確立したとされる「ジャジーデビル・プロジェクト」
それが本当だとしたら、この画期的とも言える新しいホラーのスタイルを発明したこの作品はホラー映画史上、重要な作品であると言えるのだが、本当に「ブレア」よりも早かったのかな?
劇中の時代設定は1995年。
確かに「ブレア」よりも早い。
だとしたら「ブレア」公開前に製作されたこの「ジャジーデビル・プロジェクト」はもっとリスペクトされるべき作品であると思うのだが、なぜか世間的な評価は「ブレア」の2番煎じ。
話題になったのも「ブレア」のヒットを受けてのことだった。
ちょっとばかり不運な作品だと思う。
「ブレア」公開時には「まるで本物の怪奇ビデオ」のように見せる、この「擬似ドキュメンタリーホラー」というスタイルは、その斬新さから非常に話題になったものだが公開後は「ちっとも怖くない」とか「全然面白くない」、「退屈極まりない」、あげく「カメラがグラグラ揺れて見ていて具合が悪くなる」と散々な評価。
そのせいか「擬似ドキュメントホラー」というスタイル自体が全否定され、この手の映画は1発ネタだということで評価が固まってしまった。
結果「ブレア」以降、このスタイルで撮られたホラー映画というのはまったくないのだが、自分はこの「擬似ドキュメンタリーホラー」というスタイルが非常に好きである。
「どうせ作り物のヤラセホラーなんか見てもしょうがない」というのが、このジャンルを否定する多くの人々の統一見解だが、自分はヤラセでもなんでも、「いかにも本物っぽくとられた怪奇映像」を見るのが楽しくてしょうがない。
それが最初っから嘘だとわかっていても楽しめてしまう。
なので「ブレア」以後も、こうした映画をもっと見たかったのだが、後に続く作品がまったく現れないことを残念に思っている。
日本には「本当にあった呪いのビデオ」という、「擬似ドキュメントホラー」の快作シリーズがあるので嬉しいが・・・・。
そんな「呪いのビデオ」シリーズを劇場公開作品としてブローアップした「ノロイ」は個人的にはかなり好きな作品。
しかし案の定「インチキ臭い」と評判は散々だ。
インチキなのは最初っからわかってる。
そのインチキさを楽しめなければ、「擬似ドキュメントホラー」なんて楽しめないのだが
「インチキをインチキとして楽しめる」人間と言うのはごく稀であるらしい。
インチキ映像をいかにそれっぽく見せるかというのが、この映画の面白いところだと思うのだが・・・・。
言ってみれば本物そっくりの蝋で出来た料理の見本。
ああいうのを見て「すげえ!まるで本物みたいだ!」と感激出来るような心。
そういうものをホラー映画に求める気持ちがないと、やっぱ全否定になっちゃうんだろうな。
そうした見るからに「本物っぽいホラー」になっているかどうかが、この「擬似ドキュメント」の評価基準であるが、「ブレア」は及第点「ノロイ」はやや詰めが甘く残念、そしてこの「ジャジーデビル・プロジェクト」はかなりの高得点をあげられるくらいの上出来な作品だ。
「ジャジーデビル」なるUMAを探しに森へ撮影に行くテレビクルー。
いってみれば「水曜スペシャル」の川口浩探検隊のごく小規模な撮影みたいなもんである。
その撮影隊が森の中で死体で発見される。
撮影クルーの中で唯一生き残った男が犯人として逮捕される。
生き残りは犯行を否認するが有罪判決を受け刑務所に収監される。
ほどなくしてその男は獄中で不可解なし死を遂げる。
不審に思ったある映画監督がこの事件を取材したドキュメント番組というのが、この「ジャジーデビル・プロジェクト」の体裁である。
「ブレアウィッチ」は行方不明となった映画学校の生徒が撮ったとされるビデオテープでまるまる1本の映画にしたてたというスタイルだったが、これだと映画1本にするにはちょっとばかり冗漫でもたついていた印象がある。
しかし「ジャジーデビル・プロジェクト」では「ドキュメンタリー番組」のスタイルをとっており、撮影クルーが撮影していたとされるビデオの映像は番組内で要所要所を効果的に使用しているため、「ブレア」に比べはるかにテンポがよくキビキビしている。
非常に興味深い海外ドキュメンタリー番組を見ているときの感覚である。
不気味さと言う点においては「ブレア」に1歩譲るものの、全体的なクオリティは「ブレア」以上だと思う。
それだけにラスト間近で「ドキュメンタリー」というスタイルをかなぐり捨てて通常の映画に戻ってしまったところだけは残念。
最後まで「ドキュメンタリー」というスタイルを貫いて欲しかった。
が、ラストに至るまでの「本物っぽさ」は非常に高く評価出来るものである。
ラストから解釈すると結局「ジャジーデビル」はUMAというよりも文字通り「悪魔」であったかのように思える。
撮影クルーが何者かに襲われる瞬間の映像はなかなかに怖い。
それにしても、このあたりは「ブレアウィッチ」そっくりである。
「ブレアウィッチ」はこの「ジャジーデビル」をそのままパクったんじゃないかと思うほどに似てる。
怪物の正体が「森に潜む悪魔」ってところも「ブレアウィッチ」の魔女とキャラがかぶってるしなあ。
「擬似ドキュメントホラー」が好きな理由の一つは破格の低予算で撮影が可能だということだ。
アマチュアのスタッフとホームビデオさえあれば撮影が可能というところが最高の魅力である。
ホラーに限らず映画を製作すとるときに最大の障害となるのが金の問題。
どんなに低予算の映画でも1000万円程度の資金が必要だ。
金の工面がつかず撮影が出来ない企画が星の数ほどある。
映画を撮るのにそこまでの予算をかけなくても可能だということになれば映画の可能性はもっと広がる。
独創的な企画であれば資金提供者が見つからず企画倒れになってしまうケースも多いだろう。
しかし、ごくわずかの資金で映画が作れるとしたら、スポンサーがつきづらい作品であっても世に出ることは可能だ。
技術も金も必要なく、極貧の中でもアイディアさえあれば作品を作ることが可能だったら、もしかして自分にもホラーが撮れるんじゃないか?と明るい希望を持つことが出来る。
技術力と資金が壁とならない、新しいスタイルの映画製作が多くの可能性を実現してくれるんじゃないかとも思った。
これは自分はロックにおけるパンクの登場のように思えて非常にワクワクさせられた。
DIY精神によるパンクなホラー映画の台頭。
虐げられた貧乏人映画ファンが表現手段を与えられ、メジャー映画に牙を剥き始める。
なんてことが起こるような気がしていた。
しかし今のところ、こうした激安低予算「擬似ドキュメントホラー」の受けは悪い。
「ブレア」登場時の勢いは、あっけなく失速してしまった。
なんだか残念である。
しかし、低予算擬似ドキュメントホラーの可能性はゼロではないと信じている。
そのうち「ブレアウィッチ」や「ジャジーデビル」のような魅力的な作品が現れるんじゃないかと楽しみにしている。
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