
死霊のはらわた

80年代ホラーの大傑作!
スプラッター映画、ゾンビ映画の人気が盛り上がりつつあった80年代初期に、それらの決定版といえる作品が突如現れ、世界中を恐怖のどん底に叩き込んだ!
それがこの若き新人映画監督、サム・ライミの撮った「EVILDEAD」です。
そう、いまやあの「スパイダーマン」シリーズでハリウッドのドル箱監督になった大物サム・ライミが無名時代の若き日に世界の映画界に叩きつけた挑戦状が、この「EVILDEAD」でした。
かつてない残酷描写、映画史上、類を見ないほどの醜悪でグロテスクなモンスター。
こんな恐ろしいものをスクリーンに送り込んだ人間はそれまで誰もいませんでした。
「EVILDEAD」は瞬く間にアメリカ全土で大ヒット。
ホラー映画評論家は「誕生した瞬間から古典ホラーとなることを決定付けた」と絶賛しました。
しかし、この「EVILDEAD」、日本での公開はずっと見送られていたのです。
アメリカでこれだけヒットした映画を、ずっと未公開のままにしていたのはなぜなのかわかりませんが、おそらくそのあまりの残酷さと気持ち悪さに恐れをなし、日本の映画配給会社は怖れをなしたに違いありません。
こんな気持ち悪くておぞましい映画なんて公開出きるわけない。
そんな風に考えていたのではないでしょうか?
そのため日本では未公開のままだった「EVILDEAD」ですが、こんな大傑作を日本のホラーマニアが見逃すわけも無く、輸入ビデオなどで鑑賞したファンの間でクチコミで話題が広がり、未公開の傑作ホラーとして有名になりました。
そんなファンの間での盛り上がりを無視できなくなったのか日本の配給会社はいよいよ「EVILDEAD」の公開に踏み切ります。
アメリカでの公開は82年、日本での公開は84年。
およそ2年も遅れての公開となった「EVILDEAD」は、日本タイトルは「死霊のはらわた」という、なんともおぞましい、この映画にぴったりのものでした。
さて公開された「死霊のはらわた」は当然大ヒット、日本では全国的に「死霊のはらわた」ブームが吹き荒れます。
これまでのホラー映画の全てを超えるほどの怖さと残酷さと気持ち悪さに、日本中が叫び、恐れおののきました。
「死霊のはらわた」はホラーファンなら誰でも見ている普及の名作ですので、いまさらストーリーを説明する必要もないと思いますが、簡単に要約すると、ある森の奥の山小屋に男2人と女3人の若者が遊びにやってきます。
男2人はアッシュとスコット。
女3人はリンダ(アッシュの彼女)、シェリー(スコットの恋人)、シェリル(アッシュの妹)
彼らは山小屋に泊まり、楽しく過ごそうと考えていたのですが、小屋の地下室から古いテープレコーダーを発見、そしてそれに録音されていた奇妙な呪文を再生してしまったことから恐ろしい恐怖に見まわれるのです。
テープに呪文を録音していたのは、かつてこの小屋で中世から伝わる謎の古文書を研究していた学者。
呪文はその古文書「死者の書」にかかれていたものを解読したものだった。
そしてその呪文は中世に人間達を恐怖のどん底に落とし入れた恐るべき「死霊」を復活させるものだったのだ。
テープの再生によって復活した「死霊」
「死霊」には実体はなく、人間に取り憑き、その姿をおぞましいゾンビに変えてしまうのだ。
まずはアッシュの妹、シェリルが死霊となる。
その顔は白目を向き、皮膚は死人のそれのように腐り爛れていく。
死霊化したシェリルは人間とは思えない怪力で暴れまわり、アッシュたちに襲いかかる。
なんとかシェリルを地下室に閉じ込めることに成功したアッシュたちだが、シェリルに襲われ傷を負ったリンダ、シェリーも次々と死霊に変身する。
死霊は体をバラバラに切り刻まないと死なない。
かつての恋人だったシェリーを斧でバラバラに切り刻むスコット。
リンダの首をシャベルで切り落とすアッシュ。
山小屋から逃げようとしても、森が意思を持ったかのように襲いかかり、身動きできない。
ひたすら朝を待つアッシュ。
耐えきれず森に逃げ込むスコット。
しかしスコットはやはり森に襲われ、瀕死の重傷を追って山小屋へ戻ってくる。
そして地下室に監禁されていたシェリルは怪力で地下室を脱出、さらに恐ろしい形相と化し、アッシュに襲いかかる。
スコットも死に、そしてその死体は死霊に乗っ取られる。
スコット、シェリルという2人の死霊相手にたった1人で戦うアッシュ。
はたしてアッシュは、この恐ろしい死霊に勝つことが出来るのか?
簡単に要約するするつもりが、ついストーリーを詳しく説明してしまいましたが、これを読んでもらえばわかるとおり、登場人物は5人、物語の舞台となるのは森の中の山小屋といったふうに、限られた人数と限定された空間により物語が進んでいきます。
これは「死霊のはらわた」が、ひどく低予算で制作されたためです。
役者と舞台を限定することにより、制作費を安く押さえたのですが、その低予算がかえって話をわかりやすく単純なものにし、その分、恐怖シーンには力が入ったものとなり、予算とは正反対の、すさまじい迫力を生み出したのでした。
死霊の特殊メイクを担当したのはトム・サリバン。
この名前からは、いやがうえでもゾンビのメイクで有名なトム・サビーニを思い出してしまいますが、もしかしたらサビーニにちなんだ偽名だったのかも知れません。
サビーニゾンビよりももっともっとおぞましくグロテスクな死霊メイクはまさにホラーの歴史に残る仕事ぶりでしたが、死霊シリーズ以外でトム・サリバンがメイクを担当した作品が見当たらないのが不思議です。
これだけのメイクを行ったトム・サリバンはもっと売れっ子になってもいいと思いますが。
そして、アッシュを演じたブルース・キャンベルはその後、サム・ライミ監督の映画の常連となり、ファンの間では人気俳優となります。
「死霊のはらわた」以外では「ダークマン」のラストに現れる男、ジョン・カーペンターの「エスケープ・フロム・LA」に出てくる不気味な整形外科医、などが印象的。
「スパイダーマン」ではプロレスショーのレフェリーの役を演じてました。
「死霊のはらわた」はサム・ライミが友人達を集めて作った、ほとんど自主制作のような映画で、俳優もプロではなく、ライミの友人、知り合いで行っていましたが、アッシュを演じたブルース・キャンベルは「ライミの友達仲間の中で1番男前だった」という理由だけで主役に抜擢されたのでした。
ブルース・キャンベル演じるアッシュは唯一死霊と対等に戦えるスーパーマンとして、続く「死霊のはらわた2」、「死霊のはらわた3、キャプテン・スーパーマーケット」では、さらに人間離れした大活躍をいたします。
「死霊のはらわた」は、もともとはサム・ライミが、78年に自主制作で撮影した8ミリ映画「WITHIN IN WOODS」がもとになっており、この作品は短編映画ながら小さな劇場で公開され、自主制作映画としては異例のヒットを記録し、その収益金によってライミは「死霊のはらわた」を制作したのでした。
「死霊のはらわた」は実質的に、この「WITHIN IN WOODS(森の中で一緒に)」のリメイク作品であり、「WITHIN IN WOODS」もやはり、人里はなれた小屋に遊びに来た若者が死霊となって仲間を殺していくと言うストーリーですが、この作品にもブルース・キャンベルは出演していますが、なんとこっちではブルース・キャンベルのほうが死霊になり、恋人に襲いかかるというストーリーでした。
この貴重な「死霊のはらわた」の元ネタ「WITHIN IN WOODS」は、「死霊のはらわた、20周年記念アニバーサリーDVD」に特典映像として収録されると言う話もあったのですが、なぜか収録は中止されてしまったようです。
「死霊のはらわた」のルーツを探る意味でも、ぜひこの「WITHIN IN WOODS」は見てみたかったのですが残念です。
そして「死霊のはらわた2」、「死霊のはらわた3、キャプテン・スーパーマーケット」と続いていく「死霊」シリーズですが、なんと第4弾「死霊のはらわた4」が制作されると発表されました。
サム・ライミ自身は監督せずプロデューサーに周るらしいですが、内容は第1作「死霊のはらわた」のリメイクとなるようです。
あのいまだに超えるものが現れない「死霊のはらわた」第1作の恐怖を、20年以上経過した現在、どのように再現するのか非常に楽しみであります。
「遊星からの物体X」についで俺のフェイバリットホラー「死霊のはらわた」
ときどき思い出したようにビデオを借りて再見してみるのですが、何度見ても素晴らしい映画です。
まさにホラーの歴史に残る「スプラッター・ゾンビ映画の最高傑作」であります。