<赤木圭一郎の撮影日記より>



僕の作品は、都会を舞台にしたものばかりだったので、これまで地方ロケは一度も無かった。
中学の頃から旅行好きだった僕は、じつのところ地方ロケのある作品を演りたいと思っていた。
この作品では、三重県ロケが有ると聞きご機嫌。
ロケの前日、セットが早く終わったので銀座に出かけた。
旅行鞄、洗面道具、シャツ、下着と用意を整えた。それにしても初めてのロケに仲間の錠さんや
杉山君と一緒に行けるのは嬉しい事だ。
特に錠さんは、ロケ男と異名をとる程、ロケに関しては大先輩。
いろいろとお知恵拝借が出来るので心強い。ロケ地では、撮影の合間をみてのんびり風景を
楽しもう。
ロケ地の四日市に着いて驚く。
プラットホームにファンが大勢押し寄せ、列車から降りるとたちまち取り囲まれて歩く。
今度は駅前広場に集まった黒山の女性ファンが押し寄せる。
引っ張られ、つねられ、さんざんの目に合う。ロケバスに乗車、シャツは破られ、手は引っかかれ
靴はメチャメチャ。さすがの僕も、この歓迎にはすっかり参った。
今更ながら女性の強さに感心させられる。
僕と錠さんの対決シーンは、東洋一のロープウェイを誇るご在所山頂で行われた。
全長2200メートルのロープは、雲に隠れて途中までしか見えないと言うスケールの大きさ。
はるか眼下の谷底が、まるで箱庭のようだ。このスリルは他所では味わえない。
山頂は霧が深くてやっと対決シーンを撮り終えた。僕は自然を大いに満喫し、
きれいな空気を胸一杯吸い込む事が出来た。

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