満足に日の下を歩くこともかなわない自分が、
束の間の日向で出会ったひとりの男の子。
私のような斜な人間が、彼の純粋さに惹かれるなんて
どうして予想できたでしょうか。

ノート5ページ


もちろん彼とは、笑い合う日もあればすれ違う日もありました。
曇らない晴天はないし、晴れない雨天もない。
私は悟史くんの欠席をそのくらいのものだと思っていました。
でも、この時にはもう、彼は完膚なきまでに追い詰められていたのです。

ノート19ページ


自分の行為のあまりの幼稚さに慄きました。
私は自分の寂しさを埋めたいだけ。彼の気持ちなどお構いなし。
それを思えば、悟史くんは本当に紳士的に対処してくれていたと思います。
でも、…沙都子が許せるかどうかは別。

ノート26ページ


自分が詩音であると名乗れば悟史くんを救える。
もちろん、詩音であることを名乗るリスクも気付いていました。
ここで名乗れば、自分は百%鬼婆に囚われる。
でも、その後どういう目に遭うかまでは至りませんでした。

ノート27ページ


悟史くんは、消えた。
でも、消えたのは彼だけじゃない。彼が消される理由さえも、消えた。
ここは人間の世なのだ。人間が消したに、決まっている。
『鬼隠し』で消えてしまったなんて、認めない。

ノート43ページ


このノートを、本当に久しぶりに開いた。
約150ページに渡り、ぎっしりと綴られている、想い。
このノートこそは、胸の奥の封印を開く鍵。
胸の奥に眠っていた去年の私が、ゆっくりと目を覚ます…。

ノート150ページ


彼と一緒の日々に私が飽きることはありません。
だって彼はとてもおちゃめなんですよ?
いつもは私と足音を合わせて歩くのに、
私が急に立ち止まると、焦って一歩余計に歩いちゃうんです。
それがとにかく可愛くて可愛くて。きゅんきゅん☆

ノート159ページ


私の内なるもう一人が教えてくれたのです。
自分が今、魔物の腹中にいることを。
その声がなければ、きっと起きられませんでした。
いや、二度と目を覚まさなかったかもしれません。

ノート165ページ


誰も姉妹の入れ替わりを見抜けません。
それくらいに、私たちは魅音で詩音なのです。

ノート186ページ

戻る