Jane Austen


ジェイン・オースティン

last updated: 8 Jan 2017

Biography +++

【生没】 1775.12.16 - 1817.7.18 (未年生まれ、享年41歳)
【評価・功績】 作品発表当時は今ほどの絶大な人気はなかったが、1869年、甥による『想い出のジェイン・オースティン』出版がオースティンを世界的作家へ導いた。自由間接話法(フィールディングやF.バーニーが先駆者)の発展に貢献したことでも知られている。
【同類の作家】 E.ギャスケルM.エッジワースF.バーニー
【Janeite/Austenite(熱烈なオースティンファン)】 G・エリオットB・ピム、アンソニー・トロロープ
【アンチオースティン】C・ブロンテ、D・H・ロレンス、マーク・トウェイン

「Jane Austenは写実の泰斗なり。平凡にして活躍せる文字を草して技神に入る」 (夏目漱石『文学論』)

「シャイクスピアにも比すべき存在である」 (小泉八雲『英文学史』)

 

Bibliography +++

#1Sense and Sensibility (1811)
『いつか晴れた日に-分別と多感-』 真野明裕(訳) <キネマ旬報社・1996>
『分別と多感』 中野康司(訳) <ちくま文庫・2007>
完成は1797年。3巻本で自費出版。映画化。第一稿時は"Elinor and Marianne"(エリナとマリアン)という書簡体小説(epistolary novel:主人公が書く手紙によって話が進む。)だった。

       

翻訳書で読みました 分別をしっかり持った長女エリナとまだまだ多感な次女マリアンの二人が父親の死後、デヴォンシャーへ移ってから結婚に行き着くまでが描かれています。エリナは本当に落ち着いて頼りになる長女で、妹や母の気持ちを一番に汲み取り、礼儀を忘れない完璧な女性です。まさに凛とした女性の模範的存在です。一方マリアンは、自分の気持ちに正直すぎて態度がぞんざいになり、感情の起伏も激しいロマンティストです。エリナを尊敬すると同時にマリアンのように自由奔放な様にも憧れます。今回この二人の恋の相手となるのが、少し優柔不断で頼りないエドワードと魅力的な容姿を利用して多くの女性をたぶらかすウィロビーです。エドワードと別の家柄ある女性との婚約が決まろうというときに、思わぬ秘密が暴露され親とは勘当され、エリナは一人で心を痛ませます。それに比べ、マリアンはウィロビーとの愛をおおっぴらに周囲に見せ付け、後に彼が裕福な娘と婚約したことを知るやいなや、熱にたおれ周りは大騒ぎとなります。また、どこの世界にもうわさ好きの世話焼きおばさまはいるもので、喜ばしい真実を届けてくれることもあれば、根も葉もない話に混乱させられることも度々です。ほかにも嫉妬にかられ嫌味を言う女性や、騒ぎ事が大好きなおじさん、ケチで自分勝手な義姉など今この時代、誰の近辺でもありうる状況なだけに、穏やかな気持ちでは読めません。オースティンの作品はどれも、登場人物が自分の結婚観や恋愛論をはっきり語ることが多いんですが、200年経った今もあまり変わっていないものだと感じました。

E.テナントによる続編
Elinor&Marianne A Sequel to SENSE & SENSIBILITY 『エリノアとマリアンヌ-続・分別と多感』

映画を観ました 映画は割と良かったです。各人物の雰囲気もよく出ていたと思います。
(『Sense and Sensibility(いつか晴れた日に)』 監督:アン・リー 出演:エマ・トンプソン 1995年)

#2Pride and Prejudice (1813) 
『高慢と偏見』 阿部知二(訳) <河出文庫・1996>
『自負と偏見』上下 中野好夫(訳) <新潮文庫・1997> / 小山太一(訳) <新潮文庫・2014>
『高慢と偏見』上下 冨田彬(訳) <岩波文庫・1994> / 中野康司(訳) <ちくま文庫・2003> / 田中淳子(訳) <ハーレクイン・2007> / 小尾芙佐(訳) <光文社古典新訳文庫・2011> / 大島一彦(訳) <中公文庫・2017>
1940年映画化(白黒)。1979年映画化フェイ・ウェルドンによるシナリオ)。1995年ドラマ化。夏目漱石が絶賛。
2005年英映画化『プライドと偏見』(監督:ジョー・ライト 出演:キーラ・ナイトレイ)。

『近代英国小説 ヒロインからのメッセージ』
「心は摩訶不思議なもの」エリザベスのGrand Tour『高慢と偏見』 ほか
The New Illustrated Darcy's Story Janet Aylmer
ダーシーの視点から書いた"P&P"
『高慢と偏見、そして殺人』
現代英国推理小説の女王P.D.ジェイムズが描いたミステリー続編

         

翻訳書で読みました 『世界十大小説』(サマセット・モーム)に選ばれた名作です。冒頭の一文“It is a truth universally acknowledged, that a single man in possession of a good fortune, must be in want of a wife”はこれだけで小説の主題が表していると激賞されています。初めに書かれた1797年のときはFirst Impressions(第一印象)という題で、父が出版交渉するものの断られてしまいます。
 ロンドン郊外のロングボーンで暮らすベネット家の生活が描かれています。主に長女ジェインとビングリー、そして次女エリザベスとビングリーの親友ダーシーが、それぞれ多くの困難を乗り越えて結婚までたどり着く話です。けれど、べたべたのロマンス小説ではありません。何事に関しても無関心な父、娘たちを年収が多く身分の高い男性に嫁がせようと奮闘する母、美人で賢く礼節をわきまえている上2人の姉に比べ、世間を知らず勝手わがままな下3人の妹。あなたのそばにも必ずいるような人々がたくさん登場します。
 わたしは主人公のエリザベスのような女性になれたらと思いました。初めはひどい偏見でダーシーを軽蔑していましたが、自分の過ちを認め常に真実をみようとする姿勢で、姉の力強い支えになり、母や妹の品のなさに嘆き、ダーシーに日増しに信頼と愛情を募らせる彼女には好感が持てます。

E.テナントによる続編
Pemberley or Pride and Prejudice Continued ペンバリー館―続・高慢と偏見 ジェイン・オースティン
An Unequal Marriage, Or, Pride and Prejudice Twenty Years Later リジーの庭―『自負と偏見』それから

映画を観ました 講義の中で断片的に見たので、全体を通して観た印象とは異なるかもしれません。映画では、ベネット夫人やコリンズ氏のおかしさがより楽しめます。小説だとどうしても堅苦しい感じですが、映画では気楽に笑いながら作品を楽しむことができるのでオススメです。
(TVドラマPride and Prejudice(高慢と偏見) 監督:サイモン・ラングトン 出演:コリン・ファース 1995年)

まずは漫画から入るという方法もありです。

 

#3Mansfield Park (1814)
ファニー・プライスが孤独な生活に耐え、幸福をつかむ。小説家としての名声が不動のものになった作品。
『マンスフィールド・パーク』 大島一彦(訳) <キネマ旬報社・1998/中公文庫・2005> / 中野康司(訳) <ちくま文庫・2010>
『マンスフィールド荘園』 パーカー敬子(訳) <近代文藝社・2017>
#4Emma (1815)
『エマ』 ハーディング祥子(訳) <青山出版社・1997> / 阿部知二(訳) <中公文庫・1999、2006改版> / 工藤政司(訳) <岩波文庫・2000> / 中野康司(訳) <ちくま文庫・2005> / パーカー敬子(訳) <近代文藝社・2012>
皇太子への献辞実現。M.エッジワースに1冊献呈。
1996年映画化。1997年ドラマ化(Jane Austen's EMMA

     

映画をみました エマは恋のキューピッドになるのに夢中な世話好きのお嬢様です。母を亡くし、年老いた父のことを心配して自分の結婚のことは全く考えていません。家庭教師のテイラーの結婚が成功して、次に目をつけたのが友人のハリエットです。婿候補として選んだのは、牧師のエルトン。二人をプロポーズまでこぎつけようと奮闘するエマですが、とんだ思い違いをして計画が失敗してしまいます。深く反省するエマを優しく、時に厳しく見守ってくれるのが、従兄のナイトリーです。映画ではこのナイトリーがいい味出してます。また、エマ役のグウィネス・パルトロウもとても綺麗で、女優さんの中でもひときわ輝いていました。原作の方も読んでみたい気持ちになりました。
(監督:ダグラス・マクグラス 出演:グウィネス・パルトロウ 1996年)

原書を読みました "a heroine whome no one but myself will much like" これはEmmaに対するオースティン自身の言葉です。確かに彼女は自信過剰で他人の結婚話に口を出しすぎですが、明るく素直で愛すべき主人公だと思います。でも、やっぱりオースティンの英語は難しいです。読んでいる途中何度も投げ出しそうになりました。あまりオススメできません。やたら会話が多くて長いし、内容はややこしいし・・・。ただMiss Batesの軽快な口調はありがたかったです。他の作品とは少し趣が違っていて楽しめます。どうぞ、翻訳でお楽しみください。

Emma in Love Jane Austen's EMMA Continued Emma Tennant
エマの結婚4年後を描いた物語。
Perfect Happiness Rachel Billington
エマの結婚1年語を描いた物語。

翻訳書で読みました ハーディングさんの訳で楽しみました。とても読みやすく、軽快に仕上がっていると思います。ただ、450ページを越える単行本は重いですが・・・。カバーはピンクを基調に、映画の写真が使われていてきれいです。それにしても、やっぱりナイトリー氏はかっこいいですねぇ。時々みせてくれる嫉妬がまたかわいらしいです。
【幸福指数 100%  陰鬱指数 0%  恐怖指数 0%  幻想指数 0%】

#5Northanger Abbey (1817)
『ノーサンガー・アベイ』 中尾真理(訳) <キネマ旬報社・1997>
『ノーサンガー・アビー』 中野康司(訳) <ちくま文庫・2009>
1986年ドラマ化。『説得』と合本で出版。

   

翻訳書で読みました 『ユードルフォの謎』(A.ラドクリフ)のパロディになっています。オースティンが23歳(1798)のときに、Susan(スーザン)という題名で書いたものがこの作品の始まりです。版権は1803年に出版社に売られましたが、出版まで難航し15年目にしてようやく世に出ることとなりました。
 物語の前半は田舎娘の主人公キャサリン・モーランド(17歳)が、都市バースに出て新しい世界、友達、恋に出会います。主人公の恋よりも、親友イザベラの恋愛模様が目立ちます。後半は舞台が修道院ノーサンガー・アベイに移り、ちょっとした冒険物語になります。全体として、無知だった田舎娘が様々な体験を経て素敵なヒロインに成長していきます。3人称で書かれているんですが、主人公と同じように喜んだり、悲しんだりできます。1790年代が背景となっていますが、キャサリンの恋に悩み、喜びしている姿には今でも女性は共感できるのでは?ただ、最後の結末がほとんど読者の想像にまかせられてしまったのが残念でした。1ページに文字が詰まっていて読み応えはありますが、話自体は1年も経っていないのにはびっくりしました。

 

#6Persuation (1817)
ライム・リージスが舞台。周囲の反対され結婚を断念した二人が、8年ぶりに偶然再会する。『待ち焦がれて』に映画化。『ノーサンガー・アベイ』と合本で出版。
『説きふせられて』 冨田彬(訳) <岩波文庫・1989>
『説得』 大島一彦(訳) <キネマ旬報社・2001/中公文庫・2008> / 中野康司(訳) <ちくま文庫・2008> / パーカー敬子(訳) <近代文藝社・2014>

 

Collection +++

#1The Beautiful Cassandra
オースティンが12歳から18歳までの間に書かれた短篇、中篇など計21編を収録。
『美しきカサンドラ -ジェイン・オースティン初期作品集-』 都留信夫(訳) <鷹書房弓プレス・1996>
#2Sanditon (1817)
初期の2作品と未完作品他を収録。
『サンディトン -ジェイン・オースティン作品集-』 都留信夫(訳) <鷹書房弓プレス・1997>
#3Minor Works
12,3歳のとき書かれた作品を収録。

 

Others +++

The Jane Austen Book Club
『ジェイン・オースティンの読書会』 カレン・ジョイ・ファウラー(著) <白水社・2006/ちくま文庫・2013>
私の値打ち以上に愛してくれている人は誰かしら

読書会、というと静かな部屋で教養のある大人がたしなむ閉ざされた楽しみ、という印象でした。でも、この作品に登場する6人のメンバーが催す読書会は、美味しいお料理にアルコール、自由なおしゃべりに満ちた楽しいイベントでした。(欧米ではこのような読書会がブームらしいです。。)
オースティンの6作品をベースに話が展開していきますが、読んだことがなくても楽しめる内容になっています。文体や時代設定などからして読みやすいので、オースティン作品への導入という形で読んでみるのもいいかと思います。オススメの読み方としては・・・1.まず、この作品を純粋に楽しむ。2.オースティンの6作品を読む。3.この作品を読み返す。 1回目と2回目では、全く違った感じで楽しめるのではないでしょうか?

 

References +++