脳障害_臥床時期のリハビリテーション

 

早期にできること

歩くこと_臥床時期に知る、起立および歩行ができる条件と練習

関節拘縮の予防

 

 

▼ 人の姿勢 ▼

 

人は、胎内に居たときのように全て屈曲位が一番安楽な肢位らしいです。

人は、安楽姿勢となるときこの胎内の肢位に近づこうとします。

人間の発生進化的にも、誕生から発育発達的にも二足歩行としての生活にはまだまだ進化途上であり完成されていません。

人として生まれると、脊柱、上肢、下肢全てが直立になり、二足歩行ができるのに誕生から約一年間を要します。

まだまだ努力をして直立姿勢をとっています。

日常生活においてもほとんどが屈曲した姿勢で居ることが多いはずです。

何らかの理由で楽な姿勢をとろうとしたとき、胎内に居たときに戻ろうとして全身が屈曲位となりがちです。

しかし、再び人としての生活に復帰する目的であるリハビリテーションを望むなら、直立・二足歩行が可能となるように予防・改善・努力するべきでしょう。

人としての生活を望み、そのリハビリテーションのためには屈曲位になる関節の拘縮は絶対に予防するべきです。

 

 

 

▼ 関節とは ▼

 

身体は骨という支持体によって骨格が形成され、それぞれの骨の連結部を関節といい、筋肉、靱帯、関節包などの軟部組織によって構成され、関節軟骨や滑液によってなめらかに動くようになっています。

関節を動かせる力源は筋肉であり、その力を制御しているのが脳です。

 

 

 

▼ 関節の動き・関節可動域・ROM ▼

 

関節はどのくらい動くの?

関節が動く範囲を関節可動域・Range of Motion・ROMといい、角度で表現します。

関節可動域は、人種、性別、年齢等による個人差も大きい。

 

 

 

表_関節可動域表_ROM_平成7年4月改正

 

 

 

▼ 関節の拘縮 ▼

 

人の身体は脳、神経、内臓、骨、筋などが常に動いているから今の快適な動作・活動ができています。

もし、楽をして一部分あるいは全ての動きを止めてしまうと、使わない組織は退化しその能力は低下してしまいます。

しかし、逆に急激かつ過激な使い方は組織に炎症や摩耗そして過剰反応や疲労をおこし傷めてしまいます。

 

年齢の増加や病気や障害によって、生活活動量が低下するとその使用しなくなった部分の組織が能力低下してしまいます。

身体は、動かさない=意志・努力の問題

    動かしてはいけない=病気などの治療による安静

    動かない=神経の麻痺

などによる理由で動作が減少します。

 

関節や筋肉においても使わなくなって動かせることが少なくなると、生体反応として使用しない状態になってしまいます。

関節を動かさないから滑液量が減少し関節の滑りが悪くなる。

筋の収縮・弛緩をしないから筋肉の弾力性が低下する。

筋が動かないから静脈血の環流が減り血液循環が低下する。

血液循環が悪いから組織の栄養不足となる。

血液の環流が悪いから手足に浮腫が発生する。

浮腫の組織液が膠(にかわ)・糊の代わりとなり関節周囲が糊付けされたように堅く強張ってしまう。

このようにして関節や筋肉を動かさなかったために「関節の拘縮」という痛みを伴った動かしにくい症状が発生します。

動かなくなって痛みもなくなるとその関節は「強直」という状態になり、全く動かなくなってしまいます。

 

 

 

▼ 関節拘縮の予防 ▼

 

関節の拘縮を予防するには?

一言で言えば、全ての関節や筋をたえず動かしていれば拘縮にならないで予防ができます。

 

最低限どのくらい動かせば予防できるか?

一関節に10〜20回の各運動を、褥創予防のための体位変換時に他動的に動かせる方法を提案します。

2時間ごとに関節可動域訓練を実施できることが望ましいと考えます。

異常な過筋緊張もなく関節が軽く動くときには実施は楽に行えるでしょう。

運動の方法は他動運動、自他動運動、自動運動などどの方法でも良いでしょう。

要点としてはゆっくり、関節可動域の全可動範囲を動かせることで、無理に強く押し付けることのないように注意したいものです。

 

関節の動きに抵抗感があるときはどこかが圧迫されているかもしれませんので肢位を少し変えて行いましょう。

どのような肢位に変更しても抵抗感があるときは拘縮の前兆かもしれませんので注意深くゆっくり少し回数を多く実施しましょう。

角度制限があるからといって無理に力を入れ関節可動域を一気に大きくしようとしないで、専門の先生の指導を受けるようにして下さい。

関節可動域の角度制限を起こしている原因によって改善・治療方法が異なります。

 

 

 

▼ 関節可動域制限・拘縮の好発部位 ▼

 

肩関節

原因としては、発症による急性期治療・安静時にはほとんど上肢を挙上することがない。

健側上肢においても点滴やモニターコードなどを無意識に取らないよう抑制帯を装着することが多々ある。

特に90゜以上挙上することがほとんどないようです。

 

 

手指関節

治療などに影響が少なく、簡単に動かすことができると思われるのに意外と動かせていない部分です。

浮腫を併発した場合は拘縮になりやすいです。

 

 

股関節

安静臥床時によく見かける下肢の肢位は、屈曲・外転・外旋位です。

いわゆる下肢を屈曲して外側に倒し股を開いた状態です。

ひどいときは、両下肢を揃えて膝をくっつけ屈曲し、左右のどちらかに両下肢を倒している状態です。

 

 

足関節

臥床時の足関節は尖足位あるいは内反尖足位となることがほとんどです。

その尖足位のまま長時間が経つとアキレス腱・下腿三頭筋が短縮して足関節の背屈ができなくなります。

人が直立で立つ姿勢では足関節は0゜(下腿部と足底部のなす角度が90゜)です。

人が爪先立ちやジャンプができることから考えると少なくともその人の体重以上の筋力を有していると推測できます。

このような強い筋力を持った筋腱が短縮してしまうとストレッチできにくい・しにくいことが理解できるでしょう。

だから、短縮・拘縮してしまわないように予防が大切です。

 

 

 

▼ 関節変形の予防 ▼

 

関節の変形とは、関節に拘縮が生じ日常生活を営むときに支障を来すような異常な関節角度で拘縮してしまった状態です。

よく見かける関節の変形は、足関節の「尖足」、「内反足」、その両方が組み合わさった「内反尖足」があります。

中でも「内反尖足」変形が一番多いようです。

 

尖足   : 足関節の屈曲(底屈)

内反足  : 足関節の内がえし(内反)

内反尖足 : 足関節の屈曲+内がえし(底屈+内反)

 

変形を予防するには、関節の拘縮を作らなければ変形しませんので、関節の拘縮予防が前提となります。

 

良肢位保持

良肢位保持という言葉・手法がありますが、これはやむなく、あるいは拘縮の予防が困難であるときに、関節が拘縮してしまっても日常生活動作に支障を来すことが比較的少ない関節の角度で固定することです。

長期間寝たきりになっているときは、最低条件として良肢位保持を心掛け関節に変形を作らないように注意するべきですが、良肢位保持が最良の方法ではなく、拘縮の予防が最良の方法であることを念頭にしたいものです。

 

 

 

▼ 関節拘縮予報のための他動運動 ▼

 

患側のみの運動にとどまらずに、健側も同じように運動することをお奨めします。

 

 

 

図_拘縮予防運動

 

 

 

 

 

 

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