How to Maintain Tube-Equipment 真空管式機材のメンテナンス
真空管の交換


真空管の購入・調達

今や真空管マーケットは怪しい市場になりつつある。eBayで買ってきてYahooオークションで高値で売りつける輩がいたり、偽物の刻印や箱を使った事実上の詐欺も横行している。それは、特定のブランド信仰のせいであり、それに便乗する人、わざわざ騙される人、踊る人がたくさんいるからである。こういうのを見ていると、しみじみ人間は弱い存在であると思う。

まず知っておいて欲しいのは、真空管メーカーは意図して「良い音の真空管」を作ったことは1度もないということである。真空管は、工業製品であり、ひたすらコストダウンと小型化と品質向上の対象となった。必死で頑張ったが、後から出てきたトランジスタにあっさりやられてしまった。そもそも、真空管の全盛期には「良い音にこだわる文化」は存在しなかった。だから、希少価値があり丁寧に製造されたというだけで、12AX7の測定器版のECC803Sなんていう球に高値がついたりする。30年前には見向きもされなかった松下製の12AX7(T)にプレミアムがつく。なんのことはない、需要と供給の数による市場原理だけで価格が決まっている。6F6※なんていう煮ても焼いても食えない駄球が、数が減ったというだけで値が上がるのである。

※6F6・・・私は、愛する6F6をたくさん持っている。だからこそ、この球が如何に使えない球であるか良く知っている。

真空管を使った機材にも、ビンテージ品と現行品がある。現行品で、購入したメーカーから交換球の供給があるのであれば、少々高価でも大人しくそれを購入されることをおすすめする。もし。自分で調達してみようというのであれば、また、ビンテージ機材を使っていて誰もサポートしてくれないのであれば、以下を参考にされたい。

なじみのある楽器・音響機材店で買うか、秋葉原まで買いに行くか、通信販売で購入する。オークションはやめておいた方がいい。秋葉原のどの店がいいのか、ここに書くのははばかられるので私にメールされたらいい。球の種類に応じて何件か適切な店をお教えする(メールアドレスはトップページ)。通信販売で購入する場合は、Googleあたりで「真空管 通販」で検索する。何軒か比べたらだいたいの相場がわかると思う。海外通販にはいくつか優良サイトがある。Antique Electronic Supplyはその代表といっていいだろう。値段をふっかけることがなく、日本からもたくさん利用者がいる。なければないと言ってくるし、あるものでなんとか数を揃えてくれたり、なかなか良心的である。


電圧増幅管の交換

電圧増幅管は、特殊なケースを除いて、ほとんどの機材で単に差し替えるだけでちゃんと動作する。真空管には同じ特性で名前が異なるものがたくさんあるが、以下にまとめた表の範囲であれば、名前が異なっていても同じに扱って良い。但し、球によって品質の差があるので、差し替えてみてノイズが増えてしまったとか、なんとなく音が変わったとか、そのようなことはあたりまえに起こるのでご了解いただきたい。マイクロフォンやマイクプリのヘッド部に使う球は、複数購入して最もノイズが少ないものを選び、ハネた球はノイズの影響がない場所にまわす、というのが定石である。

表中に「条件付互換」というのも載せておいた。その多くは、ヒーター電圧は同じだが、流れる電流が多かったり少なかったりする。従って、複数の球のヒーターを直列にした回路設計だと互換性がなくなる。問い合わせいただければ、いつでも必要な情報を返信する。表中にないものでもわかる範囲で回答する。

代表名 互換品種 条件付互換
12AX7/ECC83 12AX7, 12AX7A, 12AX7(T), 12AX7WA, ECC83, 7025, 7025A, 6681, E83CC, M8137, CV4004 5751, 5751WA, 6851
12AT7/ECC81 12AT7, ECC81, 6021, 6679, E81CC 12AZ7, 12AZ7A
12AU7/ECC82 12AU7, 12AU7A, 12AU7WA, ECC82, 6680, 6189, E82CC, M8136 5814, 5814A, 5814WA, 5963
12AY7 12AY7 6072, 6072A
6DJ8 6DJ8, ECC88, 6922, 7308, E88CC, E188CC -
6FQ7 6FQ7, 6CG7 -
6AU6/EF94 6AU6, 6AU6A, 6AU6WA, EF94, 6136 -
6AK5/EF95 6AK5, 6AK5W, EF95, 5654 -
EF86 EF86, 6267 -


電力増幅管の交換

パワーアンプで使用されているパワー管の交換では、いくつかチェックポイントがある。

<チェックポイント1・・・ペアチューブが必要か>

業務用のパワーアンプは、ほとんど例外なくプッシュプル回路なので、パワー管はチャネルあたり複数を使用している。プッシュプル回路では、完全ではないにしても特性が似たペア・チューブを使用するのが基本である。昔はメーカーの出荷段階でペア・チューブが組まれたが、今は、良心的な真空管販売店ならば自店で独自にペアを組んでデータをつけて売っている。店で作ったペアなのにデータがついていなかったら用心した方がいい。

<チェックポイント2・・・調整が必要か>

パワー管を使った機材では、無調整で交換可能な設計がされたものと必ず調整が必要なものに分かれる。大出力のパワーアンプであれば、ほとんどのものが調整を必要とする。調整の目的は、偏った動作をさせて球を痛めないためと、電流バランスを正確に揃えてアンプ本来の性能を引き出すためである。電流バランスがとれていないパワーアンプでは、小さな音量の時に超低域のレンジが狭くなる。調整が必要なパワーアンプのほとんどは、メーカー調整になっているので、取扱説明書には方法が記載されていない。記載されているのであれば、テスターとドライバーが1本あれば調整が可能である。メーカー調整の場合は、メーカーや代理店に送るか、真空管回路についての基本的理解のあるエンジニアに依頼するしかない。中途半端な素人エンジニアや真空管アンプおたくに任せたら、ろくなことにならない。

<チェックポイント3・・・正確な球の種類は何か>

パワー管は似た名前のものがたくさん作られている。たとえば、オリジナルが6L6という球は、6L6G、6L6GA、6L6GB、6L6GCがあるが、6L6のかわりに6L6GCが使えても、6L6や6L6GBは6L6GCのかわりにはならない。何故かと言うと、6L6GCは6L6の最大定格を高めた版であり、6L6GCで設計されたアンプに6L6を使うとほぼ確実に6L6は定格オーバーでお釈迦になってしまう。ちなみに、変化したのは最大定格だけなので音は同じである。パワー管では、どのレベルの改良版が指定されているかを見極めて、それ以上のスペックの球を用意する必要がある。

代表名 互換品種 条件付互換
EL34 EL34, 6CA7 -
6550A 6550, 6550A KT88 (特性が非常に良く似ている)
KT88 - 6550, 6550A (特性が非常に良く似ている)
6L6 6L6, 6L6G, 6L6GA, 6L6GB < 5881, 6L6WGB < 7027 < 6L6GC < 7581A 7027, 7027A (足のピンの順序が違う)
6V6 6V6, 6V6G, 6V6GT, 5992 < 6V6GTA, 7048 -

(工事中)

Back to Menu