How to Maintain Tube-Equipment 真空管式機材のメンテナンス
真空管の種類


電圧増幅管

上の画像は最もポピュラーな電圧増幅管の12AX7(欧州名ECC83)である。業界人の中には「ペケナナ」などと省略する人もいるようだが、設計エンジニアはちゃんと「じゅうにえーえっくすなな」とか「いーしーしーはちさん」という風にとフルネームで呼ぶ。省略された呼び方はなんか感じわるい気がする。12AX7とECC83は同じものである。12AX7の中には同じ特性のユニットが2つ封入されている。AKGやSEIDEのコンデンサマイクではこの12AX7が使われている。これ1本でPHONOイコライザーを片チャネル分作ることができる。私は、マイクプリアンプのヘッド部に使用している。実物の直径は2.2cmくらい、高さは約5cmである。9本の足があり、そのうち3本はヒーター用である。

12AX7のような電圧増幅管は、微小なオーディオ信号を増幅したり、増幅されたオーディオ信号をさらに増幅して以下に述べるパワー管をドライブする役割を持っている。そのため、ノイズが小さくなるような工夫がなされていたり、1つのユニットで高い利得が得られるようにデザインされている。電圧増幅管の多くは12AX7のように1つのガラス管の中に2ユニットが封入されている。真空管式コンデンサマイクで良く使われている6DJ8や12AY7、5755も見た目は12AX7に似ている。一部の例外を除いて、この種の球の発熱はさほど大きくない。

上の画像を見てもうお気づきだと思うが、1つ1つのユニットの形は同じではない。しかし、どれも12AX7としてメーカーが発表したスペックを満足している。ちなみに左端は松下電器製の12AX7(T)といって特別に振動によるノイズが小さくなるように、またヒーターから拾うハムも小さくなるように工夫されたオーディオ用である。左から2番目はNEC製の7025Aである。7025というのは12AX7の高信頼管の別名である。末尾にAがつくと少し上等らしいのだが、A付きとAなしで差を実感したことは1度もない。また、低雑音のオーディオ用であるから、高信頼管であるからといって音がいいとか悪いとかは関係ない。左から3番目はRCA製の7025、その隣はSOVTEK製の12AX7WAである。この球は12AX7に良く似た6H2Lという球のユニットを流用して作られたものである。12AX7に比べて利得が10%ほど低いのだが、まあばらつきのぎりぎり許容範囲内というところだろうか。その隣はSIEMENS製のECC83、その隣がMullard製のM8137である。SEIMENS製のECC83はこのところ狂ったような値がついて取引されているTELEFUNKEN製と中身は同じである。狂ったような値段といえばMullard製の値段はもっと狂っている。どうも日本人は英国製とか独逸製に弱い。しかも数が少なくなってくると異常にエキサイトするようだ。怠惰な英国人※が作った球などに何千円も払う気は全くない。右端はNEC製の12AX7Aである。

※10年来、英国車を4台乗ってきたので、英国製品の品質はよくわかっている。日本人が崇め奉るMullard製の球の品質の不安定さは全く素晴らしい。英国人に期待すべきは、時代を超えて深い味わいのあるデザインや感受性である。はっきりいって工業製品の出来はイタリアといい勝負である。


パワー管

これは音が良いことで知られるパワー管EL34(米国名6CA7)である。1本だけだと得られるパワーはせいぜい10Wどまりだが(シングルアンプという)、2本使ったプッシュプルアンプにすると楽に20W以上を出すことができ、頑張れば80Wを叩き出すことも不可能ではない。そのかわりといってはなんだがものすごく熱くなる。アンプの電源スイッチを切っても、しばらくの間は触ってはいけない。EL34でよく知られているのはMarantzだが、MANLEYのパワーアンプは10本のEL34から250Wを叩き出している。私のアンプはこれを2本使って15W、4本使って30Wを出す。

EL34はPHILIPSによって開発されたパワー管だが、形状がメーカーによって異なるものがある。特性は、全く同じとはいえないがいずれも許容範囲にはおさまるくらいのばらつき具合である。左端はPhilipdECGと書かれているが中身はたぶん米国製である。茶色いベースをしたのが高値で取引されるMullard製EL34。振動に弱くて使い物にならないので飾ってある。右の2つはそれぞれSIEMENSとTELEFUNKENのEL34で同じ工場で作られて両社に供給されたものである。ここにあるのはすべてYahooオークションに出せばいい値がつく。

EL34には、スマートなガラス管に細長いプレート(中に見える四角い箱)を持ったタイプと、ずんぐりしたガラス管に太く短いプレートを持ったタイプとの2種類がある。オリジナルはスマートな方である。ずんぐりタイプは後にギターアンプ用に開発されたものだという。見た目だけでなく、特性は明らかに異なり、出てくる音も相当に違う。


整流管

整流管というのは電源回路で使用して、交流から直流を作り出す役目の球である。今ではほとんどの真空管アンプは整流管を使わずに、小型、廉価で効率の良いシリコン・ダイオードを使用している。整流管を使った方が音がいい、とか言う人もいるが私が尊敬する人の中ではそのようなことを言う人は1人もいない。

上の画像は5AR4というもっもポピュラーで高性能な整流管のひとつである。20年くらい前、秋葉原で1本100円で購入したものである。

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