Mic-Pre Technical Study & Information マイク・プリ技術情報
マイクロフォンのインピーダンス

インピーダンスの関係 インピーダンスとは、機器の交流抵抗値を表した指標である。スピーカーの8Ω(オーム)というのもインピーダンスだし、テレビのアンテナの75Ωもインピーダンスだ。マイクロフォンにもインピーダンスがあり、マイクプリ入力やライン入力、DIにもインピーダンスがある。

マイクロフォンに関係のあるインピーダンスには、送り出し側のマイクロフォンや機材に関する値と、受ける側にマイクプリなどに関する値とがあり、単純に一意に表現できるわけではない。しかも、機材の入出力回路がトランス式であるか、電子式であるかによっても考え方が違ってくる。

右図は、入力トランス式のマイクプリの場合の入力回路のインピーダンス関係を表したものである。トランス側からマイクロフォンを見てマイクロフォンのインピーダンスがあり、マイクロフォン側から見てトランスのインピーダンスがある。トランスはインピーダンスを変換する働きがあって、入り口側を1次インピーダンスといい、出口側を2次インピーダンスという。1次インピーダンスと2次インピーダンスの比率のことをインピーダンス比という。

右図の例ではインピーダンス比が「600Ω:10kΩ」の入力トランスを使っているが、マイクロフォン側からみた入力インピーダンスは、トランスの2次側の負荷(RL、通常は抵抗器)によって決定される。このトランスのインピーダンス比は「1:16.7」だから、1次側の入力インピーダンスは2次側の負荷の1/16.7になる。

ダイナミック・マイクロフォンの場合: ダイナミック・マイクロフォンは、トランスデューサ部分が磁石とコイルなので、本質的にインダクタンス(コイルとしての性質)を持ち、固有のインピーダンスを持つ。かりに、これが60Ωだったとしよう。通常はその後ろにマイクロフォン内臓トランスが配置されており、このトランスのインピーダンス比が1:5あったとすると、このマイクロフォンのインピーダンスは300Ωということになりる。

コンデンサ・マイクロフォンの場合: コンデンサ・マイクロフォンでは、トランスデューサはダイヤフラムと呼ばれるコンデンサ部とアンプ部によって構成される。アンプ部だけの構成でHOTとCOLDを持った平衡(バランス)出力を取り出す方式を電子式平衡出力といいう。アンプ部に加えてトランスも使ったものとトランス式(平衡出力)という。どちらの場合も信号源はアンプなので、アンプそのものが持つ内部抵抗が存在し、通常これは100Ω〜200Ωくらいの非常に低い値である。

アンプによる信号伝送は基本的に「ロー出し、ハイ受け」なので、マイクロフォンに内臓されたアンプの内部抵抗(これをさして出力インピーダンスともいう・・・なんとも面倒くさいねえ)よりも十分に大きなインピーダンスで受けてやれば良いということになる。そのため、コンデンサ・マイクロフォンでは、自己のインピーダンスの値を使わずに、受け側のインピーダンスがどれくらいが望ましいか、という表現をするのが普通である。マイクロフォン側からみた受け側のインピーダンスのことを負荷インピーダンス(Load Impedance)という。

問題は、ダイナミック・マイクロフォンに限らず、トランスを内蔵しているマイクロフォンの場合である。トランスは、周波数によって特性がダイナミックに変化するという厄介な性質を持っている。この変化は、送り出し側のインピーダンスと、受け側のインピーダンスの両方の影響を強く受ける。たとえば、200Ωのダイナミック・マイクロフォンを、5kΩ以上の高いインピーダンスで受けると、多くの場合、20kHzあたりかそれ以上の周波数でピークが目立ってきて音に色がつくことがある。逆に、同じくらいの低いインピーダンスで受けると、トーンキャラはより大人しくなりがちである。マイク・プリの多くが、入力インピーダンスが可変になっているのは、さまざまなインピーダンスのマイクロフォンに対応したり、入力インピーダンスを変化させることで望ましい音が得られるようにするためである。

マイクロフォン・インピーダンス一覧 参考のために、著名マイクロフォンのインピーダンス仕様を以下にまとめてみた。

Type Maker / Model Output Impedeance
(Internal Impedance)
平衡方式 推奨負荷Impedance
コンデンサ Neumann / U87Ai 200ohm 電子平衡 1kohm
Neumann / M147Tube 50ohm 電子平衡 1kohm
AKG / C414B-XLS ≦200ohm - ≧2.2kohm
AKG / C451B ≦200ohm - ≧1kohm
RODE / NTK 200ohm 電子平衡 推定1kohm
RODE / NT1A 100ohm 電子平衡 推定1kohm
BEHRINGER / B-1 50ohm 電子平衡 >1kohm
audio-technica / 4033A、4040 100ohm 電子平衡 -
audio-technica / AT825 200ohm トランス平衡 -
ダイナミック SHURE / SM58 150ohm - -
Electro-Voice / RE20 150ohm - -

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