Legendary Microphone Pre Amplifiers 
伝説のマイク・プリ・アンプ


Univeresal Audio
1108

トランジスタ式


半導体アンプではありますが入出力ともにトランスが使われており、最近ほとんどの機材が採用している電子平衡型ではない。気になるのはトランスの仕様・・・特に巻き線比・・・だが残念ながらわからない。入力まわりの配線は回路図上では記載されていないので詳細は?である。入力トランスの2次側が1MΩでターミネーションされているように見えるがそうではないだろうと思う。入力インピーダンスを可変にするために値が異なるいくつかの抵抗の切り替えがあると思う。入力トランスと初段FETの間にスイッチのような記号があるのだが、その先になにかがあるんだろうね。

アンプ部の全体構成は、FET1段で受けて増幅した後エミッタ・フォロワのバッファを経てシングル構成の終段で出力トランスを駆動している。これ以上簡略化できないくらいシンプルな構成である。初段はFETを使った高入力インピーダンス回路になっていて、これのおかげでInstrument入力において2MΩという高い入力インピーダンスを実現している。他のマイク・プリにはない仕様である。

終段は、トランスの1次巻き線がコレクタ負荷になっているだけでなく、エミッタ側にも巻き線を与えて局部帰還をかけることで特性の暴れと劣化を回避している。トランジスタは真空管でいえばビーム管や5極管に相当するので、トランスからみたら周波数特性上は非常に不利であり、このような局部帰還による工夫は必須だろうと思う。真空管式シングル・アンプにみられるカソードNFと全く同じ手法なのが興味深い。また、コレクタ側から1MΩの抵抗によってベース側にも局部帰還がかけられている。一方で、エミッタ側に入れられた39Ωに生じた信号は8.2kΩを経て初段ソースに帰還されているが、これは正帰還でありトーンキャラに影響を与えているであろうと思われる。出力側において純然たる平衡出力を維持するには、出力トランスの2次側には何も接続できない(ここから負帰還を戻せない)から、別に負帰還用の2次巻き線を持たせて、ここから150kΩを経て初段に負帰還をかけ、全体利得を決定している。

現代のDCアンプやOPアンプに慣れた目で見れば、たった3個のトランジスタ(含FET)を使った一見古風な回路なのだが、実に良く練られた回路であり、これで十分に今も通用するものだと思う。ただ、同じものを製作しようとすると、4種類の巻き線を持った出力トランスを調達しなければならない。しかも、この出力トランスにはDCが重畳されるため、通常のオーディオ用マッチング・トランスでは駄目で、コア・ギャップを設けたものでなければならない。カタログ品での入手は不可能だろう。


Technical Specifications 1108 (Original)
Gain: Selectable 40dB or 45dB with input teminated. Selectable 45dB or 50dB with input unloaded.
Power Output: +22DBM equalized channel power output with less than 0.5% total harmonic distortion from 30Hz to 15,000Hz.
Frequency Response: ±0.5dB from 20Hz to 20,000Hz
Source Impedance: 50, 150 or 600ohms
Input Impedance: Nominally five times rated source impedance. (Secondary of input transformer virtually unloaded)
Output Impedance: Designed to work into loads of 150 or 600ohms. Internal output impedance isapproximately 10% of rated load impedance.
Noise: Equivalent to an input signal of -124DBM maximum.
Thermal Stability: No change in operating characteristics to +195 degrees Fahrenheit.
Power Requirement: +24Vdc at 45mA.
Technical Specifications 2108 (Universal Audio製の復刻版)
Input Impedance:
Microphone(selectable):1k ohms or 4 k ohms
Hi-Z (selectable):2 Meg ohms or 58 k ohms Maximum Microphone Input Level:+8 dBu
Maximum Output Level:+26 dBm
Recommended Minimum Load:600 ohms
Frequency Response:20 Hz to 20 kHz +/- 0.5 dB
Max Gain:65 dB
Siginal to Noise Ratio:EIN -165 db @65 db Gain
Power Requirements:DC-30 Power Supply & 2108 DC Power Cable
Dimensions:1U rack, 11.5" (29.2 cm) deep
Weight: ~11.5 lbs. (5.2 kg)


Univeresal Audio
610

真空管式

Original A610

Technical Specifications 610 (Original)
Gain: Microphone input, 63dB. High level input, 25dB
Gain Control: Interstage. Special-taper design provides efficient level adjustment and effortless "gain riding".
Frequency Response: ±1dB, 20 to 20,000cps
Power Output: +18dbm at less than 1% THD, 50 to 20,000cps.
Microphone-Line Switching: Slide switch connects the input circuit to either a microphone or a line-level bridging circuit.
Variable Equalization: 70Hz -6 0 +6dB, 7kHz -6 0 +3 +6dB
Source Impedance: Microphone input, 50-150-600ohms. Line level input, 27,000ohms bridging.
Output Noise: Equivalent to an input signal of less than -118dbm, for microphone input.
Power Requirements: 300volts DC at 10ma, and 12.6volts DC at 300ma.
Tube Complement: One each: 12AX7 and 12AY7.


RCA
BA-21A

真空管式


使用真空管は、中μ、中rp管の12AY7(特性データ12AY7.pdf)である。12AY7は、一般のオーディオ・アンプでは滅多に使われることはなかったが、コンデンサ・マイクロフォンやプロ・オーディオのアンプでは非常に良く使われた球である。高信頼管の6072/A(特性データ6072.pdf)は12AY7の同等管。

入力トランスの巻き線比はこの回路図からはわからないが、2次側が開放で使われている。おそらくは、入力トランスは1:10以上の巻き線比を持ち、かなりの電圧利得を稼いでいるものと思われる。

初段で20倍+α程度に増幅された後、P-K分割型位相反転回路にはいり、プッシュプル構成の終段に送り込まれる。各管のカソード側にはプレート電流検出用抵抗が挿入されており、スイッチの切り替えで動作状態の確認ができるようになっている。

出力トランスは、1次巻き線と2次巻き線のほかにNF巻き線があり、NF巻き線から初段カソードに負帰還がかけられたオーソドックスな構成である。回路として奇をてらったところは全くない。帯域特性はほとんど入出力トランスの性能で決まってしまうが、本機が現代のレコーディング・スタジオでも通用するものであることは想像にかたくない。

画像出典:http://www.vivid-studios.co.uk/photos/micPreAmp.htm


RCA
BA-31A

トランジスタ式


NPNおよびPNPトランジスタによる3段構成の、個性的かつ謎と工夫に満ちた構成である。初段がNPNトランジスタによる増幅、2段目が(直結でもないのに何故か)PNPトランジスタによる増幅、そして終段は定電流負荷化されたエミッタ・フォロワによるトランス駆動になっている。

初段B電源側はとても面白いことをやっている。初段の動作をDC的に安定させるために、コレクタ側からベースにかけてDC帰還をかけているのだが、負帰還効果がAC領域に及ばないようにするために、68kΩに50μFのコンデンサを抱かせている。やりたいことはよくわかるんだが、こういう回路は他に例がない。せっかくNPNトランジスタとPNPトランジスタを使っているのだから、直結にしてDC帰還をかければいいと思うのだが、当時はそういう技法はまだなかったのだろうか。それとも、私の想像を超えた考えでもあったのだろうか。2段目コレクタから初段エミッタにかけて利得を決定づける負帰還がかけられている。

終段も個性的である。トランスにはDCの重畳はない。縦積み回路だが100%帰還の2段増幅ともいえるし、世が世ならPNPとNPNで直結解決していたであろうこの回路は、この時代によくここまで考え抜いたものだと思う。エミッタ・フォロワ段は単体でも低歪みなので全体の負帰還ループには含まれていない。

こういうディスクリートの極地ともいえる芸術性の高い回路は、これからの時代まず出てこないだろう。


Telefunken
V72

真空管式


V72は、1953年にラジオ/テレビ放送用の高出力電圧のコンデンサ・マイクロフォン用に開発されたマイク・プリである。マイク・プリにしては利得が34dB(=50倍)と低めなので、低出力電圧のダイナミック・マイクロフォンには適さない。このマイク・プリは利得コントロールがなく、34dB固定である。

入力まわりだが、入力トランスの2つの巻き線の中間に1μFのコンデンサが割り込んでいるために、低域は急峻にカットされている。負帰還素子にはハイ・カットのためのコンデンサがあり、全体として帯域を制限しているのは、放送用途を考慮してのことだろう。全体は、5極電圧増幅管EF804S(特性データEF804S.pdf)の2段構成で、2段目プレートから初段カソードに負帰還がかけられている。初段は抵抗負荷だが、2段目はプレート・チョークを使い、コンデンサ結合されたトランスが実質的なAC負荷になっている。

なお、Telefunkenの音は回路からは想像できない。

画像出典:http://members.ozemail.com.au/~gwagner/v72.htm



Telefunken
V76

真空管式


V76はV72の後継機で、V72の不便さ(利得が低いのでダイナミック・マイクロフォンに適さない、利得が固定で使いづらい等)を解消したモデルである。アンプ部の全体構成は、5極電圧増幅管EF804S(特性データEF804S.pdf)を3本と終段にはE83F(特性データE83F.pdf)を使った4段構成でである。それぞれ2段ずつの組み合わせで負帰還がかけられている。

初段と2段目はともに5極管動作をさせたP-K帰還アンプで、負帰還量を可変にして利得を変化させている。2段目はなんと400Hのチョーク負荷である。フィルタ類を経て3段目入力にはいる。3段目と4段目にもP-K帰還がかけられており、利得は固定。4段目は、プレート電流を重畳したチョーク負荷とコンデンサ結合によってDCを遮断したトランスの並列負荷。

利得のコントロールは、負帰還量を変化させる方法と、入力側に入れたアッテネータとの併用型である。この方法は、S/N比を稼ぐには適しているが、ハイ・ゲイン領域では利得の大きさに反比例して負帰還量が減ってゆくために、利得によってトーンキャラに変化が生じる。

マイクロフォン入力と入力トランスとの間に、RFフィルターと切り替え式のアッテネータが挿入されている。このアッテネータは高利得の時はスルーで、低利得の時だけ機能する。入力トランスの2つの巻き線の中間にコンデンサと抵抗によるネットワークが挿入されている。入力トランスの2次側に負荷はなく開放である。

放送用途であるため、30Hz以下と20kHz以上がバッサリと切られており、しかも40Hz〜50Hzと15kHz〜20kHzの2ヶ所にピークを持たせた音作りがなされている(右図、"Original not modified")。このフィルターを除去したのが右図中の"After Mod"の特性で、20Hz〜30kHzにわたってほぼフラットな特性が得られている。本機をレコーディング・スタジオで使用する場合は、(あえて意図して使う場合を除き)このような回路の修正が必要である。

V72と同じく、Telefunlenの音は回路からは想像できない。

画像出典:
http://www.vintageking.com/images/custommoduleracking/index_2.htm
http://members.ozemail.com.au/~gwagner/v76.htm


DRAWMER
1960

真空管式


Technical Specifications 1960 (Original)
(All measurements taken at +4dBu operating level)
INPUT IMPEDANCES: LINE 20KOhm, MIC 150Ohm to 600Ohm, AUX 2.2MOhm
MIC INPUT NOISE: -128.5dB (@ +60dB gain)
MAXIMUM INPUT LEVEL: +20dBu
OUTPUT IMPEDANCE: 50Ohm
MAXIMUM OUTPUT LEVEL: +22dBm (balanced)
BANDWIDTH: less than 10Hz to 22KHz -1dB
COMPRESSOR NOISE AT UNITY GAIN:
AV: -82dB(Wideband), -88dB(22Hz-22KHz), -88dB(CCIR ARM), -91dB(IEC A), -77dB(Q-Pk CCIR)
RMS: -81dB(Wideband), -87dB(22Hz-22KHz), -87dB(CCIR ARM), -90dB(IEC A)
DISTORTION (THD & NOISE): @ 1KHz
Line Input with BYPASS selected: less than 0.1%
Line Input with NORMAL selected: less than 0.3%


TUBE-TECH
MP 1A

真空管式


Technical Specifications MP 1A (Original)
Impedance:
Input, Mic. Preamp: greater than 1,2 kohm
Input, DI: 1Mohm/82pF
Output: less than 60ohm
Frequency response @ -3dB: 5Hz to 60kHz
Distortion: THD+N @ 40Hz, 0 dBu: less than 0,20%, +10dBu: Noise: Rg=200ohm
Output Gain: @ 20less than -85 dBu less than -60 dBu
CCIR-468-4: less than -75 dBu less than -50 dBu
CMRR: @ 10 kHz: less than -60dB
Max. output: @ 1% THD+N: greater than +26dBu
Gain: Mic. Preamp: 0dB to 70dB, DI: 10dB to 60dB

製品の説明を読むと、真空管式プッシュプル回路を採用し、すべての増幅段が真空管で構成されており、入力、出力共にトランス式平衡回路である。現行モデルで、全段真空管式かつ入出力ともにトランス式というのは珍しい。使用真空管は、1入力系統あたりECC83(=12AX7、特性データECC83.pdf)が2本、ECC82(=12AU7、特性データECC82.pdf)が1本。初段ECC83の2段増幅回路で可変利得回路を持っており、ECC83による1段増幅の後P-K分割型位相反転、そして終段はECC82プッシュプルという構成である。

回路定数をみる限りこれで十分なS/N比とれるのかな、と思っていたらやっぱりS/N悪かった。せっかくトランスで昇圧しているのだから、もうちょと回路定数考えればいいのに・・・みたいな気がするが、これはあくまで外野の意見。音はトランス使っるの?と思うくらいヤワな感じだが、その原因は昇圧比を高く取りすぎたからではないかと思っている。高い昇圧比とるならもっとS/N良くなってもいいんだけど。いろいろな意味で悩ましい回路な製品だと思う。

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