ネカマのデビュー戦

出会い系のサクラ。
その存在は知っていましたが、実際それがどんな仕事なのかは全然知りませんでした。
ある日、探偵ファイルでサクラの特集をやっているのを見て興味が湧いた。
へぇ、やってみたいな。おもしろそう。
 
特集記事で、サクラのバイトの見つけ方が載ってました。
・出会い系のサクラのバイト募集の広告は、新聞の折込みちらしにも、フロムAにも載ってます!!
・サクラの場合ほとんどが「簡単なPC入力!初心者・未経験者でも誰でも出来ます!」と書かれてます。そして具体的な仕事内容は記載されてません!美味しい条件だけが並んでいます。
・さらに会社(雇用先)が「有限会社」または会社名のみでしたら、サクラのバイト募集の可能性は大幅アップ!
 
 
ほぅ。なるほど。
とりあえず手元のパソコンから調べられないものかと、ヤフーの求人から検索してみた。したらば。
 
 

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職種名 - 入力オペレーター
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 - まずはお気軽に電話連絡の上、履歴書(写真貼付)をご持参下さい。土・日も受付しています。

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クサイ。
なんて怪しいんだ。これはサクラに違いない。
早速電話し、翌日面接することに。
 
会社に着く。
「すみません、面接できたんですけど」
「あ〜はいはい。こっち来て」
 
面接官はまるでヤクザのような風体で、金のネックレスに金歯を覗かせていたのが印象深い。絶対怪しい。
そして面接官は言う。
「あ、そんじゃそこ座って。ん〜と、仕事内容はサクラだから。出会い系のサクラな。女の子のフリしてメールするだけだから。できる?」
「え・・・」
あまりの言い草に、少々戸惑う俺。サクラであることを予想してきたのに、ちょっと引いてしまった。
「あ、はい。一応サクラじゃないかなって思って来たんで、それは大丈夫です。やりたいです」
「あ〜そう。そんじゃ明日からこれる?」
「大丈夫です」
「ほんじゃ勤務時間だけど・・・」
 
面接は5分。まるで会う前から採用が決まってるような物言いだった。大丈夫か?
 
 
 
 
 
翌日、早速出勤してみる。
こういう仕事って、根暗デブばかりが働いてるもんだと思ってました。
 
が、意外にもそんなことはありませんでした。
 
職場に入ると、30台くらいのパソコンに向き合うごく普通の人たち。しかも割合的に女性の方が多いときた。今風の若い子から綺麗な女性まで様々。
 
へぇ・・・意外。
 
とりあえず右も左もわからない俺に仕事を教えてくれることになったのは、佐藤さん(仮)というかわいらしい女性でした。
年は・・・俺より一個上くらい?
「よろしくお願いします。今日から勤務の子蜂です」
「あ、よろしくお願いします。佐藤です。それじゃ今日は一緒にやりますので、仕事覚えてください」
「はい」
とりあえず仕事の一通りの流れと、ソフトの使い方を簡単に教わる。
まず各パソコンに何人かの女性キャラがいて、そのキャラをシフト制で交代しながらみんなで回していくシステム。
だから、例えば優子・久美・春子という女性キャラがいるパソコンでは、朝勤務の人が3人の女性キャラを巧みに使い分けて大勢の男性会員とメールのやりとりをし、夕方勤務の人と替わるときに引継ぎ連絡をして帰る。
「優子は何人かの人と日曜日に会う約束をしてて、久美は土曜日会う約束をしてる。春子は犬飼ってることにしたから、適当に話つないでおいて」
と、こんな具合。
それぞれのキャラによって当然性格も違うし、しゃべり方も違ってくる。
そういった情報も全部パソコンに入ってるので、全部把握した上で大勢の男性とメールをしていくのである。
キャラによって自分のことを「私」と呼んでいるのか「優子」と呼んでいるのかも間違ってはならないし、語尾や顔文字の使用頻度も気をつけなければならない。
また、手打ちのメールでは効率が悪いため、誰に送っても差し支えのないような内容のメールを一斉送信もする。
例えば
「おはよう。今日も仕事がんばってね!朝ご飯は何食べたの?」
という感じ。
文末は疑問系で終わるのがミソで、返信してくる率がずっと上がる。
男性はポイント制で、1ポイント15円。一度メールするたびにマイナス10ポイント。つまり客はメールするたびに150円かかるのである。
いかに返信させて150円ずつ搾り取るかというのが仕事なわけだ。
 
 
なるほど、概要はわかった。
まず各キャラの性格を把握しなければ。
優子が男性会員たちに最初に一斉送信したメールを見てみる。
 
「はじめまして。優子です。成人式までには処女を捨てたいんだけど、もう時間がないので誰でもいいです!早く私の処女を奪ってください!この年で処女なんて嫌なんです・・・できれば優しくしてくれる人がいいんだけど、あまりわがままは言いません。あと話は変わるけど、成人式までにどうしても貯金の320万を使い切りたいんです。怪しいお金じゃないよ?ちゃんと貯めたお金だし、ただ人生をリセットしたいだけだから。でも一人じゃ使い切れないし、一緒に使ってください。お願い!処女とセットで早い者勝ちだからね!」
 
 
 
 
 
 
 
 
は?

 
 
 
 
「え、なんですかこれ」
「ああ、これは優子ちゃんが男性会員全員に送った最初のメール」
「いや、それはわかるんですけど・・・そうじゃなくて、なんですかこれは。こんなの誰が引っかかるんですか?」
「引っかかるって、返信ってこと?これだけの人が返信してきてるよ」
そこには返信してきた男性リストがズラリ。
「・・・・ほんとだ・・・・」
 
『優子ちゃんの処女が欲しいよ!成人式までには間に合せようね!』
『僕の彼女になってくれますか?まだ決まってなかったら連絡ください』
『金は俺が全部使ってやるから安心しな!勝手に使うなよ』
『処女なの?今晩会える?』
『優子の体を舐めまわしたいよ。お金はいいんだ。とにかく舐めさせて』
以下略。
 
 
 
・・・・・。
え〜と・・・
 
何これ。
 
 
「このお客さんたちに返信してメールするのが仕事だから」
「・・・はい」
 
以下、一月中の優子とお客たちのメールが続く。
 
a氏「9日の金曜日会おうよ。19時から大丈夫?」
優子「うん大丈夫だよー!早くダーリンと会いたいな♪」
 
b氏「いつ会えるの?俺仕事だから平日だったら夜遅くなっちゃうよ」
優子「いいよ〜。9日の金曜日、19時頃とかダメ?」
b氏「わかった。何とか間に合せるよ」
優子「やった♪ダーリン大好き!ちゅっ」
 
c氏「口座ごとよこすって約束はいつ守るんだよ」
優子「うん、会ったらちゃんとあげるから。金曜日大丈夫?」
c氏「わかった必ず来いよ」
優子「もちろんだよ!ダーリンこそドタキャンとか無しだよ?」
 
d氏「ああああ!もう我慢できないよ!優子・・・俺の優子・・・舐めて舐めて舐め尽くしてあげるからね!」
優子「もう、エッチなんだから!でもいっぱい舐めてね♪」
d氏「舐める舐める舐める!俺は優子のバター犬だから!バター持って行くから!
 
優子「バターはいらないよ
 
 
 
 
プッ。
 
 
そりゃ・・・
 
いらねーよ・・・
 
 
 
優子ちゃんも素になってるし。 
 
 
完全に頭がゆだってます。
自称バター犬のd氏。
「バターのd」とでも呼ぼうか。
 
 
で、金曜日の履歴を見てみる。
 
a氏「え?今日来れないの?」
優子「うん、ごめんね。実家の母が倒れちゃって、すぐ帰らなきゃならないの。ほんとにごめんね?ダーリン私のこと嫌いになった?」
a氏「いいよ、仕方ないし。今度はいつ会えるの?」
優子「たぶん日曜は大丈夫だと思うよ。ダーリンは?」
a氏「大丈夫。じゃ、その日約束だよ」
 
b氏「え?今日ムリなの?」
優子「うん、ごめんね。実家の母が倒れちゃって、すぐ帰らなきゃならないの。ほんとにごめんね?ダーリン私のこと嫌いになった?」
b氏「嫌いになんかなるわけないじゃん!明日はダメだろうし、日曜日は大丈夫?」
優子「許してくれるの?ありがとうダーリン!大好き!日曜日会おうね!」
b氏「うん、約束だよ」
 
c氏「はぁ?ふざけんじゃねーよお前最初から金よこす気ねんだろ?」
優子「そんなことないよ!家族が倒れたのに、行かないわけにはいかないでしょ?」
c氏「うるせー、じゃ俺の口座番号言うから振り込んどけ。××銀行の********だ。誠意見せろよ」
優子「会わないでお金だけなんて嫌だよ!ならちゃんと処女も一緒にもらってくれる人探すからいいもん」
以後、c氏とは連絡無し。
 
d氏「え!?今日会えないの!!?ガビーーン!楽しみにしてたのに!いろいろ持って来たのに!」
優子「ほんとにごめんね?私もダーリンとエッチしたいよ・・・でも行かなきゃ」
d氏「行く前にちょっとだけでも会えない?5分でいいから!5分だけ舐めさせて!
優子「無理だよ、もう行かなきゃ。それに5分だけなんてダーリンに悪いよ・・・」
d氏「いいよ俺は別に!一舐めだけでもしたいんだ!会って一舐めしてバイバイでいいから!」
優子「だ〜め。日曜日まで我慢してね」
d氏「ああ、優子・・・俺の優子・・・。3日もオナニー我慢したのに、二日延長かよ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
だめだ・・・
 
 
 
笑い死にしてしまう!
 
た、助けてくれ。
 
会って一舐めしてバイバイか・・・。
辻斬りみてーだ。
自称バター犬は伊達じゃない。
いろいろ持って来たというのが気になるが、恐らくバターか生クリームは持って来たんだろう。
今となっては知る術はないし、また知りたくもないが。
 
「こんな感じで返信していくの。わかった?」
「はい・・・」
 
こんな感じか・・・
 
「これって、やっぱ会えないわけじゃないですか。何度もドタキャンしたらcさんみたいに怒っちゃうんじゃないですか?」
「うん。だからなるべく会う約束はしない方がいいの。違う話題で盛り上げて返信してもらうのがベスト。まぁ向こうは会うのが目的だから、いずれはそういう話になっちゃうけど。だから、それまでに何回返信させれるかよね」
なるほど。
なんとなくわかってきたぞ。
「それじゃ、子蜂君もやってみよっか。ここが今日優子ちゃんに返信してきた人だからね」
「はい」
 
客「優ちゃんおはよー!今日も仕事がんばってくるね。おはようのチューして!」
う〜ん・・・
 
「そんなに考え込まなくていいよ。『うんおはよー。ちゅっ』とかでいいから。相手の数が多いから短文でサクサクいこう」
「あ、はい」
優子「うんおはよー。ちゅっ」
「じゃ、次はその下の人ね。ささっと打ってパパっと返信もらわないと」
 
客「俺今日休みだよ。優子は何やってんの?」
う〜ん・・・
 
「『今日は学校だよ。ダーリンは予定ないの?』とかでいいよ」
「あ、はい」
優子「今日は学校だよ。ダーリンは予定ないの?」
 
ふむ、なるほど。こんな感じか。
しかしあれだな。
チューとかダーリンとか、まぁいいんだけどさ。
横で人に見られてると打ち辛いな。
まぁこれが仕事だし、この佐藤さんもいつもやってることだからサバサバと教えれるんだろうけど。
 
違うバイトの人が話しかけてきた。
「おはよーッス。あれ、新しい人?」
「あ、おはようございます。今日から勤務の子蜂です」
「よろしくお願いします。こういうの初めてでしょ?横にお姉さん張り付いてて、筆下ろしみたいだねウヒャヒャ」
 
そう。
気分はそんな感じです。
恥ずかしいったらありゃしない。
 
 
客「太巻おいしかった?会った時は俺の太巻いっぱい食べさせるからね」
う〜ん・・・エロネタか。ますます打ち辛いな。
 
「『うんおいしかったよー。早くダーリンの太巻も食べたいな♪』でいいよ」
「あ・・・はい」
どうやら恥ずかしがってるのは俺だけらしい。
佐藤さんのなんとサバサバしたことか。
教えるためとはいえ、これ実際口に出して言ってるから面白い。
もっと言わせたいので、エッチトークが来たらわざと考えてるフリして佐藤さんに言わせようと決めた。
 
客「優子!朝立ちして今ビンビンなんだけど!なんとかしてほしいんだけど!」
う〜ん・・・
 
「こういうのはムリして答えなくてもいいよ。いきなり話題変えちゃってもいいし。『おはよー。今日は遅刻するとこだったよ。ギリギリセーフ!』とか」
あ、逃げた。くそっ。
 
 
しばらくマンツーマンの指導が続き、大体要領はつかんできた。
「それじゃそろそろ一人でやってもらうから。できそう?」
「はい、大丈夫っすよ」
ふう、やっと解放される。
仕事は慣れてきても、人に見られながらやるのだけはどうしても慣れなかったのだ。
当り障りのない会話ばかりで、俺の持ち味が出し切れなかった。
これでやっと全開でいける。

今日はとりあえず初日なんで、新しくキャラを作るとかはせず、ひたすら既存のキャラを回す作業に終始した。
各パソコンには大体10人前後の女性キャラがいるらしく、全キャラのプロフィールを覚えるだけでも大変だ。
俺が担当したパソコンに、こんなキャラの引継ぎがあった。
以下、昨日のバイトの人と客とのやりとり。

客「みかりんってどんなエッチが好きなの?」
美香「みかりんはねー、フェラが得意だよ♪お兄ちゃんのいっぱい舐めさせてね!」
客「マジで?俺もクンニ得意だよ!奇遇だね!
 
 
 
 
 
なんだよ奇遇って。
 
 
 
以降、続きを俺が担当することに。
 
俺「お兄ちゃんって、舐めるの好きなんだ?じゃみかりんのも舐める?」
客「舐める舐める!もうべろんっべろんに舐めちゃうもんね。お兄ちゃんみかりんのお○んこ大好き!」
俺「もぅ!ホントに変態さんなんだから」
客「うん、変態さんだよ♪みかりんにきゅうり突っ込んで食べちゃいたいくらい」
俺「やだぁ!恥ずかしいよぅ・・・」
客「恥ずかしがることないよ!みかりんのお○んこおいしいんだもん。きゅうりも絶対おいしくなるね」
俺「え〜、そーかなぁ・・・」
客「そーだよ!それに気持ちいいし!今度いっぱい突っ込んであげるからね!」
 
 
 
 
 
 
 
きゅうりて・・・・。
 
 
 
俺のどこに突っ込む気だ・・・?
 
 
 
 
 
勘弁してくれ!
 
 
 
 
俺「じゃお願いしちゃおっかな〜(笑)」
客「おっしゃー!!もうじゃんじゃんお願いしちゃってよ。みかりんのためならなんだってしちゃうから!みかりんのおしりの穴まで舐めて綺麗にしてあげるからね♪」
 
 
 
 
・・・お前は本気か?
 
 
いっそ会ってやろうか?きゅうり持って。
 
 
 
俺「オウ待たせたな。俺がみかりんだ。オラ、きゅうり持って来たからよ、突っ込んでくれよ。俺のケツ舐めるんだろ?突っ込んだきゅうり食うんだろ?絶対おいしくなるからよ」
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
いやだそんなの。
 
 
 
 
 
 
客「みかりんのお尻にいっぱい突っ込んじゃいたい!もうチン○だけじゃなくて、俺ごと入っちゃいたいくらいだよ!」
座薬かおめーは。
 
 
これ全てのメールに150円ずつかかっているのである。
頭が悪いとしか思えない。
世の殿方のスケベ度を、改めて認識できた一日でした。
 
 
波乱の幕開けだ・・・
 
 

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