■最 新 作 (2012.04.08)
咲き誇る桜の木の下で 〜内藤はドクオと対決するようです〜 new
あの夏から半年、備府に帰って来た内藤はツンとドクオと一緒に住んでいた。何の不満も無い幸せな日々、だがもうすぐ春になるその時からその生活に少しづつ不安が忍び寄る。そしてそれはやがて最悪の結末を呼び寄せた。
道場の窓から見える真っ白な山とその果てにある真っ青な空を内藤は見ていた。
青く澄み渡った空には山と同じ真っ白な雲がいくつか浮かんでいて、そのうちの一つを見て内藤は思った。
あの雲はツンに似ている、と。
そのツンはといえば今、内藤の目の前に座っている。
遠くで鳥が鳴いているのが聞こえた。
「鳥が鳴いてるお」
「そうね。――ねぇ、内藤?」
ツンがにっこりと内藤に笑いかける。
「この鳥の名前を知ってる?」
「知らないお」
内藤の答えにツンはもう一度にっこりと笑うと、そこから一転、目を吊り上げて内藤に言い放つ。
「閑古鳥よ!」
そして道場の床を手で叩き、内藤に詰め寄る。
「見なさい、この道場! 何でこんなにガラーンとしてるの!」
「……なるほど」
ツンの勢いとは真逆にのんびりとした内藤の言葉。その言葉にツンが訝る。
「何よ?」
「閑古鳥はガラーンって鳴くのかお」
「…………」
「ひっ…………」
ツンに睨みつけられ、内藤の動きが止まる。
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■準 新 作 (2012.02.14)
彼女が勉強する理由 〜クーには計画があるようです〜 new
学校のテスト、廊下に貼り出される得点順リスト、そしてその第一位の名前が書き込まれる場所。全ては彼に恋したせい。2月14日に贈る、クーの物語。
「むぅ……」
廊下に張り出された先日のテストの成績順リストを見ながら、彼が呟いた。
今この瞬間、彼は私の名前をじっと見つめ、そして私の事を強く意識しているはずだ。
何故ならば、彼の見つめるリストで、いつも彼の名前が書かれている、言わばリストにおける彼の指定席、リストの右端、得点第一位の場所、そこに書かれているのが彼の名前では無く、私の名前だからだ。
無言のままリストを見続ける彼を背後から見つめながら私は思う。
――――彼の視線の先には私の名前がある。
「ふ、ふふふ」
自然と笑いがこぼれる。
テストで良い点を取った事よりも、彼の目が私の名前を見ている事にこそ、意味が、そして多大な喜びがあった。
何故ならば、今回、私が猛勉強をして成績を上げたのはひとえにその為であり、良い成績を取った事などはそのオマケに過ぎないのだ。
全ては彼に私の名前を見てもらうため、そして私を意識してもらうため。――そう、私は彼に恋をしているのだ。
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