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★特集・アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグの本

「大理石」
1989年6刷
澁澤龍彦・高橋たか子訳
人文書院


箱入りだった初版本を紛失したため新たに買い求めたもの。
田舎の本屋で全く内容の想像できないタイトルに目がとまり、目次と本文とを少しく捲ってみただけで引き込まれ、家に帰る間ももどかしい思いをした。それが初版本の出た1971年。「全作品中、最も高い完成度を示した小説」と“あとがき”で訳者の澁澤龍彦が評している。
「マンディアルグ初の長編小説」(澁澤龍彦)で1953年、作者44歳時の作品。
今も目次を開くだけで、“この反時代的な、特異な”スタイルの魅力に目を遊ばせる楽しみは減じることがない。

「余白の街」
1972年再版本(初版は1970年)
生田耕作訳
河出書房新社「今日の海外小説」


黄色い付録のリーフに吉行淳之介が「血を流すこと」と題した短評を載せている。<今回初訳された「余白の街」は、力作である。昔のマンディアルグが、ところどころに顔を出してはいるが、まったく作風が違っている。>といい、<じつは、私はこの作品にたいしてはかなりの疑問をもっているが、>とある。
作者稿了は1966年10月10日。1967年度ゴンクール賞受賞作。
「様々な意味で解釈と位置づけの困難な作品」としつつも「新しいマンディアルグの誕生を予告する、過渡期的な、煉獄的作品という見方も成り立つ」と訳者は言う。バルセロナの特異な政治的風土が孕む猥雑な街と、そこを彷徨う孤独な男の内的独白とが圧倒的な密度で取り込まれていて、何度読み返さずにはいられない1冊。

「みだらな扉」
1972年初版
品田一良訳
二見書房


タイトルは出版社の希望に添い、序文は「放埓な扉」と原題に添っている。
短編集を編む作者の愉悦をどこかでマンディアルグは語っているが、この作品集もそうであったろうと思わせる。凝ったスタイルの「序」がおかれ、その後に「サビーヌ」「洞窟」「ポルノパパスの劇場」「ネズミッ子」の短編4作。
「サビーヌ」の、結末が最初に置かれ、そこに至る事の次第を次々と遡行していく語り口は魔術的。どの作品もたっぷりと濃密なマンディアルグ。
1965年の作品。

「オートバイ」
1973年8刷(初刷は1965年)
生田耕作訳
白水社


余りに有名な一作、映画になり一般大衆にこの孤高の作家の存在が知られることになった。「現代パリ風俗の新しい風潮の源泉としてスティーヴ・マックイーンの『大脱走』とこの作品の影響が指摘されている」と訳者が紹介している。1963年の作品。
若い女性の魂と肉体の煉獄を描写するそのスタイルにおいて、これはもう一つの「O嬢の物語」といってもよいのではないだろうか。

「海の百合」
新装版
1974年初版(旧版は1966年、「人間の文学」シリーズ第17巻)
品田一良訳
河出書房新社


冒頭の小文「海の百合」は、原書にはなく評論集「月時計」所収のものを原著者の了解のもとこの本に訳出したもの(訳者)という、それは本編と素晴らしい一対となっていてもはや別ち難いほどのものとなっている。
1956年の作品。
「ジョルジョーネの絵から抜け出してきたような若者」と主人公ヴァニーナの恋愛事件は終始「牧神の土地」、その香しい空気に包まれ、透明で静謐な佇まいが、一幅の絵画作品としてマンディアルグの他の作品とは際立って異なる手つきで完璧に描かれている。

「満潮」
1976年
生田耕作訳
奢バ都館


訳者あとがきによれば1959年、「シュルレアリズム国際展」のカタログ「警報箱」に掲載された、という。

「ビアズレーの墓」
1976年
生田耕作訳
奢バ都館


ビアズレーの「髪の毛盗み」の連作挿絵に想を得たとされる作品。原著(「黒い美術館」に収録)にはない、その挿絵を付している。

「レオノール・フィニーの仮面
1976年2刷本(第1刷も同じ1976年)
生田耕作訳
奢バ都館


原著は1951年、日本語版に際し「図版、写真等もすべて収録し、出来うるかぎり原本の体裁の踏襲に努めた。」という。
梟の仮面のアイデアが「O嬢の物語」に利用されていることや、マンディアルグの「生首」のヒロインの仮装に使われていることなどを訳者が紹介している。

「ボナわが愛と絵画」
1976年初版
生田耕作訳
新潮社

「じつのところ、ボナから<小さな本を書いた>と打ち明けられたときには、疑心暗鬼であったが、『満月』を読んで私は少々残酷な形で、だが心底から感嘆させられた。」と最愛の伴侶であり画家であるボナとの私生活をも記しつつ、<稀有な女性>の相貌を描く。

「狼の太陽
1975年
生田耕作訳
白水社


収録作品「考古学者」「小さな戦士」「赤いパン」「女子学生」「断崖のオペラ」「生首」

1951年の作品。
狼の太陽=「月」。

「おき火」
1979年
生田耕作訳
白水社


収録作品「おき火」「ロドギューヌ」「石の女」「曇った鏡」「裸婦と棺桶」「ダイヤモンド」「幼児性」

1959年の作品。

「黒い美術館」
1985年
生田耕作訳
白水社


収録作品「サビーヌ」「満潮」「仔牛の血」「ポムレー路地」「ビアズレーの墓」(最初の二編は原作に含まれていない)

1946年の作品。

「1914年の夜」アール・ヌーボー調
1979年初版
生田耕作訳
奢バ都館


1935年の作品。

「夜想1」マンディアルグ×ボナ
1979年
ペヨトル工房

マンディアルグ「曇った鏡」「石の女」「アディーブ」「メトロ・ミラージュ」「エリュアール『くるしみの都』および『愛・詩』への序文」「仮面」
ボナ「 ボナの素敵な冒険」

その他評論

「夜想弐」ハンス・ベルメール
1980年
ペヨトル工房


マンディアルグ/「断章」/ 1950年、ベルメールの画集「リーブル・コレクティフ」に付された小文でタイトルなしで掲載されたものが収録されている。

「ボマルツォの怪物」
1979年初版
澁澤龍彦訳
大和書房


収録作品「ボマルツォの怪物」「黒いエロス」「ジュリエット」「異物」「海の百合」「イギリス人」




「閉ざされた城の中で語る英吉利人」
1981年
生田耕作訳
ベルメール挿絵
奢バ都館


1953年、ピエール・モリオンの偽名で地下出版された。

「城の中のイギリス人」
1982年
澁澤龍彦訳
白水社


1953年の原書初版に使われたチェック模様を模した装丁。また1979年のガリマール書店新版で公開されたエピソードを序文として収録。

「薔薇の葬儀」
1994年
田中義廣訳
白水社


収録作品「薔薇の葬儀」「クラッシュフー号」「ムービングウォーク」「パリのコブラ」「影の反乱」「蝮のマドリーヌ」「シクスティーヌ・アグニ」

1983年刊の作品集。

「刃の下」
1996年
露崎俊和訳
白水社


収録作品「1933年」「肌とナイフ」「ミランダ」「螺旋」「催眠術師」「夢と地下鉄」

1976年の作品集。

「すべては消え行く」
1996年
中条省平訳
白水社


1987年刊の遺作となった作品。

「猫のムトンさま」
1998年
黒木實訳
ペヨトル工房


1991年のマンディアルグの没後、1993年刊行された。
本書の前書きとあとがきによってマンディアルグの小説処女作かもしれぬことが明かされている。

「カファルド」ボナ・ド・マンディアルグ
1976年
高山鉄男訳
コーベブックス


カファルド=月(隠語辞典)

「シュルレアリスム読本―1」シュルレアリスムの詩
1981年
思潮社


マンディアルグの詩「夜・愛」収録。

「ユリイカ」総特集シュルレアリスム
1976年
青土社


マンディアルグ「ベラムール」収録。

「エロティシズム」
1978年版(1973年初版)
青土社


マンディアルグ「黒いエロス」収録。
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