ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ対策編 - 分配器(スプリッター)

              (作成:2003年11月)      地デジTopへ戻る
              (更新:2013年03月、分配器とは)

MASPRO製 分配器 2SPF

分配器とは(スプリッター、ディバイダー)

   分配器は同軸線(アンテナケーブル)を複数の同軸線に分けるためのアン
  テナ部品です。
   電力も分けられてしまいますので、電力が分配数の分だけ除算されてしま
  います。2分配なら電力は半分になります。デシベルdBで表すと3dBに
  相当するので3dBの損失となります。市販の分配器は回路やコネクタ等の
  損失も加わるので、通常の2分配器には4dB程度の損失があります。

2分配器

   3dBの損失といってもピンと来ないかもしれません。もし3dBの損失
  を改善することが出来れば、ブロックノイズが発生していたり不安定な受信
  だったのが、安定して受信できるようになる程度の効果のある改善レベルで
  す。もちろん、状況によって効果の度合いは異なります。

    つまり、分配器や分配数は「なるべく少なくする」ことが重要です。

   このページが分配器の説明ページにも関わらず、最初に損失の話を書いて
  いるのは、分配器の誤った使い方で失敗を引き起こすことが多いからです。
   例えば、新たに分配器を購入する際に将来の機器の増加に備えて分配数の
  多い分配器を検討される方もいらっしゃると思います。受信強度が十分に高
  い場合やブースターが用いられている場合などは、それでも良いかもしれま
  せんが、空き端子にはダミー抵抗を取り付ける必要があります。
   また、レコーダーのチューナー部に分配器が内蔵されている場合も多く、
  レコーダー内蔵の分配器を積極的に使用することで分配器による損失を減ら
  すことが出来る場合があります。
   下図の例ではレコーダ(機器1〜3)のチューナー部に無損失の分配器が
  内蔵されていることを想定した場合の損失改善方法を示しています。


2分配器


   上の例では分配器で8dBの損失が発生していたのを、ほぼ無損失に改善
  しています。しかも、外付け部品が不要なので経済性も高く、機器が増えた
  場合にも対応(※)できます。
   ただし、必ずしもレコーダ内蔵の分配器が無損失であるとは限りません。
  本ページ内の「レコーダ内蔵の分配器の特性」も参照してみてください。
      ※:100分配などになると分配器の方が有利になるかもしれません。

   分配器に低ノイズアンプを内蔵した分配損失補正回路内蔵の分配器も市販
  されています。当ページ内の「市販品」表の「特長」に「無損失」と書かれ
  た八木アンテナ製CS4DBTが無損失分配器です。
   通常の4分配器だと8〜10dB程度の損失がありますが、分配前に増幅
  することで、損失を補正しています。但し、LNAは利得が低いブースター
  と同じです。ブースターを挿入した時と同様の問題が発生する場合もありま
  す。詳しくは「対策編-ブースタの効果」及び「対策編-相互変調」を御覧く
  ださい。



分配器と分波器の違い

  分配器は、電力を分配するものですが、分波器は、周波数の違うものを分け
  る働きをします。例えばVHF/UHFの分波器は、VHFとUHFの混合された信号を
  フィルタによって周波数を分けてから、出力します。したがって、同じ周波
  数の電波を分けるのではないので、原理的には、分配器のように電力が劣化
  しません。(ただし、実際はフィルタの特性によって、電力が劣化します。)

分配器と分波器との違い
部品 作用 電力
等分
帯域
分割
主な用途
分配器 電力を等分に分配する 複数の機器へ分割
分波器 周波数に応じて電波を分波する 地上波とBSを分割


分配器と混合器の違い

  分配器と混合器は基本的に同じ原理です。ただし、混合器には分波器と同じ
  ように周波数によって混合するものが含まれています。
  分配器を電力を等分に混合する混合器として使用することには問題がありま
  せんが、混合器を分配器として使用することはできない場合があります。

分配器と分波器と混合器の違い
部品 作用 電力
等分
帯域
分割
主な用途
分配器 電力を等分に分配する 複数の機器へ分割
混合器 製品によって異なる アンテナを混合

  なお、市販の混合器の多くは、屋外で使用できるように防滴タイプになって
  いますが、分配器の場合は、屋内、室内で使用するために防水や防滴されて
  いませんので注意が必要です。


分配器と分岐器(直列ユニット)の違い

  分配器は電力を等分に分配する部品でした。分岐器は電力の一部を取り出す
  部品です。詳しくは「対策編-
分岐器」を参照ください。

分配器と分岐器(直列ユニット)の違い
部品 作用 損失 主な接続形態
分配器 電力を等分に分配する 3〜4dB スター型(根元で分配)
分岐器 電力の一部を取り出す 約10dB バス型(配線途中で分岐)


通電

  ここで言う「通電」はDC通電のことで、同軸ケーブルに直流電流を流すこと
  を言います。
  1通電型の分配器では、下図のようにDC通電が一端子のみとなっています。
            但し、高周波信号(電波)は両方の端子に分配されます。

DC通電

  主に、ブースター用の電源やBSアンテナ用の電源の供給や、アンテナ切換
  などで使用されます。電圧はDC5V〜DC20Vの範囲ですが、一般的に
  は、以下の電圧が使われています。

アンテナDC(直流)電圧
電圧\用途 電源のみ 直線編波 円偏波
ブースタ スカパー 110度CS
DC15V ○通常 水平偏波 右施円偏波
DC11V - 垂直偏波 左施円偏波

  BSアンテナ用の電源とは、アンテナの先端のLNBと呼ばれる受信回路を
  動かす為の電源です。ブースターもしくは、BSチューナーのアンテナ入力
  端子から出力する必要があります。


全通電型の分配器

  分配器の通電方法には、1通電型と全通電型といった複数の種類があります。
  1通電型は、前述のとおりですが、これを全通電型に置き換える場合、機器に
  よっては問題が発生する場合があります。必ず、取扱説明書を確認の上、全通
  電型の分配器での接続に問題が無いかを確認してください。

  全通電型は、分配器の全ての端子にDC通電がある分配器です。したがって、
  もし、2つのチューナーの両方のBSアンテナ電源がオンしてしまった場合、
  BSアンテナ電源同士が衝突してしまいます。実際には、チューナに保護回
  路が入っていたり、「BS電源がショートしました」などのメッセージが表
  示される機種もありますが、このような危険な配線は避ける必要があります。

  例えば、アンテナの混合には全通電型を使います。複数のUHFアンテナに
  1台の電源で供給する場合は、全通電の分配/混合器である必要があります。

全通電型分配器


ダミー抵抗器、終端抵抗器
  (終端器、ダミーロード抵抗器、ターミネーター、擬似負荷)

  分配器の空き端子にはダミー抵抗器を取り付ける必要があります。これは、
  分配器での電波の反射を防止するもので、下図のように抵抗で終端されてい
  ます。但し、チューナー機器内蔵の分配器については、内部の回路構成にも
  よりますので、取扱説明書にしたがってください。

ダミー抵抗器(終端抵抗器)

ダミー抵抗器、終端抵抗器(市販品)の一例
防水 メーカー 型番 個数 (参考)
日本アンテナ DF-75C-SP 1個 900
DXアンテナ DFD-75S-B2 1個 699
MASPRO DR7F-P 1個 532
日本アンテナ DF-75C5-HD 5個 2,680


分配器の設計

  最も、荒っぽい、分配器は、配線を単純に分岐して、それぞれを75Ωに変換
  したものです。
  75Ωの同軸線を2つに分けると、1つあたり150Ωになります。そこで、下図
  のように、150Ωのインピーダンスを75Ωに整合する為のL(コイル)C(コン
  デンサ)を入れます。

分配器の設計

           HPF型の分配器 L3= 22nH, C1=C2= 4pF

分配器の設計

           LPF型の分配器 C3= 4pF, L1=L2= 22nH

  尚、この分配/混合器の問題点は、周波数に依存していることと、出力側の
  インピーダンスが75Ωにならない点です。
  周波数の問題は、地上デジタル放送に対しては支障なく使えます。しかし、
  VHF帯やBS、CSでも使用する場合は注意が必要です。
  HPF型はVHF(1〜12ch)に大きな劣化があり、LPF型では、BSやCSで大きな劣化
  があります。したがって、HPF型をVHFで使用したり、LPF型をBSで使用したり
  することが出来ません。
  インピーダンスの問題要因は、分岐点に注目すれば分かります。75Ωを2本
  に分けて150Ωにしていますので、分岐された150Ω側から見た時に、75Ωと
  150Ωの合成(約50Ω)が見えてしまうのです。


抵抗分配器の設計

  抵抗を使ってインピーダンスを調整した分配器が下図です。通常の分配器の
  損失は電力を半分にする点から3dBですが、この分配器は抵抗で電力を消
  費してしまい、電力が、さらに半分になり、6dBの損失があります。
  しかし、周波数に依存しない点、インピーダンスが正確な点、製作が容易な
  点で、損失を気にしない部分(ブースタの後ろなど)で、利用価値があります。
  BSの周波数にも対応できます。
  但し、この回路では直流電流を通すことが出来ませんので、ブースター用の
  電源を接続したり、BSコンバータ用電源を通すことはできません。

抵抗分配器の設計

ウィルキンソン分配器の設計

  インピーダンスの問題を解決した分配器の一つに、ウィルキンソン型分配器
  (Wilkinson Divider)があります。
  この分配器の特徴は、75Ωを分割した150Ωをλ/4位相器によるインピーダ
  ンス変換で、75Ωに戻しています。
  ウィルキンソン型では、線路の分岐点に特徴があります。分岐点から、L1
  へ向かう電力はRとL2を経由して分岐点に戻ろうとしますが、この経路の
  長さが、ちょうどλ/2になるので打ち消しあう位相になります。
  つまり、L1とL2のそれぞれに分岐された信号は、お互いに、分岐点に戻っ
  てこないため、分岐点でのインピーダンスが維持されるのです。

ウィルキンソンディバイダー

      C3=6pF L1=33nH L2=33nH C1=3pF C2=3pF R=150Ω

  ただし、LとCで構成された位相器に誤差が生じると、抵抗Rで電力を消費
  してしまいますので、製作に精度や設計要素が要求されます。
  また、λ/4位相器をマイクロストリップラインで製作する方法もあります。
  この場合、LやCの代わりに特性インピーダンスsqrt(Z1*Z2)のλ/4波長
  線路に置き換えます。
  なお、この回路はLPF型になっているため、BSなどの高い周波数を通過
  することは出来ません。

自作分配器

  以上の分配器から、部品点数や調整が少なく、かつ、地デジ用分配器として
  作用するように考慮した自作の分配器を設計しました。以下に写真と回路図
  を示します。詳しくは、「設計編-
アンテナ部品」を参照ください。

自作分配器

自作分配器の回路図

         自作分配器 L3= 22nH, C1=C2= 4pF, R=150Ω


市販の分配器の設計

  下図は市販の分配器の回路です。75Ωの入力をトランス(TRANS)でインピー
  ダンス変換してから分割(DIV)することで75Ωの信号を出力しているようで
  す。仮にN=0.7とすると、Zc=37ΩとなりC3とL1なしで出力1と2の75Ωが
  Zcで整合します。しかし、この時に出力側から見たインピーダンスは37Ω
  と75Ωの合成である25Ωが見えてしまい反射が発生します。これを緩和する
  ように、Zc、L1、L2、C3が決められているものと思います。

    

            トランス     分┏━━┓   ━┳━━━
            1:N     配┃ ┌╂┨┠──┨出力1
   ━━━┳━   ┏━━━┓     ┃L1∫┃ DC  ┯┻━━━
   入力 ┠──┨┠╂┐‖┌╂──●──╂─塘ォ  ┯┿┯   
   ━━━┻┯  DC ┃∫‖∫┃Zc |  ┃L2∫┃   ━┳━━━
       |   ┃∫‖∫┃  ┷  ┃ └╂┨┠──┨出力2
       |   ┃∫‖∫┃  ┯  ┗━━┛ DC  ┯┻━━━
       |   ┗━┯━┛  |C3        |
   ┯┯┯┯┿┯┯┯┯┯┿┯┯┯┯┿┯┯┯┯┯┯┯┯┯┿┯┯┯┯

      L1=L2=○○nH、C3=○○pF、N=sqrt(Zc/75)、DC=100pF


市販の分配器の特性

  下図は市販の分配器の特性です。低価格品(仕様:40〜1335MHz)では1500MHz
  あたりから減衰が激しくなってゆきますが、金属ケース品は 2150MHzまで
  ほぼ平坦で良好な特性が得られていました。

市販の分配器の特性(BS対応低価格品)

市販の分配器の特性(金属ケース入り)
市販の分配器の特性

                          測定器:GigaSt Ver5

レコーダ内蔵の分配器の特性

  下図はレコーダーに内蔵されている地上デジタル入力部の分配器の特性です。
  地上デジタル用の端子なので、レコーダの出力端子からBS機器に接続する
  ことは想定されていませんが、BS周波数までは良好です。但し、機種によっ
  てはBS周波数に対応していない場合がありますので、地上デジタル用出力
  端子からBS入力に接続することはお奨めできません。

レコーダ内蔵の分配器の特性(地上デジタル)
レコーダ内蔵の分配器の特性(地上デジタル)


  下図は衛星デジタル側です。BS周波数では、増幅されていることが分かり
  ます。しかし、地上デジタルのUHFは減衰しています。

レコーダ内蔵の分配器の特性(衛星デジタル)
レコーダ内蔵の分配器の特性(衛星デジタル)


  このような無損失分配器がレコーダーに内蔵されているかどうかはカタログ
  や説明書に記載されていない場合が殆どです。SHARPやPanasonicであれば、
  これまでの機種(DV-HRD20、DMR-EX100)で内蔵されているので、今後も内蔵
  される可能性が高いと思います。反対にCATV等の強入力耐性を上げるためか
  損失のある分配器を使用している機種もあります。(一例:SONY RDZ-D50)


市販の分配器

分配器(市販品)一例
種別 分配数 コネクタ 特長 メーカー 型番 (参考)
屋内用 2分配 F型接栓 推奨品[DH] MASPRO 2SPFA 1,555
屋内用 2分配 ワンタッチ 低価格 日本アンテナ FPD-772-SP 700
屋内用 2分配 ワンタッチ ケーブル付 日本アンテナ FP2-200-SP 930
屋内用 3分配 F型接栓 推奨品[DH] DXアンテナ 3DE1 1,079
屋内用 4分配 F型接栓 無損失 八木アンテナ CS4DBT 8,950
[DH]はJEITA推奨品


分岐器(直列ユニット、方向性結合器、ディレクショナルカプラ)

  分岐器、直列ユニット、方向性結合器の情報はページを移動しました。
  「対策編-
分岐器」を参照してください。

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方向性結合器の製作例
方向性結合器の製作例

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