弘前藩士小山百蔵英正
「居合(林崎新夢想流)掌鑑」
(19世紀、卜傳流剣術宗家小山秀弘家所蔵)

「修武堂」とは、文久2年(1862)に弘前藩が設立し、藩内の全武芸流派が集められた合同稽古場です。
ここでは流派の違いを越えて「一統面小手稽古」、すなわち一刀流及び幕府講武所式の防具付きシナイ(竹刀)打ち合い稽古を行うことが命じられました。
そのことで、各流派の個性が、同じスタイルへと統合され、明治以降の全国式「武道」へつながっていきました(詳細は当HP「身体技術伝承の近代化~」)。
弘前藩「修武堂」は廃藩置県とともに閉鎖されました。
しかし当会はその名を引き継ぎ、平準化される近代以前の武術のさまざまな術理を探求し、その体認を目指して稽古しています。
武術は、先人たちが過酷な状況を乗り越えるために熟成してきた心身の技法であり、歴史的な無形文化遺産です。
そのなかから我々も、混迷の現代を切り拓いていく、新しい心身の知を見出していきましょう。(2004.7.4創立、「修武堂」主宰 小山隆秀(古剣))

                           

  • (1)主な稽古内容 
  • (2)稽古場所・日時 
  • (3)入会金・会費など 

・柔術稽古~基礎的な身体を養成。
・剣術稽古~木刀による形稽古で基本を学ぶ。
・居合、抜刀(試し斬り)稽古~真剣や模擬刀から、刀剣の構造的特性を体認する。
・袋竹刀等による自由稽古~応用と展開を研究する。
・近世武芸伝書の研究~古伝の術理を解読する。

○稽古できる主な流派
旧弘前藩の卜傳流剣術、當田流棒術、林崎新夢想流居合、本覚克己流和(研究稽古)等。
  
・年齢は小学生以上。経験および流派等は不問。初心者も歓迎します。
・強制やシゴキはありません。各自の興味関心に応じ、感覚を重視し、心身を整えていく稽古です。
(安全には充分留意しますが、万一のケガ等は自己責任でお願いします。)
・資格や段級位等は発行しておりません。

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(1)流派名:卜傳流剣術(ぼくでんりゅうけんじゅつ)

代表者:卜傳流剣術第12代宗家 小山秀弘(おやまひでひろ)

由来:流祖は、常陸国(現在の茨城県)鹿島神宮神官の家筋に生まれ、鹿島中古流を学んで数十度の合戦や諸国修行で勝利したという戦国末期の剣聖塚原卜傳である。その流れを汲む越前国田中武平の弟子中村次太夫が、延宝年間(167381)に弘前藩家老棟方作右衛門の食客となったことから、当流が藩士小山次郎太夫英貞へと受け継がれた。

その後小山家は、當田流から当流へ改流し、藩剣術教授方として代々、林崎新夢想流居合等とともに当流を継承してきた。なかでも太郎兵衛英長は「名誉の達人」とされて数々のエピソードを残し、寛政五年(1793)に幕府老中松平越中守へ「武芸格別抜群なる者」として報告された。近世後期に流儀が繁盛し、藩三大道場のひとつとされて門弟が六百人を越えたという。幕末には、藩主による「一統面仕合稽古」令や江戸藩邸における他流派との合同竹刀稽古に参加し、戊辰戦争にも参加した。明治以降は活動の場を北辰堂道場へ移し、剣道と併習しながら当流のみを家伝として今日に至る。

  

技は大太刀二十五本、小太刀十六本、奥伝三本から構成される。攻撃部位は関節が多く、「メクラ打」(無駄打ち)とならないように剣関(間合い)を体得して、技が熟して養成される「自然力」を用い、敵の働きに応じて変化して勝つ技を多用する。特に敵の太刀を右へ受けて右へ、左へ受けて左へ変化して勝つことも当流の特徴とされている。

系譜:塚原卜傳高幹-十六伝田中武平-中村治太夫-棟方十左衛門清久-棟方作右衛門貞良-小山次郎太夫英貞-小山太郎兵衛英長-小山太郎兵衛英倫-小山倉蔵英清-小山太郎兵衛英直-小山百蔵英正-小山英一英孝-小山英太郎-小山秀雄-小山秀弘

流儀の特徴:「乱世のために昼夜ともに甲冑を手放せなかった」という戦国期の流儀であるため、形の所作は素朴に見えるが、一つの太刀に生を燃焼しつくし、一気に甲(かぶと)をも打ち割る気迫を込めた捨て身の技を教えとする。間、拍子の修練を重視し、体を左右にかわすか、退くかして、相手の攻撃をはずして技を決める形が目立つ。

活動状況:第12代宗家小山秀弘(剣道教士八段)が道場長を務める北辰堂道場(明治16年創設、青森県弘前市長坂町37)で、毎朝、現代剣道を修錬するかたわら、随時、卜傳流剣術も併せて稽古している。北辰堂行事では必ず演武するほか、隔年で日本武道館における全国古武道演武大会に出場し、毎年当地で行われる県民武道演武大会および八幡宮奉納武道大会で演武するのが恒例となっている。平成214月に弘前市無形文化財に指定される。

・卜傳流剣術映像

 

(2)流派名:當田流棒術(とうだりゅうぼうじゅつ)

代表者:清水宏二(しみずこうじ)

由来:室町時代初期に総合的に工夫された武術、中条流(ちゅうじょうりゅう)に源を発し、越前朝倉家の家臣富田九郎右衛門長家を祖とする。九郎右衛門の長男清源は富田半兵衛吉正と名を改め、流派の継承者となる。

半兵衛は弘前元大工町に移住し、延宝八年(一六八〇)正月、弘前藩に召し抱えられる。この際に慶安事件を憚り、富田流を當田流と改称する。同年九月十五日、當田流六世の印可を浅利伊兵衛ただ一人に授け、その後弘前で生涯を終えた。

なお富田景政の子孫も三代で途絶え、正統は弘前藩にのみ伝承。

系譜:當田清源―當田内記―當田権右衛門―當田権太夫吉政―當田半兵衛吉正―浅利伊兵衛均録―斎藤弥五兵(棒術)・一戸三之助宗明―浅利萬之助均定―浅利清蔵均諸―浅利萬之助均豊―浅利清蔵均繁―浅利萬之助均致―浅利八郎―関彦四郎・北村益(棒術)―寺山(浅利)龍夫―清水宏二(棒術)

 

流儀の特徴:継承されている伝書に『目録一(表之巻)技五本』『目録二(裏之巻)技五本』『極意巻三(極意之巻)』がある。基本技として六尺三寸棒を用い、棒としての長さを最大限に活かし近間の技は少ない。棒という長さを持った武器の修練は身のこなしの修練にまで反映される。小太刀、体術をも含む総合武術としての精妙な修練手法を内包している。さらに、剣術と棒術ともに習得した寺山龍夫氏(故人)は、棒の苛烈な打ちを知るがゆえに、打太刀の鍔を手押し車のタイヤの径ほどある大きさと厚さをもたせ、安全に打ち込める工夫をした。

活動状況:武術研究稽古会修武堂および弘前大学古武術研究会において、代表清水宏二が指導しており、例年、青森県武道演武大会等に出場している。

・ 當田流棒術 映像1

・當田流棒術 映像2

(3)流派名:林崎新夢想流居合(はやしざきしんむそうりゅういあい)

由来:天亀・天正年間(15701591)の頃、奥州の林崎甚助が、出羽国楯岡林崎村の林崎明神に参籠し、霊夢を受けて開いた流儀だと伝えられる。17世紀に同流の達人、常井喜兵衛直則が弘前藩に召し抱えられたことにより、津軽にも伝播し、流儀の違いを越えて多くの藩士たちが修得しした。

系譜:(※弘前藩では複数の伝系があったが、ここではその一例として弘前藩士小山家の系譜を紹介する

林崎甚助重信-田宮平兵衛照常-長野夢楽斎槿露-一宮左太夫照信-谷小左衛門季正-常井喜兵衛直則-浅利伊兵衛均禄-山形半十郎茂倫-小山次郎太夫英貞-小山太郎兵衛英倫-小山次郎太夫英徴-小山平司英平-小山儀三郎英勝-小山百蔵英正-小山英一英孝-小山英太郎-小山秀雄(昭和期)

流儀の特徴: 身を接して座る打太刀が、九寸五分の短刀で突いてくるのを、仕太刀は三尺三寸の大刀を抜いて封じる稽古を基本とする。

活動状況:同流は、旧弘前藩内の當田流、小野派一刀流、卜傳流などの各流儀が併修していた居合であったため、近世以来、複数の師範家と系譜が存在していたが、昭和期以降衰退した。よって1990年代後半に有志数名が、津軽各地に残る同流の遺産(當田流宗家故寺山龍夫の伝承と古記録類、大正期まで同流師範として門人をとっていた卜傳流剣術宗家小山家の伝承と伝書類等)を道しるべとして、実技の研究稽古を開始した。現在その稽古は、武術研究稽古会修武堂および弘前大学古武術研究会、弘前藩・林崎新夢想流居合稽古会の有志達に引き継がれ、かつての宗家制度とは別のかたちで、万人に門戸を開くかたちでの同流再興を目指して、実技の研究稽古が続けられている。

 

 

 (写真)三尺三寸の刀で行う林崎新夢想流居合「向身」一本目「押立」

(仕太刀小山隆秀(左側)、2004513日、青森県弘前市「北辰堂」にて撮影)  

・林崎新夢想流居合 映像1

・林崎新夢想流居合 映像2

・林崎新夢想流居合 映像3

 

(※以上の各流をともに稽古しております)

・稽古場所は、おもに青森県弘前市内(北辰堂」(弘前市長坂町37)、青森県立武道館など)。
・稽古日時は毎週土曜日(見学・体験可)。
 (※参加希望者は、当会へメールをいただければ、稽古日時・場所等の連絡メールを毎回お送りします。) 

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○当会稽古と連携している団体:「士塾(しじゅく)」「弘前大学古武術研究会」など

・入会金および会費等は無し(スポーツ保険(年間\1,850)の加入をお勧めします)。
・そのつど、参加者で各施設使用料を分割して負担することがあります(数百円程度です)。

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An Invitation to Old-school Japanese Martial Arts

Experience the same martial arts mastered by the Japanese Samurai of old.

1. You can practice the following schools:Hirosakis intangible cultural treasure, Bokuden-ryu Kenjutsu (Sword tactics)

Touda-ryu Boujutsu(Cudgels),Hayashizaki Shinmusou-ryu Iai (Sword drawing techniques)

Hongaku Kokki-ryu Jujutsu (Unarmed / small weapon combat)

2. Schedule:Saturdays, At HokusindoMartial Arts school). You are welcome to come just to watch, as well. Those with no

prior experience are especially encouraged to attend (Elementary school age and up).

3. Fees:No charge.

4. Contact Information:

- Bujutsu Kenkyu Keiko-kai Shubudo Website: http://www.geocities.jp/bokuden_1969/

- E-mail: shubudo21@yahoo.co.jp

- Tel: 090(5835)4780 (Takahide Oyama, Chairman)

 

 

 

 

 

 

 

 

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