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在宅血液透析のすすめ―
患者さんが望むシステム作りの基本

心・血管系合併症の基礎知識―
透析患者の心臓と血管を守る!



血液検査 ・ PTH  whole PTH と intact PTH


透析患者の Intact PTH の管理目標値は 60〜180 pg/ml です。健常者では 10〜65 pg/ml です。
なぜ透析患者ではPTHの管理目標値が高いのでしょうか。

骨折しても一ヶ月程で治癒するように、骨は無機質な固まりではなく、活発に代謝を行っています。
骨は体を支持するだけでなくカルシウムや他のミネラルの貯蔵・調整器官でもあります。


骨の代謝は休止相、吸収相、形成相を繰り返すことで行われています。

 

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・休止相
 

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吸収

破骨細胞 (☆) が古い骨細胞を溶かす。(骨吸収)

 

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形成

骨芽細胞が新しく骨を形成する。(骨形成)


骨吸収と骨形成を繰り返す、骨の代謝を骨回転といい、
骨吸収と骨形成のバランスが保たれていれば骨は常に新鮮で強さとしなやかさが
維持されますが、このバランスが破綻し、骨吸収が亢進した状態を高回転骨といい、
骨回転が低下した状態を低回転骨といいます。

透析患者さんにおこる骨障害を総称し腎性骨異栄養症といいます。

破骨細胞に働きかけ骨を溶かし、血液中にカルシウムを放出するのは
副甲状腺ホルモン、PTHの役割です。

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副甲状腺は甲状腺の裏側に位置する米粒大の臓器で、一般に4つあります。
上皮小体とも呼ばれ、副甲状腺ホルモン(PTH)を分泌しています。
PTHは破骨細胞に作用し骨を溶かして(骨吸収)
血中にカルシウムを導き、血中カルシウム濃度を上昇させる作用があります。

副甲状腺表面には「カルシウム受容体」と「ビタミンD受容体」があり、
血液中のカルシウム濃度、ビタミンD濃度を感知しています。


カルシウム濃度が低ければカルシウム受容体がそれを感知してPTHを分泌し、
PTHによってカルシウム濃度が上がればカルシウム受容体が副甲状腺にブレーキをかける。
このようにして副甲状腺はカルシウム濃度の恒常性を維持しています。透析

ビタミンDもカルシウムを調整するホルモンです。活性型ビタミンD ビタミンディー
カルシウムを食べ物から体内に吸収するのは活性型ビタミンDのはたらきです。

活性型ビタミンDは腎臓で作り出されています。ぴーてぃーえいち
そのため腎不全になると、ビタミンDが不足し、低カルシウム血症がおこります。


ビタミンDの不足も低カルシウム血症も、骨を溶かすPTHの分泌を促します。
そのため腎不全の患者さんはカルシウム製剤、ビタミンD製剤を用いることで
PTHの分泌を抑制します。透析 骨

しかしこれらの薬は高カルシウム血症となる副作用があります。
またビタミンD製剤には高リン血症となる副作用もあります。

血清カルシウム濃度は8.4〜10.0mg/dl の範囲に、リン濃度は3.5〜6.0mg/dlの範囲に、
この範囲内でも低めに厳密に維持しなければならないのです。

血清カルシウム濃度が高くなってしまうのならばPTHが高くても
カルシウム製剤、ビタミンD製剤は中止、減量しなければなりません。

高カルシウム血症は動脈硬化、血管や全身の石灰化の原因となるからです。
PTHのコントロールよりもカルシウム、カルシウムのコントロールよりもリンのコントロールが重視されます。


副甲状腺の機能にもっとも影響を与えるのは高リン血症です。
リン(P)の蓄積は副甲状腺の細胞を増殖させ(過形成)、PTHの分泌を促進させます。
透析患者の副甲状腺過形成はびまん性過形成から結節性過形成に進行します。

びまん性過形成から結節性過形成に進行するに伴い、
副甲状腺の増殖性は高まります。そして、
副甲状腺表面のカルシウム受容体、VD受容体は減少していきます。

そのため副甲状腺機能にブレーキをかけるカルシウム、VDを副甲状腺は感知できなくなり、
骨を溶かすPTHの分泌増加に歯止めがかからない状態となるのです。


低カルシウム血症、活性型ビタミンD不足、高リン血症、
これらが副甲状腺の量的な変化、質的な変化を起こし、ますます副甲状腺機能を亢進させる。

これが副甲状腺機能亢進症の内科的治療抵抗性の要因です。

 

PTHは84個のアミノ酸が連結したものであり、1-84PTH と表記されます。
血中にはさまざまなPTHの断片(フラグメント)が存在し、
腎不全となると、7-84PTH が蓄積し、1-84PTH と拮抗する作用、
骨吸収と骨形成を抑制する作用があることがわかりました。

Intact PTH の測定では1-84PTH も7-84PTH も測定してしまっていたのです。

Whole PTH の測定では1-84PTH だけを測定することができます。
Intact PTH とWhole PTH には強い相関があり、Intact PTH の6割の値がWhole PTH の値となるため
Intact に0.6を乗じればWholeの値となり、どちらで評価しても差はないようですが
Whole PTH/Intact PTH 比は0.3 〜0.8とばらつきがあり骨のPTH抵抗性も人それぞれなのです。

そのためIntact PTHが高い場合でも1-84PTHはそれほど上昇していないことがあり
PTH抑制治療前でも高回転骨ではなく低回転骨の状態であることもあるのです。

このような状態でIntact PTHが上昇しているからとビタミンD治療が行われると
容易に高カルシウム血症、血管石灰化をきたします。

骨はカルシウムの貯蔵器官であり調節器官でもあります。
低回転骨ではその調節機能が落ちているからです。

またビタミンDは副甲状腺に作用するだけではなく、
直接骨に作用し骨形成を抑制する作用があるため
Intact PTH は低下しないまま、無形成骨へと転じてしまう可能性もあります。
透析患者のPTH管理目標値が健常者とくらべて高いのは7-84PTH の蓄積も要因のひとつです。

現在、Intact PTHではなくWhole PTH を測定する病院が増えています。
しかしPTHの過剰抑制のリスクを減らすことはできても
Whole もIntact も単独で使用できる指標ではありません。

血清カルシウム値やほかの骨代謝マーカー、アルカリフォスファターゼや
オステオカルシンのチェックが必要です。

PTHが高値であっても骨代謝マーカーが高値でなければ
骨回転が亢進してるとはいえず、治療の対象とはならないのです。

内科的治療の限界が Intact PTH 500pg/ml 以上といわれ、インタクト
これに高カルシウム血症、高リン血症が伴う場合、ホール 
外科的治療(副甲状腺インターベンション)の適応になります。ペイト

副甲状腺インターベンションには副甲状腺摘出術、副甲状腺にエタノールを注入する PEIT、
ビタミンD剤を注入する PCIT 、PMIT があります。

いままで副甲状腺機能亢進症への内科治療薬はビタミンD剤でした。
しかしカルシウム、リンを上昇させる副作用があります。

そのためPTHを抑えたくても
カルシウム、リンの高い人には使用できませんでした。

新しく発売されたシナカルセト(レグパラ)は
副甲状腺機能を抑制し、それぞれ副甲状腺表面のビタミンD受容体、
カルシウム受容体を増加させる作用があります。

レグパラは副甲状腺に高カルシウムであると
勘違いさせるのです。

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シナカルセトの投与では副作用として低カルシウムが起こるため
PTHの管理目標とする値までシナカルセトを使用することができない例がでてきます。

D剤とシナカルセトを併用することで相乗効果を発揮し、互いの副作用を打ち消しあい、
副甲状腺を退縮させる可能性があるといわれています。

カルシウム、リンの管理目標達成率は
シナカルセト発売以前に比べ、倍増したという研究結果があります。

また、シナカルセト発売後、副甲状腺インターベンションは激減しました。

以前は副甲状腺機能機能亢進症により高回転骨を呈する患者さんが大半を占めていました。
高PTHによる高回転骨は骨をもろくし、繊維性骨炎を起こし
骨から溶け出したカルシウムは組織や血管に付着し異所性石灰化の原因となり
透析患者の死因の上位を占める血管疾患を招いていたのです。

しかし治療の進歩とともに現在では骨回転が過剰に抑制された
低回転骨の方が多く、増加しているとの調査結果が出ています。

PTHが低下しすぎている状態では骨吸収、骨形成ともに低下し、
行き場を失ったカルシウム、リンが組織や血管に付着し
これもまた、異所性石灰化の原因となるのです。

かつて透析患者の大半を占めていた繊維性骨炎、増加する無形成骨、
これらは腎性骨異栄養症(ROD)と総称されていました。しかしこれらは
透析患者の死因の上位を占める血管疾患とも関連しています。

そのため現在では骨だけの問題ではなく全身性疾患であるとして
CKDに伴う骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)という概念が用いられるようになっています。


会社、仕事、人間関係が「もうイヤだ!」と
思ったとき読む本

慢性腎臓病に伴う
骨ミネラル代謝異常(CKD‐MBD)
ガイドラインサポートハンドブック

透析のすべて−原理・技術・臨床− (クリニカルエンジニアリング別冊)

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