毛無山( けなしがせん  けなしやま  1,218.36m )




毛無山というのは全国に多数点在している。山陰にも羽衣石山付近、奥出雲の県境尾根に2座、耳にしたことがあるだけでもまだ数座はあるようだ。宝仏山からも2座の毛無山が・・・、そして三平山を歩いて一座身近に、ここはまだブナやスギの自生林がのこっているという山だというのでやってきた。




長い舗装林道を辿ってやってきた登山口の展望台からは、歩いた草地の三平山が右にあった。大山・烏ケ山、背後の稜線は、蒜山につづく皆ケ山辺りになるはずだ。



中国電力のサージタンクからのルートだ。岡山からのルートは昔からあったようだが、鳥取側からは新ルートになるということだ。昭和61年1986)俣野発電所に伴う林道が整備された後、平成8年登山道を開設しようと白馬の会が結成され開拓されたのだという。毛無山の後、白馬山という稜線までピストンしてみようという腹積もりではあるが・・・。このタンクは山中には異様な構造物ではある。標高約760m。




上り始めるといきなり分岐指導標だ。目指す山は右手になるはずだ。みずならの小路へ。小鳥の小路は下りで・・・。




とてもいい森だ。足元には赤や黄の落ち葉で腐葉土のような柔らかさがふわっとソールに感じられる。秋の弱い日射しが黄葉を照らす。それにしてもブナの密度がこれほど高いのは驚きの樹林だ。クマザサの下生えに、落葉樹の雑木林からブナの林へ遷移したような林だ。大山周辺のブナ、船通山、宝仏山もブナが豊富だったが・・・これほどではなかったようだが・・・。




ルートの刻みが鯛の巣山と似ている印象だ。三合目で開けた視界のピークの山は、三平山の稜線づたいになり、金ヶ谷山になるのではなかろうか。日陰の笹原には残雪がある。展望台は、うど山になるのだろう。ここからは、日本海も雪ののった大山・烏ヶ山、蒜山3座が見渡せる。




4合目付近
無法松とは山には似つかわしくない名だが・・・ クラゲブナ。云われてみればなるほどいう姿だ。風が通り抜けるのだろうか。




こんなところに三角点が・・・。屈み込むと図根点だった。傷のないまだきれいな標石だ。




落葉ずみで明るい尾根だ。力岩、その上には蔵之助岩だが、何かいわれがあるのだろうか。説明板などはない。




高度が上がりブナの樹齢もあがった印象の樹々。また標石が現れたが、やはり図根点だ。刻みの方位を試してみたが意味はなさそうだった。




カタクリ地帯になるようだ。そして縦走ルートの分岐だ。白馬山1300mとある。ピストンするのには長いような短いような・・・。県境らしい標石は岡山県へ突入だ。




ルートの傍らにロープがある。カタクリを踏圧から保護する為のものだろう。ピークらしい瘤が見える。9合目は冬の風雪が忍ばれるような、ブナの幹のくねりだ。




辿り着いた山頂は尾根の一画で広くはない。岡山県側からの3人の姿があった。三角点も踏圧でかなり剥き出しになっている。岡山では、けなしがせん、鳥取では、けなしやまと呼ぶという。
毛無山は奈良初期に役小角が開山したと伝えられ、後山と並び山岳修験の山であったということだ。戦前までは女人禁制の山だったという。
鳥取県側は急峻であまり登る人がなかったが、昭和61年(1986)俣野川発電所工事の完成で中腹まで管理用道路が完成した。俣野住民の間で毛無山登山とカタクリの花が話題になった。平成8年(1996)有志の間で登山道開設の動きが始まり「白馬の会」が結成され、翌年4月登山道が開通した。以来、尾上原集落をあげて尽力しているということだ。

条件が良ければ、隠岐島や四国や瀬戸内の海も見えるのだそうだ。白馬山への稜線ルートを眺めていると、縦走路で案外早く行けると見込まれる。白馬山からのルートを岡山側へ下山するという三脚を抱えた人があった。鳥取側から回って上がったのだという。

三等三角点 点名 田浪(たなみ) 俗称毛無山 標高 1218.36 m  明治27年4月9日選点 明治27年10月21日観測 緯度 35°14′08.465  経度 133°30′52.9099  所在地 岡山県真庭郡新庄村字田浪3294−2番地 

日野郡史
地方の諺として今に残れる”百日の照りを見て野爐をうつ”といへ野鑪のあと、太古以来のもの本郡全面にわたり、所々の大鉄塊の放棄せられたるものの地上に露出せるもの等頗る多く、その起源の古きを物語れり。延喜式主計帳伯耆国貢輸中、鍬鉄あるは主として本郡の産ならん。思ふに、蹈鞴(たたら)として梢々完全に製鉄に従事したるは、徳川時代に入りし比なるべく、貞享元禄にわたり、お手山といふ官営鉄業行はれたり云々

白馬山1.9km、朝鍋鷲ケ山7kmの指導標識。
アプローチに難がありそうだが、雪がのった季節には相当な眺望が得られそうだ。カタクリの季節にはかなりの群生が期待できそうだ。





カタクリ分岐の稜線と背後に大山と烏ケ山 目指す白馬山と歩いた三平山の背後に蒜山
岡山県側のルート この稜線には踏跡は見あたらないようだ




カタクリ分岐へ戻り、白馬山へ向かうと、平行移動のイメージとは違いかなりの下降になった。白馬山(けなしせん 1060m)は稜線の一画だ。大山南壁が見える。朝鍋鷲ケ山へは5.1kmとある。鳥取側からのピストンはアップダウンを考えると長すぎるか、金ケ谷山辺りのピストンが限界だろう。この稜線一帯の鳥取県側は、入山禁止になっているということだ。そのお陰もあってブナの自生林が豊富に残っていることにもなるのだろう。三平山から毛無山への縦走路は尾根づたいを歩けるようだが長い。金ヶ谷山(かながやせん 1164m)、朝鍋鷲ヶ山(あさなべわしがせん 1076m)は、次の機会に・・・。




俣野発電所
国内最大級の純揚水式発電所。土用ダムを上池ダム、俣野川ダムを下池として築いた。この間を5、9qをトンネルと水圧鉄管路で結び落差529,1mを利用し発電している。夜間に下池から汲み上げ需要の多い昼間に上池から落とし120万kwを7時間発電している。昭和48年(1973)調査開始、昭和55年(1980)3月着工、昭和61年10月1号機運転、平成8年4基が稼働完成。
ブナの森の県境尾根の稜線を挟んだ双方のダムで、水のやりとりをして発電しているとは壮大な施設だ。




アプローチの林道脇の白馬の滝 俣野川ダム