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● プロローグ すでに兆候はあった
2年前XPがプリインストールされているDynabookを購入した。MS-DOSの時代からMicrosoftの悪評ぶりは有名だった。とにかくトラブルの連続である。購入直後から動作は不安定だったが、最近になってその傾向が著しくなった。電源投入後メーカーのロゴが出たまま、画面が止まってしまう(1)。何かの拍子に動き出すが、再び不安定に。プロセスがハングしたときはタスクマネージャーの起動もできない。Windowsユーザーにとっては日常的な現象とはいえ、やはりガックリする。
パソコンの黎明期とは異なり、ネットで複雑につながった現代。パソコンは意思を獲得した生命のようだ。なら人間と同じように風邪もひけば不機嫌にもなる。日増しに症状の悪化させするコンピュータを見ていると、何かそんな気がしてくる。
● 1 まずは電話サポート
東芝の修理と技術に電話サポートを受けた。ちなみに修理はフリーダイヤルだ。いずれもサポートは女性だった。両方とも電話口に出るまで5分はかかったが、対応はよかった。
「最近、インストールしたものは」
私は最近Winのアップデートとアンチウイルスの更新以外していない。Windows のアップデートをするたびに不安定になった。SP2が最後だが、ますます動作がおかしくなった。そこでやむなくでシステムの復元でインストール前に戻した。
「発症する前、何か特別の処理を行ったか」
「デフラグ。むろん純正のプロセスを使った」
「ウイルスのチェックはしたか」
「前日最新のデータファイルでスキャンしたが、シロだった」
「・・・」
双方とも付属リカバリーディスクによる再インストールを勧められた。この場合、すべての設定はクリアされてしまう。再設定の手間は惜しいとは思わないが、すんなり行くはずがない。トラブルの発生は必至だ。XPにファイルと設定の保存ツールが準備されているが、使い勝手は悪い。復元時のトラブルを考えるとうんざりし、途中でキャンセルした。データだけならバックアップはとってある。XPユーザーなら当然だろう。
● 2 ハードの物理損傷かシステムか
トラブルの原因が物理的損傷なのか、システムなのか、あるいは双方の複合的要因なのか。まずこのことが頭に浮かぶ。残念ながらシロウトレベルで検証する方法がない。ダイナブックには東芝からハードチェックのツールが準備されているが、実際は無意味だ。だいたい、BIOSセットアップ画面の表示方すら分らない。マニュアルにも記載がないのである。
ためしに、F2を押しながら電源を投入してみたが、なんら変わりばえはしない。いつもの画面を眺めているうちに、だんだん考えが変わってきた。こんな諺がある「病は気から」「健全なる肉体に健全なる精神宿る」。体と心をシステムとハードに置き換えれば、この二つは不可分の関係ではなかろうか。いずれかに原因を特定するのは、意味はない。OSがおかしくなればハードも狂う。その逆もありえる。
● 3 セーフモード
システムが怪しくなったとき、セーフモードで立上げるのがWindowsユーザーにとっての定石だ。にもかかわらず、なぜかマニュアルに記載はない。ダイナブックでは電源投入時にF8あるいはF5を押し続けると、起動方法選択画面に移り、セーフモードを選べる。私のノートではもはやそれもできない。
ただし運良くWindowsの起動画面に(2)進むと、今のところは青の警告画面(3A)に移る。このあとは「御迷惑をおかけしています・・」云々の黒画面に移るので、そこからセーフモードが選択できる。(4)
この画面では「前回正常起動時の構成」に戻すオプションがある。Windowsのシステムの復元に似た設定のようだ。私の場合、購入からせいぜい一週間程度か。いや、使い始めは訳が分らなかっただけで、そのとき既におかしかったのかもしれない。ためしに実行させてみると、機械は沈黙したままイタズラに時間が過ぎていく。「正常起動・・?」 メモリ自身が遥か彼方の遠い記憶を手繰り寄せながら、迷宮にはまり込んでしまったようだ。
いずれにせよ、メーカーにしてもマイクロソフトにしても、開発担当者は恐らくこう思っている。「セーフモードでしか立上らない・・って? セーフモードで起動するのだから、それで何の不満があるだ。『一病息災』って諺が日本でもあるじゃないか」
● 4 起動ディスクは気休め
セーフモードやBIOSセットアップ、あるいはブートドライブの選択に変わり、FDDによる起動ディスクの作成はマニュアルに明記されている。(『困ったときは』 p42)所定のドライブから起動しない場合(つまり通例はHDD)は、FDDから立ち上げようということだ。しかし、これはあまり意味がない。FDDからシステムが立上っても、その後手の打ちようがないのだ。(5)
FDDからはMS-DOSのプロンプトが現れる。そこからHDDへはアクセスできない。HDDはFTNSフォーマットされているのに対し、3.5フロッピーはFAT16/32と形式が異なるからだ。MS-DOS時代の癖で、C: → CD \windows → win というわけにはいかない。(と言われた。) 専門家ならともかく、自分のようなシロウトがいじくるべきではない。起動ディスクはお守りのお札、程度に考えるべきだ。
● 5 システムの復元
参考までに「システムの復元」というツールがある。Me以後、Windowsユーザーにとってはおなじみのコマンドだろう。私もよく使った。しかし、病人を元の健康状態に戻す特効薬というわけではない。感冒薬のような対症療薬である。カゼのような症状であれば、自然治癒力を高め、少なくとも症状は改善される。
しかし、末期ガンの患者をよみがえらせるようなドラマチックな効果はない。点滴で無理やり臨終を引伸ばす、一種の延命治療なのである。その復元操作もこのところ「失敗しました」のメッセージが出る。つまり、Windows自身も安楽死を望んでいるのである。親戚を呼び、葬儀の準備に取り掛かったほうがよいだろう。あとは阿弥陀経を唱えるか、十字を切るか。
● 6 下手にセットアップCDは使わない
パソコンを使うことで、システムが育つ。反面さまざまな病にさらされる。ウイルスは決して比ゆではない。循環器にコレステロールが沈着するのと等しく、レジストリも肥大する。フォルダを開いた瞬間アイコンがパッと現れないのは、キャッシュの問題ではない。ボケがかなり進行した証拠だ。いわばメモリのアルツハイマー現象である。
WindowsのセットアップCDが同梱されていないのを、私は当初不思議に思った。回復コンソールを使うにもこのディスクが必要になる。やがて、私は産みの親の配慮ではないか、と考えるようになった。素人が軽率な診断を下し、誤った治療を施せば悲惨な結果になる。「もういじくらないでくれ。この子はこんなに働いてきた。あんたも一緒にこき使われてきたではないか。一緒に休んだらどうだ。そして、休養を充分とった後、リカバリしてくれ」沈黙するPCはそう語りかけているように見える。
● 7 PCにとっての終末医療
コンピュータのネットワーク化があまりにも急速が進んだ。周辺環境をめぐるサイバー哲学の確立が進化に追いつかない。たとえば、ウイルスが出回ったら、慌ててワクチンを開発する。それ以前に免疫力を強め、健康管理を強化するのがスジだろう。うようよいる病原菌を全部駆逐するなど土台ナンセンスな話である。スパイウエアを一種のウイルスと仮定するなら、更新を通知するWindowsは最強の病原体ともいえる。
不規則な生活習慣が成人病を誘発する。そうでなくても、生命は一定の期間を経て自壊するようプログラムされている。あらゆる生物には種に応じた適正寿命がある。全世界の人間の平均寿命が100歳にも伸びれば、人類そのものの存続が危うくなるという。その意味でガンもプリインストールされたプログラムの一種だ。
どうやらウチのノートも悪性腫瘍に冒されたようだ。原因が分ったところで、転移巣が全体に及んでいれば手の打ちようがない。早期発見、早期治療を怠ったのは悔やまれるが、これも致し方ないだろう。このまま息を引き取るか、もう一度寛解が訪れるか、これは神のみぞ知る。かくなる上はガン病棟の個室で、最後を静かに見取るとするか。
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1 最初の起動画面
▲ まずメーカーのロゴが出る。ここでBIOSのチェックをしているのだろう。マニュアルに記述はないが、F12を押しながら電源を投入すると、下のアイコンでブートドライブを指定できる。ただし、BIOSセットアップの起動方は分らない。この後写真2のWindows画面に移る。この画面すら現れないようであれば、もはやPCは死に体だろう。
2 Windows の画面によりカーネルが動き出す
▲ Dynabookロゴの後、カーネルが起動しWindowsロゴ画面に移る。ここまでは一直線のはずだ。通例はこのあとにトラブルが起こりやすい。しかし、メーカーロゴ(写真1)で止まってしまってはアウトである。この状況でHDDにアクセスランプがチカチカしないと、次の青画面になる。
3A ブルースクリーン
▲ XPでは珍しいという青画面。「問題が起こった。システムをチェックしろ」という意味のメッセージが英語で出る。なぜ日本語で現れないのか、理解に苦しむところだ。ただ、この画面が現れるのはカーネルが動いた後なので、むしろほっとする。私の場合、すっかり慣れっこになってしまった。電話サポートの際、この画面をうっかり「初期画面」バックの青を「Windows カラー」と言ってしまった。通例は下の「ようこそ」画面になる。
3B 通例のようこそ画面
4 セーフモードへの切替
▲ マニュアルに記載はないが、電源投入時にF8、あるいは F5を押し続けるとセーフモードを選べる。毎回これでブートするのであれば、システムはある意味安定している。少なくとも開発担当者はそう考えているであろう。
5 起動ディスクは気休め
▲ FDDから立ち上げると、プロンプト画面が現れる。しかし、そこからHDDへのアクセスができないので、シロウトさんには手の施しようがない。ただ、「ブートできる、これはまだ息がある」ということで、本体が脳死状態であっても再び息を吹き返すのではないか、という期待感があるわけだ。また、これを持っているだけでもいざという時に役立つのではないか、という安心感もある。一種のお守りであろう。
6 セットアップCDがない理由
▲ 同梱されている11枚のCD-Rのうち、Windows Home Edition と刻印されているものが見当たらない。回復コンソールを使う際にはセットアップCDを使え、とのメッセージが出る。しかし、どのCDをドライブに挿入しても認識しない。メーカーサイドであえて使わないようにしているのだろうか。
7 別のWindowsディスクでセットアップ
▲ 最後にセットアップが拒否された画面。しかし、この後Windowsがなんとか起動する。理由はよく分らない。
8 チェックディスク
▲ MS-DOS時代、唯一助けになった chkdsk コマンド。ディスクをチェックし、/rオプションをつけることでファイルの修復を行う。このプログラムを実行しても症状の改善は見られなかったが、Windowsが立上ってからはレスポンスが早くなった。それも一時期だけ。
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