冬山登山を終えて

 

Berg松涛会 西川嘉彦

 

 今回、始めて冬山登山と言うものに参加し、様々な体験をさせて頂きました。私は山に登ること自体、ここ約十年程の間離れており、また、山登りだけでなく他に身体を動かすことから遠のいていました。私の言う山登りとは、夏のお盆時期に行く縦走程度で、Berg松涛会に入会し,今は,それまでの山行きとは違った山を経験させてもらっています。そんな私が特に何の知識もなく、会長に聞きながら必要最小限の装備を購入し、トレーニングといっても家も近所を走ったり、近くの低い山を二度登っただけで、どこまで自分の体力があるのか分からず、不安を胸に抱いたままの参加となりました。

 さて一日目ですが、和佐又ヒュッテに夜中到着し、テントを張り朝、山へ入ったのですが、やはり予想どおりみるみる息はあがり、自分の身体がとても重く感じました。そして、登りだしてから一時間が過ぎる頃から、トレーニング中から心配していた、膝の痛みを感じるようになりました。しかし、ここで止まる訳にもいかず、痛みがこれ以上出なければいいなと思いながら歩きました。会長や、はりま山岳会の方々に迷惑をかけぬようにしなければいけない、そんな思いとは裏腹に前を歩く人との差は開いていく一方で情けなく思いながら歩いていました。そんな状態がどれくらい続いたでしょうか、やっとの思いでようやく山頂にたどりつきました。山頂での思い出といえば、そこでいただいた冷たいお茶が最高においしかったことです。晴れ渡った冬の山々の姿を楽しむこともできず、ただひたすら歩いたなという思いでした。思わず学生時代の合宿を思い出しました。しかし、帰りの下りになると、膝も痛みに慣れたせいか、登りの時よりも楽に歩け、暗くなる前にキャンプにたどり着くことができて、ほっとしました。楽しい晩の食事の時も、私一人、疲れすぎて食事もあまり喉を通りませんでした。

 気を取り直しての二日目、地獄谷へ移動しシェークスピア氷柱のアイスクライミング。昨日の膝の痛みにも慣れて、雪上の歩行も自分なりにましになったと思います。昨晩は、“明日は、一体どうなることか…”などと思っていたのですが、氷柱を目の前にすると、そのすごさ(滝の水が凍っている事実)に圧倒されました。こんなものに本当に登れるのだろうかとやはり不安でした。しかし、ハーネスにザイルをつけ、バイルを氷柱に打ち込み、クランポンを蹴り込むと、これが想像以上に楽しいものだということが分かりました。バイルの先が氷に刺さる感触がとても良かったと、今も思い出すことができます。時期や場所がとても限られているこのクライミングにまた挑戦したいと思いました。一日目は、本当に皆について行くのがやっとで、景色もほとんど楽しめずに終わってしまいましたが、二日目の氷柱アイスクライミングは、本当に自分でも楽しめたと思うので、ここへ来て、経験できて良かったです。

今回の山行きで、雪中でのラッセル、わかんやクランポンを付けての歩行、アイスクライミング、そして雪上のテント生活、全てが、初めての事ばかりだったのですが、本当に良い経験になったと思います。ここ十年来忘れてしまっていた“山”の感覚を少しは思い出したような気持ちです。少しづつですけれど、これから多くの事を学び、山というものを、経験したいと思っています。

 今回、会長や山岡さんをはじめ、はりま山岳会の皆様には本当にお世話になり有り難うございました。これからよろしくお願いいたします。

 

大普賢岳頂上にて