2007年8月5日−12日
                                 FUJITA (Berg松涛会)
                                 Y     (はりま山岳会)
GendarmeからSnowPatchwo

 思い返せば2年前、あのKain-Hutで毎日小雨続きの日々に天気予報の書かれるメッセージ板を
 恨めしく、そして次の日こそはと期待を込めて眺めてた。
 結局1日も登れることなくCanmoreで憂さ晴らしにアルコールと観光で終わり、何かやり残した気
 持でいた。そんな中、誘わた今回のBugaboo、十分なトレニングは出来なかったが取りあえず何
 処かを登っておきたい、それのみの目的であったかもしれない。
 その意味ではいろんなトラブルに合いながらも何とかその目的は達成できたと言えよう。
 3月頃から出たこの計画も結局は2人だけのさびしいパーティで行くことになった。
 
5日 出発
  関空国際線乗り場に着く。運行予定を見て、目を疑う。AC0036便、17:25が遅れ、21:50に。
  5日中にCanmoreの宿泊場所クラブハウスに到着できるか心配、ただでさえ日程の短いのに、
  Climbingの時間が取れるか?  これがハプニングの始まりであった。
 22:00(日本時間)
  やっとこ離陸。満席である。相棒とは席が離れてたので、映画と睡眠で、うとうと過ごす。
  その相棒と見れば、前のテーブルに足を置き熟睡中。コンパクトな体が羨ましく思った。
  「小さいこともいいもんだ!」
 15:30(バンクーバ時間)着         思って程の混雑はなし。
 17:20(バンクーバ時間)発        バックを自分で国内便へ移動はつらい
 19:20(カルガリー時間)着
  長かった。早速に予約しておいたハーツのレンタカー。
  運転の手軽さから選んだ日本のカローラ (これが大きな間違い)
  慣れない左ハンドル運転で、最初は慎重に、そして一路Canmoreに向かう。
 22:00 迷うこともなく順調、そしてカナダアルパインクラブに到着。カナダの夏でも、さすがもう暗い。
  森の中にある雰囲気のいい場所に簡素な建物。しかしこんな時間、事務所はとっくに閉まってて
  どう対処していいのか...親切な宿泊者「案内人のようだ」と言いながら、説明してくれる。
  お陰で取りあえず3段ベッドの並んだ部屋にもぐりこむ。
 ACC会員$22、一般$35

6日 アプローチ
  Canmoreのスーパで果物、パン、野菜を少し買い足す、9:00の開店、ちょうど。
 09:30 出発
  快調、Banffを過ぎ、Radium hot springで給油。3軒ある内のセルフを選ぶ。さあBugaboooへ。
  Briscoからの入り口で少し迷う。前回の経験が生きてない。見覚えのあるBugabooの看板につ
  られて Provincial Parkへの舗装のないガタガタ道。長く雨が降ってないのかすごい砂ぼこり。
  RV車でないのでたまに車の腹をすってはスピードをおさえ、の繰り返し。
  突如、異常に大きな「ガタッ! ドカ ガキャ、ガキ パタン!パタ、パタパタ」 Y「あっ パンク」
  あわてて車を止め後ろのタイヤを見てビックリ。これがバーストか。
  スペアーを探し、しかしジャッキの使い方が分からない、恨めしいことに快晴で焼けつくように暑
  い。強烈な照り返しとホコリの中、荷物を出したり、スペアーを探したり。
  5人組のRV車が通り過ぎようとする。「これを逃してなるものか」無理やり止める。
  Are you OK? もちろんNO すがる気持ちで助けを願う。
  気さくで親切なCanadianすごい力でジャッキを操作、助けと云うよりほとんど御任せ。
  何とか動けるようにはなったが、この道をこの貧弱なスペアータイヤでは駐車場ままでは心配。
  今度、やったらそれこそ立ち往生だ。タイヤの交換ができる場所まで戻ることにする。
  やっぱりオフロード用の車でなければならなかったのだ。
  そろり、そろりと来た道を引き返す。いつになったら小屋に着けるのか?くっそ!
  しかしこの Y はなんとこんな状況でもニコニコ。「昼は長い、なんとか...」と笑ってるよ。
  明るい、と言うか、前向きか、ただ単なる能天気なのか奇妙な生き物である。
  幸いRadium hot springのESSOでタイヤ交換可能とか、ちょうど同じサイズのタイヤも在庫あり、
  20分程で完了。この整備師が逞しく見える。作業は少し荒っぽいが、ホイールなどハンマーで叩
  き歪みを直すだけ、ホイルバランスも空気圧調整も、やった気配なし。まあ今は走ればいいか。
  今度は時速40km以下の慎重運転。
 18:00 駐車場に到着。緯度が高く、夏時間のお陰でまだ日は明るい。なんとか今日中に小屋に
  辿り着きそう。能転気な相棒の言った通り、何とかなるもんだね。もうひとガンバリ。
  ハプニングはもういい。パッキングと車の周りを小動物に齧られないようにチキンネットで囲む。
  なんせ大事なタイヤを傷つけるのはもうコリゴリ。
 18:30 キツイこれからのアプローチ。2年前の懐かしい景色、Bugaboo Glacia上のHoun's Toothの
  姿やKain Hutの緑の屋根をちらちら望みながら、1歩1歩。
 21:00 思ったより早く到着。入り口で倒れるように荷物を下ろすと、さっそく小屋の管理人が声をか
  けてきた。予約も確認、"Fujita ?" このおっちゃん次の朝には "Hi! Masaharu" 名前を覚えるの
  が早い。
  軽めの食事をとり、二階で睡眠。興奮のためか、酸素不足か熟睡とならなかった。
 右奥にKain Hut Houn's Toothが近づく

7日 Kain Route(South Ridge) AD 5.6 450m
 今回の目的は何はともあれ、1つでも完登しておきたい。
 それで最初に選んだのがこのルートまあ云うなら「抑え、滑り止め」
 05:00 起こされる。眠い、ダルイ、食欲なし、こんな時の定番、「そうめん」で朝飯です。
 05:30 小屋出発
 06:30 クランポンを着け、コルへの急登。
 
雪渓をコルへ Bugaboo Spireが朝日に  コルまで後一息、慎重に

 07:30 大きなクレバスもなく、順調にコル着。
  Pigeon 、Howser 、Vowell glacierが素晴らしい。ピークへ登らなくとも、このコルまでは
  来ておくべきだ。これがBugabooの岸壁と大氷河だ。すげえ!
  アックス、クランポンを岩影にデポ。リッジ沿いに高度を上げる。途中2人パーティーに出会う。
  NE Ridgeからで夕べはビバーク。寒かったそうな。やっぱそちらは時間がかかるんだ。
  先行パーティーに追いつく、どうもガイド登山らしく3級程度の所で早くもロープを出した。我々
  はとりあえずここでクライミングシューズに履き替え、ロープはなしで、先行を追い越す。
  天候もまずまず。リッジをスクランブル。ますますVowell氷河周辺の景色が壮大になってくる。
 09:30 Gendarme手前。
  1P: 易しい個所はお任せを、俺いらがリード。Gendarmeリッジ右側を伸ばし、リッジを反対側
      へ回りこむ手前でビレー交代。
  2P: Gendarmeを左に回りこんで超える。
  3P: 最後、チムニー気味な5.6を20m、頂上手前のテラスで終了。
 10:30 南峰へもう一段、ロープなしで這い上がる。素晴らしい眺め。Vowell Glacierとその彼方に
  連なるPigeonからHowser、Snow Patchのこの角度は最高。そして名前の知らない峰峰。
  一方東に目を転じれば、このBugaboo Spireの大きさにびっくりCrescentやEast potが小岩の
  ようにチョコンと置かれてる感じ。その奥にはCobalt Lake、南西に転じればKain Hutの青い屋
  根が小さく見える。山に登ってその景色に感動などしたことのないこんな俺でも感激。
  ボキャブラリが貧弱で残念だが、やっぱ 「すげえ!」 「わああ!」

 11:00 頂上を後にする。登ってきたルートとは異なり、左気味にラッペルポイント。
  一回でGendarmeの裏に回りこむ。ピナクル横に登り返す。ピナクルの側面から2回目の懸垂も
  終了。回収しようとロープを引く。「 あっ!」ロープの末端がひっかかった。
  一本のロープでの懸垂中だったので、残りの一本のロープでY が登り返す。素直にこんな役目
  は譲れるのが俺いらの性分です。
  3回目の懸垂でロープを最初に使った地点まで降りる。ありゃ!今度は余ったロープが足元下の
  切れ目に引っかかったようだ。後から懸垂のYにバックアップしながら降りてもらい、末端への状
  況を確認。完全にクラックに食い込んでいる。宙ぶらりんの状況でこれを処理するのは恐怖。
  何とか外れはしたが、今度は「自己脱出」状態で攀じあがらねばならなかった。また苦労をかけ
  てしまったね。
 14:30 リッジの左をだらだらと降り、コルに戻る。アックスを回収し、クランポンを着ける。
  コルからの出だしが、カリカリに凍ってる。ハイキングシューズに旧式のクランポンでは不安定、
  やばい所はかっこ悪いけど後ろ向き、こわごわの一時間、やっと氷河末端に着いたときは呼吸
  を止めながらの緊張だったのか、頭が痛い。高度障害だよ。
 15:30 コル下 ガレ場を小屋へと急ぐ。
 16:20 Kain Hut 着。  着かれたなああ。目が覚めたら22時だった。軽い夕食でまたシュラフに。
小屋には前回なかったソーラパネルとパラボラアンテナが

8日
  曇り、今日はレスト日、のんびりと朝食をとり外を眺める。何となく明るくなってきた。偵察を兼ね
  て少し歩いてみることにする。Yはすでに勢い込んでどこか登る気でギヤーを整理している。
 08:30 小屋を出発、取りあえずApplebee Dome Camp方面へ向かう。Crescent towerのEar bet
  weenにも1パーティが取りついている。さらにSpireへ移動。数パーティーがゲレンデ感覚で遊ん
  でる。Mc Tech Arete(5.10)を試してみる。1昨年も触った1ピッチ目。今回は上部の逆三角岩の
  左を行くようYに進める。フォローでやってみた。前回は右側で苦労したのがうそのように、快適
  なClinbing、名張よりグレード甘いかな? 「えらそうに」 しかし2ピッチ目の5.10フィンガー
  これはちょっと二の足を踏む。今日はここまで、「レスト日」なんだから。
  まだやりたそうなYを尻目にさっさとギヤーをまとめ、小屋に向かう。Yはまだ恨めしそうに他の
  ルートを眺めるも、疲れの残った老体は頑なに拒否。「帰る!」
 17:00 それでも、小屋に着いたのはもうこんな時間。

9日 (Crescent spire West side story 5.10 5ピッチ)
 07:10 Hut出発
  活きあがるYとは対照的に、こちらどうも体調が悪い、気合が入ってこない。そんなことからか、
  ヘルメットを忘れる。取りに帰るのもおっくう。気をつけながら「ビレーに徹するよ」と逃げの態勢。
 09:00 取付
 09:30 登攀開始
  1P: フレークからコーナを乗っ越し、ワイドなクラック、トポの説明とはちと違う。35mで懸垂用の
      チエーンアンカがあるはず??さらに伸ばして、ブロックでビレー
  2P: ワイドクラックから草交じりのフィンガー、時にフェイス。ここがCRUX、あまり面白くない。
  3P: Mc Tech に近ずく、右側のガレを左へリッジを越す。草付きの小さなクラックを登り、台状
     でビレー。右下にアンカーが見える、懸垂用か。その上の垂直岩も登れるそうな。
  4P: ビレーの上のチョックストーンから広いクラックを上がり、Mc Techと交わる。
     アラレが舞う、寒い。
  5P: 棚から右へチムニー気味おハンドクラックで終了。リッジの手前で反側の景色はここからは
     見えない。ゆっくり景色を眺めることもなく下山。


1Pの凹角から左へ      2Pの広いクラック      3Pのフェイス


4P 右に回りこんで安定したテラス   5P 快適なワイドクラック

  Left Dihedral(5.11)を登ってたスペイン語のパーティの追いつかれる。60mシングルでの
  懸垂、我々の2回分必要なのに早い。
  先に下りたYがロープの流れのの確認で数m引いたととたん、あわててその2人組、我々の
  ロープを掴む。俺がとり残されると思ったって。それとは知らないYは「引っかかってる」って
  叫ぶ、説明がめんどう、強引にセットして懸垂を始める。
 60mいっぱいの懸垂下降

 16:00 60mほぼいっぱいの懸垂を3回で取付に帰る。
 17:20 Kain hutに辿りつく
  ルートはなんとなく汚く、草付きもあり、快適ではなかった。登りながら、「雪彦の加古川ルート
  をやってるみたい。」と文句を言ってしまう。やはり三ツ星ルートを選択すべきなのか。

10日
  今日からしばらく快晴だって。勝手にしろ、まああ取りあえずは登れんだから、後ろは見ない。
 08:00 小屋を出る。
 09:30 駐車場
  車も無事、チキンネットを外し、荷物を積み込む、来る時のほこり道で車は真っ白。洗車しな
  いといけないか。まだ朝もやのかかる来た道を引き返す、何回か雨も降ったのかあの地獄
  のようなほこりは様相をかえ静かな緑に囲まれたドライブは心地よい疲れを感じながら快適
  、突然、鹿が登場、、、また。今度はうさぎ。次は? と期待する。でた「熊!」10mほど先の
  道を横切ろうとする。熊は警戒心が強く、ほんの数秒の出来事、シャッターチャンスはのがす。
  野生の熊を目の前にしたのもちろん初めて、思わぬおまけが付いてた。
 14:00 Canmore
  Bunffあたりからスコールのような雨。ラッキー洗車の必要なし。でも寒い。美味いもの食べて
  ビールとワインも飲みたい。
  Canmoreの西の端にある The wood Steakhouse。ちょっとおしゃれな、我々には不似合いな
  レストラン。 美味!地下はワインバーにもなってる。少し割りだかだがお勧めだよ。

11日
 07:15 Club House 出発  <気温摂氏2度>
 08:00 Calgary 空港着  順調に迷うことなく着いたので時間を持て余す。
 11:25 Calgary 発
 13:00 Vancouver 発 

12日
 16:00 関空着       <気温摂氏34度>
 
  
 
  やっぱ疲れた。年かな?最終的に2人の最小パーティーになってしまい、もし怪我や体調が
  悪かったら元気な者まで登れなくなる、と準備段階からそれが気になっていた。
  慎重に無理しないようにしたお陰でなんとかそれは免れたが、体力、意欲が若い者の相手
  をするにはちょっと不足だった。
  帰りに眺めたBugaboo spireの北東リッジは体力的に大変でも、やっぱ行っておくべきと思う。
  パーティは編成を臨機応変にできる人数が必要だ。
  そして借りる車は絶対にオフロード用のでなければならない。今回のトラブルが奥深く入りこ
  んだ所でなかったからクライミングに支障がなかたのは、たまたま運が良かっただけかもしれ
  ない。
  出発前にACC(alpine Club of Canasda)に入会してたのは、小屋の予約を早めにでき安心。
  またCanmoreでの宿泊をこのクラブハウスを使えたのはよかった。

  2日目、のんびり小屋の食事、団欒の部屋でくつろいでると、なにか慌しい。後で小屋の
  人に聞くと事故があったらしい。「やべえなあ!」と下りに緊張したBugaboo-Snow Patch
  コルで滑落したらしい。クランポンを引っ掛けて岩で回転、そのまま数10m、骨折。
  Applebee Campの連中が見つけたよう。8時間寒い雪渓の上で待機の後、ヘリで搬送され
  たのは次の朝、我々がCrescentに向かう途中聞いた、あのヘリの爆音がそうだったのか。



Kainルートから南峰頂上に立つ       Crescent-Bugabooのコル やっぱNEリッジ




                                           記 藤田

完全敗退のBugabooはこちら