甲斐駒Aフランケ

 盆の休みが、雨で泣かされた、リベンジ(Aフランケを八丈沢を挟んで対岸の開拓)

だったが、小生は既成のルートへと回った。「はりま」の山岡氏の呼びかけで集まった

のは蒼々たるメンバー。労山の相模労山からは海外委員長の香取純さんと静子さん、

昨年の中国横断山脈遠征の白井さん。金沢からメッコの鈴木さんに若干19歳の佐藤君

彼とてカラコルム帰り。そしてBERG松涛会から藤田。一人、場違いなメンバーに

入り込んでしまったようで、しかし年齢だけは群を抜いて勝ってしまった?

 

10/07:山岡氏と08:00に兵庫を出発。連休の一日前で順調に長谷村の千流荘に01:00

に到着、仮眠。

10/08:メッコの二名と合流。北沢峠で相模の3名とまた合流。7名の大所帯となる。

駒岳の頂上ではみぞれに会う。指は痛むし、またしても悪天候に敗退となるかと、半ば

やけになりかける。しかしテン場に着くころは止み、天気図も見通しが明るい。祈る

気持ちで朝を待つ。

10/09:快晴。こんなことは何年振りか思い出せぬほどだ。早速、我々はAフランケへ、

他の4名は相模労山ルートのとなりの開拓へとそれぞれ向かう。

 

赤蜘蛛ルート

メンバーは藤田、白井(27歳)、佐藤(19歳)。なんと他の二人合わせても俺の年は

はるかに超えているではないか。いい年くってこんなことやってる馬鹿なおっちゃん。

が、気分を切り替え、若いのと遊んでもらえ幸せ者と感謝感激!

 07:00 まずは白井氏がリードで取り付く。25mでテラスへ。(後で分かったがもう

20m伸ばしてジェードルの中間で切ることも可能。ここはルート図より距離はやや

短めである)

 2ピッチ目 ジェードルを快適なフリー40m X級(大体グレードは甘め)で小さ

なレッジ。すっきりとした岩で噂通りの快適さである。

 3ピッチ目 フリーとA1V字ハング下。しかし後5m程左上に新しいリングボルト

が打たれている。そこまで伸ばせば次のロープの流れがいいのが後になってわかった。

 4ピッチ目 V字ハングとその上のボルトラダーを垂直をA1で超える。易しいフリー

で、大テラスに着く。混雑時は他のルートからも合流し、ここは大渋滞する。ビバークも

楽にできる広さがある。ここでリードを佐藤氏に交代。

 5ピッチ目 凹角をフリーで25m(ルート図では40m)

 6ピッチ目 いよいよ核心部。噂のハーケンが飛んでフレンズでのプロテクションを

取りながらの40m A1。結局は残置のフレンズを含め4個のセットが必要。リスは

しっかり、サイズも手ごろ。ハングビレーがちょっとつらい。

 7ピッチ目 スーパークラックと別れてカンテを右へ回り込む。A1とフリーでレッジ

に着く。ここでリードを交代。藤田。

 8ピッチ目 30m A1 とフリー。A1と言っても80度程度のちょっと見はフリー

で超えられそうなフェイス。段の岩とブッシュを超え、潅木の広場。

 9ピッチ目 ノーザイルでの80m。頭の岩小屋。無事終了。14:30。

 
フレンズをセットする佐藤氏 上部にスーパークラックが見える

 

 

同志会左フェイス

 10/10 06:40 取付きをスタート。佐藤氏がまずはリード。我々は少し上がり過ぎ、

最初のスラブを省いてしまった。松ノ木テラスとあるが、一気にの2ピッチ目の終了点

まで伸ばす。しかしこのX級は辛い。「来れるなら来い」と言わんばかりの同志会らし

いと思えてしまうのは自分だけか?テラスからの出だしのかぶりはA0をしてしまった。

菱形ハングの左端しの3人では狭すぎる小さなレッジ。

 3ピッチ目 40mだが、今度は20mでフェイスの中間で切る。次のフリーの怖さ

を考えるとこれは正解であった。ここまではA1の何でもないエイド。

 4ピッチ目 途中で切ったので今度はピナクルを通過し、小ハングも越えてしまう。

15m程、上がったピナクル手前のワンムーブが怖い。佐藤氏、左に回り、崩れた白い

岩に誤魔化しのA1で超えようとハーケンを打つ。音が悪い。そうと乗る。見てるこちら

の方が緊張する。「あっ!」落ちた。思わずビレーヤの支点に注目。無事。5m程度の

滑落で済んだ。ほっとする。佐藤氏は若い。何もなかったかのように回収し、あきら

めて嫌なフリーでピナクルへ。「なんや、いけるやん」。しかし後でセカンドで行っても

「えいっ! やっ!」て感じ。そりゃリードでは逃げたくもなるだろう。小ハングを

超えた後ののっこしがまた厳しい。

 5ピッチ目 カンテ超え手前のバンドが崩壊したのだろう。その上部を渡るしかない。

今にも崩れそうな小さなピナクルにテープを掛け、ハング下にフレンズ(3番?)を

セット。効いたようで思い切りカンテを越す。A1用のボルトラダーを見つける。

全員「ほっ」とする。気が抜けたのか佐藤氏アブミを落としてしまう。シュリンゲで何

とか誤魔化し、右に回り込むと潅木のテラス。休憩。リードを藤田に交代。

 6ピッチ目 草付。10m。

 7ピッチ目 核心のY級のフリー。気合を入れ左の大きなフレークをレイバック気味

に。しかし足のフリクションにどうも自身がもてない。「まあ いいや。どうせエイドで

汚れたからだ。ヌンチャクを掴んじゃえ。」どうせエイドだ。遂にはアブミまで使って

しまった。それでも二つ目のクラックはフリーで。岩小屋のようなテラスで終了。

 8ピッ目 覆い被さるような穴倉の下部のスラブをA1.そしてA2のルーフ。技術

的には問題ないが、ハーケンが抜けぬかと慎重に一本一本架け替えながら、A字ハング

を終わる。乗越し先にピトンが見つからん。フレングはこのリスには大きすぎ、ハーケ

ンのアングルが必要。そんな物の持ち合わせなどない。しばし休憩と思案。「アブミを

残して、フリーで」と超えかけ垂壁を覗くと頭まで打ち込まれたハーケンが見えるでは

ないか。凹角手前のビレー点に何とか到着。

 9ピッチ目 何でもない草付スラブをフリー。

 10ピッチ目 右に回り込むとA1のボルトラダー。最後は悪いフリーで終了。目の

前には圧倒するような赤石沢、奥壁。そしてその頂点には綺麗な三角形の甲斐駒ピーク。

三人で握手。2日連続の快晴の中、充実したクライミングができて、幸せいっぱい、胸

いっぱい。13:45
 
8ピッチ目 A2のルーフ超えの藤田