「力強いショットは回内−回外動作で打つ!!」


 バドミントンは「手首が重要!」「スナップを利かせて打つ」と思っている人がとっても多いのですが、一流選手の動きを見ると手首のスナップ(掌屈−背屈動作)はあまり使っていないで、回内−回外動作(団扇を扇ぐ様な動き)でシャトルをヒットしていることがわかります。

※掌屈−背屈動作・・・伸展・屈曲によるテコ編成型運動」。手関節を支点にしたテコ運動。
 回内−回外動作・・・前腕の長軸周りを回転する「車輪車軸編成型運動」。

 シャトルを打ち出すという仕事をしたときの力学的エネルギーは1/2mV2+mgh(注)となります。ラケットの重さ(m)や打点の高さ(h)よりもラケットの速度(V)の大小が力学的エネルギーに大きく影響します。つまり、ラケットヘッドの速度が大きければ大きいほど打ち出されるシャトルの速度も大きくなります。 

(注)・・・(1/2mV2:運動エネルギー、mgh:位置エネルギー、m:質量、V:速度、g:重力加速度、h:高さ)

前腕とラケットが一直線になる(ラケットを立てていない)場合、
 ・ラケットヘッドの速度増加に掌屈−背屈動作が大きく貢献する(図1−@)。
 ・回内−回外動作はあまり貢献しない(図1−A)。

ラケットを立てて持った(リスト・スタンドした)場合、
 ・ラケットヘッドの速度増加に掌屈−背屈動作はあまり貢献しない(図2−@)。
 ・回内−回外動作が大きく貢献する(図2−A)。

掌屈−背屈動作が重要な場合は図3のモデル1のような振り方になります。
一方、回内−回外動作が重要な場合は同様に図3のモデル2のような振り方になります。

 前述したように、ラケットヘッド(打球位置、スイートスポット)の速度を大きくすると、シャトルは大きな速度を得ることができます。スイート・スポットの速度を大きくするために脚の切換や体幹の捻りが重要なのは言うまでもありませんが、今回は上腕部の使い方に注目してしてきました。さて、掌屈−背屈動作(手首のスナップ動作)と回内−回外動作(団扇で自分を扇ぐような動作)のどちらが重要なのでしょう?
 関節の最大可動域は掌屈−背屈動作は150゜、回内−回外動作は180゜です。また、この二つの動作を引き起こす筋肉を調べてみると掌屈−背屈動作よりも回内−回外動作の方が多くの筋群を動員しています。このようなことから、ラケットヘッドの速度を大きくするポテンシャルは回内−回外動作の方が大きいと考えられます。
 以上のようなことから、掌屈−背屈動作よりも回内−回外動作の方が打球に大きく影響を与えていると考えられます。しかし、回内−回外動作の方が重要であるからと言って掌屈−背屈動作を全く使わないという訳ではありません。どんなショットでも掌屈−背屈動作は必ず見られるものですし、状況によっては掌屈−背屈動作をより強調して行う場合もあります(高い打点から手首だけでカットを打つ場合など)。重要なことは回内−回外動作を意識して行うということです。


参考文献
 阿部一佳・渡辺雅弘「基本レッスンバドミントン」(大修館)
 金子公宥「スポーツ・バイオメカニクス入門」(杏林書院)
 藤田恒夫「入門人体解剖学」(南江堂)
 木村哲彦「関節可動域測定法」(協同医書)ほか


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