メイキング・オブ「ニュースステーション」用おりがみ人形アニメ


オンエアとほぼ同じアングルの写真



2002年に「ニュースステーション」に出た縁で? 折り紙モデルアニメをやることになりました。

必要な映像は4カット

1、「折鶴と奴さんのかけあい」約20秒
    ”スポットライト風の照明、画面奥の暗がりから2体が登場し台詞のやりとり”+”解説バック用の静止画を数十秒”
2、「ティラノサウルス登場」
    ”地鳴りに続いて山の向こうから登場し、画面に向かって咆える”
3、「ステゴサウルスとブロント(?)サウルス」
   ”ステゴサウルスが画面前を通過、パンアップすると巨大なブロント(?)サウルス”
4、「恐竜パノラマ」
   ”水を飲んでるトリケラトプスからパンして恐竜大集合、さらに上方パンしてプテラノドンがカメラすれすれを飛び去る”
(2〜4で約15秒)

プロが撮ったらそれなりに時間も費用もかかりそうな内容ですが、そこはそれ、時間も金も
かけずにやってくれって注文。
そうなるとなかなか困難な課題でありますな・・

とにかく折鶴と奴さんのアニメートからはじめます。
まずは折り紙の造型。折り紙と台紙は提供された割と高級な和紙を使います。
これが厚さ不均一なうえ毛羽立ちやすく、結構不便。
それに同じ大きさの紙から折ると奴さんが折鶴の2倍位の巨体になってしまって
つりあわないと来たもんだ。
結局4体を試作して漸くちょうど良い大きさのものが出来る。
つづいて針金の仕込み。
”折り紙は紙なんだから自由に形を変えられるんじゃないの”と思われる方もあるかも
しれませんが、どっこいそうはいきません。紙自身に形を維持させようと思ったら
折るか、湿らせて希望の形にしてから乾かすしかなく、折ったらスタイルは崩れて
しまうし、いちいち水につけて乾かしていては紙が溶けてしまいます。いや、溶けなくても
コマ撮りに要する時間がかかりすぎて使えませんが・・

折り紙の折り目の内側に目立たないように針金を接着して行きます。
このとき”目立たない”ことと”折り紙の弾力をねじ伏せられる”ことのバランスが
難しく、試作品を3体作ってようやく完成。奴さんの針金は一部見えないところに
表面から着けています。

で、これが最初からステージ上にいてくれれば固定しておけるのですが、”奥から登場”
なのでひと思案。結局、黒いビデオケースにピアノ線をつけ、その先に可動性のある
針金でカメラの死角からくくりつけることにしました。
これでビデオケースをスライドさせながら動かすことでスムーズな移動が出来るというわけ。

つづいてステージですが、なにせスタジオでもなんでもない自宅での撮影だから
気の利いた設備などあるわけもなく、押入れの中に台紙を敷き、黒バックは黒ラシャ紙、
そしてスポット照明にはレンズを外したスライドプロジェクターを上にかざして代用です。

左:”特設ステージ”(爆) 右:裏の仕掛けはこのとおり



ようやく準備が出来たので台詞にあわせてああでもないこうでもないと動かします。
コマ撮りはカンだけが頼りの作業、試行錯誤でテイク5まで撮影。
放送されたのはテイク4でした。(一部カット&台詞変更されてましたけど)
撮影が進むにつれてどんどん紙がよれよれ&毛羽立ち状態になってそれ以上の撮影は無理だったんですよね。
オンエアでキャスターが持っていた奴さんはこの撮影用だったため、めちゃめちゃ
毛羽立ってるのが画面でもはっきり見えてました(^^;
(久米さんが持った折鶴の方は新しく折ったものだったのできれいでしたが)

つづいて静止画像も撮影してこの一連は終了・・と思いきや、納品後に”静止画の
構図を変えてくれ”との要請がありセットを再度組んで撮りなおし。でも結局使われなかったのよね(;_;)



さて、日を改めてお次は恐竜です。
この恐竜折り紙は川畑さんの製作されたものを借り受けての撮影。
作品へのダメージを最小限に抑えて撮らなきゃなりません。

んでもってこの恐竜、じつに見事にできてるんですが、当然ながら動くことを前提に
つくられていないので一部を除いて可動性がないのですよね。
足など無理に曲げたらスタイルを崩すだけになってしまいます。
基本的に移動は体を振って動くだけなのはそのためです。



恐竜集合のカット。交差法立体写真。良く見ると左上にホリゾントの端が・・(^^)



まずは一番手のかかる「恐竜大集合」から撮影します。
セットは”ジュラシックパーク”のイメージ・・ってことは1925年版”ロストワールド”
のイメージですね。
パソコン机の上に鉄道模型用の”草原”シーナリーマットを敷きます。
池の部分をくりぬき、水面には頂きものを包んであった包装紙(!)を流用。
遠景の山には鉄道模型用のフォーリッジクラスターや針葉樹をレイアウト。
背景の空は壁紙、ですが照明が頭上の蛍光灯しかないので垂直に張ると明るさが不足
すること請け合い。なので部屋のふすまを外して斜めに立てかけ、ここに張っています。
これで受ける光量が増えて明るい空になるというわけ。
この背景の空がまたギリギリの広さしかないので、ちょっとでもカメラを動かすと
空が切れてしまいます。

このセットに恐竜たちを配置。折り紙が丈夫で可動性が少ないので、動く部分を決めて
重点的に針金アーマチュアを仕込みます。パラサウロロフスは足と首、プテラノドンは
翼(腕)の部分、など。ブロント(?)サウルスはそのまま。
歩かない恐竜は下からベースに半固定するなどしてようやく撮影開始・・といきたい
ところですが、厄介なのが空を飛ぶプテラノドン。操演用のフレームなど組めるはずも
なく、苦心の策がホームセンターで買って来た透明塩ビ板。これを奥の地面に立て、
手前に向かって湾曲させ、その上にプテラノドンを載せるという作戦。
アイデアは単純ですが、塩ビには必ず映りこみが出るし、それを緩和するPLフィルター
なんて高い装備は手持ちも無ければ買う余裕も無い。曲げ方やカメラ位置を色々試行して
なんとか目立たないようにします。

かくて撮影開始。安普請のセットはすぐゆがむわ崩れるわ、おまけに窮屈で尻尾の長い
恐竜はちょっと動くとバックにぶつかっちゃう。
何よりも8体もの人形をひとコマずつ動かすのは数秒のカットとはいえ何百もの動作を
要求されるもの。さらに電動ズームしかないカメラでズーミングやパンをするのは困難を極めます。
それでもより良いものをと3テイクを撮影。(放映されたのはテイク2かな?)



撮影スナップ。プテラノドンは塩ビ板に乗ってます。



つづいてステゴサウルスとブラキオ(?)サウルスのカット。
”草原”のシーナリーベースが一張羅なので切り抜いた池の部分を埋めなおして再利用。
ブラキオ(?)サウルスの巨大感を出すため広葉樹を植えますが、こいつがすぐ倒れて辟易。
折り紙自体はカタマリのまま動かしてるのでコマ撮りそのものは楽でした。
ブラキオ(?)サウルスの口開閉は唯一の”折り紙そのままで針金入れず”の動作部分です。(^^)



ティラノサウルス撮影スナップ。隣の岩は板状の樹皮を斜めに立てたもの。下の空隙はフォリッジクラスターで埋めてます。



ここまでの撮影が終わった時点でかなりグロッキーですが、最後のティラノサウルスの撮影です。
”山の向こうから登場”ってティラノの体高はせいぜい4メートルなんですが、
まあ”山”じゃなくて”大岩”というくらいの解釈で撮りましょう。
その大岩はコルクの樹皮を使用。厚さ数センチのものなので、斜めに配置して大きく見せます。

ティラノは歩いてくる設定ですが、前述のとおり足は動きません、でもステゴでやったように
体全体を左右に振ると”暴君竜”(名前を直訳すると”専制君主トカゲ”ですが(^^;)の
貫禄が出ないので、以前「古田さん恐竜にのる」でもやった”頭を前後にふる”動きで
歩行を表現。これはハトが歩くとき頭を前後に振ってバランスを取っているのを参考に
したもので、恐竜が鳥と近縁であることからも割と説得力ありげな動きです。
実際にはあれほどの巨体になれば顔を前後に振らなくてもバランスをとる方法はあるし、
首に負担もかかりすぎるからこういう動きはしなかったとは思いますけどね。
でもそれっぽく見えることを優先。だってなめらかに進んできたら歩いてるように
見えませんから・・。

そんなこんなで2テイク撮りあげ、疲労も絶頂。こんなことばかりしてたんじゃ人形アニメの
名匠ハリーハウゼンが禿げ上がったのもわかるというもの<ホントかよ?!。
朦朧とした意識で取り片付けをして布団に倒れこんだのでした。

うーん、名前が出ないのは寂しいなぁ・・


トップページへ