「星降る夜はあなたと」製作日記
2001年秋完成の「星降る夜はあなたと」製作に関する日記です!
7月1日(日)
天気が良くて暑い。
この夏八幡平で撮る映画「星降る夜はあなたと(仮題)」のシナリオをワープロ打ち。
制約が非常に多いので1ヶ月以上苦吟してたんだけど、
なかなか楽しいものになった。あとは出演者がどうなるか・・
8月16日(木)八幡平ロケ1日目
朝からロケのため盆休を延長して(おいおい!)岩手県方面へ北上。目指すは松尾八幡平。
渋滞というほどの混雑もなく、三鷹の実家から大泉−外環−東北道経由6時間で八幡平着。
走行距離600キロなので一般道も含めた平均時速が100キロ。あれあれ?
とまあそれはさておき、八幡平温泉にて昼食(八幡平そば600円)ののち、13時半すぎに
大学の八幡平校舎(宿泊施設)へ。
八幡平の東側中腹にあたるこの辺りは昭和40年代まで1万人以上の人が暮らす日本一の硫黄鉱山
があったところ(詳細は
こちら)で、この宿泊施設は鉱山の
病院だった建物。
付近には鉱山アパートの廃墟が立ち並んでいて、荒原の一軒家という風情。
ホラー映画の舞台にしたらさぞかし・・というような場所なのですな。
この旅行、天文サークルの夏合宿便乗で映画を撮ってしまうという欲張り詰め込みツアー。
現役の面々は夜行バス組、鈍行列車組、自家用車組と分かれて来るとの由で、
八幡平校舎の玄関を入ると第一陣の夜行バス組が睡眠不足でくたくたとしておりました。
まだ日も高いのでひとり廃墟へ散歩(下見)に行く。
やがて自動車組も到着し、さらに夕食のあと下界の松尾八幡平駅まで鈍行列車組を迎えに行き、
かくて総勢22人全員集合。
で、夜空はかつてないほどの晴れようで、しかも暖かく、絶好の観測日和と相成ったのでした。
ちょっと遅いペルセも見られ、とくに−5等級はありそうな、半天を横切った大火球には皆、感激!!
明日は撮影開始である!
8月17日(金)八幡平ロケ2日目
天体観測をすると朝が遅いのは毎度のこと、それでも10時半には有志で八幡平頂上に出かける。
八幡平と言うのは最高地点が標高1600メートルほどの楯状火山(アスピーテ)、と言うより
溶岩台地で、オオシラビソ(アオモリトドマツ)、シラカンバ等からなる針広混交樹林に覆われ、
山頂付近を始めとする平坦部には湿原、池塘が点在する絶好の避暑地なんですな。
八幡平アスピーテラインという快適な自動車道路が山頂付近を通って秋田県側まで通っていて、
その山頂近くの八幡沼というのが湿原の中に広がる長径数百メートルの大きな湖。
ここのながめは絶品どす。
お昼を食べた後、有志連れ立って廃墟へ撮影に赴く。
撮影風景
監督いぢめ。非道い、非道すぎる!!
・・とまあ、こんなんやっとりました。わはは。
夜、今夜は曇ってしまったので不幸中の幸いとばかり室内ナイトシーンを撮影。
しかし撮り残し多し!残る日程は明日のみ!果たして終わるのかぁ!?
8月18日(土) 八幡平ロケ3日目
昨夜は一晩中濃霧。天体観測はできず。でも朝まで屋上にいた人が多数あったらしい。謎???
8時過ぎから有志で近所の御在所湿原まで散歩に行く。
途中廃墟を通過して中学校跡(建物が残っていて立ち入り禁止。一階の窓と言う窓に板が打ち
つけてあって余計ブキミ。
湿原には御在所沼、五色沼という二つの沼があって、五色沼の水はph3の酸性、硫黄分等のため
鮮やかな水色をしている。(そういえばなんでこれが”水色”なんだろう?水は無色透明だじょ)
10ン年前に私が沈んでGパンがケミカルウォッシュになったところなんだな。
”「写ルンです”バルブ”」ってなんで出ないのかな”
”いや「写ルンです”ポタ赤”」がほしいぞ”などとバカ話をしながら帰途に着く。
(注:”ポタ赤”・・星野写真に威力を発揮するポータブル赤道儀のこと(^^))
帰着後、徹夜明けで寝ている主演女優を叩き起こし(鬼!?)、屋上にて朝のシーンを撮影。
さらに昼食を挟んで班員ほぼ全員によるモブシーンを撮る。
が、このあたりで”班活動の合間を縫って”という撮影条件の無理が明らかになってきて
(というのはウソでとっくに明らかだったのダ)
已む無く絵コンテを捨てて”空いた人を捕まえては個別に撮って行く”超妥協早撮り方”を
展開。こういうところが一部で”日本のロジャー・コーマン”と言われる所以なのだな。
(注:”ロジャー・コーマン”・・早撮りで知られるB級映画監督の代名詞的人物)
それでもBさん、Nさんをはじめとするみなさんの協力でなんとかストーリーがわかる
最低限度(当初予定の7割くらい?)の映像はフィルムに収めることが出来、このロケに
ついてはクランクアップ!
(でも製作はぜんぜん終わってない。これから私が地獄ナノダ)
9月1日(土) 特撮用物資買出し
この土日、意外と北アルプスでは天気がもちそうなのでパアーッと穂高にでも
・・行きたかったんだけど、
地元で片付けなきゃなんないことが溜まっているので断念。
なんだって部屋ってのはこんなに散らかるものかねえ?(答:物がありすぎ)
それから生活用品の買出し、そして映画に必要な壁掛け時計を探しに街へ出る。
散々歩き回って幾つか必要物資をゲット。
でもまだ不足。明日も街に行かなければ・・
夜はなんだかひたすら時計を撮っていた。ううむ、映画って手間・・
いつもにぎやかで楽しいロケが終わってからじわじわと
そのあと一人でやる作業の膨大さに愕然とするのだなー・・。道は遠〜い〜・・・・
9月2日(日) 8ミリの終焉を強く感じた日
朝から映画完成のための物資調達のため名古屋駅周辺の百貨店街に繰り出す。
爆破シーン用の素材、ロケ地で紛失したニッパーの代替品。
ニッパーの方は同じ色のものがなく、塗料を買って塗り替えることにする。
ミニチュアのフェンス等も欲しかったんだけど入手できず。
友人の出産祝いも探してたんだけどみつからず。また他をあたらねば・・
カメラ屋で昨日撮った8ミリを現像に出したら、現像まで中9日だって。
実質半月に一度位しか現像作業をやっていないことになる。
道理でお盆に撮ったフィルムさえまだ出来てこないわけだ。
高校生の頃は翌日には現像できてたのにねえ・・
8ミリの終焉をいよいよ強く感じたのであった。
9月6日(木) フィルム現像
以下、筆者の心の会話だす
獅子丸「うわあああ〜〜〜〜・・・(頭を抱える)」
錠之助「どうした、この世の終わりみたいな声だしやがって。」
獅子丸「お盆に八幡平で撮った映画のフィルムが出来てきたんだけどさあ・・」
錠之助「なんだ今頃やっとあがってきたのか?現像に出してから半月も経ってる
じゃねえか・・何、しかも10本の現像料が、い、いちまんいっせんごひゃくえん!?
かーっ、なんて割の合わない・・だから8ミリなんかやめちまえって言ってんだよ。」
獅子丸「でもよ・」
錠之助「ま、いいからラッシュフィルムを見せてみろ。・・・うを、なんじゃこりゃ。
ピンが来てねー!露出不足!画がまずい!腕が悪い!よくもまあこんなヒドいもの
撮れたなあ〜。後半なんて論外じゃん!なるほどこれじゃ頭を抱えたくなるわけだ。」
獅子丸「しょうがないだろ。時間も無いし人も確保できなくて無理して撮ったんだ。」
錠之助「己の無能を他人様に転嫁するなよ。何年映画やってんだ。半端なものしか撮れない
くらいならさっさと映画なんか辞めちまえ。」
獅子丸「そうはいかねえ。約束がある。」
錠之助「約束なんて破るためのものだって言ったろ。『マグナ』のフィルム瑕疵についてフ○カラー
サービスやトッ○カメラは約束を破り通しだし、M君に依頼してあるタイトルロール
用関係者名簿だって届かないじゃねえか。」
獅子丸「それでも俺はやるんだよ!待ってる人がいる限り・」
錠之助「待ってる人?そんなもん本当にいるのかね?社交辞令だけなんじゃねえの?
”マグナ”の上映会だって一体何人来たよ?」
獅子丸「・・・」
錠之助「まあお前のことだからなんだかんだ言っても適当にごまかして映画らしきものを
作っちまうんだろ。こんなものに交通・滞在費で8万、フィルム・現像代で4万、
さらに特撮でいくらかかるかわからねえってんだからまったく結構な御道楽だぜ。」
獅子丸「金の問題じゃないんだ。」
錠之助「そう、その上ふらふらになるくらい一人で時間と手間をかけてるんだもんな。
ま、せいぜいがんばってくれ。じゃあな〜(行ってしまう)」
獅子丸「うわあああ〜〜〜〜・・・(頭を抱える)」
いやは、映画作りの内情ってば毎度こんなもんっす。
9月9日(日) 天国の扉
「カウボーイビバップ 天国の扉」というアニメーションを見に行く。
これはもう現代日本映画の頂点ですよ。
何ももらったわけじゃないけど絶対お薦めです!!
いやーしかし良い作品を見るとますます自分の映画作りがしんどくなるなあ・・
とりあえず特撮シーン用の素材を買い込んで帰宅。でも手ーつけてない。あやー
9月10日(月) モデラーの夜
今日は台風15号が来たので定時退社。
だもんで映画で使う爆破用模型やタイトル素材を作り始める。
本編映像がおさむい分、余計にきちっと作らないといけません。
ぷれっしゃー。
(自業自得ともいふ)
八幡平校舎の手すりには奮発してエッチングパーツを採用。
こういう細部へのこだわりだけが映像に厚みを与えてくれるんだなー。
空振りに終わることもあるけど。撮影のときカメラが止まらないことを祈るー。
(良く止まるのよ、高速度カメラ。「マグナ」でも何度泣いた事か・・)
タイトル文字も今回はちょっと凝ってみるつもり。さてさてどうなりますやら。
9月15日(土) 特撮はからだに悪いという話
今日は映画で使う爆破(んーなんか間が悪いなあ)用のミニチュア作りで一日カンヅメです。
ハイスピードカメラが一台しかないのでカットの数だけミニチュアを作らねばならず大変〜
ヒノキやバルサ材を文字通り縦横に駆使して作りこんでいきます。ここまで手の込んだものは
私としても稀有のこと。
映画のレベルや規模からしてどう見ても「やりすぎ」なんだけど、これが最後と思うとやはり
手間暇かけてしまいます。ミニチュア(といっても芝居の大道具の縮小版みたいなヤツ)は大体5つ。
午前四時までがんばったけど結局仕上がらず。
これだけ手間かけても撮影失敗すれば水の泡、うまく撮れてもたいてい「ふーん」で終わってしまう
のだから特撮と言うのはつくづくむくわれない作業であるなぁ。
おまけに特撮では自然を再現しようとするケースが多いのだけど、実態は自然とは程遠く、有機溶剤と
接着剤のにおいのなかで一日中作業台にむかっているのだな。
ヒノキの香りはまだ良いけど、バルサは刺激臭があってこれまたあまり気持ちよくない。
いやはや、特撮はからだに悪いっす。
ミニチュア製作中
9月26日(水) 天は人を待たず〜
爆破用ミニチュア製作いよいよ大詰め。
うまくいくことを祈るのみ。
と、ところが撮影予定の日曜日は雨の予報(ガーン!!)
でも時間が無いから強行することになるんだろうな・・・。
9月30日(日) 八幡平大爆破
台風19号から変わった温帯低気圧が雨を伴って迫る中、
半田市某所で映画用の爆破シーンを撮影。
ミニチュアを丈夫に作ってあったのであまり壊れない。
でも見栄えは上々。
フィルムにもうまく写っていることを期待!
廃墟爆破のスチール
10月1日(月) 都民の日
今日は都民の日です。
でも会社は休みにならない(←会社は名古屋なんだからなるわけない)
「星降る・・」のタイトル素材を製作中。
Mr.カラーの”つや消しブラック”は乾きが悪くて困る・・
10月3日(水) クランクアップ
風邪気味なんだけど深夜までかけて「星降る夜はあなたと」の
タイトル、エンディング、その他補遺カットを撮影。
これでとりあえずクランクアップです。
失敗してないことを祈る。
仕上がりは3週間後。長い!やっぱり8ミリももう終わりですねー。
10月15日(月) 編集開始
最後のフィルム群が現像からあがってきてないけど
日程も押し詰まってきたので「星降る夜・・」の編集を始める。
あと半月で編集から録音までできるんかいのぉ。(←こらこら)
編集用のロールテープが残り少ないこと発覚。週末買いに行かなきゃ。
10月17日(水) 8ミリの現像は遅すぎるという話
手元にあるフィルムをとりあえず全部おおざっぱにシーン順につなげ終わる。
でも最後に撮ったフィルム群(10月2日に現像依頼)がまだ出来てこないんだな。
うー勘弁してくれー
10月19日(金) 仕上がり良好!
待ちに待った「星降る夜・・」の最終フィルム群(5本)があがってきました。
日程上撮り直しがまったく許されないだけにドキドキものでエディターにかける。
結果は、タイトル画面、爆破シーン共に合格点!
特に爆破シーンは100%イメージ通りとは行かないまでも、逆に予想以上の出来の部分もあって、
総合評価は85点くらいあげられる。
自分で言うのはおこがましいんだけど(^^ゞ経験と勘だけでぶっつけ本番でこれだけできれば
うちの特撮も円熟の域に達したと言っていいと思ったです。
しかし既に時は8ミリそのものが消滅の秒読みを開始しているのであった。
まあいいや、とりあえずこれで「星降る夜・・」の完成が見えたっと!
爆破合成シーン コマ焼き1
爆破合成シーン コマ焼き2
10月20日(土) LPLのリールも無くなった!
上京してヨドバシカメラで8ミリのリールを買ったのだけど、ついにLPLのリールも
自社製品ではなく、ドイツのメーカーの製品をそのまま転売するようになっていた。
編集用テープもレジ奥に移動していたし、いよいよもって風前のともし火だなあ・。
10月22日(月) さあ編集
東京で調達してきたリール、スプライシングテープを得て「星降る夜・・」の編集再開。
2時間かけて最終フィルム群(5本)をシーン毎に分けてメインリールへ挿入する。
うーん、このペースでは土日に片付けるべき作業量はかなり大変だな。がむばらねば・・
10月28日(日)編集おわり
土曜日曜とずーっと「星降る夜・・」の編集をしてました。
いやあしんどいのなんの、肩は凝る腰は痛い、会社の仕事よりきついぞー
てなわけでひととおり編集終了したのが日曜の夜9時半。
20分の映画をこれほど短時間で編集したのは新記録ではあるんだけど、
もう録音に費やせる時間はあと5日、平日しか残ってないんだな。
キビシイ〜。
これから台詞や音楽に合わせて編集微調整して、効果音作って、台詞入れて、
音楽入れて、う〜ん・・、とにかく最後までがんばりましょう。
10月30日(火)録音はじまり
「星降る・・」の音入れ効果音から始めたんだけどうまくいかないいかない。
サウンドエディターの録音レベルが言うこときかなくて爆発音が割れて入らないし。
あーもうかんべんしてほしいだす。
ちなみに締切は3日(土)の午前中・・
10月31日(水)録音つづき
「星降る・・」、深夜まで作業して台詞が一応入った。
ほんとうに「一応」。エディターは思いっきりノイズが入るし、もうぼろぼろっす。ひえー。
効果音、音楽はほとんど手付かず。かなり疲れてるっす。ぐう。
11月1日(木)SE録音
「星降る夜・・」のSE(システムエンジニア・・じゃなくってサウンドエフェクト。効果音)
を収録完了。と言っても必要最少限の音だけですけど。
今日はこれでお休み。明日、明後日で音楽を入れますです。
11月2日(金)BGM入れ
「星降る夜・・」のダビング作業もいよいよ大詰め。
BGM録音作業。
マルチレコーディングができるデジタル機器と違って、こちらは
1トラックに全ての音を入れなければいけないのだ。
エディターには一応二重録音機能がついているんだけど、前の音が大幅に劣化
(くぐもってほとんど聞き取れないほどぼやけてしまう)ので使用できない。
でどうするかというと、フィルムに入っている音を一旦他の媒体に移し、
音声ケーブルを使って物理的にBGMとミキシングして入れなおすのです。
ただ、媒体の再生速度どフィルムの回転速度には微妙にずれが生じるうえ、
効果音とBGMのバランス、フェーディングまで全て手で調整しなければいけないので
連続して2分程度の録音が限度。
それもなかなかタイミングが合わず、何度も何度もやり直しを繰り返すんだな。
あと、エディターから入る”ウォーン”という電気的ノイズはどうやら
一定時間以上使用した際に過熱(過負荷?)かなにかにより発生するらしいことが
判明。8ミリ機材は部品も枯渇して修理もできないジリ貧状態なのでだましだまし
使うしかない。
BGMを8割方入れたところでノイズ発生はじまり。今日はここまで。
11月3日(土)完成
昼から友人の結婚式なんだけど、録音作業継続。
カットの差し替え等こまかな手直しを加えつつ、ぎりぎり12時までねばって
なんとか完成にこぎつける。
明日は上映のため東京行き。さらに明後日はそのまま兵庫へ出張。
なので背負子に映写機や出張資料やらスーツやらをくくりつけて荷造り。
25時頃就寝。
クランクインからわずか2ヵ月半、最初に話がでてからでもピッタリ半年で
このレベルの作品が完成したのは学生ならぬ勤め人の身には快挙ですわ〜。
特撮の少ない映画はいかにラクかってことね。うむうむ。とはいえ例によって疲れた-(^^;
!
めでたし、めでたし
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