タカチホ新造型1


タカチホ新造型1


タカチホデザイン雛形製作中。交差法立体写真です。寄り目にして左右の画像を合わせると立体視できます。

タカチホ新造型への道

今年に入ってから私事で忙殺されすっかり手が止まってしまっていました。
そんなわけでほとんど半年ぶりの再開。おいおいほんとに完成できるのか?

・・・ともかく千里の道も一歩から。
まずはタカチホのデザインをリファインし新造型することにしました。
というのもこれまで掲載しているタカチホは10年以上前に作った造形物で、
可動部も制限され、演出意図に応えきれないのです。 (あ、実はストーリーもイラク戦争勃発のためすっかり時代と遊離してしまったため
見直しを進めているんですけど、これはまだまとまってないので・・(^^)。)

さて、そのリデザインの首尾はと申しますと・・

造型レポートその1




さて、次回作の映画に登場する怪獣タカチホのデザインを
リファインするため雛形を作りはじめております。
最初に針金で全体の骨組みを作り、そこに肉付けをしていくのですが、
架空生物とはいえリアルな生物感を出すため
まず針金に立体的な骨を付けることにしました。

タカチホはいわゆる”恐竜型2足歩行怪獣”の系譜に属するため
まずそれにふさわしい腰骨を造型。
これがまず難関!
当然2足歩行で体重を支えるのだから
大腿骨は腰骨からまっすぐ下に伸びる(ガニマタにならない)
わけで、これは哺乳類や恐竜を参考に難なく決定。
しかし次にこの大腿骨を動かす筋肉が付着すべき腸骨
(腰骨というのは腸骨・恥骨・坐骨の三つで構成されている)
の形状なんですが、まずティラノサウルスのような二足歩行恐竜の
腸骨は筋肉の付着面が少なくて(このため恥骨が発達してるのかな?)
タカチホの大質量を支えられそうにない。

一方で哺乳類の腰骨というのは恐竜と根本的に違う点があって、
それは胎児を抱えるため腹部を包み込むような形状をしているのですね。
しかも哺乳類で2足歩行をするのは人類と類人猿の一部だけ。
そしてそれらはまっすぐに立っているので”恐竜方怪獣”のスタイルには
合わないのですな。
中新世の大型陸棲ナマケモノ類は立ち上がれるけどそのままじゃ歩けない。
結局鎧竜の腸骨をベースにグリプトドン類なども参考にして
なんとかでっち上げ。

しかし今度は全身の傾きやバランスがどうにも決まらない。

そもそも”恐竜型怪獣”のデザインのもととなった
「2足歩行恐竜の旧復元」というのはカンガルーの立ち姿を
参考にしているわけですが、
あの姿は実は純粋に”立っている”時の姿であって、
カンガルーが”歩く”(通常は”跳ねる”)ときは背骨を
地面とほぼ水平の姿勢に持っていくのです。
背骨を斜め45度に傾けた状態で歩くというのはものすごく
バランスが悪いのであって、あんな姿勢で恐竜が歩いたと考えた
昔の復元者というのはよほどフィールドワークを軽んじていて、
しかも力学が苦手(筆者も大の苦手ですが)だったに違いありません<暴言。
えと、何が言いたいかというと、つまり今作っている骨組みが
歩くことを考えたとき、
「恐竜型怪獣らしいカッコ良さ」と「歩くときのバランス」が
どうにも両立できないのです。

幾多の恐竜の本や哺乳類の本や野鳥の本を見て到達した結論は、
「2足歩行するためには
1、人間のように背骨を地面に垂直にする
2、恐竜のように背骨を地面に水平にして上半身と尻尾でバランスをとる
のどちらかしかありえない。」
ということでした。

あれ?でも、じゃあ幾多の着ぐるみ恐竜型怪獣は
どうして「上体の立ったかっこよさ」と「恐竜っぽいスタイル」を
両立できているんだろう?
と疑問に思って怪獣図鑑類を見直すと、そこには大変な発見が!

「恐竜型着ぐるみ怪獣は腰骨と背骨が分離している!!」

どういうことかというと、
「着ぐるみ恐竜型怪獣は
中に入る人間が背骨を地面に垂直に立てた姿勢
(多少猫背にしてたりはしますが)
で直立しているにもかかわらず前傾姿勢をとっているように見せるため<
腰のうしろ側の背中をうんと膨らませてある」のです。

つまり
”足は胴の鉛直下方向にあって上体を支えているのだけれど、
背中のラインを斜めにすることで
体が前傾しているように見せかける”
ことで解決していたのですね。
ゴジラくらいになると
太ももの付け根をうんと太くして前半身から背中に達するように造型する
ことで一見矛盾が無いようにできていますが、レッドキングなんかは
腰骨と背骨の分離が明白です。やはは。

で、タカチホは”生物的”にするという鉄則があるのでそれはやりたくない。
じつは斜め前傾姿勢で二足歩行してた恐竜がいたことはいたのです。
テリジノサウルス類。
こいつらは生態的には地上性ナマケモノの先祖みたいな恐竜で、
巨大な鉤爪をもった腕を持つ鈍重な生物だったらしい。
彼らがこの姿勢で活動できた秘密はその尻尾の生え方にあって、
なんと背骨とほぼ垂直の向きの生えているのです。
これでやじろべえをさかさまにしたみたいなバランスのとりかたで
いささか危なっかしいながらもうまく歩いていたようなのですね。
(そもそもあんまり歩かないし)
しかし尻尾がぴんと立ってたんじゃ貫禄ないし。

で、なんとか苦肉の策、鳥類を参考に胴の長さを切り詰めて水平に
近い角度にし、大きくて重い尻尾を垂らす態勢にすることで
辛うじて”バランスがとれなくもなさそう”な姿勢を決定しました。
うーん、ちょっと解剖学的な視点をもったばかりにこの苦労!
いらぬ苦労といわれるとそれまでなのですが、 でもおかげで生物っぽくはなりました。

それにしても自然界の生物の良く出来ていること、改めて感心してしまいます。

てなわけでこんな姿勢になりました。やっぱり鳥みたい(^^;

次回につづく・・・

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