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スーツについて…


ここでは、スーツについて書き散らして行こうと思っています。

但し、内容がスーツの関連物にまで及んだり、脱線したり等はあると思いますので悪しからず…。
また、外国語の読みが、英語読みだったり米語読みだったり仏語読みだったり混ざっているところがありまっすが、気分ですのでご容赦ください。


目次
1,スーツの起源
11,礼服の体系
(男性)
21,スーツモデル
(セット・構成)
31,
2,スーツの起源
貴族の場合
12,礼服の体系
(女性)
22,スーツモデル
(ボタン配列)
3,スーツの起源
軍人の場合
13,男性の礼服
(大礼服)
23,スーツモデル
(使用目的)
4,ベストの起源
14,男性の礼服
(中礼服)
24,スーツモデル
(生地・仕立て・デザイン)
5,ワイシャツの起源
15,男性の礼服
(小礼服)
25,スーツモデル
(形状・見た目)
6,ネクタイの起源
16,女性の礼服
(大礼服)
26,スーツモデル
(ブリティッシュスタイル)
7,各国での呼び名
17,女性の礼服
(中礼服)
27,スーツモデル
(アメリカンスタイル)
8,背広の語源
18,女性の礼服
(小礼服)
28,スーツモデル
(ヨーロピアンスタイル)
9,正装(礼装)としての
スーツ
19,軍人の礼服
29,スーツモデル
(ジャパンニーズスタイル)
10,礼服の簡略化
20,勲章
30,



本文
1,スーツの起源
一番上へ
現在のスーツの型が出来たのは19世紀ごろであり、初めはレジャー用の洋服で、20世紀に入ってビジネスウェアとして着用されるようになった。
だからまぁ、最近の事であるといえばそうである。

しかしその起源は15・16世紀頃まで遡る。
初めは農民が来ていた農作業着。
これはフロックコートと呼ばれる。
同じような形のものは貴族、または軍人も着用していた。
当然農民が着ていたのは機能面を、貴族が着ていたのは見た目を重視した生地だったのは言うまでもない。
そしてこのフロックコートが、現在着られている礼服や制服やスーツなどのほとんどのものの元になっている。

まぁ…、様々な説があるのだが…
2,スーツの起源 貴族の場合
一番上へ
例えば、朝の散歩に適した形にされたのがモーニングコートである。
歩きやすいように前裾を大きくカットしたことから、カッタウェイ・フロックコートとも呼ばれる。
それが次第に礼服として格上げされたが、あくまで朝(モーニング)の散歩服であるため、午前中に着用するものとされる。

そして、モーニングコートを乗馬に適した形にさらにカットしたのが、テールコ−トである。
前裾が完全に無くなり、後ろが長いためそう呼ばれるが、その形がツバメの尾にも見えるため、スワローテールコート、日本では燕尾服と呼ばれる。
これも、礼服に格上げされ、午後から夜間にかけて着用される。
現在では最も格上の大礼服とされるものは、フルコートドレス(この場合の「コート」は“coat(外套)”ではなく“court(宮廷)”)と呼ばれ、様々な決まりごとがある。
白の蝶ネクタイを着用するため、そのドレスコードから、ホワイトタイ、或いはクラヴァットブランチェとも呼ばれる。

さて、これら上の三つ(フロックコート・モーニングコート・テールコ−ト)は、コートと付く事からもわかるように屋外着である。
それを室内着としたのが、タキシードである。
居間でくつろげるようにするため、テールコ−トのテールをばっさりとカット。
これも礼服に格上げされた。
テールコートよりはやや略式の夜間の準礼服とされ、正式には黒の蝶ネクタイを着用するので、ブラックタイ、或いはクラヴァットノワールとも呼ばれる。
タキシードは本来、ディナージャケットと呼ぶのが正式であるが、アメリカのタキシード公園で行われた舞踏会に、皆がテールコートで出席しているところに間違ってディナージャケットで出席した人がおり、それが公園の名前を冠して広まったことに由来する。
因みに、イギリス以外のヨーロッパ諸国ではスモーキング(喫煙服)と呼ばれる。

これが礼服の変遷、つまり貴族の服装の変遷で、このタキシードが現在のスーツの元になっている。
3,スーツの起源 軍人の場合
一番上へ
軍人もフロックコートを採用した。
威厳を出すために前のボタンをダブルにしたり、防寒のために襟を高く(詰襟)したりした型の名残は、現在にも見られるものである。

中学や高校で詰襟(学ラン)を着たことのある人ならやったこともあるだろうが、英国の軍人もくつろぐときに、詰襟の上の方のボタンをはずし、両側に開いてくつろいだらしい。
これも次第に丈が短くなり、現在のスーツの元になっている。
ノッチドラペルのスーツの襟を立ててみると一目瞭然である。

これが次第に、開襟化したものを基本として仕立てられ、徐々にボタンの数が減っていった。
ただ、一番上のボタンホールには花などを飾る事が流行ったため、現在でも一番上のボタンは、フラワーホールとして残されている。
そこに刺す花をブートニエールと呼ぶが、これはフランス語でのボタンホールという意味であり少しおかしな感じを受ける。
現在では、ラペルピンなどがはやっているし、ビジネスでは社章をつけるという風習もある。

紺色の軍服として用いられていたものは現在のブレザーとなった。

ボタンの数は、5つ、4つ、3つと減っていった。
アメリカでは、当時の若者が、3つボタンのスーツを第2ボタンだけ留めて着はじめた。 これが3つボタン段返りの発祥である。
(「3つボタン段返り」というのが正式で、「段返り3つボタン」というのは誤りらしい)

さらに段返りスーツから第1ボタンが省略され、2つボタンスーツが誕生。
現在でもこれらの3つボタン・2つボタンのスーツが主流となっている。
4,ベストの起源
一番上へ
スーツの話をしたが、スーツを着るときにベストは欠かせないものである。
基本的には、上着・ベスト・ズボン・シャツ・ネクタイが基本の姿であり、ベストを着ない現在の2ピーススーツは略式(正装とは言えない)である。

17世紀ごろ、ベストは長袖であった。
それが18世紀に入って、袖が無くなり、現在の姿になったといわれる。
これをイギリスではウエストコート、アメリカではベスト、フランスではジレと呼ぶ。

因みに、イギリスでベストというとアンダーシャツの事なので注意すべし。
5,ワイシャツの起源
一番上へ
ワイシャツと日本で呼ばれる語は、日本語である。
ネイティブが“ホワイトシャツ”を発音すると“ワイシャツ”に聞こえるのだとか。
英語では、ドレスシャツと言う。

元々は男女共用の下着であった。
16〜17世紀ごろに、胸元の服の切れ目から下着を見せることが流行った。
それから徐々に襟がついたのだと言われる。

また、それまでは下着としてのパンツ(パンティ)というものは無く、シャツの裾をボタンで留めて股間を覆っていった。
現在のワイシャツの一番下にボタンが余っているのは、スペアボタンと思われている(そういう用途もある)が、その頃の名残である。

また、かつては襟とカフスは外すことが出来、洗濯や外見を変えることが出来た。
スタンドカラーのシャツに、様々な型の襟を取り付けることが出来た。
現在では、デタッチャブルカラーとかセパレイテッドカラーと呼ばれ、伝統的なテーラーでは作られている。

胸にあるポケットは、コート(ジャケット)や、ベスト(ウエストコート)の代用であり、ネクタイやチーフを入れていたが、ベストを用いない、略式スーツが出来てからのものである。
6,ネクタイの起源
一番上へ
ネックタイはアメリカ語で、イギリスでは、タイ、或いは、ネックウェアと呼ばれ、フランスではクラバットと呼ばれる。
最初は、2世紀ごろのローマ軍の兵士が首に巻いていた防寒用の布が起源といわれる。

ルイ14世が、まだルイじゃなかった頃、ルイ13世の為にクロアチア兵がフランスを訪れた。
彼らは、無事な帰還を祈るために、恋人や妻から首にスカーフを巻かれていた。
ルイ14世が、「あれは何だ」と尋ねたところ、側近のものは兵士について尋ねられたと勘違いし、「クラバット(クロアチア兵)です」と答えた。
それで、フランスでは、現在でもネクタイの事をクラバットと呼んでいる。

19世紀後半には、イギリスでクラバットの結び目のみを残したものが作られた。
これが蝶ネクタイである。
アスコット競馬場に集まる際の服装としてアスコットタイ、ダービータイが生まれ、正装になったのもこの頃である。
また、ウインザー公が考案した事から名前がついたウインザーノットや、ビクトリア女王の夫君であったアルバート公が考案したプリンスアルバートノット(通称ダブルノット)など、結び方も様々に考案され、名前がついた。因みに、馬車の御者がしめたことが多かったプレーンノットを、フォアインハンド(4等立ての馬車)ノットとも呼ぶ。
7,各国での呼び名
一番上へ
ここでは一般的に呼ばれている呼び名を紹介する。

日本
上着
チョッキ
ズボン
スラックス
ワイシャツ
ネクタイ
コート
ウエストコート
トラウザーズ
ドレスシャツ
タイ
ネックウェア
ジャケット
ベスト
パンツ
ドレスシャツ
ネックタイ
ジュストコール
ジレ
ジュボン
キュロット
パンタロン
シュミーズ
クラバット


因みに、パンツやトラウザーズなどが複数形なのは、昔は靴下のようなものだったものが、徐々に丈が伸び、膝丈となり、太ももとなり、腰までとなって繋がったという経緯があるためらしい。
8,背広の語源
一番上へ
スーツを表す日本語の「背広」という語にはいくつか語源がある。

最有力なのが、スーツ発祥の地といわれ、現代でも王室御用達の数々のテーラーが軒を連ねている、イギリスロンドンはウエストエンド地区にあるサヴィルロウという通りの名前。
この「サヴィルロウ」が…
「サヴィルロウ」→「サビルロウ」→「サビロウ」→「セビロウ」→「セビロ」→「背広」となったというもの。

別の説では、英語で軍服に対比される私服(市民服)を「シビル・クロウズ」というが、この「シビル」が…
「シビル」→「セビル」→「セビロ」→「背広」と訛ったという説。

この二つあたりは、ネイティブの発音を聞いた事が無いから、なんともいえないが、「ウォーター」が「ワラ」、「ホワイト」が「ワイ」と聞こえるなどの様に、英語を日本語に落とし込む場合に聞こえたままに伝わっていく事。
さらに、徐々に広まっていく中で、訛りが加わっていく事などから考えるとありえるのかもしれない。

さらに別の説では、モーニングコートの背幅が細身で狭いのに対して、スーツの背幅が広い事から、下手職人が慣用的に「背広」と呼んでいたことが一般に広まったという説。
まぁ、業界用語的なものが、広まっていくというのはままあることである。

このほかにもいくつかの説があり、本当のところは定かではない。
9,正装(礼装)としてのスーツ
一番上へ
正装とは、儀式などに出るために、正式に定められた装いことをいう。
軍隊においては軍服であり、学校においては学生服である。
ビジネスにおいては、ビジネススーツであろう。

しかし、より上の、国家行事レベルの式典となると、その正装には細かい規定がある(詳しくは別項で扱う)。
礼服・礼装とも呼ばれる。

だが20世紀半ばの礼装の簡略化に伴い、従来はモーニングコートやタキシードを着用すべき場合でも、ダークスーツで許される場合が増えている。
これは、和装でも同じで一般に紋付(紋服・紋付羽織袴)と呼ばれるものは、江戸時代では略装だったが、現在では中礼服とみなされているのと似ている(詳しくは別項で扱う)。

例えば、基本的に公的機関が行う式典には、モーニングコートやテールコートを着るのが正式であった。
テールの無いタキシードですら、正式とは認められないという風潮があった。
しかし、昭和39年に総理府(現内閣府)が告示した「勲章等着用規程」では…

〜引用〜
勲章等は、燕尾服、若しくはローブデコルテ、若しくはローブモンタント、又はこれらに相当する制服に着用するものとする。
ただし、一等勲章以上の勲章の副章、二等勲章以下の勲章、若しくは文化勲章、褒章又は記章を着用する場合には、男子にあつては紋付羽織袴、若しくはフロックコート、若しくはモーニングコート、又はこれらに相当する制服に、女子にあつては白襟紋付、又はこれらに相当する制服に着用し、四等以下の勲章、褒章又は記章を着用する場合には平服に着用することができる。
〜引用〜

…とある。

四等以下は平服(普通のスーツ)に着用する事が出来るとある。
昔と比べればかなりの簡略化であるといえるだろう。
10,礼服の簡略化
一番上へ
「スーツの起源」の三つの項で、すべての礼装がフロックコートから始まった事は書いた。
そのフロックコートは、19世紀初頭にもっとも格上の礼服だったが、現在では世界中でも礼服として認められていないか、格下のものとされている。

その代わりに、フロックコートより格下だった、テールコートや、モーニングコートが格上げされ、さらにそれに準じた形で、テールの無いタキシードまでが礼服として認められたのである。
これは礼服が次第に簡略化されていることを示している。

ただし、現在では、テールコートのみが大礼服(次項で説明するが…)として認められており、モーニングコートやタキシードは認められていないことも事実である。

しかしながら、前項でも述べたように、ダークスーツ(黒・焦げ茶・濃灰・濃紺等)の使用範囲が広がってきた事を見ると、将来にはさらに簡略化が進むかもしれない。

現に、小礼服(だから、事項で説明するが…)は、ブラックスーツのみが認められていたものを、アメリカではダークスーツでも可という動きが起き、さらに最近では、ダークでなくて色物でもいいのではという風潮がある。
大体新しいものはアメリカから始まり、いつの時代も古き良きものを守り続けていくのがイギリスである。

まぁ、この辺の感覚は国によって異なるから、外国に行くときはその国の事情を考慮されたし。
11,礼服の体系(男性)
一番上へ
礼服には一般的な呼び名として、大礼服・礼服・略礼服などといったものがある。
しかしここでは、この点で権威である、林實氏の分類方法を使用する。

それは、大礼服・中礼服・準中礼服・小礼服・準小礼服というもの。

男性の礼服の体系を以下に示す。

分類名称儀式等
午前中に着用午後から着用
大礼服
フルコートドレス(勲章佩用)
即位式・戴冠式・元首などの婚礼・記念式典・元首主催正式晩餐会・大葬・国葬
中礼服
フルコートドレス(勲章なし)
認承式・勲章授与式・元首への正式訪問・拝謁・正式参拝・元首主催正式晩餐会・元首主催園遊会・茶会・歌会始・国際協会長主催儀式・晩餐会・オペラ観劇
モーニングコート
テールコート
準中礼服
フロックコート
中礼服に準ずる(緩和型)
ディレクターズスーツ
タキシード
(ディナージャケット)
小礼服
ブラックスーツ
入学式・卒業式・開会式・閉会式・民間冠婚葬祭
準小礼服
ダークスーツ
小礼服に準ずる(緩和型)


タキシードにせよ、フロックコートにせよ、一般にそう呼ばれているものではなく、キチンとした決まりに則った着用方法のみが、正式なものとされる。
12,礼服の体系(女性)
一番上へ
同様に、女性の礼服の体系を以下に示す。

パートナーと共に式典等に出席する時は、ドレスコードを確認し(無い場合は何を着ていったらいいかを、主催者側に確認する方が良い。客に要らぬ気遣いをさせぬために、招待状にはドレスコードを記すのが主催者側のマナーでもある)、必ず二人の礼服レベルを合わせること。

分類名称儀式等
午前中に着用午後から着用
大礼服
フルコートドレス(勲章佩用)
即位式・戴冠式・元首などの婚礼・記念式典・元首主催正式晩餐会・大葬・国葬
中礼服
フルコートドレス(勲章なし)
認承式・勲章授与式・元首への正式訪問・拝謁・正式参拝・元首主催正式晩餐会・元首主催園遊会・茶会・歌会始・国際協会長主催儀式・晩餐会・オペラ観劇
ローブモンタント
ドーブデコルテ
準中礼服
アフタヌーンドレス
イブニングドレス
中礼服に準ずる(緩和型)
小礼服
アフタヌーンスーツ
カクテルドレス
入学式・卒業式・開会式・閉会式・民間冠婚葬祭
準小礼服
スーツ
ドレス
ワンピース
小礼服に準ずる(緩和型)
13,男性の礼服(大礼服)
一番上へ
大礼服として定められている「フルコートドレス(Full Court Dress)」は、直訳すれば、「宮廷の正装」であるが、この服装はテールの形状から、「テールコート(Tail Coat)」、或いは「スワローテールコート(swallowtail Coat)」 と呼ばれ、日本語では「燕尾服」と訳される。
軍人の制服は軍服なので、シビル礼服としての大礼服といえる。
勲章を外せば、中礼服としての「フルコートドレス」となるので、逆に言えば、勲章を持っていないものが大礼服を着る(大礼装)機会は無いと言える。

因みに、ドレスコードは、“Most Formal”“White tie”“Cravate blanche”など。

「フルコートドレス」には、細かい服装規定があり、ひとつでも省略して着用すると、はなはだ失礼であるらしい。

中礼服としての「フルコートドレス」は、俗に「イブニングコート(Formal Evening Coat, Evening Coat)」と呼ばれる。

基本セットは、黒の上着(テールコート、生地はドスキン or カシミヤ or ウーステッド など、襟は拝絹付剣襟)・白のベスト(生地はピケ or 絹 など、返し襟付き、状況によっては黒使用も有)、黒のズボン(生地は上着と共地、側章2本付、シングルカフ)、白のシャツ(生地はリンネル など、イカ胸、ウイングカラー、前立ては比翼かスタットボタン止め、シングルカフ、カフスボタン止め)、白の蝶タイ(生地はピケ or サテン or 紗 など)、白蝶貝の白台のアクセサリー(ボタン類など、白台とはシルバー・プラチナ・ホワイトゴールド など)、白のポケットチーフ(生地は絹 or 麻 など、スリーピークス)、白のハンカチーフ(生地は麻 など)、黒の靴下(生地は絹 or ナイロン or テトロン など)、黒の靴(エナメルのパンプス)、白の手袋(生地はバックスキン(鹿皮) or キッド(羊皮) or 絹 or 綿 など)、白のサスペンダー(ベルトの使用は不可)など。
その他、白のマフラー(生地は絹 など)、黒のオーバーコート(生地はラシャ or カシミヤ など、チェスターフィールド or インバネス、比翼、襟はベルベット)、黒のシルクハット(本来はビーバーの毛皮のもの)、懐中時計(シルバー・プラチナ・ホワイトゴールド など、ベストのポケットから鎖を出し、その先の時計をズボンに入れる)など。

余談だが、サスペンダー(suspenders)は米語である。
イギリスではサスペンダーはガーターベルト(garter belt)のことを指すので注意が必要。
英語ではブレイシズ(Braces)という。
14,男性の礼服(中礼服)
一番上へ
「フロックコート(Frock Coat)」はおおもとの礼服。
モーニングやテールコートの原型。
特徴は、ダブルブレステッド、膝までの長い丈。
「モーニングコート(Morning Coat )」は、現在の中礼服である。
ただ、名前の通り午前中だけの着用で、午後からは必ず「テールコート」とする。
この二つの着用方法は、ベストは黒、ズボンは黒とグレーの縞柄、タイは白黒縞柄かシルバーのアスコットタイ、その他はテールコート(フルコートドレス)に準じる。
但し、緩和型として、シャツはレギュラー襟やひだ胸、タイは白黒縞柄かシルバーの巾タイ、靴は短靴(プレーントゥかストレートチップ)、帽子は山高帽や中折れ帽も可とする。

「ディレクターズスーツ(director's suit)」は、中礼服の緩和型である。
テールの無い「モーニングコート」とでも言えるだろうか。
簡単に言えば、「モーニングコート」のセットの上着をブラックスーツの上着に代えただけという感じ。

そして、「タキシード(Tuxedo)」である。
正式には「ディナージャケット(Dinner Jacket)」と呼ばれ、欧州では「スモーキング(Smoking)」と呼ばれる。
本来は、「テールコート」や「モーニングコート」よりくつろごうという発想から出来た服である。
これも午後から着用するジャケットであり、「アフターファイブ(After Five)」などとも呼ばれる(そうなると5時以降だが…)。
ドレスコートは、“Black tie”“Cravate noire”など。

着用は基本的に「テールコート」に準ずるが、色はすべて黒(ベスト・タイ など)にする。
ズボンの側章は1本、アクセサリーは白台に黒蝶貝、タイは蝶タイかクロスタイ。
他に、ダブルの場合はベスト不要、シングルの場合でもベストをカマーバンドで代用できる。

因みに、一般の結婚式で新郎などが来ている丈の長いジャケットを「タキシード」と呼ぶことがあるが、あれは色も長さも本来のタキシードではない。
「フロックコート」と呼ぶべきか、「ショートフロックコート(short Frock Coat)」「ロングタキシード(long Tuxedo)」「ファンシータキシード(Fancy Tuxedo)」などとも呼ばれる。
15,男性の礼服(小礼服)
一番上へ
一般人に一番なじみの深い礼服が「ブラックスーツ(Black Suit)」であろう。
これは、上のものから見るとかなり略式だが、昼夜兼用の小礼服といえる。
形は特に問わないが、ダブルブレステッドの場合は決して人前でボタンをあけてはいけない。
シングルブレステッドの場合は必ずベストを着るというのが決まりである。
上着と共地としても良いが、シルバーグレーのくるみボタンなどを着用するとよりフォーマルである。

ただ、普通の紳士服店で売っている礼服と書いてあるものを購入されるのはお奨めできない。
真っ黒を着るのは日本人だけの風習である。
葬式は当然黒を着用するが、祝儀の場合は、「ダークスーツ(Dark Suit)」の方がいいだろう。

長く着たいのであれば、形は流行に左右されない定番型にすべし。
ラペルの巾は標準に、ショルダーラインはナチュラルに、前裾はレギュラーカットになど。
昔からシングル3つボタンが定番なので、それにしておくのが良い。
改まったときはフラップはポケットにしまう。
ベントは、ノーベントがフォーマルだが、サイドベンツのほうがエレガントに見えるだろう。
ズボンの裾は、シングルカフがフォーマルだが、ダブルカフスのほうが裾にかけてまっすぐになりすっきり見える。

上着は決して人前で(特に家族以外の女性の前で)は脱いではいけない。
失礼であるとされる。
前ボタンは、大抵は1番下は留めない。
これに関しても由来はあるが、ここでは割愛する。
現在のスーツは一番下は止めないような設計となっているものがほとんどである。
また、3つボタンの1番上のボタンをはずして着ておられる方がいるが、ほとんどのスーツは留める設計で作られているので、はずしていると形が崩れるし、だらしなく見える。
段返りで無い限りは留めるのが良い。
その他、基本的には、フォーマルコート類に準じるのがベター。

学生は制服でも良い。
16,女性の礼服(大礼服)
一番上へ
女性の大礼服も「フルコートドレス」という。
因みに、女性と男性の礼服の格式は合わせる。
勲章は全て佩用する。

昔は「マントデクール(Monteu de cour)」と呼ばれるものを着た。
クールとは、ドラマなどを放映する期間のクールと同じ単語だが、「流れる」という意味があり、「流れるマント」、つまりは非常に長くマントを引きずった格好であった。

しかし近年、マントの長さが短くなり、現在の「フルコートドレス」は、「ローブデコルテ(Robe de coilete)」に肩から2ヤード(約1.83m)以内のマントを取付ける。
「デコルテ」とは、「胸の谷間を含む首筋から胸元にかけての部分」という意味(元は「コルテ」が「襟」をさし、否定形の「デ」をつけて、「襟無し」という意味)のフランス語であり、その部分を強調した形のドレスである。

基本セットは、白のローブデコルテ(生地は絹 or ブロケード or タフタ or サテン or レース or オーガンディー など)、白のマント(生地はドレスと共地)、宝冠(クラウン or ティアラ など)、アクセサリー(指輪・イヤリング・ネックレス・ブレスレットなど、白台にダイヤか真珠)、靴(白かシルバー)、白手袋(皮か絹)、小型のバッグ(白かシルバー)、扇(必須だそう、象牙骨絹扇 or 檜扇 or 羽根扇 など)など。
全体に、白とシルバー系で統一するが、アイボリー系とゴールドで統一するのも可。
ただ、下品な色使いにならないように注意したい。
17,女性の礼服(中礼服)
一番上へ
中礼服は、勲章なしの「フルコートドレス」の他に、午前中は「ローブモンタント(Robe montante)」、午後は「ローブデコルテ」を着用する。

胸元を強調する露出多めの「ローブデコルテ」とは対照的に、「モンタント」とは、「高い」とか「立襟」という意味があり、肩も背もあいていないドレスである。
昼間っから肌を出すのもなんだからだろうか…
後述する「アフタヌーンドレス」の丈の長いタイプである。

「ローブモンタント」は男性の「モーニングコート」に、「ローブデコルテ」は男性の「テールコート」にそれぞれ対応する。
着用の方法は基本的に「フルコートドレス」に準ずる。

緩和型の中礼服に、「アフタヌーンドレス(Afternoon Dress)」「イブニングドレス(Evening Dress)」がある。
それぞれ、「ローブモンタント」「ローブデコルテ」の丈が短くなったと考えていただいて差し支えない。

「アフタヌーンドレス」は、「午後からの服」という意味だが、午前中から着用できる。
厳密には、「アフタヌーンドレス」から「イブニングドレス」に着替える時間帯は、3時〜5時頃である為。
英国では、午後になると絹の服に着替えてお茶をのむ風習があり、そのようなことから「ティーフロック(Tea frock)」とも呼ばれる。

「イブニングドレス」は、「ディナードレス(Dinner Dress)」「デミトワレ(Demi-toilette)」とも呼ばれる。
「デミトワレ」=「半分トイレ」なんていやな名前である。
まぁ、フランス的には「トワレ(トワレット)」は「化粧」を指す言葉でもあるので、「化粧半分」は「セミフォーマル」程度の意味なんだろう。
余談だが、「オードトワレ(Eau de Toilette)」というものがある。
「オー」は水なので、「オードトワレ」は、「化粧水」とか「香水」とかを指す。

本題の「イブニングドレス」に戻るが、基本は「ローブデコルテ」に準ずるが、裾・襟・袖の仕様はある程度自由にしてよいことになっている。

「アフタヌーンドレス」は男性の「ディレクターズスーツ」に、「イブニングドレス」は男性の「タキシード」にそれぞれ対応する。
18,女性の礼服(小礼服)
一番上へ
小礼服の場合、午前中はスーツ、午後はドレスかワンピースを着用する。
スーツよりはワンピース(上下が分かれていないつなぎの服)のほうがよりフォーマルであるとされる。

午前中に着ることができる(向いている、望ましい)服としては、「アフタヌーンスーツ(After noon Suit)」や「アフタヌーンアンサンブル(Afternoon Ensemble)」が挙げられる。
「アフタヌーンドレス」に準じた素材や、ソフトな、ステキな、フェミニンな感じのものがいい。
いずれにしろ上品であること。

午後から着用できる服としては、「カクテルドレス(Cocktail Dress)」「ボールドレス(Ball dress、舞踏服)」「ホステスガウン(Hostess gown)」あたりか。
昼間よりは夜の方がややドレッシーなものを着用するべきである。

学生は制服でも良い。

午前午後の着用を述べたが、午前中から始まって3時〜5時より前に終わる場合は午前用の服装を、昼頃から始まって夜間までかかる場合は午後用の服装を着用する。
朝から夜まででも、一般の式典であれば着替える必要は無く、終わる時間に準じて決めること。
これは男性にも言える。
19,軍人の礼服
一番上へ
「軍人の礼服」と銘打ったがその詳細を書くつもりではない。
いくつかのディティールについて取上げたいと思っただけである。

まずは「肩章」。
英語では「エポーレット(Epaulette)」「ショルダーストラップ(Shoulder strap)」「ショルダーループ(Shoulder loop)」「ショルダーボード(Shoulder board)」「ショルダーノッチ(Shoulder knot)」など形状によって様々である。
大抵は、ふさふさの下がっているものを「エポーレット」、トレンチコートなどについている襟側がボタン止めのものを「ショルダーループ」、自衛隊などの制服についている板状のものを「ショルダーボード」などと呼び分けているが、肩章を総称して「エポーレット」と読んでいるらしい。
古い写真や絵を見ると肩にふさふさが付いていてかっこいいものである。

次に「飾緒」。
肩章のあたりから、金色のロープのようなものが垂れていたり、ゆったりとたるませて胸の辺りに繋がっている紐の事を「飾緒」という。
英語では「エギュレット(aiguillette)」、フランス語では「コルドン(Cordon)」という。
「コルドン」は「コード」、所謂「電線」のことであるが、この場合は「ひも状のもの」といったところだろうか。
名前からして装飾品であるが、昔は軍人がメモを取る為に鉛筆やチョークなどの筆記具を吊るしておく為のものだったらしい。
現在の飾緒にも「石筆」「ペンシル」などと呼ばれる金具が付いているものがある。
20,勲章
一番上へ
軍人の礼服に入れようかとも思ったが、シビル礼服にもつけるため別項にした。

ただ、「勲章」について細かく書くわけではなく自分の書きたい事だけを書くのでご容赦願いたい。

勲章について書こうと思ったきっかけは、大礼装をしたときにつけている襷(たすき)に関してである。
ネット上で、「あの襷のようなものは何ですか?」などという質問が書き込まれているのを時々見かける。
社会の資料集の軍人の写真や戴冠式の挿絵などで見たことがある人もいるかもしれない。

あれは勲章の帯の部分である。
日本では「綬」といい、英語では「サッシュ(Sash)」「リボン(ribbon)」という。

あれが勲章の帯だなんておかしいと思うかもしれないが、あの先に勲章がついているのである。
時々大綬を模しただけの装飾も無いわけではないが…。

勲章には身につけるために、いろいろな「綬」と呼ばれるものがある。

まず、「○○章剄飾」というものがある。
「剄飾」とは「首飾り」のこと。
勲章を首から下げるために金の飾り鎖が付いていて、その国において最上級、或いは特別等級の勲章がこの形式をとることが多い。

「○○大綬章」は、上で述べた襷である。
勲章の帯の部分を「綬」というと上で書いたが、その「綬」の幅が10cm前後ある。
それで「大綬」である。
正章(勲章本体)は、その先についており、副賞と呼ばれる大型のバッジを胸に付ける。
正章より副章の方が一回り大きくなっている。
「大綬」は、通常は右肩から左腰に掛け、その国に於ける特別な勲章のみ左肩から右腰に掛ける。
大綬は厳密には襷型ではなく、勲章の上に「綬」の結び目があり、それは国によって、蝶結びであったり、「ロゼット(rosette)」と呼ばれるバラ型の花飾りであったりする。

「○○中綬章」は、「綬」の部分がかなり小さい。
次に述べる「小綬」よりは若干大きい。
これは、「綬」を首にかけて下げるタイプ。
着用方法は「剄飾」と似てはいるが、「頸飾」は鎖であり、「中綬」はリボンである。

「○○小綬章」が、一番一般的に見た事のあるような勲章である。
軍人などが胸に並べて着けている小さい勲章がこれである。

「略綬」というものもある。
字義通り、「綬」を略しているため付いていない。
平服(普通のスーツ)などを着たときに付ける用に、ラペルのフラワーホールにつける議員バッジのような形をしている。
日本では、「頸飾」は特級、「大綬」は一等級、「中綬」は二等級、「小綬」は三等級以下の勲章の「綬」である。

因みに、イギリスでは、「オーダー(order)」「デコレーション(decoration)」「メダル(medal)」「クロス(Cross)」などがある。
21,スーツモデル(セット・構成)
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しばし、硬い話が続いたのでスーツに本題を戻そう。
ここからはスーツの呼び名についてしばらく取り上げる。
因みに分類に関しては、司徒@管理人の現状の知識に基づく独断によるものであり、ご指摘があれば調査し、適宜修正するものとする。

一般的に呼ぶスーツの名で、セット・構成に基づく呼び名には以下のようなものがある。

ツーピーススーツジャケットとズボンがセットのスーツ。共布。
ディトーズ上下そろいの服。スーツ。形としての初出は1730年とも言われるが、言葉としての登場は1740年代であり、近代的な意味での「ディトーズ」デビューは1830年にドイツの仕立て屋によるものといわれるが、この時点ではジャケットはまだフロックコートであり、今日の背広型になったのは1860年代といわれる。
スリーピーススーツジャケットとズボンとべストがセットのスーツ。共地・共柄で仕立てられる。「スリーピーセス」「スリーピーサーズ」「ベステッドスーツ」「ディトーズ」「3つ揃い」などと同義。
ベステッドスーツベスト付きのスーツ。「スリーピーススーツ」と同義。
ツーパンツスーツジャケットとズボン2本がセットのスーツ。ズボンのほうが傷みが早いため重宝する。
アンマッチドスーツジャケット・ベスト・ズボン等が共地・共柄ではないスーツのこと。「オッドジャケットオッドベスト(ウエストコート)」「オッドトラウザーズ」を組み合わせて着ることではなく、セットで売られているものを言う。「ミックスドアンサンブル」とも。
コーディネーツコーディネーテッドスーツ」の略語。
コーディネーテッドスーツジャケットとズボンが共地・共柄ではないスーツのこと。「コーディネート」とは「調和させる・統一する」という意味があることから、ジャケットとズボンに何らかの関連性を持たせて組み合わされたもの。
セットアップスーツジャケットとズボンが別売りになっているスーツ。サイズや体型上の問題を解消するために、上下別々のサイズを選ぶことが出来る。和製英語で初登場は1986年頃とのこと。
セパレーツセパレーテッドスーツ」の略語。
セパレーテッドスーツジャケットとズボンが共地・共柄ではないスーツのこと。「コーディネーテッドスーツ」に類似するが、ジャケットとズボンに関連性があるわけではなく、別々に合わせることによるお洒落スーツをさす。
ミックスドスーツコーディネーテッドスーツ」セパレーテッドスーツ」などのことをさす。1930年代から1950年代に用いられた用語だが、現在はあまり使用されない。
ブレザースーツブレザー」とズボンを共地・共柄で仕立てたスーツ。フォーマルウェアの一つとして扱われる。
22,スーツモデル(ボタン配列)
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一般的に呼ぶスーツの名で、ボタン配列の観点で呼ぶ呼び名には以下のようなものがある。

シングルスーツフロントボタンが縦1列に配列(シングルブレステッド)されたスーツ。
2つボタンスーツシングルスーツ」でフロントボタンが2つのスーツ。大抵は上1つ掛け。一番下は留めない。
3つボタンスーツシングルスーツ」でフロントボタンが3つのスーツ。大抵は上2つ掛け。一番下は留めない。
3つボタン段返りスーツシングルスーツ」でフロントボタンが3つだが、第1ボタンが下襟の折り返しの裏に隠れてしまっているスーツ。大抵は中1つ掛け。一番下は留めない。「ローリングダウンモデル」に同じ。
4つボタンスーツシングルスーツ」でフロントボタンが4つのスーツ。大抵は上3つ掛け。一番下は留めない。
ダブルスーツフロントボタンが縦2列に配列(ダブルブレステッド)されたスーツ。
ダブル4つボタンスーツダブルスーツ」でフロントボタンが4つのスーツ。上1つ掛け or 下1つ掛け。下1つ掛け以外は一番下は留めない。
ダブル6つボタンスーツダブルスーツ」でフロントボタンが6つのスーツ。上2つ掛け or 中1つ掛け or 下1つ掛け。下1つ掛け以外は一番下は留めない。
ダブル8つボタンスーツダブルスーツ」でフロントボタンが8つのスーツ。上3つ掛け or 中2つ掛け or 中1つ掛け or 下1つ掛け。下1つ掛け以外は一番下は留めない。
オールインラインスーツダブルスーツ」のジャケットの2列のボタン配列が平行に並んでいるスーツ。「スプレッドアウトスーツ」の対語。
スプレッドアウトスーツダブルスーツ」のジャケットの2列のボタン配列がV字型に並んでいるスーツ。「オールインラインスーツ」の対語。
ロングターンダブルブレステッドスーツ1930年代末期から1940年代初めにかけて、また1980年代に流行したスーツの型。その名の通り、「ダブルスーツ」の襟の返りの長いスタイルで、4つボタンや6つボタンの下1つ掛けのものをさす。「ロングロールダブルブレステッド」「ハリウッドダブルブレステッド」「ロンドンロング」「デュークオブケントスタイル」とも呼ばれる。
ローツーボタン位置の低い(ロー)2つボタン(ツー)のスーツの俗称。「ドレープスーツ」に採用されることが多い。
ハイツーボタン位置の高い(ハイ)2つボタン(ツー)のスーツの俗称。
23,スーツモデル(使用目的)
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一般的に呼ぶスーツの名で、使用目的の観点で呼ぶ呼び名には以下のようなものがある。

リクルートスーツ就活に用いられるスーツ。まじめでフレッシュな印象を与える生地とデザイン。
アウタースーツレジャースーツのこと。特に秋冬物を指す。
スリーシーズンスーツ春夏秋、若しくは春秋冬のスリーシーズンに着られるようにしたスーツ。前者は薄手の生地に背抜き、後者は厚手の生地に総裏というのが定番。
イヤーラウンドスーツ1年間通して着られるスーツ。
ウォッシャブルスーツ家庭で丸洗いでき、シワになりにくいポリエステル加工等の素材で作られたスーツ。
ラウンジスーツラウンジスーツスーツの型が固まった、19世紀後半から20世紀前半にかけて着用されていたスーツ。英語。米語の「サックスーツ」、仏語の「コンプレ」に同じ。「ラウンジ(lounge)」は「休憩・歓談・社交」や「散歩・漫歩」などのことで、スーツは当時はレジャー用の服だった。
ビジネススーツビジネスに用いる、或いは用いられるスーツ。
タウンスーツ着飾っていない程度の訪問着、或いはビジネス用のスーツの事。
24,スーツモデル(生地・仕立て・デザイン)
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一般的に呼ぶスーツの名で、生地や仕立てを基準とした呼び名には以下のようなものがある。

アンコンストラクテッドスーツ肩パッド・芯地・裏地等を一切省き、利便性に特化したスーツ。シャツのように軽く着られ、カジュアル・スポーティな雰囲気を出すことができる。「簡易仕立て服」「アンストラクチャードスーツ」「アンコンスーツ」などとも。
セミストラクチャードスーツ肩パッド・芯地・裏地等の一部を省き、利便性を求めたスーツ。多少、カジュアルな雰囲気を出すことができる。「簡易仕立て服」の一種。「セミ」ということから分かるとおり、普通のスーツと「アンコンスーツ」の間くらいのスーツ。
アンラインドイージーアンコンストラクテッドスーツ」に同じ。
カントリースーツツイードなどのカントリー風な記事で仕立てたスーツ。カジュアルなスーツ。
テーラードモデルテーラーが自身のこだわりをもって仕立て(デザイン・縫製)たスーツの型。
ソフトスーツソフトな素材を用いてソフトな仕立てをしたスーツの型。イタリア系のデザイナーに多い。言葉が広く使われるようになったのは1980年代後半から。「テーラードスーツ」の対語。
テーラードスーツ生地・仕立てがしっかりとしたかためのスーツの型。特に紳士服仕立ての婦人服をさしてそう呼ぶ。「ソフトスーツ」の対語。「テーラードモデル」とは別。
リアルスーツ本格的な「テーラードスーツ」のこと。
DCブランドスーツDC(デザイナーズ&キャラクター)ブランドのスーツ。若向きで誇張的前衛的なビジネスには使用できないようなスーツをさす。
ビーフィースーツ厚手の生地を使って仕立てたスーツの総称。1960年代に特に流行った。コーデュロイやベルベットが主に用いられる。
25,スーツモデル(形状・見た目)
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一般的に呼ぶスーツの名で、形状や見た目を基準とした呼び名には以下のようなものがある。

ローリングダウンモデルローリングダウンとは「段返り」のことで、「トラディショナルモデル」「ブルックシーモデル」などに見られる型。元は、機能面重視のファッション性の低い型だったが、今となってはクラシックである。
サックスーツスーツの型が固まった、19世紀後半から20世紀前半にかけて着用されていたスーツ。米語。「袋型」「箱型」「寸胴型」などと呼ばれる。英語の「ラウンジスーツ」、仏語の「コンプレ」に同じ。スーツは当時はレジャー用の服だった。「ナンバーワンサックスーツ」の項も参照。
カーディガンスーツジャケットがカーディガンのように襟の無いスーツ。「カラーレススーツ」と同じ。
ダークスーツ黒を含むダークカラー(濃紺・濃茶・濃灰等)のスーツの総称。民間の簡略型の冠婚葬祭着(小礼服)として用いられ、落ち着いた雰囲気からビジネスにも多用される。
26,スーツモデル(ブリティッシュスタイル)
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スーツの発祥の地、英国のモデルの紹介。

ブリティッシュトラディショナルモデル英国の伝統的なスーツの型。「ブリティッシュモデル」「ドレープスタイル」「ハッキングスタイル」「ブリトラ」とも。胸の厚みを強調するためのタイトな肩幅・細めの襟巾・ウエスト絞りなどが特徴的で、使用する生地の色柄は濃紺・濃茶・濃灰色或いは、ストライプ・グレンチェック等伝統的・保守的なものが多い。ごくごくベーシックではあるが、素材や仕立てへのこだわりが強い。ディテールとしては、シングル3つボタン3つ揃え、若しくは打ち合わせの深いダブル、テーラード・コンケープド・ロープドなどのショルダーライン、ハッキングポケット、サスペンダーボタン、チェンジポケット等。
サビルロウルックブリティッシュスタイル」の原型となった、仕立て屋が集まる「サビルロウ」で生まれたスタイル。ヴィクトリア朝以降の紳士イメージで、所謂英国式スーツの伝統型である。
サニングデールスーツ1920年頃に流行した「サニングデールジャケット」と共地・共柄のズボンを組み合わせたスーツの型。
サフォークスーツサフォークジャケット」と共地・共柄のズボン(または、「ニッカーボッカーズ」)を組み合わせたスーツの型。
ノーフォークスーツノーフォークジャケット」と共地・共柄のズボン(または、「ニッカーボッカーズ」)を組み合わせたスーツの型。
パドックモデル1930年代から1940年代にかけて流行したスーツの型。ハイツーが特徴で、カントリースーツなどにこのスタイルが多かった。特にイギリス人とアングロアメリカンの間で流行った。
イングリッシュドレープ1930年代から1950年代にかけて流行したスーツの型。ドレープとは、布の「襞」のことであるが、スーツにおいては転じて「ゆとり」「立体感」をさす。ある仕立て屋が近衛将校の外套の腰をベルトで締めることによって生じるドレープ(襞)が、着手に男らしい印象を与えることからスーツに取り入れたという。全体にゆったりとしたシルエットに、幅広のラペル、股上の深いズボンにウエストコートの3つぞろいのスーツである。
イングリッシュブレードイングリッシュドレープ」に同じ。「ブレード」とは「肩胛骨」のこと。
ボディラインスーツ1968年に登場した身体の線に沿ってフィットさせたスーツの型。狭い肩幅、狭い胸、細い袖、強いウエスト絞り、長い丈を特徴にしたジャケットと、フレアードラインのズボンを合わせた。
27,スーツモデル(アメリカンスタイル)
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新しい流行を次々生み出す国、アメリカのモデルの紹介。

アメリカントラディショナルモデル英国のスーツを着やすく合理的にしたアメリカの伝統的なスーツの型。単に「トラディショナルモデル」、または、「アメリカントラッド」「アメトラ」とも。合理的ゆえにファッション性が低いようにも思える。3つボタン段返り中1つ掛けジャケット、ウエスト絞りが入っていない寸胴型・ナチュラルショルダー・センターベントなどが特徴的。機能性を重視しているといえる。「アイビーリーグモデル」などの原型となった型であるが、用語としての登場は「アイビーリーグモデル」よりも遅い1961年頃。その典型はブルックスブラザーズだともいわれ、「ブルックシーモデル」などとも称される。
ラーラースーツ1900年代初期から1912年頃まで流行したスーツの型。アイビーリーガーの間でスポーツ観戦用のスーツとして流行った。全体にゆったりとしたシルエットの丈の長いジャケットに、ペッグトップのズボンを合わせた。「オーバーサイズドスーツ」とも。
ナンバーワンサックスーツ1918年に「ブルックスブラザーズ」が紹介したスーツの型。ヴィクトリア朝時代のリクリエーション服に端を発した、当時としては先端的なレジャー服の型。シングル3つボタン段返り・ナチュラルショルダーが特徴の元祖トラッドスーツ。日本では「T型」とも。「サックスーツ」の項も参照。
ブルックシーモデルアメリカントラディショナルモデル」「ナンバーワンサックスーツ」の俗称。
ジャズスーツ1919年から1923年頃に流行ったスーツで、ナチュラルショルダー、胸から腰はタイトで、そこから極端にフレアーで長い裾、丈の短い細身のストーブパイプズボンなどが特徴的。イタリア帰りのアメリカ人のインスピレーションによるもの。
ズートスーツ1940年代に流行したスーツの型。熱い肩パッド、強いウエスト絞り、膝に届きそうな長い丈、フレアーを持たせた裾、幅広のラペルなどが特徴のジャケットに、しっかりとしたタック、胸まで届きそうな股上、腰周りはゆったり裾は極端に細くなったズボンを合わせた。柄は派手なストライプやラメ入りで、ピンクや紫やゴールドの派手な色味のワイシャツに、幾何学模様の派手なプリントネクタイを合わせ、派手な靴下に、コンビシューズなどを履いた。“zoot(ズート)”は「いかれた」とか「とっぽい」などと訳される。
アイビーリーグモデル1940年代後半から1960年代初めまでの間に「アイビー・リーグ」の学生を中心に流行ったスーツの型。ナローナチュラルショルダー、ボクシーなシルエット、細めのラペル、ウェルトシーム、水平角型フラップ、フックベント、ボタンスタンスの広い3つボタン2つ掛けのジャケットに、尾錠付きの細身のストーブパイプのズボンを合わせた。
ナローショルダーモデルアイビーリーグモデル」と同義。
エクストリームトラディショナルアイビーリーグモデル」の異称。「極端なトラディショナルモデル」といった意味。「エクストリームアイビー」とは別。
ボールドルック1947年頃から1950年代初期にかけて流行したスーツの型。広い肩幅、広い襟、強めのウエスト絞りなどを特徴としたジャケットに、たっぷりしたドレープズボンを合わせた。「タフガイルック」とも。
ミスターTルック1950年から1954年に流行したスーツの型。別名「スリーTルック」といわれるように、「背が高く(tall)」「細身で(thin)」「余計なものを取り除いた(trim)」デザイン。ウエストを絞ったりという事は無く、全体的にタイトなスーツだった。
エクストリームアイビー1955年から1957年にかけて、ニューヨークのグリニッジビレッジに集まるビートニクと呼ばれた若者達の間ではやったアイビースーツのパロディ型。シングル4つボタン、ビロードがかけられたカラー、カブラ付きの袖、チェンジポケットを特徴としたジャケットに、細身のストーブパイプズボンを合わせた。
ジャイビー1958年から1961年にかけて黒人の間で流行したスーツの型。「エクストリームアイビー」の流れをくんでいるが、「エクストリームアイビー」よりやや大人しめ。「いかれアイビー」「茶化しアイビー」などと訳される。“jivey”は“jive(ふざける・からかう・ワケが分からない)”+“ivy(アイビー)”の造語。
グリニッジアイビーエクストリームアイビー」に同じ。
アメリカンコンチネンタルモデル1958年にIACDが発表し、流行したスーツの型。着丈が短く、大き目の前裾カット、シングル2つボタンのジャケットに、細めのズボンを合わせた。「イタリアンコンチネンタルモデル」をアメリカ流にアレンジしたモデル。
トランスアメリカンアメリカンコンチネンタルモデル」と同義。「トランス(trans)」とは「超越する」という意味があり、「トランスアメリカン」は「脱アメリカ型」で、アメリカ的ではないデザインだった。
コンテンポラリーモデルアメリカンコンチネンタルモデル」を基にアレンジが加えられた1960年代に流行したスーツの型。IACD(国際衣服デザイナー協会)が1963年に発表した「4つの流行型」の一つ。「コンテンポラリー(今風)」とは、今となっては些か滑稽である。「ウエストコート(西海岸)スタイル」の典型(当時、東海岸はトラッド一色だった)で、シングル1つボタンか、ロウツーで、短い着丈、浅いサイドベンツ、ラペルは変わり襟(Lシェープ・Tシェープ・クローバーリーフ・フィッシュマウス・セミクローバー・セミピーク等)とよばれるものが多く、ポケットや裏地のデザインも凝ったものが多かった。ズボンはテーパードのシングルカフが決まりだったようである。
ナンバーツースーツ1961年に「ブルックスブラザーズ」が紹介したスーツの型。「ナンバーワンサックスーツ」に、ダーツなしで若干の前絞りを加え、ボタン位置低めの2つボタン型にしたもの。日本では「U型」とも。
アメリカンブリティッシュモデルアメリカントラッド」を英国調にアレンジしたスーツの型。1970年代末に端を発したこのかたちを世に送ったのは「ラルフローレン」といわれている。「アメリカントラッド」のナチュラルショルダーを基調とし、ウエストにダーツが入って絞りがきいている。「アレキサンダージュリアン」「ポールスチュアート」などにも同様の特徴が見られる。
28,スーツモデル(ヨーロピアンスタイル)
一番上へ
「イタリアンスタイル」「フレンチスタイル」などを含む、英国以外の「ヨーロピアンスタイル」は、英国のスーツを基にしながらも、さらにファッション性に傾倒させたデザインとなっている。
スマートさ・エレガントさ・セクシーさの強調、ソフトな風合い、ヒップラインの強調、細番手の高級素材の多様などが特徴である。

イタリアンコンチネンタルモデル1950年代中頃にローマを中心として流行したスーツの型。ジャケットは肩広で、セミノッチド系の細いラペル、前裾の大きめなラウンドカット、スクエアショルダー、スラントポケット、浅めのサイドベンツ、カブラ付きの袖を特徴とし、タイトフィット。ズボンはシングルカフのテーパードなものだった。生地はイタリアらしく、上質のシルキー素材を使用。
ブイスタイル1954年に型が出来、1953年頃に日本で紹介されたフランス型スーツ。ドロップショルダー・アウトポケット・V字型のシルエットを特徴としたのジャケットに、ペッグトップのズボンを合わせた。
ヨーロピアンモデルイタリアやフランスのデザイナー(イギリス以外の西ヨーロッパ)による、個性的且つ流行的なスーツの型。肩幅が広く、丈が長めでノーベントのゆったりとしたジャケット、ゆたっりとしたシルエットのズボンなどが特徴的。だが、1960年代以降からは個々のデザイナーによるデザインが多種多様となり、数年後とに変化を呈するために、「ヨーロピアンモデル」というスタイルを定義する事は難しくなってきている。
コンチネンタルルックヨーロッパ調のスーツの型。「コンチネンタル」とは「ヨーロッパ式」の意。ジャケットは丈が短めで、ウエスと絞りが入り、浅めのサイドベンツが特徴。ズボンはテーパー気味でシングルカフのものが多い。
クラシコイタリア「イアタリアンスタイル」の中でも最高水準とされているものをそう呼ぶ。「ナポリスタイル」とも。クラシコイタリア協会が定め、1990年以降日本でも流行している。
29,スーツモデル(ジャパンニーズスタイル)
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欧米の文化の良いところを取り入れ、時代のトレンドによって、アメリカ風にもなりイギリス風にもなりイタリア風にもなる。
この特に特徴が無いところが特徴といえば特徴である。
また、他の国に比べて品質のわりに価格が押さえられていることも特徴の一つ。

クラシックモデル1960年代前半に、日本でもっとも一般化したスーツの型。動きやすく作られたいたのでビジネスに適した。「ナチュラルルック」に同じ。
ナチュラルルッククラシックモデル」と同義。
T型ナンバーワンサックスーツ」の日本名。
U型ナンバーツースーツ」の日本名。
V型1985年頃にの本で売り出したスーツの型。「U型」の日本版アレンジスーツ。ナチュラルショルダー・広めの肩線・ゆったりとしたシルエット・丈の短いボックス型・ノーベントのローツー・ローゴージレギュラーラペルのジャケットに、股上の深いタック入りでややテーパー気味のズボンを合わせた。カフスは幅の狭いダブル。
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