正しい『桃花源記』

SS『桃花源』の中で私は桃花源について、

「理想郷」
「そりゃあな。仙人とか、桃の花の精が暮らすって場所の中国の昔話だろ?……『桃源郷』とかって言い方もしたと思うけど」
 俗世から離れた理想郷……桃源郷───。

という文章表現をしましたが、これは日本で一般的に知られているものをと思ってのもので、本当の中国の『桃花源記』は違います。
その『誤解』を少しでも是正したいと思った次第です。
以下、上海在住のお友達・S奈さんからお教えいただいたものに、多少手を加えて紹介させていただきます。
S奈さん、どうもありがとう!

 桃源郷という名称の源は『桃花源記』という古文です。

 とある漁師が桃花が流れている小川を溯って、一面に咲き誇る桃の林の奥に、戦乱を避けて潜んで暮らしている人々を見つけました。
 戦乱を避けた彼らの祖先が其処に移り住んでもう何百年も過ぎていて、もちろん避けた戦乱も既に何百年も過去のお話です。
 漁師は歓待を受けた後一度家に帰り、その後再度の訪問を試みました。けれどその桃の花の里には、二度と行き着けなかったということです──。

 このお話が大元で、今は理想郷と考えられています。
 仙人の話は蓬山(ほうざん=遥か東にあるとされた仙境)の伝説です。

『桃花源記』の作者は陶 淵明、中国では五胡十六国の分裂時代──、日本では卑弥呼より少し前の時代の詩人です。
 実際は桃花源の里にいたのは人間で、仙人も花の精もいなかったわけですね。
 これが『現実』と『夢』のどちらを謳ったものなのかは判断できませんが、日本の昔話『浦島太郎』を連想させますよね。

 しかし桃の花の話なのに、アイコンその他が桜ってのが、哀しい★(桃ってないんですよ!)